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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No. 0888 マンション大規模修繕工事の適切さは?

 相談概要 [氏名] Y.T
[相談内容] -
[居住住所] 埼玉県所沢市
[相談建物所在地] 埼玉県所沢市
[職業] 会社員
[年齢] 42
[男性] on
[構造] 鉄筋コンクリート造(その他)
[引渡し年月日] 西暦1994年5月  日
[公庫使用] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 7
[お住まいの階] 4
[延べ面積m2] 55
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 2000
[様態] 分譲マンション
[施工者] 建設会社
[マンションの総戸数] 50戸以下
[施工者名] A
[販売会社名]
[設計者名] F
[監理者名]
 相談内容 [現象]
コンクリート壁面のクラックの補修方法について質問させて下さい。
現在、私の住んでいるマンションで10年目大規模修繕工事を行っています。
修繕工事は、管理会社であるAに発注され現在修繕が進んでいる途中です。

土曜日に施工状況を見ていたところクラックの補修にエポキシ注入ではなくVカット及びコーキングで補修をしていた所が有りました。
見積り項目の内容及び工事説明会ではこの様な施工をするとの説明はありませんでした。
写真を撮った場所は建て屋の外に設置されたRCの屋外階段で、6階、7階は部屋数が少なく特に片持ちの様に飛出してはいません。

[業者の見解]
1.現場の職人さんの話
  コンクリートは動くからコーキングを入れて吸収する様にした。
  他の工事では、設計者の指示でこの様にしたこともある。

2.管理会社工事部の見解
  また同じ所にひびが入らないようにVカット+コーキングでの処理とした。
  片面だけの場合はエポキシ注入でも良いが、両面クラックが入った場合はこの方法がよい。
  ゼネコンでは良くやっている方法である。

[相談内容]
1.エポキシ注入の方が設計時の強度に近いのではないでしょうか?

2.両面のクラックではなく片面クラックの補修に使用しています。管理会社の見解と違います。どの様に判断したら良いでしょう?

3.クラックの入る原因を考えた場合写真の様な施工箇所で他にクラックが出ないように出来るのでしょうか?

4.数年後コーキングの交換をしなくてはいけません。また近くにクラックが入るので有ればエポキシ注入の方が恒久的な補修と言えるのではないでしょうか。

5.コーキングとエポキシどちらの補修方法の方が安く上がりますか?

6.×や+や≠の様に縦・横・斜めにコーキングが入りつぎはぎにされないでしょうか?
心配です。見た目が凄く悪いです。

7.以前建築関係の人が「RCはどこから水が入るか分らない」と言っていました。(今回の補修工事とは関係有りません)”クラックを埋めるだけ”ならVカット+コーキングの方が良いのでしょうか?

以上です。
宜しくお願いします。





 yorozuの感想 質問件数が多く、検索で内容を絞り込めるのは良いと思いました。
まだ読むと為になりそうな箇所が有るので時間をかけて読んで見たいと思います。
有益なHPありがとうございます。
アドバイザー 
樽 一弥 >1.エポキシ注入の方が設計時の強度に近いのではないでしょうか?

コンクリート設計強度を上回ります。

>2.両面のクラックではなく片面クラックの補修に使用しています。管理会社の見解と違います。どの様に判断したら良いでしょう?

片面・両面に関わらず補修方法は部位、クラックの幅、挙動などを総合的に考えて選択されます。片面クラック処理で使うことも当然あります。

>3.クラックの入る原因を考えた場合写真の様な施工箇所で他にクラックが出ないように出来るのでしょうか?

クラックは一般の方が理解するには、主に収縮によるものと構造的要因によるものとで考えて良いでしょう。縦に発生しているクラックは収縮によるもので、通常、一旦入ってしまえば進展するころはありません。したがって微細なクラックでしたらエポキシ注入でも良いでしょう。恐らくクラックを誘発させるというよりも亀裂幅(一般には0.25mm以上)が大きかったのではないでしょうか。
もちろん、将来の誘発目地にもなります。

踊り場の斜め水平部はコンクリートのコールドジョイントではないかと想像されます。
写真ではよく分かりませんが、水平方向の亀裂はコンクリートの打ち継ぎ部分でしょう。
この場合は写真の処理で行うのが一般的で、処理も適正だと思います。

>4.数年後コーキングの交換をしなくてはいけません。また近くにクラックが入るので有ればエポキシ注入の方が恒久的な補修と言えるのではないでしょうか。

修繕は10年、15年周期に行われるもので、その間にVカット内のコーキングが劣化することは極めて少ないです。将来、クラックが発生すると仮定してもエポキシ樹脂注入より、現状施工が好ましいと思います。
クラック発生は内部の力なので、コンクリートが耐えるか、どこかで力を逃がす必要があります。エポキシ樹脂注入部分はコンクリート以上に硬質なので、他の部分にクラックが入ることになります。コーキング部分は力を逃がす役目となるでしょう。


>5.コーキングとエポキシどちらの補修方法の方が安く上がりますか?

