相談概要 | [氏名] O.A [相談内容:] その他 [居住住所] 神奈川県三浦郡 [相談建物所在地] 同上 [職業] 自営 [年齢] 35 [女性] on [構造] その他の構造 [引渡し年月日] 西暦2003年7月・・日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 162.43 [延べ面積坪] 49 [工事請負金額] 46,200,000 [設計監理料] 0 [様態] 注文建築 [施工者] 大工(工務店) [設計者を選んだのは] 自分で選んだ。 [監理者を選んだのは] 自分で選んだ。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。 [確認申請の為の委任しましたか?] した。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] 無い。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 50〜60 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 10〜15 [床面積] 200m2以下 [施工者名] O工務店 [販売会社名] O工務店 [設計者名] E建築設計事務所 [監理者名] E建築設計事務所 |
相談内容 | [現象] 新築した家に入居して約1年。 今になって工務店から高額な追加料金を請求され、困惑しています。 設計者に家づくりを依頼し、設計者が選んだ工務店が施工しました。 [これまでの経緯] ●着工まもないころ基礎の杭工事で、 難しい土地であったことが原因のアクシデント(工期の長期化等)があり、 予算を大幅に(+690万円)超えてしまうことが判明。 工事が一時ストップしてしまった。 ↓ ●設計者・工務店・施主の三者で話しあい、 その他の工事内容からお互いに減額努力できる部分を考えながら工事を進め、 完成後にそれぞれの負担割合を相談の上、金額を決定し施主負担分につい ては、数年間の分割で支払うことを約束。 設計者からは 「設計サイドにも問題が無いとは言えないので、いただいた設計料を返ししたい」と 申し出があったが、その件は保留に。 ↓ ●工事は再スタートし、昨年7月に完成・引き渡しとなる。 ↓ ●最終的にどれくらい減額できたのか…と、気にしながら金額提示を待っていたが、 入居後すぐに雨漏りが発生したことで、工務店側は「追加金額については、雨漏り 問題が片付いてからでないと話しにくい」と考えたらしく、そういったニュアンスを 施主は設計側から伝え聞き杭工事の追加金額については話しがまったく無いまま 先延ばしになっていた。 ↓ ●約1年が経過し、ようやく雨漏り問題の終わりが見えてきたところで工務店側から 追加金額について口頭での回答がある。 「杭工事以外の部分で予算に収まらない案件が大量にあり、追加料金は合計で 1,100万円ほどになっている。この内いくら払えるか。何年で払うつもりか。 もう1年になるのでそろそろ払ってもらわないと困る。」 こういった内容のことを、予告もなく突然きりだしてきた。 当然、この金額、やり方には全く納得できず、施主としては一切応じない。 その後、設計者の見積りチェックを待ち、あらためて三者で話しあいの場を設ける ことに。 ↓ ●そこで改めて提示された金額は合計829万円(内、杭工事500万円)。 これは、設計者が“施主に相談できる範囲のもの”という基準で見積りし直した結果。 その内、納得できた項目は、 こちらのリクエストにより追加された分の35万円程度。 納得できないもののほとんどは工事終盤近くに作業したもので増額になった理由の 多くは… ・建具 「“○○○一式”で見積もったが、実際にはトビラ分が収まらなかった」 「○○材料、見積り時に含まれておらず増額」 「見積り時の寸法が間違っていたので増額」 ・外構等 「隣地との問題が生じ○○○で対応せざるを得なかったので増額」 「契約時の見積金額をFIXさせるため、優先順位の低い項目をいったん見積から カットしていたがやはり必要になって施工したので増額」 …などである。 そのつど状況や仕様変更の説明を受けたもの、または説明が全くなされなかったものが混在。 しかし工事期間中から現在に至るまで、変更後の金額や増額の可能性については設計者・施主とも一切の説明も受けていない。 ↓ ●不明確な(覚えの無い)項目について、工務店側に詳細説明を求めてもその答えは 曖昧で、具体的な内容を把握していない様子。 ↓ ●杭工事690万円からの減額分の明細については、こちらが減額努力した内容について記載されていない項目もある。 ↓ ●現在 ------施主の言い分------ 「そもそも、“杭工事追加分690万円がどこまで減額できたか”を聞くつもりで待っていたのに、1年も経過してからこんな理不尽な説明をされても納得できるわけが無い。納得いかないものに対しては支払う気はない。829万円もの差額が出るのでは、見積書の意味がない。」 「金額については、契約以前にも予算の問題があり、2階にできるはずだった子ども部屋を含む2部屋をあきらめたり、その上、予算500万円の上乗せをしたりしている。最初にはっきりとこちらの予算を伝えたにもかかわらず。もうお金のことでもめるのは勘弁して欲しい。」 ------設計者の言い分------ 「施主として認められる金額に対しては協力して支払ってほしい。 工務店として、施主が納得できる説明を用意してほしい。 設計サイドの責任もあるので、設計料を返すことも考えている。」 ------工務店の言い分------ 「契約時点でぎりぎりの厳しい金額で見積もっているため、やむを得ない結果。 満額とは行かないまでも、前向きに考えて支払ってほしい。 “設計者が設計料を返す”ということは、しないほうが良い。」 施主と工務店の話し合いは平行線。 工務店は、次回、施主が納得のいく説明ができるように準備すると言っている。 [業者の見解] [経緯と見積内容についての説明を受けた席で出された、工務店の見解] ●追加分の見積りについて、不明な点が多いので事細かに説明して欲しいが。 「この見積りは設計者のチェック済みなのに、あらためて説明する必要あるのか?この場でひとつひとつについてそんなことをやっていたら話しが前に進まない。」 ●そんな見積りを渡されて、話しが前に進むわけがない。 説明できないようなものを請求しないで欲しい。 「おっしゃる通りです。次回もっと調べて来ます。」 ●大幅な予算オーバーを招いた理由 「通常は全体の工事の中で金額を調整し、あっても100万、200万程度のプラスで押さえられるが、今回の場合は契約時点でぎりぎりの厳しい金額で見積もっていたため、調整しきれなかった。」 ●追加分として最初に出された1,100万という大きな金額。 なぜ1年間も施主に隠し、黙っていたのか。 「隠そうとしていたわけではなく、雨漏りの問題もあったし施主の方から残金を払いたいと言いだすのを待っていた。」 ●予算をオーバーしそうになったとき、なぜそのつど設計者や施主に報告・相談がなかったのか。 「工事終盤の慌ただしい中で行われた内容が多かったのでいちいち確認作業ができなかった。 各下請け業者からの請求も、工事完了してから一気にあがって来たので取りまとめに時間がかかってしまった。」 ●設計者チェック後の829万円という数字も、契約時の見積り額を超えた金額としては、普通ではあり得ない大金ではないか。 「まず、杭工事のプラス分に関してはすでに話しがついていて、金額が決定すれば、施主側がすべて払うことになっていると認識していた。 829万円の6割は杭工事であり、それ以外の金額(329万)はぎりぎりの見積りで契約したことを考えると致し方ない。 工務店として、下請けへの支払はもう済ませているのだから、満額とはいかないまでも、施主に前向きに支払額を検討してもらうしかない。」 ●杭工事の増額分(690万)を減らすため、施主として変更を決めた項目が減額分として今回の見積にすべてが網羅されていないのはなぜか。 「契約時点でぎりぎりの厳しい金額で見積もっているため、“他の部分”で相殺されてしまっている内容が多い。」 ここで、施主側に有利な発言をしようとした設計者のアシスタントに対し「あなたがそういうことを言うと、工務店と設計者が“一枚岩”でないということになってしまう。」という工務店側の発言。 ●“他の部分”の金額は了承していないが。 「少額だが、そういうことなら再度明細に追加したものを用意する。」 ●今回のことで工務店への信頼感が無くなった。 こちらはショックが大きく“被害者”という気持ちだが。 「厳しい見積りを立ててしまったことが、最後まで尾を引いてしまった。 今回の件で、こういったやり方は見直していかなければならないと思った。 いい勉強になった。 ただウチが一生懸命やってきていることは認めてほしい。 予算が足りない中、設計者とは数えきれないほどの金額のやりとりをしてい るし、例えば雨漏りの件についても… 雨漏りなんか、はっきり言ってどこでもある話し。 それが起こったときに、どれだけ迅速な対応ができるかが重要だ。 そういう時こそ工務店としての資質が問われる。 その点においては精一杯対応しているはずだ。わかって欲しい。 