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一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0850 分譲マンションの地下ピットから・・・

 相談概要 [氏名] Y.Y
[相談内容] 分譲マンションの瑕疵
[居住住所] 北海道札幌市
[相談建物所在地] 北海道札幌市
[職業] 無職
[年齢] 43
[女性] on
[構造] 鉄筋コンクリート造(その他)
[引渡し年月日] 西暦 2001年4月27  日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 11
[お住まいの階] 7
[延べ面積m2] 85.71
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 1950
[様態] 分譲マンション
[施工者] 建設会社
[マンションの総戸数] 200戸以下
[施工者名] M建設(株)
[販売会社名] (株)HK
[設計者名] (株)M建設設計事務所
[監理者名] (株)M建設設計事務所
 相談内容 [現象]
1997年3月から半年ずつ間を置いて、B・C・A棟の順に竣工した、分譲マンションです。
次の3つの現象について、それぞれの発生原因・その調査方法・修繕工事の方法・責任の所在及び、管理組合としての対外的な交渉の仕方と、組合員への説明について悩んでおります。

その1:マンション地下ピットの溜まり水及び灯油臭の発生
その2:エレベータ(EV)動力ケーブル絶縁不良
その3:住戸ベランダドア破損

各現象の詳細は、後述しますが、築わずか6年で多岐にわたるトラブルが表面化し、管理会社や、販売会社との交渉が難航しています。本来交渉すべき相手の施工業者は、去年夏に倒産し、交渉出来ません。理事会では何度も検討を重ねておりますが、どういう段取りでどのように解決してゆけば良いのか、方向性が見出せず困っております。
説明が長くなって申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

現象の詳細説明の前に、各棟の配置・EV・電気系統システムについて触れておきます。
当マンションは、3棟が敷地内にL字型に並んでいます。A・B棟は敷地の南側に一列に、C棟は敷地の東側つまりB棟の北にあり南北にのびています。
A・B・C棟には、各々2・3・3(計8)ヶ所の共同玄関があり、玄関ごとにEVが1機ずつあります。
各玄関・EVを、B棟の東側から順にB-1・B-2・B-3、A棟はA-1・A-2、C棟は敷地内の歩道を挟んで丁度B-1の向かいにあり、南から順にC-1・C-2・C-3と呼んでいます。
電気室はC棟1F(南側)にあり、電気系統のケーブルは、C-1地下(タイヤ置き場がある)から地中を通ってB棟のピットに入り、B・A棟に電力を供給しているそうです。
給湯・暖房等は、全てガス・電気でまかなっており、灯油設備はありません。

『その1:マンション地下ピットの溜まり水(浸水?)及び灯油臭発生について』 
1.ピット内の溜まり水(浸水?)
【浸水範囲】現在、溜まり水(浸水)があるのは、A棟・B棟のピットのみ。
      C棟は、C-1地下のタイヤ置き場に、少量の漏水があるだけ。
【経緯・状況】
・今年、9/27に灯油臭(後述)の件を調べるためB-1の点検口を開け、10/20にB-3EV停止(後述)に対応するためB-2,3の点検口を開け、B棟のピット内に水が溜まっていることが判りました。
・その後、色々調べた結果、水の深さは、11/20にB-1/24.0cm、B-2/18.0cm、B-3/12.0cm、A-1/18.0cm、A-2/3.0cmありました。B-1のピット内湿度は、ほぼ82%で変わりません。
・11/20以降、毎日水深を測定していますが、降水量とはほとんど関係なく、少しずつ浅くなる傾向が見られます。12/30でB-1/21.0cm、B-2/13.5cm、B-3/6.0cm、A-1/13.5cm、A-2/0cm です。C棟(C-2,3)のピット内は、結露がありますが、地面は乾いています。
・当マンションは、'96年1/26に、現在のA棟・C棟中央部にあたる2ヶ所でボーリング調査をしており、孔内水面は、A棟側で-1.5m、C棟側で-2.75mとの結果が出ています。
・ピットの床面は、GL-1mに湿気を上げないためのシートを敷き、その上に10cm山砂をのせて あるだけで、コンクリートの床などはありません。また、湧水(漏水)対策用の釜場や排水ポンプ施設は、地下にタイヤ置き場があるC-1の他にはありません。
・B棟では、分譲から半年後の'97年8/13に、EVピット内(3機)に水が入ったため停電し、EVも使用不能になったことがあります。この時は、隣でA棟を建設中だったこともあり、 施工業者がポンプによる排水を行い、EVピットの止水工事をして対処したそうです。
 また、前年のB棟建設中にも水が出たため、ポンプで水を汲み上げて作業をしたそうです。
・去年('02)6/5にはA棟で、@インターホンテレビモニターが作動しない。A火災報知器が
 通電されない。という事態が発生したため施工業者に対応を求め、ピット内にあるジャンクションボックスの工事を行っています。この時の施工業者の報告書によると、「ピット内には水は確認されなかったが結露が激しい状況である・・(中略)・・結露水による電線の腐食が原因と考えます」とのことでした。

