相談概要 | [氏名] O.S [相談内容] 注文住宅の瑕疵 [居住住所] 東京都足立区 [相談建物所在地] 千葉県松戸市 [職業] 主婦 [年齢] 37 [女性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 2004年 6月27日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 191.76 [延べ面積坪] [工事請負金額] 3634 [設計監理料] 0 [様態] 注文建築 [施工者] 大工(工務店) [設計者を選んだのは] − [監理者を選んだのは] − [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [18確認申請の為の委任しましたか?] した。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] 無い。 [お手持ちの図面は何枚?] 15枚以下 [打ち合わせ何回] 30回以下 [施工者名] S [販売会社名] 同左 [設計者名] [監理者名] |
相談内容 | [現象] 一昨日ベース配筋が終わり、コンクリートを打設するのを見に行ったのですが、立ち上がり部になんと捨てコンクリートが打たれていませんでした。見積書に入っているのになぜかと聞くと、印をつけるためだけで強度には関係ないものだからなくても大丈夫、見積もりに入っていたのならその金額はお返しするとのことでした。 不審に思いながらも配筋を見ると、写真1のように大分曲がっている部分もあり、本当に捨てコンなしでまっすぐ正確な基礎ができるのか疑問に思いました。そして基礎伏図と照らし合わせてみると、なんと立ち上がりが必要なのに配筋が施工されていないミスが見つかりました。すぐに現場監督に指摘し、こんな素人でもすぐわかるようなミスがあるのに、打設をするのかと詰め寄りましたが、即見落としを認め、その場で鉄筋を増設しました。 その他にも防湿シートが破れている部分から砕石がコロコロ転がり出ていたのが気になりました。充分てん圧していれば、砂利がころがったりしないのではないでしょうか。(防湿シートの破れはこちらで指摘してテープで補修してもらいましたが10箇所以上です) 次に基礎外周部ですが、事前にもらっていた基礎断面図では立ち上がり幅150mmで外側は60mmの被りになっています。(なぜ内側の被りの方を厚くしているのか、と聞いたところ、竣工時の外壁厚との見た目の問題でこうしているそうです)縦筋はD10、横は上からD16,D10,GLのあたりにD13、一番底はD16です。外周は少しでも被り厚が多いほうがいいと聞いていたので型枠と鉄筋の距離を測ってみましたが、写真2のような状態でした。一番外側の縦の鉄筋に充分被るには幅が狭すぎると思いますが、この外側の鉄筋からの距離をかぶり厚と考えるのでしょうか。自宅に帰ってからこのサイトで確認したところ、NO.684の中川先生のコメントの建築基準法79条を読み、60mmはやはり確保が必要と知って非常に心配になりました。 そのまま底部のコンクリート打設を済ませた翌日、工務店から立ち上がりの配筋位置を一部間違えてしまったとの連絡を受けました。階段幅を910で最初設計していたのを、後からやっぱり階段は広いほうがいいと思い1010に広げてもらったのですが、それを古い基礎伏図のまま施工してしまったというのです。後から設計を直したといっても、基礎伏図等の詳細図面をもらう→階段幅を広げるよう要請→修正した平面図をもらう→契約→着工 という順ですから契約時には決まっていたことです。 私もたしかに修正した伏図等をまだもらっていない、というのを工務店に要求し忘れていたのですが、立ち会ったときもまさか修正前の寸法で施工してしまったとは気づきませんでした。 この件の工務店の対応は下の2の欄のとおりです。こちらとしては基礎を工務店が間違って作ったから図面もそれに合わせるというのは言語道断、希望通り幅を広げて欲しいと伝えました。しかし、直すと強度が落ちるというのが気になります。我家の階段は外に面しているので外回り基礎の部分のコンクリートも壊すことになるのが心配です。耐震力が劣る家にしたくありません。 以上のようなトラブルがあり、現在ベースの打設のみで待ってもらっていますが、特に階段部分の基礎をどうするか、工務店のいうような工事でコンクリートを壊すならすぐにでも始めたいと言ってきているのでできるだけ早くアドバイスをお願いいたします。 [業者の見解] 外周のかぶり厚および歪みは、コンクリートを流しながら木の板で鉄筋をぐっと押して型枠との距離が均一になるように調整する作業をするので、そのとき歪みなどは直るということ。