前向きに考えて欲しい。」 ↓以下、設計者の言葉 「今回の件の責任は設計側に無いとは言えない。 当初(杭工事の問題が起こったとき)話したように施主へ設計料を返すこと を考えている。」 (設計者は契約前の段階で、予算を収めるため、 「管理はするが設計監理料を請求しないということで進めたい」とし、施主も監理料は支払っていない。) [相談内容] 1)今回のような追加金額の請求の仕方(引渡し後1年経って突然言ってくる)は、認められるものでしょうか。 もちろん、施主のリクエストとして増額になった分については支払う気持ちではいるのですが。 2)増額せざるを得ない案件が発生したとき、設計者や施主に相談なく進められてしまったものに関して支払う義務はあるのでしょうか。 3)「予算が少なくぎりぎりの厳しい見積りをした」を傘に「“○○○一式”として見積もっていたが、工事の結果△△分が増額になった」などという理由は認められるものでしょうか。 4)「工務店と設計者が“一枚岩”」という考え、「今回の件はいい勉強になった」「雨漏りなんか、はっきり言ってどこでもある」という言葉。 これを施主の前で堂々と言い放つ工務店は、果たして“まとも”でしょうか。 5)今後の話し合いを、どういう風に進めて行くべきなのでしょう。 工務店側はかなり場慣れしている感じで、こちらが正論で攻めても、興奮して怒ってみせても、痛くも痒くもないといった態度です。 こちら側としては、話しがついている「杭工事で生じた690万円」をベースに、仕様変更や取り止めなどで減額した金額、 こちらの意向で増額になった金額を計算し、三者の負担割合を話し合いで決める、という当初の計画を今後も押し通したいと考えているのですが、無謀でしょうか。 次回の話し合いではすべて言いくるめられそうで怖いです。 6)もし裁判になった場合、勝ち目はあるでしょうか。 全面的に信頼していた設計者が、三者の話しあいになると工務店に対してはほとんど何も言ってくれず、むしろ工務店を擁護するような発言ばかりで、失望してしまいました。 最初に「設計料を返す」と言ってくれたときには、その気持ちだけでも嬉しく「設計料を返すだなんてとんでもない」と思っていたのですが今は「そう言うのなら、返してもらおうかなぁ」という思いに変わっています。 こんな風に争ったりしたくないという思いもあり、大きな期待を持って“建築家と家を建てる”という道を選択したのですが…。 甘かったですね。 なんとか私たちなりの前向きな解決策を見つけたいです。 どうか良きアドバイスをお願いいたします。 |
yorozuの感想 | 今回このような、どこか他人事と考えていた問題に直面し誰に相談すれば良いのか、本当に困っていました。 悔しくて、情けなくて、恥ずかしくて、とても親や友だちには相談できません。 負けたくない、という思い。 かといって裁判を起こしたり“弁護士に相談する”という勇気もなく。 このサイトを見つけたときは、本当に本当に嬉しかったです。 |
アドバイザー | |
古賀 保彦 | 解説員の古賀です。 引き渡し後1年も経た後に、高額の追加費用請求をされて驚きと不信感で一杯の事だと思いますが、現に居住していらっしゃるのですから腰を落ち着けてじっくり交渉された方が得策の様に思います。 以下、相談項目事の解説です。 1)今回のような追加金額の請求の仕方 (引渡し後1年経って突然言ってくる)は、 認められるものでしょうか。 もちろん、施主のリクエストとして増額になった分については 支払う気持ちではいるのですが。 工事中にやりとりがあり、完成後に協議しましょうとなっていた項目については、対応義務があると思います。ただ、1年経てからというのは一般常識的にみて変だと思いますが、関係者皆さんの記憶にも曖昧な部分が多いでしょうし、双方の言い分に行き違いがあった事も考えられますので、双方の意見を伺ってみないことには何とも言えない面もあります。 2)増額せざるを得ない案件が発生したとき、 設計者や施主に相談なく進められてしまったものに関して 支払う義務はあるのでしょうか。 現場として安全・工期の関係で特に急を要し、その場で対処せざるを得ないものについては事後相談という形になる場合もあります。例えば、傾斜地での基礎工事時に土砂が崩れはじめ、緊急に土留めを要する場合や想定以上に杭の長さが必要になった場合、地盤掘削時の地中障害物撤去等が考えられますが、そのような場合でも後に施主に対して説明ができるように、該当部分の工事ボリュームが分かる様な写真を撮っておかなければ証拠として説得力に欠けてしまいます。 緊急を要するものでなければ、設計・仕様変更前に見積りをとって施主承諾後に資材手配・工事にかかるという手順を踏まなければ、後に施主に認められないと言われても仕方ない様に思います。 