2.B-1ピット内の灯油臭発生
・今年9/27(平成15年十勝沖地震の翌日)に、入居者からB-1共同玄関付近で灯油の臭いがするとの申し出があり、調べたところ、臭いは床下のピットから上がってきており、ピット内には水が溜まっていて、水面に油膜があることが判りました。
・分譲1年目にやはり、B-1ピット内から灯油の臭いがしたと苦情が出て、この時は、
 施工業者が工事中に使用した灯油が漏れていたのではないかということで、施工業者が混和剤を入れて処理をしたそうです。
 このとき、水は溜まっていなかったようです。(記録等がないので、時期や詳細は不明)・溜まっている水を排出するためにデータが必要だったのと、この件に関しての対応を求めた販売会社が、検査結果をうけて検討したいと回答(11/26)してきたため、B-1ピット内の水を採取し、水質検査をしま した。
・その結果(12/9)浮遊している油分は、80%がかなり時間が経った灯油で、20%が地中成分とのことでした。サンプルを採取した10/10には、油膜が3mm、水の深さは30cm位だったと報告がありました。

『その2:エレベータ(EV)動力ケーブルの絶縁不良』
 【故障個所】  B-3EVの動力ケーブル
 【経緯・状況】  
・今年10/19夕方にB-3のEVが停止しました。
 緊急対応ということで、EV会社と管理会社の担当者が駆けつけましたが、EV動力ケーブル(赤青白3本のうち赤)の絶縁不良が原因であることしか分からず、復旧も出来ませんでした。翌日、管理会社が販売会社に掛け合って、電気工事をした業者による復旧作業を依頼しましたが、販売会社は即日対応しかねると言い、管理会社が手配した業者が、C棟の電気室から外を通して配線し、EVが停止してから24時間後に仮復旧させました。
・10/22に販売会社が手配して、B-2EVケーブルの容量を増やしB-3へ分岐させる本復旧工事をしました。
・仮・本復旧にかかった工事費用を誰が負担するかという問題があり、絶縁不良箇所を特定して原因を突き止めたかったのですが、前述の水の問題などがあり、調査が難航しています。仮復旧に要した費用は、現在管理組合が仮払いしており、本復旧の費用は、宙に浮いております。
・去年('02)10/2に、C棟地下タイヤ置き場で漏水があり、タイヤ置き場が水浸しになり、共用部分の電気設備は使用できず、C-1のEVが停止しました。
 この時は、地下の壁面にある電気系統のケーブルが出入りする孔の止水が不十分だったとして、販売会社が、タイヤ置き場の内壁を剥がすと同時に、B・C棟の間のC棟壁際の地面を掘り返し、内側と外側から壁面の孔に樹脂(?)を詰め込む止水工事をしました。(今年になってもまだ漏水があり、販売会社に申し出たところ、完全に止水することは出来ないとのことで、タイヤ置き場の床に目皿まで溝を付ける工事を来年1月にすることになっています。)
・今回のケーブル絶縁不良の原因が、去年の止水工事と関係あるかもしれないということで、12/2に内側の壁をはがして、ビスが刺さっていないかどうかを確かめました(販売会社負担)が、止水工事をした箇所(壁の内側)から電気室までの間のケーブルに、傷はありませんでした。
・C棟地下で、B-3・EVのケーブルを切断したところ、ケーブルの中から水が出てきたため、どこかに傷があるのではないかと思われました。
・C棟壁際の地面を掘り返したり、ロードヒーティングが入っているB・C棟間の歩道を掘り返したりする案もありましたが、その前に、ケーブルがB棟からC棟電気室に向かって外の地中に出る、B-1のピット内壁の孔まで、B-3からピット内を通っているケーブルをたどってみてはどうかと云うことになり、業者がピットに入って様子を見ました。
 しかし、ピット内に水が溜まっているため人通口を人が通れないと言われ、B棟側のケーブルをたどることは出来ませんでした。

『その3:住戸ベランダドア破損』
【場所・件数】B棟75戸中、6件
【経緯・状況】
・A・B・C棟あわせて165戸のうち143戸に、ベランダとの出入りに使用するドアがついています。
・今年になって、2件のお宅から“ドアを枠ごと交換する必要のある破損があった。”と申し出があり、“ベランダドアは、共用部分にあたるので修理費は管理組合が 負担するのではないか?”と言われました。
・広報誌で呼びかけて他に破損がなかったか申し出てもらったところ、分譲から1年半後に蝶番のドア側のアルミに亀裂が入り、アフターの範囲であるとして無償でドアを枠ごと交換してもらったお宅と、今年、販売会社に修理を依頼し自己負担(約12〜13万円)で修理をしたお宅を含め、ほぼ同じ状況だったお宅・5件から申し出がありました。
・築6年のマンションで、サッシの住戸ベランダドアが破損して、枠ごと交換する必要があるという状況がこれだけ発生するのは、腑に落ちないということで、販売会社にメーカーへの問い合わせを含めて対応を求めました(11/12)。
・販売会社からは、“メーカーと当社で確認させて頂きます。”という文書回答(11/26)があり、12/6に販売会社・メーカー・管理会社・管理組合の担当者が立ち会って、まだ修理をしていないお宅のドアを確認しました。
・このとき販売会社とメーカーは、使い方によっても同様の破損はあると言い、他の事例があるのならそれも確認したいとのことだったので、急遽アンケート調査(12/9〜16)を実施しました。
・その結果、先に申し出があった5件に加え、ほぼ同様の破損がもう1件あり、計6件の全てが、B棟(ドアがあるのは75戸)に集中していることが判りました。
・ベランダドアのノブがはずれたり、ドアの外枠側の金具が自然落下して施錠不能になったり、ドアが開閉不能になったものなどをあわせると、ベランダドアがあるお宅の15%で何らかの不具合がありました。

