相談概要 | [氏名] U.Y [居住住所] 神奈川県川崎市中原区 [相談建物予定地] 神奈川県横浜市鶴見区 [職業] 公務員 [年齢] 55 [男性] on [構造] 木造(その他) [設計者はどなたに依頼しますか?] ハウスメーカーの建築士 [何階建て] 3 [延べ面積m2] [延べ面積坪] [工事請負金額] 4300 [設計監理料] 0 [お手持ちの図面は何枚?] 無い [打ち合わせ何回] 2回 [様態] 注文建築 [施工者] 大手ハウスメーカー |
相談内容 | [家づくりの相談内容] 現在具体的な内容について、協議中なのですが、建築検査員を付けたいと考えています。ハウスメーカーとは、現在建築を前提とした地盤、建築条件等の調査が終了しており、基本プラン(変更を前提とした)は一応作成済みです。また着工時期等については、別途協議となっています。 当方で、アドバイスいただきたい内容としては、第三者による建築監督を考えています。また建築検査員と言う制度について詳しい知識がありませんので内容についてもお知らせ願えればと考えております。よろしくお願いいたします。 |
yorozuの感想 | 今回初めての事なので具体的にはよく分かりませんが、昨今住宅に関するトラブルが多く発生しているようですが、こうした形でサポートしていただける事は大変ありがたいことと考えています。 |
アドバイザー | |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 ハウスメーカーの設計施工(監理も含む)と解釈してお話します。U.Yさんが言われる建築検査員は第三者による建築監督を指しているようですが、この辺りのことを整理してみます。 監理は設計図(仕様書を含みます)の通りに工事がなされているかを照合し、違いがある時は是正させる業務です。 管理は設計図(仕様書を含みます)にもとずき品質や工程を監督し、工事全体の流れを把握して仕事を進めていく事をいいます。 住宅の工事中や完成後の検査には幾つもあります。複雑に思われるかも知れませんが、それぞれの目的が違いますので混乱しないようにして下さい。 建築確認済証交付者など(役所など)の検査、住宅性能保証の検査、住宅性能評価の検査は回数も少なく期待されている程の検査ではありません。 第三者の監理:建主や施工者サイドに片寄らない建築士の業務で、丁寧な監理(現場訪問が週に1回程度)を行うのであればそれなりの費用(人件費+経費)が掛りますが、設計図や仕様書と照合して施工助言もします。 今回は設計施工で家を建てようとしているのですから、現場監督さんが監理者を代行する形になると思います。ハウスメーカーと契約する時に、監理者を別に依頼する、又は、メーカーの監理とは別に全体をチェックする専門家を依頼してもいいのか確認をされるといいでしょう。メーカーによって対応が違うと思います。 又、別に第三者がタッチする時には設計図とは別の仕様書を渡してくれるかどうかを確認して下さい。監理ではこの仕様書が重要な意味を持ちます。 |
清水 煬二 | 解説員の清水です。 建築検査員という資格や制度はありません。 おそらく、第三者による工事検査のことだと思います。 また、ハウスメーカーは通常、第三者の設計監理や工事管理は通常認めません。 詳しい設計図書を外部に出さないことになっているので、実質無理でしょう。 建て主の希望で行われる第三者の検査については、性能表示制度を行い工事の保証が付く第三者機関によるものや建築士の資格をもった第三者が行うものがあります。 前者は、工事をする施工会社が登録している検査機関のみとなり、大手ハウスメーカーは、共同で出資してこの検査会社を設立しています。検査の回数や内容、価格などは完全に決められたものがあります。性能表示制度を利用しても良いでしょう。 この機関の検査についての説明は、山口解説員のコメントにある通りです。 後者については、ハウスメーカーにその旨を伝えておけばOKになるのが普通で、誰を選ぶかは建て主自身が決めることになります。検査の回数や内容は、相談してその都度決めることになります。誰を選んで良いかわからない場合は、役所や建築士会に問い合わせても名簿を見せてくれます。 どれが自分に適しているかを、実際に話を聞いて決めれば良いでしょう。 |
コメンテーター | |
