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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0915 地盤と雨水に心配

 相談概要 [氏名] Y.Y
[相談内容] 建売住宅の瑕疵
[居住住所] 宮城県仙台市
[相談建物所在地] 宮城県仙台市
[職業] 会社員
[年齢] 32
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦 2003年12月14日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 112.61
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 3600
[設計監理料] 0
[様態] 建売り住宅
[施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[お手持ちの図面は何枚?] 5枚
[打ち合わせ何回] 2回
[施工者名] Sホームズ
[販売会社名] Sホームズ
[設計者名] O
[監理者名] ?
 相談内容 [現象]
今回ご相談したい件は、地盤と、土地の保証範囲についてです。

購入までの勉強不足と慎重さがかけていた為に起こった事と反省しつつも納得できないので宜しくお願いします。

購入時に、地耐力調査表の提出を何回か求めていましたが、結局提出されず、引渡し後に再度求めたところやっと出してきました。
その結果が、

スウェーデン式サウンディング試験での結果でN値3以下でした。
詳細は下記の通りです。

地盤の安定:やや不安定
不同沈下の恐れ:ややあり
地盤:洪積大地に位置し、地形は北東から南西に向かって傾斜している。
    畑として利用されていたところを造成後1年程度経過していると推定
    される。断面は粘性土で、硬軟の程度は測点により異なり不均等と
    なっておりN値3以下を示し軟らかいところが見られる。
    GL-2.75〜4.50mより硬く強反発を示している。
特記事項:水位は2測点でGL1.50〜2.50m付近に認められる。
       西側の表層部分が軟らかいので、砕石を充填のうえ、十分
       転圧が必要です。
基礎仕様:基礎砕石厚変更・ランマー転圧追加・ベタ基礎にチェック有り

でした。その結果に愕然とし、業者から「古くからの地主さんがいる土地なので心配ありません。」と言う言葉を鵜呑みにしたのが悪かったのだと反省しました。

でもやはり納得できる内容ではなかったので、この地盤に対する強化、例えば、上記の通り、「砕石を充填のうえ、十分転圧が必要」に対し何をしたのかを確認すると、「ベタ基礎なので大丈夫です。心配ありません。
 ベタ基礎を使ったので、他の強化手段はしておりません。」との解答でした。

本当にベタ基礎だけでこのような軟弱地盤は大丈夫なのでしょうか?
何度確認しても「ベタ基礎で大丈夫です。」の一転バリです。
ベタ基礎でもその下の地盤が変化したら基礎ごと傾くのでは無いかと心配でたまりません。

地盤が弱いことを知り、裏の敷地の雨水が、家の敷地に流れ込んでいる事が気になりはじめました。
裏の敷地は、家の北側に有り、1.5mくらい上に土壌があります。
故に家とは段差があり、しかも隣接している敷地はかなりな傾斜があるため、上からの雨水がそのまま流れ込むことも有り、それについては、こちら負担で業者に依頼して、対策をし、解決しました。
が、その壁の下に排水溝があり、上からの雨水が地面を通って家の敷地に侵入してきます。これについては納得いかないので、対策する様に業者に検討してもらっているところです。

その1週間後の一昨日です。
二日間の雨で、裏の壁の下に有る排水溝からの雨水が川のように流れ込み、家の基礎付近に水溜りができ、晴れた昨日までちょろちょろと流れ込んでいました。
ただでさえ地盤がゆるいのに晴れている日まで水が侵入するなんて。
そして、気づくと東側の基礎の横10cmのところに10cm程度の穴がぽっかりと開いているのです!
しかも3軒隣の家の庭でも同じように裏の上の敷地からの雨水が流れ込み庭に20cmくらいの穴が開きました。
ビックリです。

以上、長くなりましたが、どこに相談したら良いのか知識もなく、困り果てておりました。アドバイスの程、宜しくお願いします。

[業者の見解]
・地盤については、ベタ基礎なので大丈夫心配無いの一転バリ。
・穴については、解答待ち
・雨水処理については、上からの進入を心配し話したところ、 こちら負担なら工事すると見積もりを持ってきた。
 下の壁の排水溝からの雨水に対しては、建築前に、その擁壁から 建物までの間にあんきょ工事をしています。との解答です
 が、その工事の意味も無く裏は雨のたびに洪水状態です。


[相談内容]
そこで、教えていただきたいのですが、

(1)裏の敷地からの雨水処理はどこの責任になるのでしょうか?
   仮にその雨水を家で受け続けることになるのだったら、
   それを重要事項説明に載せる必要はないのでしょうか?
   家はただ流れ込むのを見守るだけなのでしょうか?