[業者の見解]  
11/12に販売会社担当者に理事会に出席してもらい、ケーブル・灯油臭・ピット内の水・ベランダドアなど(他に2つ問題あり)について対応を求め、11/26の理事会に、文書回答を持って担当者に出席してもらいました。

1.A・B棟ピット内の水の件
・文書回答の原文は次の通りです。
“当建物は計画段階において当敷地の水位の測定をしており、その結果を基に床下に水が溜まらないような設計にしております。従って、現在床下に水が溜まっていることについては何らかの原因で水位が上がっているためと考えられます。床下の水の溜まりについて恒常的なものなのか一時的なものなのか水位の変動を見たうえで対策を検討すべきと考えます。尚、当建物建築中にも大雨による一時的な水の溜まりはありましたが、水もすぐ引き、その後の床下工事等にも支障をきたす 事はありませんでしたし、平成9年8月のB棟エレベータピット内漏水によるエレベータ停止につきましても、前々日からの大雨が原因によるものなのでその後は水も引き、またエレベータ ピット内の止水処理により、その後の問題発生はしておりません。”
・販売会社の担当者は、文書の回答を持って理事会に出席しましたが、口頭でも、現在水が溜まって いることについての責任はないと説明しました。ただし、建築中の水の溜まりについては、口頭で、建設当時、実際工事に関わった責任者(倒産した施工会社の工事部長が、現在は販売会社に移り 建築担当として理事会に出席)が、ポンプで水を汲み上げたと発言しており、水は、自然に退いた訳ではないようです。
・去年、A棟でピットの結露のため、ジャンクションボックス内の電線が腐食していた件につき、当時は、倒産していなかった施工会社(報告者は上記の販売会社建築担当者)が、今後の対策として、次のような報告をしております。
 “時期的、地盤的な問題があり、建物周りの水位が上昇すると、ピット内にも水が進入し、同じレベルとなり、水がすぐ退かない現象である。 設計では、ピット内床は、埋め戻し土の上に山砂を敷均す仕様になっており、現状もそのようになっている。対策としては、床点検口下部ピット1コマに床コンクリートを打ち、釜場を設けて自動ポンプを設置し、屋外へ排水する方法があげられます。今回、この現象は、設計時及び工事途中に考えられない天災地変(水被害)等、 不可抗力による場合と判断し、申し訳ありませんがアフターサービス基準適用除外とさせて頂きます。”

2.B-1ピット内の灯油臭の件
・文書回答の原文は次の通りです。
 “当建物には、灯油設備はありません。入居1年目で灯油の匂いがするということで、 「工事中の灯油が漏れていたのではないか」と言う事で工事業者は混和剤を入れて処理をしております。先日の地震後に再び匂いが発生したとのことですが、水質検査の報告をうけて検討させて頂きます。”
・他の件との兼ね合いもあり、検査結果は、まだ、販売会社へ報告しておりません。

3.エレベータ動力ケーブル絶縁不良の件
・上記の通り、販売会社から“C棟地下止水工事でタイヤ置き場の壁を張り直す際に、ボルトがケーブルに刺さったかどうかを確かめさせて欲しい”と言われ、12/2に販売会社・管理会社・管理組合の各担当者立ち合いのもとで、タイヤ置き場の壁をはがして調べましたが、ボルトなどによる傷は見つからず、12/9にやはり、売り主・管理会社・管理組合の担当者立ち合いのもとで、B棟側のピットをたどろうとしましたが、B-1ピット内の水のため調べられませんでした。この件について、販売会社は、“水を抜かなければ調べられない”と言うだけで、文書による回答はありませんでした。
・販売会社は、止水工事が原因で絶縁不良を起こしたことが確認出来れば、仮復旧に要した費用を含めて本復旧に要した費用も負担すると言っておりますが、B棟ピット内の水を抜かなければ先に進めない状態です。

4.ベランダドアの破損の件
・12/6に担当者が確認作業をした際、販売会社・メーカーは、実態調査をした上で、写真などを貼付した 正式文書で申し入れをして欲しいと言いました。

[相談内容]  
交渉を円滑に進め、抜本的な解決を目指すため、まず、次の1)〜4)に挙げるいくつかの素朴な疑問点について、概要や一般的な常識を知りたいので、よろしくお願いします。

1)効率的かつ公正な解決をはかるため、どんな方法や手順を踏んで、交渉に臨めば良いでしょうか?

