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一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0859 住宅性能評価の評価値が違う。

 相談概要 [氏名] N.T
[相談内容:] その他
[居住住所] 東京都国分寺市
[相談建物所在地] 東京都国分寺市
[職業] 会社員
[年齢] 40
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦2003年7月31日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 100
[延べ面積坪]
[工事請負金額]
[設計監理料] 0
[様態] 建売り住宅
[施工者] 地場大手ハウスメーカー;地域的な大手産業
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[お手持ちの図面は何枚?] 無い
[打ち合わせ何回] 打合していない。
[床面積] 100m2以下
[施工者名] T住宅
[販売会社名] Tハウス
[設計者名] 不明
[監理者名] 不明
 相談内容 [現象]
仲介業者にて建売住宅の売買契約時重点項目説明にて提示された広告に記載された住宅性能評価の評価値と、実際の建物性能評価の評価値が異なっている(耐震が3から2、耐風が2から1に落ちている。)

なお、契約時には広告しかなかったので広告による提示であったが、2日後に設計性能評価が仲介業者よりFAXで送付されてきており、そこでは評価値は落ちていたが、その件に関してはなんら説明はなされなかった。
しかしながら、引渡し日には、売主より、広告どおりの建物性能評価表を持ってきており、その際、設計よりもあがっていることを確認したところ、売主の営業マンは「あがることはあっても下がることはない」との返事をした。またその際、仲介の営業マンはなんら訂正を行わなかった。

しかしながら、引渡し終了後、見直すと、引渡し時の建物性能評価は同時期に分譲された他の家屋の建物性能評価であることが判明したため、実際の購入物件の建物性能評価を送付するように仲介に依頼し、2週間以上たってから売主から送付された建物性能評価は設計性能評価と同じく広告から評価値が落ちたものであった。

住宅紛争処理支援センターへ相談に行き、指定住宅紛争処理機関である東京弁護士会にて調停を依頼するも、業者側の見解は変えることなく、全く話が進まないため不調と成った。

[業者の見解]
業者からの見解(上記調停における答弁書)は、

1)重点項目説明にて広告を用いて説明はしていない。
2)買主は設計性能評価は見ており、これに関して買主からなんらクレームが
  なかった。
3)実際に損害を受けているわけではない。

としている。

[相談内容]
すでに、前記の住居には住んでおり契約を解約する気はありません。
しかしながら、一般に、性能評価を扱っている販売会社などでは、「資産価値」が上がる等の広告を打っているのですが、いざ、このような話になった場合は、損害を受けていないなどと言われて非常に腹が立っております。

評価ランクが落ちることに対する補償金額を算定する妥当な方法がないか、どこかに実例がないかご存知でしたらご教示いただきたく思っています。

なお、私自身は、地震保険などで、3級は3割引、2級は2割引であることから、7/8の資産価値と成ったものとみなして賠償を請求しようと考えております。

質問がこの場にそぐわないものであったかもしれません。場違いでしたら削除していただければ結構です。
 yorozuの感想 調停を行う前に、このようなHPの存在を知っていれば良かったと思っています。
アドバイザー 
木津田 秀雄 相談員の木津田です。

 ご相談の件ですが、すでに住宅紛争処理支援センターへ相談に行き、指定住宅紛争処理機関である東京弁護士会での調停を行って不調に終わっているとのことですが、基本的に性能評価の内容が契約内容になるという原則が守られておらず、業者の言い訳は見苦しいものがあるように感じます。

 一旦正確な設計評価を提示しているから(FAXにて)それで契約したのだと言いたいのでしょうが、きちんとした説明がなかった上に、竣工時には偽の評価書を持ってきているのは悪質だと思われます。きちんと最初に説明を受けていれば、この物件を買わなかったかもしれないという事を考えると、消費者契約法(解除も可能)も関係するようにも思えます。

 ただ性能評価のレベルが落ちたことで、どれだけの損害があったのかを算定するのはかなり難しいと思います。基本的に性能評価通りの建物ができなければ、契約が成立しない(売り主側が契約の建物を準備できない)ということになり、契約解除と考えるのが流れだと思います。しかしながら、ご相談のように実際にはこの家に住みたいということになれば、この家の現在の性能について満足している(許容している)と受け取られかねないようにも思います。

