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一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0903 積算漏れという理由で工事着工しない。

 相談概要 [氏名] T.T
[相談内容:] その他
[居住住所] 千葉県野田市
[相談建物所在地] 千葉県野田市
[職業] 会社員
[年齢] 48
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦 2004年 7月31日
[公庫使用] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 124
[延べ面積坪] 37
[工事請負金額] 2600
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 大手ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] −
[お手持ちの図面は何枚?] 20枚以下
[打ち合わせ何回] 15回以下
[床面積] 130m2以下
[施工者名] Fハウス
[販売会社名] Fハウス
[設計者名] Fハウス
[監理者名] Fハウス
 相談内容 [現象]
◇現状
建て替えの注文建築。建築業者F社とは請負契約済。既存建物は他社で取り壊し完了。
現状更地。設計打ち合わせ、設備仕様打ち合わせ、地鎮祭等も済み、建築確認申請許可がおりている状態。資金計画も公庫融資予約通知がきて特に問題ないと思われる。
(自分で手続)

◇問題点;建築確認がおりたとの連絡があってから、1ヵ月近くたつのに着工しない。(基礎の準備も無し)
 担当支店の責任者が着工遅れの説明に来たが、いつ着工するかは未定とのこと。
理由;当初の請負契約のなかに、大きな積算漏れがあった。契約時の経緯(他社と同一仕様で比較し決定)もあり、支店サイドとしては、現行契約額でいきたいが、本社での決済がおりないのこと。 
 

[業者の見解]
・着工できずにいるのは会社側の事情である。
 契約時の見積額に積算漏れがあったのは事実。額は100万近いとのこと。
 営業支店サイドとしては、現行契約額でいくつもりであるが、本社での決済がおりないので、部材や工事業者への手配ができない状態である。

・引き渡し約束の7月末にはなんとか間に合わせるつもりでいるのでもう少し待って欲しい。(F社支店長)
 (現場の建築担当は8月初旬にずれ込む公算が大きいと話していた)

[相談内容]
◇このまま待っていてもよいものかどうか?
 F社の営業支店の対応は丁寧であり、建築担当もしっかりしているのでできるだけトラブルは避けたいがかといって、このままずるずると着工が遅れ、引き渡しが遅れる事態はさけたい。
 また、似たような形で追加など発生しないか心配である。

◇今後予想されるのは、契約した額に積算漏れがあったので追加契約をいってくるのではないかと思われる。
 その際、追加契約は断れるのか?

◇引き渡しの工期の遅れが予想されるが、事前に確約書かなにかをとっておいた方がよいのかどうか?
 
・なお、このF社に決めるにあたっては、大手ハウスメ−カ−数社と工法、建築面積、仕様、設備等を有る程度同一条件にして比較し、決めた経緯がある。
 この経緯はF社には話してある。

・契約書は標準仕様一式及びオプション個別明細のみ。契約後、詳細設計図及び詳細見積書が提出された。
 「この詳細見積の時点で積算漏れが分かっていたようであるが、着工しない理由を説明しに来た時点まで(建築確認がおりてから10日前後)はその話はなかった」

・引き渡しは、現状は仮住まいであり、子供たちの受験も重なっているので、夏休みに入るまでに完成させるとの約束で契約した。
 (12月末) 1月以降、細部の設計、仕様打ち合わせ、建物撤去、地質調査などをし、3月末で終えている。建築確認は4月初めにOKがでている。公庫の融資承認も済み。 
 yorozuの感想 ・結構いろんなトラブルが多いなと感じました。
・出来上がってからの施工ミスなどの相談が多いのにも驚きました。
アドバイザー 
津村 泰夫 解説員の津村と申します。

 基本的に、契約されたときは設計図書と見積書に基づいて契約が締結されたわけですが、見積書に抜けのあることは良くあることですが、設計図書を優先とする場合が多いようです。ただし、抜けた項目が大きく、また明確な場合は協議をおこない、契約変更、もしくは追加精算とする場合があります。ところがこの追加を認めると、入札または見積合わせをした経緯から、2番手の業者の方が安く、その業者とは契約解除ということにもなりかねません。

