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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 0927 瑕疵の補修の保証は?

 相談概要 [氏名] S.O
[相談内容:] 建売住宅の瑕疵
[居住住所] 千葉県千葉市花見川区
[相談建物所在地] 千葉県千葉市花見川区
[職業] 会社員
[年齢] 36
[男性] on
[構造] その他の構造
[引渡し年月日] 西暦1997年 2月27日
[公庫使用] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 85.5
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 3860
[設計監理料] 0
[様態] 建売り住宅
[施工者] 地場中小ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 解らない。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 1
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 2
[床面積] 100m2以下
[施工者名] 鰍`設計
[販売会社名] 鰍r住宅
[設計者名]
[監理者名]
 相談内容 [現象]
 2階のベランダの床(FRP)にひび割れができ、水が入り込んで床がブカブカしています。

[業者の見解]
 引渡し後7年経過しているため
1.劣化するから仕方が無い
2.FRPはガラスのようなものだから物を落とすと壊れやすいと言っていました。
品確法や高耐久住宅の証明書がないと無償で直せないとも言っていました。

[相談内容]
 平成9年の引渡し後、ベランダの勾配不良による雨水排水不良が発生し修繕依頼を業者にしましたが、対応しないため当方の弁護士から工事業に対し上記内容(その他多々有り)も含め、内容証明を送りました。

業者の弁護士を通じベランダについては補修すると回答書をもらい補修済。だが勾配を取るのに勾配不良のFRPの上から木材で勾配を再度取りその上にFRPで仕上げたと認識しています。

平成16年7月ベランダに入ったら床(FRP)がブカブカしており踏むとチャポンチャポンと水が溜まっている音がしています。FRPとFRPの間に水が溜まっています。当時の建築の仕様書にはベランダ:FRP防水石綿ケイ酸カルシウム板厚12と明記してあり、もしも補修工事時にFRPの厚さが12mmしてあれば今回のひび割れは無かったと思います。予想するに12mmも厚さがなく薄かったためひび割れを起こしたのではないかと思います。

@無償修理要請が可能ですか?
A回答書で補修すると明記してあり、その補修が完全なものでない場合の業者の責任は。
(7年経過していますが回答書の効力はありますか?)
 yorozuの感想 私たち建築の素人(弱者)にとっては大変心強いHPです。工事業者は皆がそうではないと思いますが、売ってしまえば・・・という業者も少なくないと思います。両者が感謝し会える関係がベストだと思います。何卒よいアドバイスよろしくお願い致します。
アドバイザー 
木津田 秀雄 相談員の木津田です。

 後で施工したFRP防水の防水層が割れて浸水したようですが、業者のいうようにFRP防水は下地がきちんとできていなければ(気泡などが入っていれば)割れてしまうことがあります。今回は一度補修をした際の防水部分に割れができているようですが、おそらく下地が薄く、下地自体がたわむなどして割れたのだと思います。しかしご相談の中のFRPが12mmあればという部分は間違いで、FRP防水自体にはそのような厚みは無く、12mmというのは下地の板の厚みになります。

 下地材にたわみがなければ、中の水の音はしないでしょうから、間に入った雨水がチャポンチャポンと音がするということは、それだけでも後で施工した床がたわんでいることの証明にもなりますね。

 いずれにしても防水層の撤去、そして根本的にもとの防水に水勾配を取る再施工が必要だと思われます。年数が経過したといってもお話を伺う限り「劣化」とは言えないようですから、契約の内容にもよりますが、瑕疵担保期間が経過していても不法行為や契約不履行に該当する内容かと思いますので、裁判等で争う事は可能かと思います。いずれにしても、このままにしておくことは建物に取って非常に良くないので、何らかの早急な対処が必要かと思います。
橋本 頼幸 解説員の橋本です。

まず業者の見解で、
1.劣化するから仕方が無い
2.FRPはガラスのようなものだから物を落とすと壊れやすい
とのことですが、これはいずれも当てはまりません。

FRPも当然劣化はしますが、7年で防水性能が無くなるような劣化速度ではありませんし、FRPはガラスとは異なります。ものを落とすと壊れやすいというものではありませんし、ベランダ床に使うようなものであれば相当固いものです。ちょっとやそっとでは壊れる心配はありません。

ご相談の内容だけで勝手に判断するに、「補修をして下さい」「はいわかりました。」「補修しました。」「ごくろうさま」という流れになっているのではないでしょうか?