(本当はこちらとしては打設をストップさせたかったのですが、もう生コンを工場に手配済みであと1時間後には届くということで止められませんでした。)後から社長に直接連絡したところ、図面どおりになっていないところは直しましょうという返事。 階段幅を狭くして基礎の立ち上がりを作ってしまったことは工務店の落ち度なので勿論直す。しかし、コンクリートを一部壊して鉄筋を正しい位置まで40mmのばし、そこで曲げて立ち上がりをつけると伸ばした分高さが足りなくなり、別の鉄筋を付け足すことになる。このような工事をするとどうしても一度にコンクリートで固めた部分より強度は落ちる。階段幅をもとの910に戻すことも一つの案、とそれとなくほのめかされた。 [相談内容] 質問1 砕石の突き固めが不十分だと後でどんな問題が起きますか。(図面によると砕石厚120mm、防湿シート0.1mm、基礎150mm。既に配筋済みだったので実際の厚さは確認できず) 質問2 次に立ち上がり部を打設する時には、図面どおり外周基礎を60mmの被りに直してもらいたいと電話で工務店に伝えましたが、その場合型枠位置を外側にずらして足りないコンクリートを足してもらうという工事なのでしょうか。そのようなつけたしで充分な強度は得られますか?また、工事の際チェックするべきポイント等教えてください。立ち上がり高は400mmあります。 質問3 階段の基礎の位置を直す場合、業者の言ったような修正の方法で問題ありませんか。修正によって少しでも強度が落ちないような工夫(鉄筋を太くする、新しく流すコンクリートを濃くする等?)がありましたら教えてください。 質問4 もし階段部分のコンクリートを一部だけ壊すことが基礎を弱くするのなら、いっそ全部壊してゼロからやり直させることは可能でしょうか。捨てコンを施主に断りなく省略したことは社長も非を認めており、見積書にあることをやらないのは契約違反ではないか、と捨コンクリートの打設からやり直させようかとも考え始めております。工期は遅れるとは思いますが、1ヶ月ぐらいの遅れより、丈夫な家のほうが大切だと思います。このような要求は現実的ではないでしょうか。 質問5 現在打設してある底部をそのまま捨コンクリートとして利用し、今立ち上がっている鉄筋は根元から取り除き、その上に新しく底盤配筋をしてもらうというのも素人考えでは可能なような気がするのですが、いかがでしょうか。床が150mm余計に高くなるのは家にとっても湿気対策等でよいことだと思うのですが、専門的にみてこのような工事に問題はありますか。質問4よりは費用がかからないし、質問2のように外周りにコンクリートを付け足すよりも丈夫な基礎にできると思うのですが.... |
yorozuの感想 | このようなHPがあって本当に助かります。複数のプロから同時にご意見が聞けるというサイトはなかなか他にはないのでは? なお、アドバイスが掲載されるまで約1週間ということですが、急いでいる場合のための電話相談窓口等もあるともっといいと思います。 |
アドバイザー | |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 砕石突き固め:転圧が不十分だと不同沈下の恐れがあります。が、全体に転圧をされていて、そのなかで一部の砂利がころがっている程度は問題ありません。作業中に材料などがひっかかってコロコロしたところが出来てしまったとお考え下さい。 立ち上がり部のかぶり:40mm以上あれば良しと考えて下さい。60mmは基礎の部分で土に接するところのことです。40mmのかぶりがあれば強度や耐久性に大きな問題はないと思って下さい。 階段の基礎:詳細は現場と設計図で確認しないとわかりませんが、階段の基礎がベタ基礎の上にあるのでしたら、現状の階段の基礎の立ち上りはそのままにして、すぐ横に?cmずらしたところまで)配筋をした基礎の立ち上りを増設するのがいいでしよう。地震に対する強度には関係しませんので安心して下さい。 底部をそのまま捨コンクリートとして利用:建物が重くなってしまいますので基礎の再検討が必要ですし、建物の高さが高くなりますので建築確認申請の変更が必要になります。湿気の問題は現況で解決されているのでそれ以上の対策は不要でしょう。 よって、現在の上に再度基礎を造ることは適切とはいえません。 又、基礎の全面やり直しをするほど重大な問題ではなく、手直しで対処できる程度です。コスト的に大きな負担を業者に掛けてしまうと、その分のしわ寄せも懸念されますので、現状の補強で対応する方がよいでしょう。 |