当初設計・仕様からの変更内容、その指示経緯が分かりませんが、それらが1年を経て後に施主が全くの初耳というのであれば、設計者・施工者側の手続き上の不備として考えても良いと思います。 尚、施工者も工事を進めながらの対応になりますので、度重なる変更がある場合等は、とにかく先に工事を進めなければならないという事になってしまってお金の件が後回しになってしまう場合もあります。そのような状況はありませんでしたか? 3)「予算が少なくぎりぎりの厳しい見積りをした」を傘に 「“○○○一式”として見積もっていたが、 工事の結果△△分が増額になった」 などという理由は認められるものでしょうか。 一式であろうと明細がついていようと、設計図書通りのものを作る事を請負うのが工事請負契約ですから、設計図書と異なる仕様で行う場合は2)の手順を踏むべきです。そうでなければ見積りの意味がなくなってしまいますから。結果論で金額が上がるのであれば、施工者はその因果関係を明らかにして施主を説得する必要があります。 4)「工務店と設計者が“一枚岩”」という考え、 「今回の件はいい勉強になった」 「雨漏りなんか、はっきり言ってどこでもある」という言葉。 これを施主の前で堂々と言い放つ工務店は、 果たして“まとも”でしょうか。 ”一枚岩”・・施工者が設計監理者の指示に従って工事を行い、その指示によって工事費が上がるとすれば、施工者は、その費用を施主からいただけるよう設計者の手配を期待するのが普通だと思いますから、そのような意味で使われた言葉かもしれません。 尚、設計図書は細部に至るまで完璧なものではなく、現場で詳細を詰めながら進める項目も多いので、納まりや仕様変更によって工事費が上がってしまう場合もありますが、その場合でも、施主に認めてもらえるもの、そうでないものの区分は指示する際に明確にしておくべき事でした。 その他の言葉は文面でみる限りでは居直りとも取られて仕方ないかもしれませんが、どのような状況下で、どのようなニュアンスを含んで発言されたものか分かりませんので、それだけで工務店が”まとも”かどうかは判断しきれません。 5)今後の話し合いを、どういう風に進めて行くべきなのでしょう。 工務店側はかなり場慣れしている感じで、 こちらが正論で攻めても、興奮して怒ってみせても、 痛くも痒くもないといった態度です。 こちら側としては、話しがついている「杭工事で生じた690万円」 をベースに、仕様変更や取り止めなどで減額した金額、 こちらの意向で増額になった金額を計算し、 三者の負担割合を話し合いで決める、という当初の計画を 今後も押し通したいと考えているのですが、無謀でしょうか。 次回の話し合いではすべて言いくるめられそうで怖いです。 当初から話があった杭、施主要望による追加、減額、工事中に設計者・施工者から相談を受けた項目ひとつひとつを明確にする方向で話し合いを続けて行かれた方が良いでしょう。 6)もし裁判になった場合、勝ち目はあるでしょうか。 弁護士ではないので当方では判断しかねますが、経緯や工事金額の根拠が大きく関わってくると思います。引き渡し後1年も経ていますので、それは施主にとって良い方向で判断される要素かもしれません。 しかし、何分、ネット上の相談ですから詳細が分かりませんし、資料を拝見しているわけでもありません。裁判以前のお話として、設計図書と現況の仕様違い、経緯、見積根拠等について、利害関係のない第3者の建築士に入ってもらい、一般的な見解を得ながら先方と交渉する事も考えられますのでご検討下さい。 |
清水 煬二 | 解説員の清水です。 ご相談の内容からすると、業者の言っていることには随分不思議な内容も含まれています。 200M2以下の住宅で平屋か2階建てかは分かりませんが、基礎の杭工事だけで500万円(設計者のはじいた金額)というのは、 かなりの高額な費用がかかっています。 いったい、どんな工事をされたのでしょうか? 設計監理者が、全額もらった費用を返すと言っているということは、間に入って、今回の件でかなり責任を感じているのだと思いますから、その点に関しては良心的な方なのでしょう。。 ところで、現在の金額的な食い違いはどの程度なのでしょうか? 690万円に関しては当初から納得されているようですが、仮に設計監理料を返して頂いたとして、先方との食い違いの差額はどのくらいあるのでしょうか? 請負金額からすると、設計監理料もかなりの金額ではないでしょうか? ご自身の感覚であってもよいですから、まず、その食い違いの金額差をどの程度かをハッキリ認識してください。 