2)地下ピットなどへの溜まり水関係
Q1:当マンションの場合、ピット内に水が溜まるのは、不可抗力的な現象なのでしょうか?
   これだけ数箇所にわたって何回か起こっているにもかかわらず、設計や施工などには、全く問題も責任もないのでしょうか?
Q2:A棟でのピット内の水や電線腐食の原因となった激しい結露については、A棟 ('98年3月竣工)
   竣工までの間に、隣接するB棟で建設工事中('96年)に大量湧水(?)が発生したり、EVピット内浸水('97年8月)があったにもかかわらず、‘A棟設計時及び工事途中には考えられない不可抗力的現象。アフターサービス基準適用除外。’と捉えるべき現象なのでしょうか?
Q3:施工業者の報告書にある‘時期的、地盤的な問題があり、建物周りの水位が上昇すると、ピット内にも水が進入し、同じレベルとなり、水がすぐ退かない’という現象は、B棟ですでに発生していた水のトラブルをみて、A棟の設計・工事段階で予測し、対策のために設計・施工を変更して回避することは、不可能なことでしょうか?
   もし、3棟同時に着工なら、仕方がないかもしれませんが、竣工の時期が半年ずつ違うのですから、隣接する棟で発生したトラブルは、他の棟を建設する際、考慮してしかるべきではないかと思いますが、その必要はないのでしょうか?
Q4:ボーリングが1月の厳冬期に行われており、逆に雨の多い時期には水位が多少上がっているかもしれないことを考慮に入れても、孔内水面GL-1.5mの土地に建てるマンションのピット床面がGL-1.0mにあるとき、床面をコンクリートで固めるとか、湧水排出用の釜場やポンプを設置するなどの対策を、設計若しくは建設工事段階で予め講じておくことは、全く必要がないものでしょうか?
Q5:現在、ピット内の水は、少しずつ退いていますが、降水量との相関関係がなさそうで、ピット内の水は、雨などの浸透水というよりは、地下水が上がってきているように思えるのですが、地下水の水位というのは、数年で上がるものでしょうか?地震と何か関係があるのでしょうか?
Q6:灯油成分が発生するのはよくあることでしょうか? 通常考えられる原因は何でしょうか?
Q7:地歴を調査する方法があるでしょうか?
Q8:これから、対策として行うのに適切な工事方法としては、どんなものがあるでしょうか?
Q9:このようなトラブルが発生した場合、その原因と責任の所在に関する調査費用、および対策として行う工事費用は、販売会社・管理会社・組合において、どのように割り振りするのが、最も一般的で、公正でしょうか?

3)電力供給ケーブル関係
Q1:当マンションでのケーブル配線方法ですが、1ヶ所の電気室から各ケーブルを電気室地下の壁に孔(計18ヶ所)を開け、そこから隣りの棟へ地中に埋めて渡らせる方法は、ごく一般的なものでしょうか?
   他のマンションでも、このような配線方法を取っているのでしょうか?
Q2:C棟地下にある18ヶ所の孔は、去年の漏水のときに内側と外側から止水し直したにも関わらず、漏水を止めることが出来ないというのは、そもそも、設計段階で問題があったとは考えられないのでしょうか?
Q3:素人考えですが、B・C棟間に、ケーブルなどが全て入る大きなパイプ(トンネルのようなもの?)を1本通し、パイプそのものに止水処理を施していれば、漏水のことや絶縁不良の原因調査のためにケーブルをたどる件も問題がなかったように思うのですが、そういう工事の仕方はないのでしょうか?
Q4:絶縁不良個所を確認するために、現在使用していないB-3EVのケーブルを引き抜いて調査出来ないか販売会社の担当者(当時の工事担当者)に聞いたところ、ケーブルが壁際で折れ曲がっているので引き抜くことは出来ないと言われました。
   去年の止水工事で孔に詰め物をしたから抜けなくなったというのなら仕方がないと思いますが、電気系統(ケーブルなど)に何かトラブルがあった際、地中に埋まっているケーブルを掘り起こさなければ原因を調べられないと云う状況は、素人考えでは、かなり異常なことではないかと思うのですが、マンションの電気配線というのは、通常そういうものなのでしょうか?
Q5:B-3EVケーブルは、切断したとき中に水が入っていましたが、ケーブル内に水が入るというのは、自然に起こり得ることでしょうか?
   この水は、ケーブルに何の影響も与えず、問題がないのでしょうか?
   絶縁不良は、ケーブル内に水が入っただけでも起こるものでしょうか?
Q6:当マンションのケーブルは、何本か束ねて、何らかのカバーをかけた状態で地中に入っているそうですが、C棟地下の止水工事のために、C棟壁際を手掘りで掘り返した時、カバーやケーブルに傷を付けることはあり得るでしょうか?
   また、それが原因でケーブルに水が入ることは、あり得るでしょうか?
Q7:今回発生したEV動力ケーブル絶縁不良について、去年の止水工事が影響していることは充分考えられるでしょうか?また他に推測し得る原因はあるでしょうか?
Q8:震度4の地震発生が原因で、地中に埋まっているケーブルやそのカバーに傷が付いて絶縁不良の状態になることは、充分に起こり得ることでしょうか? 
   逆に頑丈なパイプによる配線であれば、震度4程度の地震では何事も起こらないのでしょうか?
Q9:管理組合には竣工図はありますが、実際の施行図面がないので、ケーブル配線図を見たいと電気設備施工会社に問い合わせたところ、その業者から‘5年の保存期間が過ぎたので、施工図面はない’と言われました。施工業者が倒産したのでそういうことになったのか不明ですが、図面の保存期間というのはあるのでしょうか? 
Q10:管理会社か販売会社は、トラブル発生時などのために、そういった数々の図面を、マンションが現役である限り永久保管すべきだと思うのですが、あるいは、本来、竣工時に組合に一括して渡されるものなのでしょうか?
Q11:電力供給ケーブルにまつわるこの様々なトラブルは、溜まり水とも関係があるかもしれず、のちのち重複するかもしれませんが、これらの発生原因と責任の所在に関する調査費用、および工事費用は、販売会社・管理会社・組合において、どのように割り振りするのが一般的で公正な方法でしょうか?