(2)軟弱地盤対策として、ベタ基礎だけで十分なのでしょうか?
  また、不十分な場合建物が建った今、どの様に強化する方法が
  あるでしょうか?

(3)地耐力調査での内容に「不同沈下の可能性有り」とありますが、
   これは重要事項説明義務は無いのでしょうか?

(4)雨水処理工事・地盤強化工事が必要な場合の費用負担先は
   どこになるのか?
   家としては、これ以上地盤を変化させたくないので、
   家の北側と側面(東西)をコンクリート敷きに加工し、また
   雨水の逃げ道をU字溝及びコンクリートの傾斜によって行いたい
   のですが、どこまで業者に負担してもらえるものでしょうか?

(5)軟弱地盤についての説明不足による今回の件は、
   業者の瑕疵となるものなのでしょうか?
 yorozuの感想 どこにどの様に相談したら良いのか、困り果てていました。こちらからの解答を参考にし、これから対応策を練っていけたらと思います。
宜しくお願いします。
アドバイザー 
津村 泰夫 解説員の津村です

(1) よう壁下の雨水処理
 ひな壇造成された分譲地などでは、よう壁下に側溝を設け、排水するようになっています。敷地境界はよう壁面であったり、側溝も含んでいたりさまざまです。宅造法では「地表水の排水はがけの反対側でとること」となっていますので、排水上問題はないはずです。

 分譲地ではなく、民民で宅造工事をした場合は工事をした側で処理をする場合が多いでしょう。斜面の下部で造成工事をした場合、上部の土地はさわれませんので、敷地境界から工事影響範囲をとり、よう壁を設置することになります。上部に側溝を設置し、下部にも側溝を設置します。この場合、水抜き穴から出た水は当然下側の側溝で処理します。

 斜面の山側で宅造工事をおこなう場合ですが、下の土地に手を加えずに工事をおこなうことはとても困難な作業になります。山側からの掘削は困難を極めますが、それでも敷地境界から側溝を設置しその山側によう壁を設置します。ただ、側溝の排水の流れ先がどうしても下側の敷地で処理しなくてはならない場合があり、その際は同意が必要でしょう。

(2) ベタ基礎で十分か
 金融公庫基準では地耐力が3トン/平米未満では、ベタ基礎とするように書かれていますが、そこに書かれている図は、鉄筋を二重に配して、厚さは25センチ程度あるものです。しかし一般ではシングル配筋(一重の鉄筋)でもベタ基礎と呼んでいますので大きな違いがあります。不十分かどうかは判断が出来ないと思いますので、定期観測をおすすめします。建物四隅、基礎の天端等の水準測量を定期的に、たとえば6ヶ月おきに3年程度おこなえば地盤沈下の有無がわかるでしょう。その結果、沈下が明らかであればさまざまな対策があります。鋼管杭を打つ方法、地盤に薬液を注入する方法、これは念密な調査と計算、熟練した技術が必要です。

(3) 現在の土地取引で地盤調査内容を重要事項に記載する例は存じません。購入者側で判断しなくてはなりません。土地を購入する際には図書館などで古地図を調べたりして池の跡でなかったか、水路や沢の跡ではないかを調べるのは今や常識です。

(4) 費用負担ですが、土地売買契約書など見てみないと何とも言えません。土地価格にはよう壁や排水のための敷地に関するいっさいが含まれます。これが契約内容に反しておれば補償を求めることが出来るでしょう。

(5) 軟弱地盤というより、軟弱地盤であってもそれに見合った基礎にしなければなりません。沈下等の被害がなければ瑕疵とは言えないでしょう。

 地盤調査報告書というのは安全側に書かれています。地盤調査会社が訴えられることもあり、よくわからないことは厳しい目に書くのが普通です。地盤調査報告書のなかの柱状図を見てみないとなんとも言えませんし、スエーデン式貫入試験は簡易的ですから正確とは言えません。私どもで建てた物件のほとんどがもっと悪い報告が書かれており、地盤改良工事などをおこなっています。ご不安であるなら、資料及び現地調査を専門家に依頼されることが賢明でしょう。
橋本 頼幸 解説員の橋本です。

