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一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0875 トップライトに光が入らない。

 相談概要 [氏名] T.S
[相談内容:] その他
[居住住所] 福井県武生市
[相談建物所在地] 福井県武生市
[職業] 無職
[年齢] 66
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦  2004  年1  月 13 日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 3500
[設計監理料] 190
[様態] 注文建築
[施工者] 地場大手ハウスメーカー;地域的な大手産業
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[お手持ちの図面は何枚?] 50枚以上
[打ち合わせ何回] 10回以下
[床面積] −
[施工者名]  O工務店
[販売会社名] K建設
[設計者名]  A
[監理者名]  A一級建築士
 相談内容 [現象]
 トップライトから光が入らない真っ暗なリビング。トップライトと設計書にも書いてあるのも関わらず、そのトップライトの上に屋根が付いている。

[業者の見解]  
トップライトの上に屋根が付いているのは、雪や雨が入らないようにと思ってした事だと言います。南側に駐車場の屋根があるからこういう結果になった 模型も頂きましたがトップライトの上に屋根は付いておりません。その事に関しては、模型は提案ですからその通りにはなりませんと、(模型は間取りが出来てから頂いた物で提案だとは全く思っていませんでした)

[相談内容]  
設計のミスについて相談させてください。
 設計事務所に設計・監修を依頼し地元の工務店にて住宅を建てました。
(契約したのはK建設で、まるなげのような形です。ただし現場監督はK建設の社員が担当でした)
工事着工までの打ち合わせで、南側に屋根つきの駐車スペースを大きく取ったために南側の光が全くリビングに入らない設計になってしまいました。
その為、天窓(トップライト)を付けて南側の光を1階のリビングに入れるという設計に変更致しました。電動トップライトなので普通の窓より十分光・風は入ると私たちに説明し着工しました。

 しかし、出来上がったトップライト(製作物)からは全く光が入らずリビングは真っ暗です。(採光基準は満たしています。光は入りますが壁が邪魔して太陽の光がリビングの床まで入りません。)
 また、驚いた事にトップライトと言っていたのにも関わらず、そのトップライトの上に屋根が付いているのです。(トップライトを見上げると屋根の軒が見えます。工事着工までの打ち合わせ時と設計が違います。)模型を頂きましたがトップライトの上には屋根は有りません。設計家の打ち合わせや模型ではトップライトの上に屋根が無いのに設計書には屋根が付けられていました。

 設計書は工務店と契約してから頂きましたので、契約後にトップライトの上に屋根が付いている事が判りました。設計書の図面も屋根つきの電動トップライトでした。(契約時に図面が無いので契約しないと言うと、業者と建築家は大丈夫です、Tさんの思いは図面に反映されていますと言う事で契約しました。)

 今、設計家にリビングに光が入るように一部分壊し施工し直す様に話しています。しかし良い返事は返ってきません。この様な光が入らないリビングを設計した設計家に責任を取ってもらう事は出来ないのでしょか?また、設計家はきちんと責任を取るべきなのではないでしょか?教えて下さい。

余談ですが、その設計家は他にも設計ミス(階段スペースの下に洗面場所を作る予定が出来なかったり・・50枚ほどの図面上でも、ページ毎に設計図面が違っていたり)が沢山有ります。何故?こんなに設計ミスがあるのか信じられない位あります。
 yorozuの感想 いつも参考にさせて頂いております。
アドバイザー 
阿部 重幸 解説員の阿部です。

 出来上がって見れば、思っていた物に成っていない。
 当然の結果として建築主は施工者や設計者(監理)に文句を言うのは当然のことです。

 建物は一品製品です、出来上がって見なければ結果がでないその為に、工程毎の施工管理や監理が必要なのです。図面は施工精度を高める為にはなくてはならないものですが、それ以上に工程毎の管理や監理が出来上がりを左右するものです。本来ならば施工者や監理者はトップライトが取り付けた時点で建築主に採光の度合い確認すべきだと思います。

 私が思うには計画当初から施工者や設計者(監理)の建築主に対する配慮が欠けていたのでは無いのでしょうか。そのことがトップライトが原因で貴方の不満が一機に爆発したのではないでしょうか。