4)住戸ベランダドア関係
Q1:築6年以内で、枠ごと交換せざるを得ないほどの大きな破損事例がB棟に集中していますが、それでも「設計・施工段階でのミスは無かった」と断言出来るものでしょうか?
Q2:サッシメーカーや販売会社が負うべき責任の範囲は?
Q3:破損原因調査のために依頼する第三者機関は、どのようにして探せば良いのでしょうか?
Q4:第三者機関への調査依頼費用の負担は、どのように割り振りするべきでしょうか?
Q5:仮にサッシメーカーに責任があったと判った場合、既に自己負担でドア交換を済ませた住戸の所有者への費用返還は、常識の範囲に入るでしょうか? つまり、原因調査前にドア交換を済ませてしまった場合でも、あてはめることは出来ますか?

 施工業者が既に倒産しているという事情があり、販売会社は‘法的な手段に訴えるのなら受けて立つ’という姿勢のようにも見受けられ、販売会社とどう交渉すれば良いのか、また穏便な解決策に辿り着けるのかとても不安です。現在、管理組合理事には、建築関係に詳しい人が居ないため、このままでは裏づけのある意見も言えず、管理会社と販売会社の言い分に振り回されそうで、困っています。
 また、理事会では、販売会社の担当者に出席してもらい意見を聞く他に、何度も検討を重ねておりますが、一般組合員には、ベランダドアの件を除く一連のトラブルについて、理事会の議事録を掲示しているだけで、広報誌や説明会などによる周知徹底をはかっておりません。
対外的な交渉をする際、窓口になるのは理事会で良いのか、組合員の総意として臨時総会などを開いてから交渉に当たるべきなのか、理事の間でも意見が分かれ、苦慮しておりました。
 現在の全く先が見えない状況で、一般組合員に状況の説明をすると、いたずらに不安を煽ることにはなり、強硬な意見が出てきたりして収拾がつかなくなるのではないか・・、かといってこのまま理事会だけで対応していて良いのか、いつどんな形式で何を説明するべきか・・判断しかねております。
 以上、大変長い相談で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。







 yorozuの感想 相談内容をキーワードで検索できるのが、大変便利で、このような一連のトラブルが発生する前から、ときどき拝見させていただいておりした。回答して下さる方が大勢いらっしゃって、それもとても丁寧な回答なので、頼りになるHPだなぁと思っていました。
アドバイザー 
木津田 秀雄 相談員の木津田です。

 大変お困りな状況が伺えます。また写真を拝見する限り、施工の状態も良くありません。電気配線がEVピットの中に直接でているようにも見えますが、止水の処置もされていないようですので、地下水が侵入することは容易に推測できます。ただメールのやり取りで何か前に進むことができるかというと難しいと思われます。管理組合の立場に立って相談に乗ってくれる建築士を捜して、現地調査を行い、ひとつひとつ原因を確認してゆく作業が必要ではないかと思います。

 複数の問題が一つの原因による場合もありますし、逆に複数の原因が一つの問題を引き起こしている可能性もあります。文面を読む限り、問題に対して一対一対応しかしていないようにも思えます。灯油の件とバルコニーのドア件以外は、共通した要因があるようにも感じます。

 バルコニーのドアの損傷の状況は、ドア本体のアルミが引きちぎれているようにも見えますが、もしそうだとすれば、使い方の問題ではなく製品欠陥である可能性の方が高いと思われます。PL法は建物などの不動産には適用されませんが、それぞれの部材については適用されますので、その線からの検討も必要かと思います。

 では
 津村 泰夫 大変大きな問題を抱えたマンションですね。すべてのご質問に正確にお答えするには、実際に現場にお伺いして、図面等の書類を確認し、現場の状況を判断し、各専門家の意見を総合しなければお出し出来ない内容です。しかしながらともかくご参考になる程度の回答を考えてみました。


> 1)効率的かつ公正な解決をはかるため、どんな方法や手順を踏んで、交渉に
> 臨めば良いでしょうか?