何が原因で今回のようになったのか、どのような補修をする必要があるのか、その補修を確実にできたのか、について建築の専門的な判断が必要だと思います。
工事業者は必ずそうだとは言えませんが、補修を要求する側に専門的な知識や技術的な判断を下せる人がいないと、相手は簡単な補修しかしないでしょう。

無償で要求できるのか、補修するといった回答は有効か、ということも大切ですが、今回の問題がどうして起こったのか、それをどのようにしたら直るのか、ということを突き止めることが先決であると感じます。それを明らかにした上で、先方に申し出れば、先方もきちんと考えざるを得なくなります。こちらが明らかにした内容が明確で先方に非があるとすれば、たいていはきちんと対応してくれます。

そう言った意味で私は、正しい技術的な判断を下してくれる建築の専門家に相談する、もしくは簡単な調査を依頼する事をお勧めします。もちろんご自身で原因を突き止めることもいいと思います。要は何が問題になっているか、どうすればいいかをはっきりさせておくということです。ご相談の内容だけでも排水勾配の問題、下地の問題など可能性はいろいろ考えられますが、推測で物事をすすめても時間がかかるばっかりではないかと思います。
畔上 廣司  解説委員の畔上です。

ご相談内容によれば、引渡し後、バルコニーの排水不良の他にも多々不具合があったようですね。
内容証明手続きをしなければならないほど、他の理由や不具合が相当存在していたのでしょうか?

本題に入ります。
先ずは漏水していないことから、当初施工のFRP防水層はしっかり役目を果しているようです。
ひび割れは補修下地材の工事状況からして当然発生するはずです。
バルコニー防水工事仕様の厚さ12mmは下地のケイ酸カルシウム板が12mmということでしょう。

さらにケイ酸カルシウム板の下地は構造用合板厚さ12ミリ張りとなっていませんか?
FRP防水はアスファルト防水やウレタン防水、シート防水などと比較して、引っ張り、引き裂き強度等、耐久性に優れている露出防水です。施工は、下地処理・調整→プライマー塗布→ポリエステル樹脂等の塗布→ポリエステル樹脂等をガラス繊維マットに浸しながら塗布敷込み→防水層の不陸や泡除去調整など→トップコート仕上げまで通常6〜7回ほどの工程で行なわれ、全体で数ミリの厚さになります。

設問にお応えします。
@無償修理要請が可能ですか?

水勾配不良の程度が分かりませんし、現状を確認チェックしてみないことには何ともいえません。
推測ですが、ただ単純な高低レベル確認ミスが原因であり、漏水に関わる部分は主要な構造部分に影響を与えますので、漏水する可能性のある瑕疵と判断される場合は可能と思われます。
また、排水不良部分の下部に居室はありませんか?この場合の修補は少々厄介ですね。
なお、将来漏水した場合の確約書や誓約書類を交わしておくことも必要かもしれません。この点等、お知り合いの弁護士にご相談なさったら如何でしょうか。

A回答書で補修すると明記してあり、その補修が完全なものでない場合の業者の責任は。(7年経過していますが回答書の効力はありますか?)

業者の補修工事はただ見た目の水勾配を取ったわけであり、補修を完全とするには、問題部分を剥がして手直し工事するしかありません。業者責任の良否は、補修に対する期間期日や限度が回答書に記されているかどうかでも違ってきますが、建築専門家の技術的な判断及び弁護士の法的な判断双方が必要でしょう。
無論、1.引渡し後7年経過の劣化で仕方が無い。2.FRPはガラスのようなものだから物を落とすと壊れやすいと言う業者見解は詭弁といわざるを得ません。 
 コメンテーター 
津村 泰夫 解説員のみなさんが述べられたとおりですね。
FRPの施工が悪かったのか、下地の施工が悪かったのか、調査をおこない、きちんと判断を出す。そうしてどのように補修すればよいかを専門家が指示すれば解決出来る問題だと思います。また建物全般も見ますので安心出来る住まいとなるでしょう。
 事務局から 
  荻原 幸雄 現在では品確法によって漏水も10年保証が義務付けられていますが、以前の場合は通常は契約の保証範囲では10年保証が付くのが通常です。
そのような保証は特に定められていなかったようですね。
もともと、ベランダの勾配不良によって今回のFRPが施されたのですから、継続している瑕疵と考えられると思われます。

下地合板の厚み不良によると決め付けない方がよいでしょう。
他の納まりの問題からの雨水進入も考えられます。

補修としては現在のFRPは撤去しなければなりませんが、下のFRPも釘で穴が開いていますから、その下も雨水が廻っていないかを確認し、必要があればそこも撤去しなければならない可能性はあります。

いずれにしても弁護士だけの対応では解決しないかもしれません。
信頼できる建築士に調査を依頼してみてください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 ・私事に沢山の見解を戴き、大変感謝しております。
・8月5日に私から電話をしたら修理しますが一部負担をして欲しいと言って来ました。
 現状の状態では良くないと考え、少しならいいですよと回答済み。(内心5万くらいなら・・・)
 NK(千葉支社)という会社が担当するとの事。早速、そこの社長の携帯を聞き、盆前に 見積り、盆明けに工事の工程を確認しました。
・問題はやはり先生方が言うように今回何故このようなことが発生したのか、事実確認が重要と感じています。以前、修理した下請け業者とは違うようなので、しっかり聞きたいと思います。あと、専門の建築士の方に依頼する場合、何処に連絡すれば良いのですか、 又依頼料の相場はどれくらいなのですか?
よろしくお願い致します。途中経過の報告です。
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