 施工者や設計者は建築主のお金を預かって部位部位に無駄のない物を設計し施工し作るものです、施主の為に一円たりとも無駄にはしないと言う配慮が必要ですし、それが道理だと思います。施工者と設計者に物の道理を説き納得のゆく回答を得てください。
 久米 能子 兵庫県の久米と申します。

 お話だけではよく分からない部分もあるので、推測の範囲で回答させていただきます。

 設計事務所に設計を依頼し、地元の工務店に工事を依頼されたということですが、お話を伺うと、どうも、設計監理契約(設計事務所)と工事請負契約(工務店)が明確に分離されて契約されていないように感じます。契約書はそれぞれ別々にあるでしょうか。

 もし、本来あるべき形の、それぞれ分かれた契約となっていれば、工事契約をしてから設計図書を受け取るということ自体、TSさんの言われるように、おかしなことです。設計が完了し、内容を確認してから、工務店に見積もりをとるのが手順だからです。(もっとも、工事契約そのものにも設計図書は一緒に綴じられなければなりませんが。)
 どうも、設計事務所と工務店は同じ立場にたってしまっているようですね。
本来、設計事務所はTSさんの利益を守る立場で、TSさんと一緒の側に立って、工務店と話をしなくてはならないからです。そうした立場の間違いも問題のようにも感じます。
 契約の形によっては、この話は設計事務所と工務店の双方に責任を問うことになるかもしれません。

 さて、実際の解決方法ですが、福井県はどの程度積雪があるのでしょうか。
屋根の勾配(トップライトの勾配)が緩やかならば、積雪の心配もたしかにあるかもしれません。設計事務所は、直射日光ではなくても、部屋が明るければTSさんのご希望に添うと思い違いをして、それよりむしろ、積雪や、雨がかかってしまってガラスの汚れが目立つことを心配した結果の設計かもしれません。ただ、それを工事契約前に、TSさんに模型とは違っていることをきちんとご説明しなかったのは設計事務所の間違いだったと思います。

 しかし、契約後の図面で屋根がトップライトの上についていることを発見された時点で、TSさんも設計事務所や工務店にすぐに問い合わせておられれば、施工してしまう前に屋根の形状を変更することができたと思います。
同業の擁護をするわけではありませんが、多少の差はあっても、何もかも全て設計事務所の責任といえない部分もあるのではとお考えになり、どうぞ折り合いのつく話し合いを目指してください。
けれども、永く住まう家ですから時間がかかっても納得の行くように是非、屋根の形を直してもらいましょう。

 まだ工事代金の支払が残っているのでしたら、例えタチの悪い相手でも、逃げたりせずに相談には応じていくと思います。
 引越し後のメンテナンスなどでも工務店や設計事務所とはつきあっていかねばなりません。TSさんご自身のために、粘り強く交渉してみてください。

 これは設計ミスという問題というより、打ち合わせ等の確認の不足の問題のように思います。
 確かに、お話を伺うと設計の時点での検討が不足していることや、図面の擦りあわせができていない部分があちこちあったようで、設計事務所の業務としては、きちんとしているとは言えないようです。ただ、設計者も人間なので、間違って細かい部分まで図面の訂正等ができていないことは珍しいことではありません。

 私には、図面のことより、先に述べた契約の手続きそのものの問題のほうが大きいように思います。彼らは、設計図書が揃うまで工事請負契約を待ち、最終設計の内容を説明してTSさんに確認してもらい、それから工事契約をするべきでした。 頑張ってください。 
 コメンテーター 
古賀 保彦  駐車スペースの屋根の高さや構造がどのようになっているのか分かりませんが、こちらの方も同じ設計者・施工会社で行われたものなのでしょうか?
 初めから駐車場に屋根がかかる事が分かっていれば、単に建築基準法上の採光基準を満たすだけではなく、リビングの採光がうまく取れるような方法が他にもあったかもしれませんが、着工直前のご要望であったとしたら、構造その他図面の完成具合からして対応できる内容も限られていたのかもしれません。