 基本的には第3者のコンサルタントに調査・鑑定を依頼し、その結果に基づき対応することです。

> 2)地下ピットなどへの溜まり水関係
> Q1:当マンションの場合、ピット内に水が溜まるのは、不可抗力的な現象な
> のでしょうか?
> これだけ数箇所にわたって何回か起こっているにもかかわらず、設計や施工な
> どには、全く問題も責任もないのでしょうか?

 地盤調査データなどを総合的に検討しないとわかりませんが、お話の内容からすると設計や施工に問題はありそうですから責任追及はできそうに感じます。。

  
> Q2:A棟でのピット内の水や電線腐食の原因となった激しい結露については、
>A棟 ('98年3月竣工)竣工までの間に、隣接するB棟で建設工事中('96年)
>に大量湧水(?)が発 生したり、EVピット内浸水('97年8月)があったにも
> かかわらず、‘A棟設計時及び工事途中に は考えられない
> 不可抗力的現象。アフターサービス基準適用除外。’と捉えるべき現象なので
> しょうか?

 結露のみで漏電は考えられないと思います。そもそもピットがどういう位置にありなぜ結露するのかわかりません。十分な換気をおこない結露や腐食を防がねばなりません。またすでに述べたように地盤調査から、浸水を防ぎ、また浸水が予測されるならば釜場を設け、自動交互運転のポンプ設備を設置することは当然でしょう。

> Q3:施工業者の報告書にある‘時期的、地盤的な問題があり、建物周りの水
> 位が上昇すると、ピット内にも水が進入し、同じレベルとなり、水がすぐ退か
> ない’という現象は、B棟ですでに発生していた水のトラブルをみて、A棟の
> 設計・工事段階で予測 し、対策のために設計・施工を変更して回避すること
> は、不可能なことでしょうか?
> もし、3棟同時に着工なら、仕方がないかもしれませんが、竣工の時期が半年
> ずつ違うのですから、隣接する棟で発生したトラブルは、他の棟を建設する際、
> 考慮してしかるべきではないかと思いますが、その必要はないのでしょうか?

 全くすべてご指摘のとおりだと思います。

> Q4:ボーリングが1月の厳冬期に行われており、逆に雨の多い時期には水位
> が多少上がっているかもしれないことを考慮に入れても、孔内水面GL-1.5mの
> 土地に建てるマンションのピット床面がGL-1.0mにあるとき、床面をコンクリ
> ートで固めるとか、湧水排出用の釜場やポンプを設置するなどの対策を、設計
> 若しくは建設工事段階で予め講じておくことは、全く必要がないものでしょう
> か?

 必要あることです。

> Q5:現在、ピット内の水は、少しずつ退いていますが、降水量との相関関係
> がなさそうでピット内の水は、雨などの浸透水というよりは、地下水が上がっ
> てきているように思えるのですが、地下水の水位というのは、数年で上がるも
> のでしょうか? 地震と何か関係があるのでしょうか?

 敷地内、及び周辺部の地層などを見てみないと何とも申し上げられませんが、地下水位の変動は大きくある場合も多く、地震とも関係する場合が多いようです。

> Q6:灯油成分が発生するのはよくあることでしょうか? 通常考えられる原
> 因は何でしょうか?


 これは、聞いたことはありません。
 まさか、油田地域ではないでしょうね。

> Q7:地歴を調査する方法があるでしょうか?

 古い地形図や古文書なども参考になりますが、地元の地質コンサルタントであれば「地盤図」なども備えておられると思います。

> Q8:これから、対策として行うのに適切な工事方法としては、どんなものが
> あるでしょうか?

 このようなマンションでは、ご相談箇所以外にも不適切な箇所が多数ありそうですね。先にも述べましたが、第3者のコンサルタントに依頼され、マンション全般の診断調査が必要だと思われます。その調査結果を基に、修繕設計をおこない、適切な工事監理の元に修繕工事をされることが基本です。

> Q9:このようなトラブルが発生した場合、その原因と責任の所在に関する調
> 査費用、および対策として行う工事費用は、販売会社・管理会社・組合におい
> て、どのように割り振りするのが、最も一般的で、公正でしょうか?

