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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0904 隣地建設での植物に日が当たらなくなる

 相談概要 [氏名] K.M
[相談内容:] 近隣のトラブル
[居住住所] 兵庫県川西市
[相談建物所在地] 兵庫県川西市
[職業] 会社員
[年齢] 28
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦    年  月  日
[何階建て] 2
 相談内容 [現象]
自宅の南隣に三階建て住宅が建設予定です。建設の許可、工事の着工はまだのようです。その住宅が立つ予定の私の家側はちょうど庭になっています。植物に日が当たらなくなるのはもちろんですが、二階のテラスがその住宅から丸見えになってしまいます。市役所の建設課に問い合わせに行きましたが、日照権なんて法律には無く、この地域は三階建ての基準がゆるく法律上は何も問題が無いそうです。しかも、その建設予定の土地からは北側の言い分は何も通らないといわれました。

[業者の見解]
市役所に行く前に隣の住宅の不動産屋さんに相談した所、窓は刷りガラスにします。とおっしゃったのですが、窓が開くと意味がありませんし、屋上などを建設されるとテラスも丸見えになり、窓から部屋も見えるのですが、その事については家の図面も出ていないので分からないといわれました。日照権については、市の法律に則って建設するとのことですので、北側の私どもとしては何も言えないという事になりそうです。

[相談内容]
どこに相談してよいか分からず、法律にも詳しくないので、こういった場合は泣き寝入りしかないのでしょうか?今後、お隣さんになるので、あまり事を荒立てたくも無いのですが、どうしたらよいでしょうか?是非お返事いただきます様よろしくお願いいたします。
 yorozuの感想 色々と検索しましたが、相談を受けてくださるホームページが見つからず、不動産屋さんも市役所もダメで八方塞がりだったので、どこに相談していいか分からず、少しでも何か納得できる事があればいいと思い相談しました。こちらのホームページでは親身に相談を受けていらっしゃる様子が他の事例を読ませていただいて分かりましたので、相談させていただきました。お力になっていただければ嬉しく思います。宜しくお願いいたします。
アドバイザー 
久米 能子 久米と申します。

3階建が隣地に建つとなって、気持ちの良いかたは人情としてあまりいらっしゃらないでしょう。ですから、お気持ちはわかります。
けれども、市役所が言うように法規的に問題がないとすれば、高さを低く押えてくれというのは、基本的には相手の正当な権利を侵害することになります。大型の集合住宅などで、周辺の環境に大きな影響を与える場合等でもなければ、KMさんの要求は認められるものではないと思います。

以前の日照権、という考え方が現在の高さ制限の法規に繋がり、隣地境界からの距離によって建物の高さが制限されています。そしてその制限はその土地の用途地域によって異なるのですが、そもそも規制がそれほど厳しくない地域にお住まいのようなので、日当たりについては仕方がないことです。となりに3階建てが建ってもおかしくない地域では、あらかじめそのような自宅の設計をしておくのが本来はベストといえるのでしょうが、今となってはどうしようもありませんね。

ただ、隣家からご自宅が丸見えということについては、目隠しのご相談をされてもよいかと思います。法規的には隣地境界から1M以内の窓には目隠しをつけることになっているようですが、視線はとおるものですから、ある程度は相談の範囲だと思います。でも、中にはどうしても相談に応じてくれない人もいます。そういう場合は、いっそ自分の側に目隠しを工夫してみましょう。

将来、KMさんがご自宅を3階建てに建てなおすこともあるかもしれません。あるいは、現在でもどこかにKMさんの家の影は落ちているでしょう。こういうことはお互い様ですから、限られている敷地のなかで互いの権利を尊重して住まわねばなりません。相手に取ってみれば、ちゃんと法規を守って建てようとしているのに、何故?と感じると思われませんか。

自分でできることは自分でしようというくらいに考えておられれば、お気持ちも楽になられるかと思います。
新垣 正清 解説員の新垣です。

 都市計画地域内の敷地には、用途地域が指定されており、隣接地には、指定された用途地域の制限内で最大の物が構築されることを想定して、各用途地域ごとに、有効採光面積、有効換気面積、隣地斜線制限、前面道路斜線、北側斜線等が建築基準法、都市計画法などが定められております。したがって、隣接建物がそれらを、遵守している以上、現行法上では、甘受すべきでしょう。

 現行法も日照権を十分とは言えないまでも、まったく無視しているものではありません。南側の隣接地に3階建ての住宅が建ったとしてもまるで、日が当たらないことは、ないと思います。
 窓はカーテン等で目隠しすることにより、視線を和らげることを、お勧めします。
隣接建物から見えると言うことは、KMさんからも見ることができるということですから、近隣と仲良く暮らすことを考えてください。
 古賀 保彦   先の解説のように、隣家が法的な規制の中で設計されているのであれば、いかんともし難いのが現実の様です。私的な権利を、環境や防災を考慮して制限したものが、法的な規制という事になるのでしょうけれど、立場が違えば、厳しすぎる、或いは不十分だと、捉え方が変わることもありますので、解説するのが難しい問題だと感じています。