その金額差によっては、弁護士さんを入れて話し合うか、場合によっては裁判を行わないと決着が付かないと思います。 金額差が弁護士費用を掛けて裁判を行うほどでなければ、ここまま話し合いを続けるしかありませんし、裁判を行うというのは かなりの負担になり、良い選択ではありません。 決着が付きそうにない場合、まず弁護士さんに内容証明でこちらが支払うべき金額と理由を明記して先方に送ってもらう方法があります。先方が、了解しない場合は、裁判も有り得ると追記しておけば、業者と設計監理者が負けると判断すれば、今回の内容からして妥協してくる可能性は高いような気がします。 先方は、金額の根拠を含めて、かなりの証拠を提出する必要がありますから。 個々のご質問については、古賀解説員が詳しく解説していますので、省きます。 |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 2階建て160m2の住宅で杭工事に700万近い追加が出るとは余程のアクシデン トがあったのですね。それが何なのか見当もつきませんが、その金額を捻出するための話し合いが増額の方に傾いて行って驚かれたことと思います。 1)追加金額の請求の仕方 施主のリクエストでの増額はおっしゃる通りですが、合意をしていない追加金額を今頃請求では納得生きませんよね。認められるかどうかは、その内容によります。 2)増額や減額については必ず施主の同意が必要です。 緊急避難的なことは別ですが。それでも粗方の金額調整は早めに報告する義務が監理者にはあります。設計者(監理者)や施主に相談なく進められてしまったものに関しては注文していないのですから支払う義務はないでしょう。 ただ、注文していないことを知りつつずっと使っていたら話は変わってきます。 3)“○○○一式”は望ましい形ではありませんが、結果としても一式ですから認める必要はないでしょう。(その部分の図面の精度にもよりますが) 4)工務店の言葉使いは、その場での負け惜しみや多少の開き直りみたいなものですから、気にしないことです。 5)今後の進め方。 まず金の査定は監理者(設計者)にさせましょう。そして、施主が納得した項目だけに支払いするようにしましょう。あなたの当初の計画を今後も押し通すことは正解です。 でも、監理者(設計者)への信頼が薄らいでいるのですよね。設計料を返すと言うより業務違反で損害賠償を受けてもいい部分があるのかもしれません。 6)裁判と言うよりも、第三者の専門家(設計監理専業)に中身を精査してもらうことをお薦めします。建主は依頼したこと以外の事にお金を払う必要はないのです。 |
コメンテーター | |
津村 泰夫 | 解説員のみなさんの述べられたとおりですね。 設計監理者は、増額となるような工事が発生した場合には、ただちに見積もりをとり、施 主と協議し、同意の下に続行させるはずです。また最終金額提示の際も設計監理者がすべて調整した後、施主に提示することが当然のことであり、施工者が弁明するようなことはないはずです。解決には、その設計者が第三者となり得ないのであれば、他の建築士に依頼しないといけないでしょうね。その査定により調停や裁判などで解決を図ることになります。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 杭関係工事にかかった追加500万と追加と認識している35万の総計535万だけ支払えばよいとわたしは考えます。 杭に関しては事前に三者で協議しているのでよしとしていいのではないでしょうか。 今回の問題は杭工事の際に、施主側から「互いに減額努力できる部分を考えながら工事を進め」と設計監理者、工事施工者も確認しているのですから、設計監理者はそれ以外の追加がでないように努力すべきであったと思われます。また、どうしても追加になる場合は施主にその部分に施工着手する前に施主に確認をすべきでした。 わたしの場合新築の時は施工会社3社以上から合い見積もりをとりますが、通常、地業工事が難しい土地の場合は良識な業者は見積に反映しそのことを設計者に伝えます。ですから着工前には施工の困難さによる大幅な金額増はこの時点で掌握できますが、合い見積もりはしなかったんでしょうか?施工会社によっては「合い見積もりには参加しない、特命でないと請けない」という施工会社もおりますが、能力があればいいのですが、ない場合はこのような結末になる場合が考えられます。 設計者も構造的な見識が多少物足りない点はあったのではないか?と思います。 このような場合は構造を専門とする設計者が設計段階でフォローするものですが、それも無かったようです。 