善養寺 幸子 | 先日テレビで建築検査員なる人を紹介していましたが、それは公的資格のある職業ではありません。建築士が現場の検査だけを業務として、任意な団体(NPOなど)や個人で「建築検査員」と言う名称を名付けたものだと思われます。 私共が時々検査員と称して呼ぶのは、役所などの中間検査や完了検査に来る職員や主事の事や民間確認機関の検査をする人、または性能評価会社の検査をする人を呼びますが、公では建築の工事監理をする人を「建築検査員」とは呼びません。公的には「監理者」と言う呼び方をします。現場監督と同じ「監」の字を使いますが、全く違う業務であることは山口解説員の説明の通りです。 検査員と称する「監理者」をつけたいというご希望ですが、法的には「監理者」を選定するのは施主自身の義務ですので、本来ならご自分が選んで選定することが基本です。ただ、ハウスメーカーの場合、それ自体を拒むケースは多々あるようです。 それでもつけたいと主張されるなら、それは法的権利のあるものですから、認めざるをえない事ではないのでしょうか。 ただ、第三者監理を何故必要としてるかと言う原点に帰って考えてみたら、今の方法が本当に良いのでしょうか?第三者監理の意味は、施工(ハード)と設計監理(ソフト)を分けるのが目的です。その設計というソフト部分と施工と一緒にして、監理という本来設計とセットにすべきソフトを分離してしまう事が、本当に希望の建物になるのか疑問です。 建売を買ってしまったと言う方の監理(部分的な監理)だけをしたことがありますが、お客様が望む良い家とはどうも気配りのある設計のようで、「これおかしくありません?」と不満を言うのは、間取りであったり、使い勝手であったり、そもそもの工法であったり、仕上げの素材やデザインであったりと図面通りの部分で、監理で指摘できる部分ではない事ばかりと言う経験があります。 結局のところ、監理者として行う業務は設計の心遣いの無さを指摘することではなく、図面通りに施工されているかどうかを確かめるだけです。ですから、駄目な設計であれば、どんな有能な監理者がついてもそれ以上のものにはならない訳です。 その上、図面が不足していれば建築基準法の最低基準でしか監理は出来ません。基準法は最低の基準です。多くの方は基準法を満たせば合格点の建物だと思っています。 それは戦後間もなくの“バラック小屋よりまし”の環境下での話です。現在の人達の耐震性や耐久性、耐火性やバリアフリー、シックハウスなど要件を満たす合格点を80点とすれば、最低の30点程度下手をするとそれ以下の基準なのです。お客さんが充足するような80点以上の建物は、設計段階で作らなければ、監理では出来ないのです。 満足する良いものを建てたいのであれば、貴方のことを親身に考えてくれて、自分の設計に誇りを持ち、絶対に設計したものを確実に現実の形に作りたいと言う強い気合の持った人間性の設計者を捜すことが、一番間違いのない手段のように思えるのですが。 なかなかこんな話をしてもリアリティが無く、大枚はたいて一度失敗されないと理解されないところが辛いところです。 話はずれてしまったようですが、頑張ってください。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 建築検査員たる国家資格は存在しません。TVが必ずしも真実を伝えるものではないことは御注意ください。また、TVにでている建築士の発言があたかも正しい表現なのかは疑問があることもあり、正確な情報を流すには時間が短い中で、誤解が生じていることもあり、本などで必ず、その意味をご確認ください。 建築の国家資格は建築士であり、設計者も建築士であり、工事監理者も建築士です。 国家資格たる業務は設計と工事監理に他なりません。 ようするに家は小さな家を除けばほとんどの建築は建築士の独占業務です。 注文建築は勿論ですが、建築条件付でも、建売住宅、分譲マンション、ハウスメーカーの建築はこれら建築士が存在しております。問題は顔が見えない工事監理という名前の建築士が大勢いるということです。この中で注文建築と建築条件付だけは建築主であるあなたが、設計者、工事監理者、確認申請代理人を選択する権利があることを忘れてはなりません。特に図面と現場を照合する立場の工事監理者は命を預けるような存在です。見ず知らずの人に命を預けるほど愚かなことはありません。 命を預けてもいい信頼できる建築士をみなさん、選択してください。 もう一度記します。あなたには選択する権利があるのです。 放棄しないでください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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