(1)分譲の形態によると思われます。隣(裏)と同時に同じ業者が分譲したのか、その際の申し合わせ内容(誰がどのように面倒を見るか)などを確認する必要があります。一般的には自分の敷地で出る排水(雨水も含めて)は自分の敷地内で集めて公共下水に放流することになります。しかし、YYさんが購入する以前から隣に住居がありそこからの排水がそうで、その隣の土地に造成して分譲した場合は必ずしもそうなりません。つまり、YYさんの購入した土地建物の成り立ちによると思います。一般的には適切に処理されているものと考えられますので、重要事項にのせるまでもない必要です。

(2)建物の基礎は「べた基礎だから大丈夫、布基礎だから危険」というものではありません。それは建物の規模や構造(建物自体の重量)と基礎の構造によります。べた基礎でも不同沈下を起こすことはしばしばあります。地盤と基礎の関係は設計の考え方によります。地盤改良は本来建築前にすることですが、津村解説員のコメントのように薬剤を注入するなどの方法があります。しかし、建物が建ってからの施工は綿密な調査と確実な施工がより求められます。

(3)重要事項説明には「不同沈下の可能性あり」とは書きません。本来不同沈下などということはあってはいけないことです。また、地盤調査で「不同沈下の可能性あり」と指摘されても、きちんと地盤改良して設計すれば沈下しない建物を造ることが可能ですので、地盤調査の結果と重要事項説明は一致しません。

(4)費用負担は津村解説員の指摘通り、契約によります。契約書等を読まないと適切なコメントはできません。

(5)地盤が軟弱なこと自体は瑕疵とはなりません。地盤が軟弱でも適切な処置で安全な建物を造ることができるからです。しかし(地盤の状況にかかわらず)建物が沈下してくる、亀裂が生じる、雨漏りがする、などの住宅としての基本性能が問われるような問題が生じると、明らかな瑕疵となります。

何度も繰り返しましたが、地盤が軟弱なことやべた基礎を採用したこと自体は問題とはなりません。正しく設計を行えば安全な建物を造ることができます。しかし「正しく設計」されたかどうかはなかなか素人では分からないと思います。相手業者の回答が信用できるのであれば問題ありませんが、もしまだ不安を感じるようでしたら是非第三者の専門家に確認してもらうことをお勧めします。大事なことはYYさん自身がどのようにしたら納得できるかです。納得して不安を取り除けるような道をお探しください。
 コメンテーター 
長谷川 明弘 地盤と基礎の関係はしっかりした地盤の調査が行われ、それに対して適切な基礎設計をしなければなりません。ただ素人であるエンドユーザーには分からないので、それをフォローするのが、建築士を始め、建設業者等プロの役目であるはずです。
ご自身も反省しておられるようですが、施工業者の大丈夫ですの一点張りはとても問題ありますので、ぜひ一度第三者の立場の建築士等にご相談ください。
 事務局から 
  荻原 幸雄 スウェーデン式サウンディング試験は目安の試験にしか過ぎません。
参考程度と考えるべきなのですが、住宅ではこの試験が一般的です。
この試験と他で集めた近隣データーを基に判断します。

地盤の問題では土地売買の場合は重要事項の説明外ですが、私見では建売住宅では土地と建物がセットなので、これからはこの場合は重要事項の項目に入れて欲しいものであり、また、そうすべきだと思います。

問題はこの報告書があるのに購入時に見せなかったという点はあろうかと思います。
ただ、これが義務か?というと残念ながら現在の不動産業界ではしていないと思われます。
今後の法的な対応を望みます。

建売住宅のように現物を購入する場合に現状有姿という点があります。
建物には保証がありますが、土地回りの擁壁には保証外だと思います。
これらについては通常の不動産取引範囲の契約時の状況のまま引き渡すということになろうかと思います。

これらの現状有姿はご自分で購入時に責任を持って購入する。という判断になると思われます。
詳細は宅地建物取引主任者にご確認ください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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