 例えば、リビング屋根が2階部分からせり出しているのでしょうけれど、そのリビング屋根の傾斜(勾配)が急であればトップライトとリビング天井までの距離が長くなってしまいますから、光道を末広がりにしなければ採光がまんべんなくリビングに行き渡りません。しかし、光道を広げようにも構造梁等が邪魔になっていて出来なかったのかもしれません。
 また、解説にありますように、設計事務所側で気候その他の条件を勘案しして屋根を設置したのかもしれませんし、逆に深く考えずにただ設置すれば良いというだけの観点で行われたものなのかもしれません。

 いずれにしましても、現場の状況や経緯が良く飲み込めていない上での解説ですから、解説員にも色々な見解があるわけですが、どの解説も的を得たものであると思います。
 やはり、トップライトを設置する事になった過程で、もう少しお互いの意思疎通を行っておかれていればと悔やまれます。相手方を信頼してお任せになった故のお話だと思いますが、できあがる迄の工事期間中に、設計者とご一緒に検証する事も可能だったかもしれません。

 建築主、設計者、施工者それぞれの思いと見解がうまく通じ合う事が何よりの方法なのでしょうが、人と人同士の話ですからうまくいかない場合も多々ありますし、難しいものですね。
 ともあれ、既にできあがっている物を解決していかなければなりませんから、お互いに腹を割った話し合いをしなければ前に進まないと思います。
 解説をご参考に、頑張って再度のお話し合いにお望み下さい。
 事務局から 
  荻原 幸雄 設計事務所と一緒に家造りをするには相性が大切です。
どちらも人間ですから、この人の為にいい家を建ててあげたい。と自然に感じる関係が大切です。相性が合っていました?
しっくりいっていないのではないか?と感じます。

何故なら、あなたは設計監修と記載していますが、監理が大切であることをしっかり、うるさいくらいに説明していれば監修という間違いはおこしません。
また、この設計者は幼稚な説明をしているからです。
それとも施工者にお任せの設計事務所で監理をしっかりしていないのではないか?
とも思えます。両方かもしれませんね。

幼稚な説明と申しましたのも、「トップライトの上に屋根が付いているのは、雪や雨が入らないように」という部分です。屋根がなくても雨が入らないのがトップライトですし、雪の重さが心配ならメーカーの計算書を見れば済みます。
また、南に屋根があるのなら、光はメインで取ることは難しいのは簡単に想像できます。

このことから想像するには、あなたとの信頼関係はできていないと理解します。
その理由は明確に記載はされていませんが、文章から工事請負契約後に設計図をもらったということから、契約後に渡すことなど、絶対にありません。
何故なら、図面がなければ正確な見積でできないからです。当然、見積明細がなければ設計事務所としては決して工事請負契約をさせることはありません。

これをする事務所としては久米解説委員のいうとおり、設計監理契約をしていない。
または、施工業者の紹介の設計事務所だったか、ということだろうと思われます。
当然、この場合は今回のように監理の重要性は説明しないでしょうし、貴方との信頼関係はうまれないだろうと思われます。

このような設計事務所は仕事を業者からいただいている事務所なので、お客さんは貴方というよりも業者なのです。工事請負契約を優先したことからも想像できます。

例えば不動産業、建設業者、大工さん、ハウスメーカーなどが紹介する場合は設計事務所に仕事を紹介してくれる窓口なので、彼らがお客さんです。この場合は設計図はあいまいにするために詳細は書かない。図面の矛盾が多い。監理は目をつぶる。ことになります。また、医院の場合は出入の業者が施工者や設計事務所を紹介することも多いと聞きますが、これらも同様な状況になりますし、尚且つ、出入の業者にバックマージンが入ることが多いと聞きます。また、このような本来の住まう人、使う人の立場に立たない利益のみを求める設計事務所は多いのも残念ながら相当数に上ることも事実だろうと思います。
貴方も何故このような設計事務所を選択したのではないでしょうか?