コーキングの種類によりますので一概に言えませんが、作業工程はVカット+コーキングの方が多いです。一般に材料代より人件費の方がかなり高いですね。

>6.×や+や≠の様に縦・横・斜めにコーキングが入りつぎはぎにされないでしょうか?心配です。見た目が凄く 悪いです。

仕上げの程度によっては見た目は悪くなるでしょうね。
補修と美観とは必ずしも一致しません。できるだけ目立たないようお願いするしかないかと。

>7.以前建築関係の人が「RCはどこから水が入るか分らない」と言っていました。
(今回の補修工事とは関係有りません)”クラックを埋めるだけ”ならVカット+コーキングの方が良いのでしょうか?

埋めるだけならセメントで良いでしょう。
ですが、クラックがなぜ起こり、どういう補修が適切なのかという事が大切です。

一般的な補修 亀裂幅 0.2〜0.25mm以上についてはVカット+シーリング
以下の幅についてはシーリング自体を注入できないので、エポキシ注入(低圧)を採用します。
津村 泰夫 > 6.×や+や≠の様に縦・横・斜めにコーキングが入りつぎはぎにされないでしょうか
> ? 心配です。見た目が凄く悪いです。

 写真の状態はシール材を充填して乾燥中の写真ですよね、このあとポリマーセメントモルタルを平滑に塗り込み、塗装をおこなえば全くわからなくなるはずですが。この写真の状態が補修完了とは考えられないです。

 なお、私は巾0.5ミリ以下のキレツ補修は、フィラー擦りこみ補修、すなわち塗装の下地処理に含んでおります。
 コメンテーター 
笠原 歩 クラックには収縮によるものと構造上の問題によるものとがあります。その補修については色々な方法がありますが、ご質問の内容と写真を見る限り今回の補修工事が不適切とは判断しかねます。補修後の美醜については主観によるものが大きいので可能な限り、施工者に努力をしてもらいましょう。もし心配であれば一度建築士に現場を見てもらう事をお勧めします。
 事務局から 
  荻原 幸雄 補修方法が適切か否かという判断は難しいところです。
確かにコンクリートはヘヤークラックは起こる宿命的なものがあります。
これは通常は弾性塗装で吸収されるので目立ちません。
しかし、弾性系でない塗装の場合は目立ちます。
この違いを一律に考えることは難しいところがあります。
通常は亀裂が起こるものと考え弾性系を使いますが、予算などでは非弾性系になる場合もあるでしょう。これは価格に反映されているという考え方もあります。

また、構造的な問題として、
コンクリートの打設内容が適切か?
鉄筋のカブリはとれているか?
配筋は適切に設置されていたか?
型枠はしっかり緊結されていたか?
激しい雨などが当然打設時に降らなかったか?
サポートは適切だったか?
設計は問題はなかったか?
工事監理は適切に行われたか?
誘発目地を適切な間隔で設置したか?

いろいろな理由からクラックは生じます。
これらは全て、工事監理がなされていれば防げることではありますが、現状の分譲マンションでの工事監理は客観性がないのも事実です。

今回のクラックはこれらの複合的な要素があると思われます。

本件では誘発目地というものがなかったのかもしれません。
これは設計のレベルといえますが、施工者も助言しなかったことも確かでしょう。
この補修方法をみると誘発目地を入れなかったから起きたという認識が施工者にはあるのではないか?と思われます。(きれいに竪にいれていますから・・)
誘発目地にはコーキングを詰めて、今後のコンクリートの収縮に対応するためであり、これは残念ながら竣工後に認識されたので、誘発目地としていれたのではないか?と推察します。

しかし、クラックの補修はエポキシ樹脂注入として処理すべきだと思います。
この補修は意味が違うからです。

コーキングで全て処理するのは如何なものか?とはおもいますので、誘発目地代わりである部分の補修とクラックの補修の違いを訪ね、その補修方法を文章で回答をもらってください。
補修方法には日本建築学会のコンクリート補修基準なるものがありますので、それのどれに当てはめて適切に処理されているか?を確認できれば安心できるのではないか、と思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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