相談概要 | [氏名] S.I [相談内容] - [居住住所] 大阪市阿倍野区 [相談建物所在地] O市 [職業] 会社員 [年齢] 43 [男性] on [構造] 鉄筋コンクリート造(ラーメン構造) [引渡し年月日] 西暦 2005 年 2 月 日 [公庫使用] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 5 [お住まいの階] 3 [延べ面積m2] 90 [延べ面積坪] [工事請負金額] 3,500 [様態] 分譲マンション [施工者] 建設会社 [マンションの総戸数] 100戸以下 [施工者名] H [販売会社名] O市住宅供給公社 [設計者名] H [監理者名] |
相談内容 | [相談内容] 現在、大阪市内に住んでおりますYと申します。この度、来年1月に竣工予定のO市住宅供給公社の分譲マンションと契約しました。契約金約20万円を支払いました。下記2点、契約後判明しました。 @マンションの前の公園にホームレスが多いこと。 まるでホームレスの団地のようなもので妻子のいる私にとっては問題です。モデルルームの社員(販売協力:Y社)に聞いても、「今後どうなるかまったく分からない」という返事でした。また、大阪市役所に聞いても、「その公園(S公園)には定期的に調査に入り、ホームレスの自立(就職斡旋等)を促しているが、不況でなかなか減らない」という返事でした。 Aマンションの構造について 基本的に本マンションでの永住を考えています。本マンションのスラブは240mmでLL45のフローリング、外壁の厚さは180mmで遮音もしっかりしているようです。ただ先日 「マンションはこうして選びなさい」(ダイヤモンド社)を読みました。本の中のA社が恐らく今回のマンションの施工会社です。 本ではA社を利益重視の会社で住む人を無視した会社と非難しています。たとえば建築学会で定められている外壁の2重配筋が共有廊下とベランダに面した部分はコスト低減のため1重配筋にしている等。実際、モデルルームで確認したところ正しくその通りでした。家内の神戸の知り合いの話では、震災時、A 社の築5年ぐらいのマンションにかなりダメージを受け、アフターケアーも良くなかったと聞いております。A社に関してはお答えしにくいかと思いますが、マンション構造上で譲れない点、例えば上記の2重配筋の点等教えて頂ければ幸いかと思います。 |
yorozuの感想 | 私のように建築の素人にとっては非常にありがたいホームページです。100%完璧なものは無いと思いますが可能な限り問題点はクリアーしたいと考えております。何卒よろしくお願い申しあげます。 |
アドバイザー | |
樽 一弥 | こんにちは樽といいます。 お尋ねの2点に内、まず最初に環境の問題。どうされたいのか不明に付き的が外れているかも知れませんがお答えします。 まず、契約時の重要事項説明では該当の件は入らないと思われます。過去、新築で同様の件での契約解除や損害賠償を得たという事例は記憶にないです。 そして、販売価格には地域環境という資産も当然に加味されていると思います。 次の構造的な問題ですが、俗にいう耐震壁とその他の壁では構造的考えが異なる、正確にいえばその他の壁には構造力学的な根拠はあまりありません。 むしろ、よりラーメン架構を明快にするために柱や梁と縁を切る、応力を伝えないというような考えもあります。 ご存知とは思いますが、ALC版のように架構の力をそもそも伝えない方式(超高層)を採用することすらあります。 従って、必ずしもW配筋が必要ということではありません。 ただ、コンクリートは硬化時に収縮を伴いますので、この時の亀裂を抑える役割は鉄筋が果たしておりますので、W配筋で施工している方がより亀裂の発生は少ないと思われます。また、音に対する性能については比重が大きい程、有効ですので鉄筋量そのものには直接関係ありません。 いづれにしても、分譲マンションの場合は売買契約ですので、出来上がった完成品を買うというのが現状です。嫌なら購入をしないというのが唯一の方法です。これからながきに渡って暮らし、維持管理していく訳ですから疑問があれば初心に帰るべきでしょう。 生涯に支払う返済額を考えれば安いものです。 |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 マンションの立地:契約前に自らが調査すべきでしたね。ただ、ホームレス=悪い人ではありませんが、あなたが生理的に受け付けないのであれば、どうしようもありません。 マンションの外壁の構造:一般的なレベルの仕様のようですね。壁の配筋の量については、外部に面したところはクラック防止などのためにダブル配筋をすることがこのごろは多いのですが、以前の建物はシングル配筋がほとんどでした。 この配筋の量で建物全体の耐震強度が決まる訳ではありませんので、心配は不要です。O市住宅供給公社の販売ですから、住宅供給公社の一定の設計基準で設計と施工がなされているとお考え下さい。 施工会社に関しての風評に過敏になられているようですが、ダイヤモンド社の本に書かれていることが全てだとは思えません。そこまでを心配し出すと、どこの建設会社も信用出来なくなり、マンションを手に入れることが出来なくなってしまうかも知れません。 今の段階でどうしても気になってしかたがないのであれば、契約金約20万円を勉強代と思って解約するしかないでしょう。悔しいかもしれませんが、これからローンを払い続けて住むことを考えると、安いことかもしれません。 |
コメンテーター | |
氏原 毅士 | 両解説員の意見の通りだと思います。 自分の家になるマンションを下見もせず購入されたとは思いませんが、何度と無く足を運び、周囲や工事中の建物を見るのは重要な要素になります。 そして、環境など知った上で契約すべきではないでしょうか。 壁の件も同様です。公社だから完全だとは言いませんが構造的な検討を行って設計・施工がなされているはずですから、シングル配筋がだめだとは言えません。 どうしても気になるのであれば、S・Iさんにとって今後長期間住み続ける住まいとしては不適合だと思います。 契約金を捨て、解約も視野に入れて検討するべきでしょう。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | わたし自身もいつホームレスになりかわかりませんので、彼らの事情も斟酌していただけるとうれしく思います。景気の好転を祈るばかりです。 構造設計をしていた経験から一言構造に触れます。 地震や台風の外力に対して建物の保有耐力がそれ以上であることを確認するのが構造設計です。水平力は柱や壁で受けますが、特に壁の場合は水平力に抵抗する耐力は大きいので、特に耐力壁として評価します。 そのほかの壁として構造的に効かせない壁(ALC版のような場合)と効かせる壁(PC版のような場合)とがあります。また、現場でコンクリートを一体に打設した雑壁も評価する場合とスリットを設けて評価から外す場合があります。 これらの違いは設計図面をみませんと、見た目で判断はできないことも多いのです。 日本建築学会鉄筋コンクリート造基準には「共有廊下とベランダに面した部分の壁」はダブル配筋にするという単純な基準なんかあろう筈がありません。 シングル配筋でもダブル配筋でも設計が適切になされ、監理が適切になされていればひび割れも起きませんし、構造的にもなんら心配はいらないのです。 問題は私たちの著書『マンションを手に入れる前に読むQ&A80』(山海堂)でも述べていますが、設計・監理が適切になされているか否かが一番重要な点です。しかし、これらは購入者にはわからないブラックボックスなので、ここがオープンになることがマンション業界の今後に期待したいと思います。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 | 皆様方から頂戴したご意見を参考にし、マンションを購入することになりました。 ホームレスが近くの公園にいるのはやはり気になりますが、子供の学区は変わらない、メジャーな駅に近くなる、今のマンションが狭くて古い、そして何より安い(90mm、3,500万円)と言う理由で決めました。ちなみに今、住んでいる近くの新築マンション(N不動産)は80mmで5,000万ぐらいです。皆様方のご意見で1番参考になりましたのは、今度、購入するマンションの構造がそれほど悪くない、一般的なマンションと言うことです。 有難うございました。 |
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