 このままやたらと時間が過ぎていくのは困ったものですので、早急に決済をしてもらい、工事に着手してもらいましょう。見積の中身を見て、明確な抜けがあり、あなたが許容出来るのであればある程度金額的譲歩をし、契約額の変更を行い、ただちに着工してもらいましょう。またその金額が不明な場合または譲歩出来ない場合は無条件に着工を迫ることです。抜けの金額が明確ですが、その処理時に時間がかかり2番手の業者よりかなり差がある場合には、当面の着工を優先させるという場合もあるでしょう。ただ、問題処理は早めに解決しておかないと長引けば長引くほど後でトラブルになることがあります。

 一定の期限を切り、たとえば2週間以内に着工しなければ契約解除とするといった通知を出し、もし履行されなければ2番手の業者と契約の検討をすることになります。
 確認申請の代理者が同社であれば確認申請の取り下げ、出し直しということもあるでしょう。
新垣 正清 解説員の新垣です。

 まず、施主側が納期について、あせらないことです。
100万円ほどの積算もれがあったとしても、予算内で十分収まるはずです。契約書があれば、追加契約に応じることもなく、確約書もあらためて取る必要もないでしょう。
 むしろ、着工の遅れによる施工精度への悪影響が懸念されます。現場監理を十分に行うことと、養生期間が短縮されることによるシックハウスが心配です。
 コメンテーター 
山口 雅克  契約後に詳細設計図及び詳細見積書が提出されたのですから「今更・・・」と思いますよね。総額にして4%弱の見積り落しですから、儲けはないけど赤字になるような金額ではないと思います。如何なものでしょう。それに、本当に本社決済が理由なのでしょうか。???ですね。

 見積り落しに関してF.Yさんが納得出来るのであれば契約額の変更をしてもよいし、坪70万程度の今の内容から少し内容を変更して現状の金額で進めて行くことも考えられます。

 工期の遅れに関しては、既に契約済なので遅延金で解決できませんか。仮住まいの家賃など、遅れた分を負担してもらうのも当たり前ではあるのですが。

 このまま着工しなければ損害賠償請求の対象になってしまいそうですが、そうならないように願っております。
 事務局から 
  荻原 幸雄 契約書にはこのような場合にどのように書かれていますか?
多分、双方協議の上、と書かれていると思います。
見積落ちの場合を下記に分類すると
1)見積と図面の関係で、見積に明細がある。図面が詳細に書かれ、明細内容が図面にも表示されている。
2)見積と図面の関係で、見積に明細がある。明細内容が図面に明確に表示されていない。
3)見積と図面の関係で、見積に明細がなく。図面も少なくい場合。

これらの場合はどれも誠意を持って双方協議することで解決することになりますが、
1)の場合。双方が内容を把握していることが前提ですので、双方負担となると思いますが、請負契約の場合は専門家として依頼しているので、構造的に絡むところが落ちている場合は専門家負担が妥当だろうと理解します。しかし、建物として必ずしもなければ成り立たないものではない場合は協議ということになると思います。
2)の場合どちらが優先されるかという疑念があり、解決の溝が存在します。
3)の場合は水掛け論に終始し、まともな解決は難しいことと思われます。

通常、第三者の建築士の場合は1)の可能性はありますが、内容を事前に確認しますので、このようなことは少ないと思われます。
第三者の建築士が存在しないので、相手の状況を待つしか、いまのところ手はないですが、だからと言って工期を延ばすのは大手を自負する会社としては如何なものかと感じます。

この場合、依頼者は情報も含めて孤立しております。それを恐れて大手という名前の保証を信じている分、余計に裏切られた気持ちでしょうね。

通常、我々が経験する1)の場合は施工者が黙って負担することが多いです。
プロとしての落ちを自覚しているからです。一般の方にはその落ちを理解できる人は少ないと常識的に思っているからです。
当然、施工者も設計者もプロです。一般の方にその落ちの負担を被せる、若しくは負担を強要するような工期延長など考えられません。
このような状況を大手ハウスメーカーがしているとしたら、プロとしての自覚が足らないといえると思います。4%では利益が多少減る程度で、赤字になることは考えられません。
他の理由が存在するのかもしれませんね。
しばらく様子を見て、進展がないならば、弁護士にご相談ください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 親切な助言回答ありがとうございました。
とても参考になりました。
 
まだ、はっきりしませんが連休明けには なんとか見通しがつきそうな状況です。
詳細が分かりましたらまた連絡いたします。
 その後  
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