相談概要 | [氏名] F.K [居住住所] 東京都目黒区 [相談建物予定地] 東京都文京区 [職業] 公務員 [年齢] 34 [男性] on [構造] 鉄筋コンクリート造(壁式構造) [引渡し年月日] 西暦 2005年 7月 1日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 100 [延べ面積坪] [工事請負金額] 4000 [設計監理料] 400 [様態] − [施工者] 建設会社 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [18確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。 [確認申請書お持ちですか?] 解らない。 [検査済証は有りますか?] 無い。 [お手持ちの図面は何枚?] 2枚 [打ち合わせ何回] − [施工者名] 奈良建設 [販売会社名] N [設計者名] N建築計画 [監理者名] 同上 |
相談内容 | [家づくりの相談内容] 東京都内RC壁式の内断熱住宅計画中です。無垢材の床が使いたいと思い暖房の選択に迷っております。温風式の暖房は避けたいため、現在は低温式床暖房またはパネルヒーターにしようと考えております。 無垢材の種類にもよるかと思いますが、あばれなど無垢材に対する影響の大きさ、初期費用(床暖でしたら床ほぼ全面、パネルでしたら家全体に設置予定)、ランニングコスト、暖かさの感じられ方、メインテナンスのしやすさ、壊れやすさ、安全性などについて、ご意見いただけないでしょうか。 ちなみに4階建ての上半分のメゾネット、全10件の長屋で、コーポラティブ方式で設計進行しております。内断熱は外気に接している南面、東面、北面で屋上は外断熱となっております(西面、下の階は他の方のお部屋と接しております。西面と上下階の天井は打ち放し)。ヒートブリッジによる天井の結露も実は心配しておりますが、建築家の方は通気がよければ結露は心配ないとお話しております(コンクリートは西面200、そのほか300mmです)。 現在お願いしている建築家の方は、無垢材に対してどちらの暖房もあまり経験が無いとのことで、このサイトで相談させていただきました。もう少し細かい情報が必要でしたら、ご連絡ください。よろしくお願いいたします。 |
yorozuの感想 | あまり詳しく見ていないのですが、お返事がとても丁寧かと思いました。 |
アドバイザー | |
久米 能子 | 無垢材の床に対する影響ということのみでしたら、低温式床暖房でもパネルヒーティングでもそれほど、差はないかと思います。ただ、無垢材といってもいろいろあり、比較的堅めの床材(ナラや栗など)のほうが無難であると思います。 しかし、暖房の方式をトータルで比較すると、床暖房より、パネルヒーティングのほうがやや勝るのではないかと思います。パネルヒーティングのメーカーにも拠るかもしれませんが、最近私が設計に取り入れているものは、こまやかにバルブで調節ができるので、パネルからの放熱をコントロールすることができます。 低温式床暖房となれば、おそらく、ボイラーで30度から40度程度の温水を沸かし、配管内を通すものであると思われますが、電気式の床暖房と違い、そのようなタイプのものは、温度のコントロールができませんので、暑ければ切る、寒ければ入れる、という操作しかできないはずです。 この操作性の違いが、パネルヒーティングのメリットではないかと思います。 これができるということは、使用していない部屋も、常にごくゆるくだけ暖めておくことができるということですので、コストを押えながら24時間全室暖房をすることができることとなり、部屋間の温度差が小さくなることから、建物に結露を生じさせにくいということに繋がります。また、温熱環境という点でのバリアフリーともなりますね。 ただし、放熱パネルの設置場所が必要となりますから、その点、床暖房のほうが部屋にヒーターが露出しないのでよいといえるかもしれません。 それでも、パネルヒーターに台所や洗面所のタオルをかけておいたりするといつもタオルが乾燥して暖かく、ヒーターが露出しているほうがかえってよいという場合もありますね。 また、パネルヒーティングのメーカーによっては、冷房も行なう(除湿方式による体に優しい冷房です。)ものもありますから、それを選択されれば、夏場のためのエアコンは不要ということになるでしょう。(ただし、イニシャルコストはかなり上がります。) ランニングコストはどちらもボイラーをつかうのですから、その熱源の選択によって変わるといえるでしょう。灯油が一番安いのは言うまでも無く、42坪で24時間全室暖房をして、年間の暖房費が5万から6万(ただし、次世代省エネ基準の断熱ですが)という試算が出ています。(パネルヒーティングの場合) 床暖房を選択される方は、床(足元)が暖かいのが好きだから、という方もおられます。逆にそれが嫌でパネルヒーティングを選ぶ方もおられるでしょう。 