 陽差しを獲得した建物によって影になる建物を見ると、より多くの陽差しを求めて競争する植物の世界と変わらないのかなと思ったりします。自分が精一杯、背丈を高くして陽差しを獲得するのが自然の流れの様ですが、それは人も同じなのかもしれませんね。
 少しはよそにも陽差しを分けてあげられる方法がないものかと考える余地・土壌があれば、住みよい社会になると思うのですが、現実には自分の事が精一杯で、他者に思いが至らないという事もしばしばですから、それがかなわないために規制があるのかと思ったりもします。

 さて、窓の位置や建物の高さ、屋根の形など、現状の計画がどのようなものなのか分かりませんが、それらの影響が少しでも小さくなるよう、何とかしていただけないものかと、先方にお願いしてみる他に良い方法が思いつきません。それも行った上でのご相談かもしれませんが、再度、お願いしてみられてはいかがでしょうか。
 それでも駄目であれば、自衛策以外に手がないように思えますが、自分の建物に手を加える・引越す、いずれも容易な事ではありませんね。でも、ご自身でどうするかを考えて行かなければなりませんので、お力にはなれていないでしょうけれど、頑張って下さいね。
 コメンテーター 
山口 雅克  法の考え方は、「自分の敷地の通風や採光、陽当たり、見通し、視線などは自分の敷地内で解決しなさい。」というものです。お気持ちは察しますが、御心配のようにお隣同士の付き合いが始る訳ですから、お互いが生活の工夫をして行くことに頼るのが良いのではないかと思います。

 まずは隣人の方と立ち話やお茶でも飲むことから始めませんか。気心が知れてくるとお互いに許せることと気を使うことが見えてきますよ。
 事務局から 
  荻原 幸雄 人が生きる上で実は他の方々にも必ず迷惑をかけております。
ゴミを出した場合も必ずゴミ処理場で処分されますが、その場合にその施設の近隣には多少なりとも迷惑をかけております。車に乗る場合も乗らない人にも排気ガスの影響を与えております。

建物も存在する限り近隣に日影、通風、プライバシーなど迷惑をかけるものです。
本来ならば建物の影は敷地内で納まる程度に広い敷地以外法律で決めれば、別荘地のような風景がどこの町でも見られるようになるでしょうね。しかし、そのようなことをしたお金を時は持つ人のみ家が持てるということになりほとんどの人は高層賃貸住宅に住むことになろうかと思います。
現代はこの二極化にはなっていない点は格差が住居でも少なくなっているというのが現状でしょうか。ある意味家が持ちやすくなっているが、敷地が狭小になっているということになります。

この場合に日影、通風、プライバシーの問題が生じます。
お隣の日影を配慮してもらいたいということと同時にそれはあなたが、北側の家にも同じ要望の配慮をして家を建築したということならば、あなたの主張は正当化を持つと思います。
しかし、法的に強制するものはありませんので、民民での交渉以外に道はありません。

過ぎたことをいうのも仕方ないことなのかもしれませんが、私たち設計者は設計をする場合、隣地が空き地である場合将来の法的に許される可能性の建物を想定します。これは周りの建物の建替え時も同様です。その最悪の状況を想定してプランを考えます。
ですから、環境が変化しても建物の影響を最小限で抑えることができるのです。
庭の場合も将来必ず影になると思われる場所はなるべく創りません。
今お住まいの家がそのようになっていれば家の日影、通風、プライバシーは確保できたと思います。

大変ですが、近隣関係もありますので、温和な交渉をしてみて、駄目な場合はリフォームで自力で日影、通風、プライバシーを今から保つ工夫をしてください。その場合は仕方なくというよりライフステージを含めた総合的なリフォームをすることにより前向きな家になると思います。
お気持ちはお察ししますが、前向きな気持ちに切り替えてください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 早々にお返事を頂き、ありがとうございました。少し、進展がございましたので、お礼方々御報告させていただきます。

20日より、解体工事が始まります。という御挨拶に施工会社と住民の方が来られました。という事は、結局三階建てが建つという事になります。
もう、どうする事も出来ず、泣き寝入りというところでしょうか。

とりあえず、図面が出来次第、私どもに見せていただくお約束をしていますので、窓の件などを相談しようと思っています。

後々私どもの土地を手放す予定も無いので、この際、今度は家も目指せ三階建て!!と思いながら、耐えていくつもりです。

励ましのお言葉、アドバイス、などなど、ありがとうございました。
将来、三階建てを立てることになりましたら(笑)また御相談させていただきたいと思います。本当に、ありがとうございました。
 その後  
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