今回の中で増額が「設計者や施主に相談なく進められてしまった」とありますが、通常は勝手に施工者が増額工事をすることはありません。何故なら、もらえないことをするわけがありません。少なくとも設計者には伝えてあったのではないか?と思います。 また、何故、1年後に請求を出したか?です。通常は引渡し時には出すものです。 雨漏りということとは関係はないと思われますが、この点は通常は考えられないことですね。違和感があります。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | アドバイスありがとうございまいした。 みなさんから心強いご意見をいただけたこと、 本当にありがたく、何度も何度も読み返しました。 心より感謝いたします。 前回の話合いでは、 こちらの正当性を認めさせようと意気込んで臨んだのですが逆に、追加料金の必然性をまくし立てられ最終的には「悪者は金を払わない無知な施主」という空気…。 すっかり落ち込んでいたところでした。 でも今は、みなさんからのアドバイスを読み返すたび、もっと堂々としていていいんだ、と勇気づけられています。 山口さんの「当初の計画を今後も押し通すことは正解」という言葉、嬉しくて、思わず声に出して読みました。 私たちが慌てることはないんですよね。 今後は古賀さんが言われるように“腰を落ち着けてじっくりと交渉”これで行こうと思います。 “1年経てからの請求”について、 「常識的に見て変」「違和感がある」等のご意見をいただけただけでも私たちの主張が、単なる“無知な施主の大騒ぎ”ではないのだと再確認でき、次回、胸を張って話合いに臨めそうな気持ちです。 「裁判」という選択は賢くない、ということも納得しました。 仮に設計料がすべて返還されるなら、双方の食い違っている金額とほぼ同じ。 清水さんのアドバイスから、 「裁判沙汰にするくらいなら設計料を返してもらえばいいんだ」と気付きました。 ただ、今暮らしているこの家のことは本当に気に入っていて この空間を生みだしてくれたことについては、設計者に対し純粋に感謝しているのです。 「設計料0円」にさせてしまって本当に良いのか…クールな決断ができず、悩ましいところです。 また、“第三者の専門家”に相談するということについても同様でそれをした場合、設計者に対し「あなたはもう信用できない」と 通告するのと同じ意味だと思われ、今後、完全に縁が切れてしまうのだろうなぁ…と想像すると いろいろな思いがよぎり、考え込んでしまいます。 津村さん、おぎわらさんのお話からも私たちが信頼してきた設計者は お金の面ではかなり頼りない部分があったのだと今さらながら思いました。 全面的に信頼し、安心しきっていた私たちの無防備な反応が、たび重なる予算問題を招いて来たのかもしれません。 甘いのかもしれませんが、 設計者に対し、こちらとしてどういう態度をとるべきか今後の話合いの中で見極めていきたいと思います。 最後に、その金額に驚きの声があがった杭工事について。 私たちの家は「地滑り防止地区」の傾斜地に建っています。 土地購入の前に“ここで安全な家が建てられるか”を設計者に判断してもらい、納得して購入に踏み切りました。 杭は建物の重さを支えるための「支持杭」というより、 地滑りの負荷に耐えるものが必要で直径1,500mmのコンクリート杭が8本、支持層まで深く入っています。 県の土木事務所からの指導、地質調査、構造設計者の計算があって決まったものでした。 見積額は、掘削・土砂削除手間を含む「杭工事料」と「杭コンクリート(打設共)」で約700万円。 処々の理由から掘削は手掘り作業であったこともあり この金額には納得していました。 これに、更に690万円の追加が発生したわけです。 理由は「予想以上に大変な土地であったから」。 掘削中は湧き水が多く、たびたび杭壁が崩壊するなど、作業が困難だったため工期は予定の倍、2ヶ月以上に。 その分人件費が膨れ上がってしまったのです。 予算の追加を求められたとき 「“工期2倍、金額も2倍”では、プロとして、あまりにも読みが甘かったのではないか」と抵抗しましたが工事内容そのものには納得できたので、見積り時に“完璧な読み”ができれば、 最初から2倍の金額だったのだろうと判断し条件付きで支払に応じることにしたのです。 いま思えば、このとき柔軟な対応をしたことで甘く見られてしまったのかもしれません。 長くなりましたが こうしてお礼のメールを書きながらも自分たちの考えを整理することができました。 本当に感謝しております。ありがとうございました。 またご報告できればと思います。 |
その後 |
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