設計事務所は自分で探すことが大切です。

駐車場の屋根を光の通過するものにするなど対処方法はあると思いますので、交渉してみてください。想像が当たっているとこの設計事務所には施工業者にやり直しをさせる力はありません。業者がお客さんなのですから・・。
この場合は施工業者のお願いすることが得策かもしれませんが、この程度の設計事務所に仕事をだすのですから、自ら、改修設計は出来ないかもしれませんね。

困った状況になりましたが、後は業者の誠実さに祈ることです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 建築よろず相談員の皆様
メール上にもかかわらず大変ご親切なアドバイスを頂まして有難うございます。未だ解決には至っておりませんがこれから頑張っていきたいと思います。

解説員の阿部様のアドバイスの中で「本来ならば施工者や監理者はトップライトが取り付けた時点で建築主に採光の度合いを確認すべき」と書かれていましたが、この点に付いてですが、後で聞いた話では、現場監督がトップライトから光が入らずキッチンが暗いと言う事を建築家に話しております。その時建築家は「分かっているけど、ま〜いい」と現場監督に話したそうです。しかも、私たちには全くこの事は黙っていました。建築家からは全くリビングが暗くなることなんて話してもらえませんでした。

また、建築中の現場にも建築家と何度も一緒に行っていますが、一度も採光の事に付いて話してもらった事はありません。現場監督からは「トップライトの上に2階の屋根があるので光は入らない」と聞いていましたが、キッチンには他に窓もあるのでこんなに暗くなるなんて思ってもいませんでした。また、建築許可も取ってあるし着工以前に建築家から「明るい部屋です」と聞いていましたので、建築家を疑う余地もありませんでした。

また、現場監督はこの電動のトップライトが製作物なので高いので市販の物に変更して欲しいと着工以前に私たちに話して来たため、あまり、現場監督の事は信頼しておりませんでした。その為、現場監督からトップライトから光が入らないと聞いても信じておりませんでした。ある程度(外壁施工くらい?)経って私たち素人でも本当に暗いと分かった時点では、もうどうにもならない事になっていました。その時建築家に光が入らない真っ暗です。と、言っても何の方法も取って下さらなかったのです。現場監督は施工期間があるので・・と言うばっかりで何も考えてくれませんでした。
建築家は受け渡し後に「キッチンに光が入らなくて済みません」と謝ってきました。

久米様のアドバイスの内容で、契約書と工事請負契約書との事で書かれていましたが、私の説明不足でした。契約時に設計書は出来ておりました。私も確認致しました。ただ、設計書をめくる度に設計の内容が違っていたり、電気配線も違っていたりしたのでそれを直して欲しいと設計家に話したところ、「工事が遅れるので設計書は直さず口頭で請負会社には話しておきます」だから、契約をしても何とも無いといわれたのです。ですので、契約時にはこちらの思いと全く違う内容の設計図はありました。(洗面所が違っていたり、基礎の配筋13ミリの千鳥配筋のベタ基礎でお願いしていたにもかかわらず、10ミリのシングル配筋・布基礎になっていたり、脱衣場の大きさが違っていたり、電気配線が違っていたり、床暖房の配線が違っていたり、数えればきりが無いほどです。この事で施工業者は約100万ほどの損害を被っています。私たちはこれら建築家の間違いに関しては一切料金を払っておりません。これらの間違いは施工時に分かった物です。)

古賀様のアドバイスの内容で、「初めから駐車場に屋根がかかることが分かっていればリビングに光が入る様な設計を」とありましたが、南側に障害者用の屋根つき駐車場をとる事は着工以前から分かっていた事です。その為に、建築家は製作物の電動トップライトを取り付けました。(約70万ほどします)ただ、古賀様の言うとおり、ただ深く考えずに設置すれば良いという観点で設置したとしか考えられません。

おぎわら様の言うとおり、業者から紹介された設計家であることは間違いありません。自分自身で探せば良かったのかもしれません。

皆様のアドバイス本当に有難うございました。なんとか、光が入るリビングにしたいと思っております。建築家もミスを認めてきましたので、いずれ良いご報告が出来る物と思っております。
有難うございました。
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