そうした好みの問題も大きく、単にパネルのデザインが素敵だからということで、パネルヒーティングを選ばれる方もおられるのです。 ただ、パネルヒーティングにしても、低温式と高温式があり、高温式の場合は、パネルに触れると危ないものもありますので、よく確かめてください。 初期費用はメーカーや部屋の条件によって変わるのでどちらが高いとは一概には言えません。 尚、暖房形式を選択することも大切ですが、建物の計画を、内断熱より外断熱にするほうが良いのではないのでしょうか。これから新築ならばなおのことです。 断熱層が外にあれば、コンクリートは蓄熱しますから、暖房の効果はてきめんに上がるはずです。床暖房にしても、パネルヒーティングにしても、放熱を建物が蓄えてくれるのですから、効率が高くなります。勿論、結露に対しては大変良いはずです。 夏場の熱気をうまく逃がせる計画さえできていれば、外壁も外断熱に変えられることをお勧めします。 また、同時に肌に触れるものが人から熱を奪いにくいものを選ばれることも大切です。 床暖房をいれなくとも、杉やパイン材の床材を選択すれば、堅い木(ナラや栗)の床材を選んだときよりも、冷たくありません。それどころか、そうした床に座っていれば自分の体温で、おしりが暖かく感じられるくらいです。(ただし、そういった床材は傷がつきやすい柔らかいものですが。) 建物も含めたトータルで、温熱を考える必要があると思います。 |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 始めに余談ですが、是非全体の外断熱も御検討ください。今ならアキレスなどの断熱材メーカーが特に力を入れて設計協力してくれます。 床の無垢材に対する影響はどちらかと言えば床暖房が大きいと思われますが、無垢材だから実用に問題ない程度の収縮はあると思えば気が楽になります。床の素材に関しては樹種により感触が違いますので見本で確かめてみるといいでしょう。 担当の建築家がこの部分に関して経験がないと素直に言ってありますが、職務としては経験のある人か詳しい人と連携してF.Kさんへの対応をすべきだと思います。私達の仕事は全てを一人で行うのではなく、各々の専門分野の知識を総合してクライアントに提供しているのですから。 |
コメンテーター | |
木津田 秀雄 | 温水床暖房にもいくつか種類があり、杉や桧を床材に使うと反ったり隙間が大きくなったりします。ガス会社の出している床暖房は、スイッチを入れてから 早く暖まるように高温(60度)が流れます。その温度で問題が少ない無垢材は、なら、唐松などですが、乾燥状態にもよりますので、注意してください。 温水床暖房でも40度程度の温水を24時間ゆっくりと流し続けるものもあります。(富士環境システムのうららなど)このタイプだと、杉でも大丈夫のよ うです。ただし立ち上がりに時間がかかるので、24時間運転が基本になります。 夏場に直射日光にあたったフローリングの表面温度は50度くらいにはなります。それ以上の温度になると変形するという風に考えることが必要です。また 床暖房を行わなくても、無垢材には狂いや反り、汚れの落ちにくさなどのデメリットがあります。しかしその足触りや吸放湿性、シックハウス対策など、優れ た面もたくさんあります。ぜひ無垢材の特徴を知ってもらい採用してみてください。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | コーポラティブ方式ですから、外断熱に変更なんて、簡単にはできないと思います。 両隣の壁は共有ですから、蓄熱にはなりません。 外断熱のことは除外して考えてください。 パネルの場合は設置場所が設計に大きく影響します。 将来の交換も簡単にできます。 床暖房は設置は自由ですが、将来の変更には床をはがさなくてはならなくなります。 どちらもよいシステムです。 建物の環境や設計により選択すべきことですので、設計者とよく相談してみてください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | 大変丁寧な解説に感動いたしました。 今まで設計士の方と色々話し合いを進めていく中、この問題の結論が出ずに基本設計自体が進行しない状態でした(パネルヒーターのために開口部に腰壁をつけるかどうかが問題になっていました)。 この解説で、もやもやが晴れました。 残念ながらおぎわら様のコメントの通り、コーポラティブ方式により外断熱は不可能な状態ではありますが(これもだいぶ私自身は押したのですが、打ち放しの外観が損なわれるとの多数意見で却下されました)、できる限りの内断熱と無垢材の床にパネルヒーターという形でどんどん計画を進めていきたいと思います。 竣工はだいぶ先なのですが、もやもやが晴れて、出来上がるのが本当に楽しみです。 解説をしていただいた専門化の先生方、コメントを頂きました荻原様、本当にありがとうございました。 |
その後 |
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