 一般的な回答はないと思います。不良工事の原因が販売会社や施工会社にあるとして、費用すべてを求めることも考えられますが、そのような販売会社・施工業者を選んだのもみなさん方です。おすすめとして、販売会社と施工者を臨時総会の場に呼び、みなさんでどのように対応してくれるのか追求することですね。

>
> 3)電力供給ケーブル関係
> Q1:当マンションでのケーブル配線方法ですが、1ヶ所の電気室から各ケー
> ブルを電気室地下の壁に孔(計18ヶ所)を開け、そこから隣りの棟へ地中に
> 埋めて渡らせる方法は、 ごく一般的なものでしょうか?
> 他のマンションでも、このような配線方法を取っているのでしょうか?

 ごく一般的だと思われます。ただし、写真のように湧水に浸かってしまうおそれがあれば、別の方法をとるべきでしょうね。

> Q2:C棟地下にある18ヶ所の孔は、去年の漏水のときに内側と外側から止
> 水し直したにも関わらず、漏水を止めることが出来ないというのは、そもそも、
> 設計段階で問題があったとは考えられないのでしょうか?

 詳細に検討しないと何とも言えませんが、問題があった可能性があります。


> Q3:素人考えですが、B・C棟間に、ケーブルなどが全て入る大きなパイプ
> (トンネルのようなもの?)を1本通し、パイプそのものに止水処理を施して
> いれば、漏水のことや絶縁不良の原因調査のためにケーブルをたどる件も問題
> がなかったように思うのですが、そういう工事の仕方はないのでしょうか?

 湧水が予測される地下などでは、地下ピットにラックを設け配線をおこない、ピットにはもちろん溝を設け排水をおこないます。

> Q4:絶縁不良個所を確認するために、現在使用していないB-3EVのケーブル
> を引き抜いて調査出来ないか販売会社の担当者(当時の工事担当者)に聞いた
> ところ、ケーブルが壁際で折れ曲がっているので引き抜くことは出来ないと言
> われました。去年の止水工事で孔に詰め物をしたから抜けなくなったというの
> なら仕方がないと思いますが、電気系統(ケーブルなど)に何かトラブルがあ
> った際、地中に埋まっているケーブルを掘り起こさなければ原因を調べられな
> いと云う状況は、素人考えでは、かなり異常なことではないかと思うのですが、
> マンションの電気配線というのは、通常そういうものなのでしょうか?

 私はいつも、引き抜けなければ上から掘削して劣化状態を確認しております。


> Q5:B-3EVケーブルは、切断したとき中に水が入っていましたが、ケーブ
> ル内に水が入るというのは、自然に起こり得ることでしょうか?
> この水は、ケーブルに何の影響も与えず、問題がないのでしょうか?
> 絶縁不良は、ケーブル内に水が入っただけでも起こるものでしょうか?

 ケーブルは何らかの損傷を与えない限り水が入ることは考えられません。水が入りますと水を伝って漏電となります。


> Q6:当マンションのケーブルは、何本か束ねて、何らかのカバーをかけた状
> 態で地中に入っているそうですが、C棟地下の止水工事のために、C棟壁際を
> 手掘りで掘り返した時、カバーやケーブルに傷を付けることはあり得るでしょ
> うか?また、それが原因でケーブルに水が入ることは、あり得るでしょうか?

 掘削の際にケーブルを損傷させることは有り得ることで、水も入ると思われます。

> Q7:今回発生したEV動力ケーブル絶縁不良について、去年の止水工事が影
> 響して いることは充分考えられるでしょうか?また他に推測し得る原因はあ
> るでしょうか?

 工事の詳しい状況がわかりません。また調査しないと何とも言えません。


> Q8:震度4の地震発生が原因で、地中に埋まっているケーブルやそのカバー
> に傷が付いて絶縁不良の状態になることは、充分に起こり得ることでしょうか?
>逆に頑丈なパイプによる配線であれば、震度4程度の地震では何事も起こらな
> いのでしょうか?

 通常、震度4程度では埋設配管等には問題ないと見られますが、地盤の液状化や、基礎と杭の間で折れた場合などには損傷の可能性もあります。

> Q9:管理組合には竣工図はありますが、実際の施行図面がないので、ケーブ
> ル配線図を見たいと電気設備施工会社に問い合わせたところ、その業者から‘
> 5年の保存期間が過ぎたので、施工図面はない’と言われました。施工業者が
> 倒産したのでそういうことになったのか不明ですが、図面の保存期間というの
> はあるのでしょうか? 

 図面の保管機関は5年とされていますが、基本的に設備図面等をふくめて管理組合に具備されるべき図書です。


> Q10:管理会社か販売会社は、トラブル発生時などのために、そういった数
> 々の図面を、マンションが現役である限り永久保管すべきだと思うのですが、
> あるいは、本来、竣工時に組合に一括して渡されるものなのでしょうか?

 先に述べたとおり、管理組合の事務所にて保管されるべき図書です。

> Q11:電力供給ケーブルにまつわるこの様々なトラブルは、溜まり水とも関
> 係があるかもしれず、のちのち重複するかもしれませんが、これらの発生原因
> と責任の所在に関する調査費用、および工事費用は、販売会社・管理会社・組
> 合において、どのように割り振りするのが一般的で公正な方法でしょうか?

