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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 0866 天井高さが1cm違うが?

 相談概要 [氏名] Y.K
[相談内容] 分譲マンションの瑕疵
[居住住所] 東京都江戸川区
[相談建物所在地] 東京都江東区
[職業] 会社員
[年齢] 38
[男性] on
[構造] 鉄骨鉄筋コンクリート造
[引渡し年月日] 西暦2004年2月27日予定
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 14
[お住まいの階] 5
[延べ面積m2] 74
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 3800
[様態] 分譲マンション
[施工者] 建設会社
[マンションの総戸数] 50戸以下
[施工者名] M株式会社
[販売会社名] M株式会社
[設計者名] T株式会社
[監理者名] T株式会社
 相談内容 [現象]
1月30日にマンションの内覧会がありました。その際に下がり天井から床までの高さを測ったところ、リビングルームの左右の下がり天井ともに、図面上で表示されている高さに1cm足りませんでした。

[業者の見解]
販売会社からは何も見解をいただいておりません。内覧会の指摘事項の修正確認会は2月14日の予定です。その際には何らかの見解をいただけるものと思います。

[相談内容]
天井の高さぴったりの家具を特注していたわけではありませんので、実害がないように思えるのですが、なにぶん素人ですので下がり天井の高さが1cm足りないことが今後どのような影響を及ぼすものなのかわかりません。天井の高さは直すことはできないと思われ、1cm足りないままとなると思うのですが、そのことによりどのような影響があるのかわかりません。従いまして、マンションの販売先に対して、下がり天井までの高さが1cm足りないことについて、どのように何を要望すればよいのかがわかりませんので、ご相談いたします。
 yorozuの感想 このようなホームページがあり、ありがたく思います。
アドバイザー 
樽 一弥 相談員の樽です。

>天井の高さぴったりの家具を特注していたわけではありません ということでしたら問題ないのではないでしょうか?

 ご存知と思いますが建物は既成部材も使われますが、多くの人の手によって完成しされます。おのずとそこには多少の違いはどうしてもでてきます。
 建築基準法という法律では天井高さは 2.1 m以上となっており、まさか 1 cm足らないことでこの高さを満足しない訳でもないでしょう。

 仕上げをやり直すことで、もしかしたら希望の高さになるかもしれませんが、そうする手直しによって却って見苦しくなることも往々にしてあります。
受任限度という言葉があります。辛抱できる限度のことですが、1 cmはその範囲ではないでしょうか。
 山口 雅克 解説員の山口です。

 きっちりとした細かい話となると、今回のような相談になるわけですが、この部分の高さが部屋の出入口の高さ以上だとしたら将来的に困る事はないでしょう。もし、何かでてきたとしても、工夫して使いこなす事ができると思います。

 建物の寸法にはとても重要なものと、そうでないものとがあります。それを設計図やパンフレットに記載するときに、どれが重要でどれが重要でないかを細かく書く事はありません。でも、描いてないと工事を進められないので書いてあります。その辺りは工事中に監理者などが設計意図を説明しながら、工事は進められます。

 リビングルームの左右の下がり天井とありますので、多分、天井に出っ張っている梁型のことではないかと想像します。
 床の高さもきちっと水平である事もまれですので、1cm低いことよりも?体的に高さがどの位なのかが知りたいですね?小さいスペースでの1cmと大きいスペースでの1cmでは意味合いも違ってきます。

 参考ですが、一般的に天井を張る時の天井の高さは中央部分が若干高く施工されています。これなどは図面には描いてありませんが、現場でそのような気配りをして工事をします。(上部階のコンクリート床に直接クロスを貼ったり吹き付けした天井はそうはなっていませんが、数ミリの高さの差はあります。)

 天井を例にあげましたが、建物だけでなく、造られたもの全てに誤差の範囲と言うものがあります。色々な材料を組み合わせていきますので、その材の伸縮や変形に対しても余裕や遊びを設けます。また、やり変えるより先に造られたものに合わせた方が綺麗に納る場合は、使い勝手上問題ないと解釈される時に、許容範囲の誤差として工事します。 
 コメンテーター 
善養寺 幸子 どうも最近、欠陥住宅の報道ばかりされ、確かに心ない業者や無知な業者の問題がありますが、それはほんの少ない話にしか過ぎません。大半の物件は問題なく良好に出来ています。その不安を煽ったような報道が、社会的な疑心暗鬼に繋がっていて、こちらにも問題意識を感じざるをえません。建築は人間の手で作る手作りの物です。

 工業化住宅と言われても、ベルトコンベアに載って機械仕掛けで作られる物とは違います。ですから少々の施工誤差はやむないと思います。その事を加味して、骨組みの設計でも余裕を見て計算するのです。ましてや天井の1センチに大きな支障がないのなら肉眼で見てその違いがわからないのなら良いのではないでしょうか?