津村 泰夫 | 津村です 質問1 この写真のまま本当にコンクリートを打ったのですか?かなり杜撰な施工に見えます。 鉄筋の端部がU字に曲げられていませんね、また写真2の下の砕石は十分な厚みがありますか?防湿シートもかかってないように見えます。砕石の突き堅めが不十分であれば山口解説員がいわれるとおり不同沈下が起こるでしょう。地盤調査報告書を見て、このような基礎で十分か検討されることをおすすめします。 質問2 立ち上がり鉄筋のかぶりをチェックしますが、不足しそうな箇所にはドーナッツと呼ばれるような器具を入れ鉄筋から型枠までの間隔を確保します。型枠をずらすことはあまりないと思います。もちろん角材で鉄筋を押すようなことはありません。 質問3 基礎を打った後、土台を敷く際に、基礎位置の間違いに気づくことは良くあります。あってはいけないのですが、人間のやることですから間違いはあります。そんなときはその横に、今回は10センチずらせてコンクリートを増し打ちします。もちろん鉄筋は差し筋します。強度上は問題ないと思いますし、そのずれた距離が1,2m程度であれば特に基礎がなくても問題ない場合もあります。設計者と検討すれば安心ですね。 さて、上部の木組みはプレカットなどですでに加工済みだと思います。今から階段巾を910に戻すなどということも難しいのではないでしょうか。階段は広いにかぎりますよ。 質問4 1で述べたように、基礎全般の施工状態と、地盤調査報告書を検討し、十分に耐えうる基礎であればこわす必要はないでしょう。しかし、とても耐えられそうにないことが明らかであれば、解体し、やりかえさせることも説明出来ます。 質問5 何度も書きますが、地盤の状態と検討して判断されるべきと思います。立ち上がりの鉄筋は特に切る必要はないと思います。現在の底盤の上にさらに配筋をして本当のベタ基礎にするというのも悪くないかもしれません。私はやったことがあります。 |
コメンテーター | |
渋川 佳代子 | 手直しで対処できる範囲内ですから、基礎のやり直しを行うか否かは、現状の施工状態と地盤を検討して判断されるべきでしょう。また現在の耐圧盤の上に基礎をつくり直す件は、荷重が増えますから、適切とは思えません。 基礎立上り打設前に、階段の手直し方法の検討ももちろんですが、基礎の施工精度、配筋の手直しがないか、土台や柱のプレカットと整合性がとれているのかも、再確認をするよう求めてください。本来ならば監理者がするべきことですが。 私も今進んでいる現場で基礎を間違え、基礎を壊さず対処しました。重要なことはその後の適切な処置です。決定的な問題を除けば対処の方法はあります。施工会社も直すと言っていますので、「契約通りではない=やり直し」とお考えにならず、納得できるまで手直し方法を施工会社に求めたらいかがでしょうか?ここで急ぐことはありません。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 捨てコンクリートは構造的なものではありません。 かぶりの確保、墨出しがしやすい。足場がしっかりする、防湿効果を高めるなどの理由です。捨てコンがないものは特にかぶりを一定に取ることが難しく見積にあるのに止めた理由がわかりませんね。 でも、打設してしまった現状ではその上に基礎はナンセンスなことです。 ただ、契約不履行ということは残ります。 以前中川元解説委員が答えたかぶり60mmは土に接する部分に該当します。 立ち上がりでも土に接する部分は60mmが必要になります。 20mmたらないのですが、この土に接する部分を打ち増ししてもらうことは可能です。 この場合は打設部分は水で清掃し、目荒らしをしてもらってください。(既存とより一体性を確保する為です。)鉄筋を組んでから木で押すなどでかぶりを広げることはできません。 底版に断熱材がみえますが、底版のかぶりは確保できているのでしょうか? ちょっと疑問です。 階段の幅確保は10cmコンクリートを打ち増しする必要がありますが、この場合は配筋が必要になります、今回は仕方ないので底版部はケミカルアンカーで配筋するしかないでしょう。 このような場合は心配のあまりいろいろな方法を考えているようですが、下手なことをすると状況を悪化させる場合もあります。 これら全ての解説は参考であって、設計した建築士にこれらの方法で地盤調査の結果から問題がないか?確認していただき、その上で実行ください。細かい確認事項もありますので、盲目的に解説を信じるのではなく、これを参考として、あくまで貴方の家の関係する建築士である工事監理者や設計者の判断を確認して、実行してください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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