 訴訟になれば、契約解除とするのか、レベルを上げるための工事を求めるのか、レベルが下がったことに対する損害賠償を行うのか、なかなか難しいかもしれません。
いずれにしても、広告と違う、約束と違う、虚偽の評価書を交付しているなどの問題はありますので、よく弁護士と相談されて、必要であれば建築士の私的鑑定を受けるなどして対処をしてください。
 樽 一弥 相談員の樽です。

ちょうど今、某大手を相手に私も同様な案件の意見を書いているところなので少しコメントします。
もうご存知だとは思いますが性能評価を得るには設計時と建設時の都合2回の審査があり、これを併せて性能評価書と言います。

各々については評価申請の変更が可能ですので、業者が設計評価書を見ているからと言っても、現に変更手続きでは建設時の評価を当初の希望していた評価にすることが可能です。
従って、業者の言い分は手前勝手な言い訳のように思えます。
もちろん、設計評価時に十分理解して納得したのであれば別です。

さて、経験上では性能評価は客観的な側面と形式上の側面があります。
つまり、実際に評価に見合う性能があるか?と手続き書面上の記載の不備であるか?ということです。
一般に業者は形式上は不備だったが実際の性能には問題がないという論調になります。
--だけども、これを言い出すと性能評価というシステムが意味をなさないのは明らかで、大手各社も参加して作り上げた方法を自ら否定していることと同じで、NTさんが納得いかないのもよく分かります。

資産価値というのは主観的で個人差がありますので、紛争においてはなかなか立証しにくいものです。そういう中で保険を目処にするのは一つの方法だと感じます。できれば安易に比較するのではなくて等級についてもその算定根拠や基準など突き詰めて資料を用意されると、交渉に役立つと思います。
--耐風や耐震の具体的な損失を出すことは困難ではないでしょうか。

これから住み続ける我が家ですから、業者ともメンテナンスなど仲良く付き合っていく必要もあります。客観的な事実を積み重ねて業者にぎゃふんと言わせたいでしょうが、現実は難しくより信頼の修復がますます難しくなります。むしろ素人として「通知表の3が欲しい」と言いつづけることで例えば、性能保証に代わる業者保証で手を打つなど、どこかで折り合いをつける事を念頭におくことがお互いに良い結果に繋がるように思います。 
 コメンテーター 
清水 煬二 ひどい不動産業者ですね。解説員も述べていますように、明らかに業者に非があり、その後の態度も問題です。

この建売は、契約時には既に出来上がっていたのですか?
またはフリープランで、これから設計して建築に入るというパターンでしょうか?
建売は売買契約になり、売主の業者に宅建業法が適用されますが、文面からするとその点からも違反の疑いがある内容のようです。

また住宅性能評価では、耐震等級3は、建築基準法に定められた壁量の1.5倍以上が必要で、耐震等級2になると1.25倍以上ということになります。
現実には、計算方法が少し異なりますので、単純にこの数値ではないのですが定義としてはこのようになっています。

地震に対して買主が強い家を求めるのは当然で、それが当初の広告から勝手に変えられたのですから、値引きなどの要求はされても良いかと思います。
発生する費用と手間、期間などを含めて弁護士さんともよく話し合ってみてください。
 事務局から 
  荻原 幸雄 住宅性能評価はなかなかその性能を出すのに実はすごく難しいものなのです。
書類上の評価と現実の評価は合致する場合もありますが、実は判断が難しいことが多いものです。実際、耐震性に関しても、施工がしっかりされていか?というのは1回の検査では無理で、事実上は関係している建築士の信頼のもとになりたっています。評価の書類よりも担当した建築士の能力こそ、実は耐震性の重要な要素なのですが、そこは直接担当者と確認するなどのことはしていただきたいと思います。

今回は事後になりますが、残念な事態ですが、性能に対する慰謝料算定根拠は難しいのですが、そもそも、性能が発揮されないということは想定していないのでないということなのです。性能が出るために設計しているのですし、監理しているのですから・・・。

地震保険は一つの目安になると思いますが、評価の下落が2割、3割だから工事費をその割合だけとするのは現実として難しいかもしれません。
何故なら、この評価を受ける業者はこのような場合のリスクとして評価の要望を受け入れる場合は費用を保険のように高くすることになるからです。
そうなると評価そのものが形骸化することも考えられます。

指針はないのですが、業者の誠実な対応に期待したいものです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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