 私の物件でも、電気配線を納めるのに2センチ天井を下げたという経験はあります。
「梁をはつりましょうか?」などと業者には言われましたが、そんな構造を痛めるわけにはいかないので、高い天井の2センチ程度下げても視覚的に支障がないので、天井を下げましょうと判断しました。

 このところ、日本もアメリカナイズされてきて、些細な事で権利主張をされる方が増え、マンションはその巣窟とも言える物だと思います。
 裏話ですが、大手デベロッパー+大手ゼネコン施工の有名高級マンションで、チラシの絵では天井に梁型が見えなかったのに、下の階では梁せいが大きく梁型が出てしまった形になってしまった。説明図面では梁型が出ると記載があったのに、お客様はそれでは納得できないと強く主張され、いくら説明しても解って貰えない。仕方なく、その梁を数センチはつり、鉄筋の見えそうな状態にして、天井を平らにし、事を納めたという話を聞きました。

これはどう言うことか。この一室のために、このマンション全体の耐震性が失われた事でもあります。場合によっては、通常の状態でも壊れてくる可能性もあります。その事は説明したと言います。しかし、365日梁型を見て暮らす方が苦痛だと強く主張されたわけです。誰に責任があるとは私には言及できない一件ですが、嫌な時代になったという溜息の出る逸話でした。

 天井は、人が手作りしたので1センチ違ったと微笑ましく思って下さい。メモリ見間違えたか、下地で計って仕上げの厚みを見損なったか、そんな悪戦苦闘ぶりを想像してみて笑うのも楽しいじゃないですか。マンションは画一的と思われがちですが、意外と各室同じようで少しずつ、大工の癖によって違ったりします。天井の1センチだけの話なら、お宅の“えくぼ”だと思ってみたらどうでしょう。それが可愛く思えるか思えないかは心地よく暮らせるマンションなのか総体的な結果と言うわけです。
 事務局から 
  荻原 幸雄 1cmという寸法だけで判断は難しいとお伝えしておきます。
その部位が構造体なのか、仕上げなのか、です。仕上げだけなら問題はないのですが、構造の場合は二通り考えられます。
施工精度の問題、配筋不良の問題です。後者の場合は少し検討が必要になります。

同じ造りの住戸が他にあれば確認してもらってください。
また、住戸の各所のレベルも確認し、その中で総合的に判断する必要もあるでしょう。
正確に申せばご相談内容で判断できるいだけの資料はない。とご説明いたします。

仕上げの場合の例を少し記載します。
埋め立てのリフォームをしたとき、床レベルを計測しました。リビングの中で4cmの下がりがありましたが、数字を見ると大きいのですが、生活している方は計測するまではだれも違和感を感じていませんでした。
計測すると数字だけにとらわれますが、全体として不便をかんじるものではないとはいえます。それは差を感覚で許容できる範囲内だからです。
しかし、これは仕上げや構造体の精度のレベルの話であることはお伝えしたとおりです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 ご丁寧な回答ありがとうございました。
大変、参考になりました。

今現在、私には実害はないので許容の範囲という姿勢で、マンションの販売事業者からの説明を待つこととします。
仕上げ上のちょっとした誤差ということでしたら、そのまま受けれようかと思っているところです。
構造上の何らかの問題等がある場合は、将来への影響が心配なので、その内容をマンションの販売事業者から説明してもらうようにします。
 その後  相談いたしましたYです。
2月14日(土)にマンションの内覧会指摘事項の確認会がありました。
マンションの販売事業者は下がり天井※の部分について

 ◇再度工事をやり直し、図面のとおりの高さにした
 ◇構造上の問題ではなく単なる施工時の手違い

との説明でした。
直していただいたのはよかったことと思っております。
本相談において、あまり目くじらたてて指摘する事項ではないというコメントもいただいておりましたので、「無理に直してもらう必要はなかったのかな?」という気持ちがちょっとだけ残りました。

以上、結果をご報告いたします。

※リビングダイニングの両端に梁のように一段下がっている部分です。
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