 2)Q9と同じです

>
> 4)住戸ベランダドア関係
> Q1:築6年以内で、枠ごと交換せざるを得ないほどの大きな破損事例がB棟
> に集中していますが、それでも「設計・施工段階でのミスは無かった」と断言
> 出来るものでしょうか?

 調査をしてみないとわかりませんが、設計・施工ミスの可能性はあるでしょう。

> Q2:サッシメーカーや販売会社が負うべき責任の範囲は?

 調査の結果、サッシそのものに原因があればサッシメーカー、施工に問題があれば施工者。


> Q3:破損原因調査のために依頼する第三者機関は、どのようにして探せば良
> いのでしょうか?

 建築系団体に相談するのがよいのでしょうが、団体でも業者よりの団体もあり難しいと思います。市民のための団体もありますので、見抜いてください。どうしても探しきれないようでしたらご相談ください。

> Q4:第三者機関への調査依頼費用の負担は、どのように割り振りするべきで
> しょうか?

 これも2)Q9と同じです

> Q5:仮にサッシメーカーに責任があったと判った場合、既に自己負担でドア
> 交換を済ませた住戸の所有者への費用返還は、常識の範囲に入るでしょうか?
> つまり、原因調査前にドア交換を済ませてしまった場合でも、あてはめること
> は出来ますか?

 そもそもドアは共有部分ですから、管理組合でおこなうべき工事です。費用は管理組合で支出し、サッシメーカーが費用負担を認めたならば管理組合に支払われることになります。

>  施工業者が既に倒産しているという事情があり、販売会社は‘法的な手段に
> 訴える のなら 受けて立つ’という姿勢のようにも見受けられ、販売会社とど
> う交渉すれば良いの か、また穏便な解決策に辿り着けるのかとても不安です。
> 現在、管理組合理事には、建築関係 に詳しい 人が居ないため、このままでは
> 裏づけのある意見も言えず、管理会社と販売会社の言い分に 振り回されそう
> で、困っています。また、理事会では、販売会社の担当者に出席してもらい意
> 見を聞く他に、何度も検討を重ねておりますが、一般組合員には、ベランダド
> アの件を除く一連のトラブルについて、 理事会の議事録を掲示しているだけ
> で、広報誌や説明会などによる周知徹底をはかっておりません。
> 対外的な交渉をする際、窓口になるのは理事会で良いのか、組合員の総意とし
> て臨時 総会などを 開いてから交渉に当たるべきなのか、理事の間でも意見が
> 分かれ、苦慮しておりました。
> 現在の全く先が見えない状況で、一般組合員に状況の説明をすると、いたずら
> に不安を煽ることにはなり、強硬な意見が出てきたりして収拾がつかなくなる
> のではないか・・、かといってこのまま理事会だけで対応していて良いのか、
> いつどんな形式で何を説明するべきか・・> 判断しかねております。
>  以上、大変長い相談で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

 早急に第3者のコンサルタント(専門家)による診断調査をおこない、その結果発表会を組合員全員の参加のもとで行うことです。広報やアンケートについては役員が手分けをして100パーセントおこなうことです。
 また業者との交渉は、組合員全員参加のもとに呼び出しておこなうことが原則です。建築関係に詳しい人は居なくても心配はいりません。組合員全員が共通の認識に立てば自ずと進んでいくことが多いですから、みなさんを信頼してすすめてみましょう。 
 コメンテーター 
藤井 修  多くの問題を抱えて大変なことと思います。
解決には木津田解説委員、津村解説委員の言うように建築士などの専門家に依頼し調査から始め、きちんとした改修の方法を決定して、皆さんで交渉をする事がよいと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 専門家からみて、納得にいく説明はなされていないと思われます。
施工会社が倒産したのでどのような施工をなされたのかは不明ですが、工事には工事監理者というものがおります。通常は下請けのような存在でしかないので機能はしていないと思われますが、この者に出席を求め工事監理の状況を確認することは可能です。

現地や図面などの詳細を調査しないとわかりませんが、わたしが感じることを記載します。

1)管理組合には図面など施工関係資料は全て自ら保管すべきもの。

これは重要です。販売会社も倒産したらどうしようもありません。
確認申請図書、竣工図面一式、工事関係報告書、工事写真など本来は工事監理者が施工業者に指南しながら報告を受ける書類があります。多分これらは販売会社が保管していると思われますが、これを全て管理組合が受け取ることが大切です。
これらがしっかり残っている管理組合は実はほとんどないといっていいでしょう。
資料が膨大であることもその理由でしょうが、現在の法律では管理組合に譲渡するべき法律がなく義務もないことから、これらが怠っております。
工事監理者には5年の保管義務がありますが、これを過ぎておりますが、確認ください。
(多分、処分したと答えると思いますが・・・)しかし、販売会社は本来、施工中は建築主でも販売目的に建設しているのですから、管理組合に全ての資料をすみやかに譲渡すべきだと認識しております。これに期間はないと理解します。

2)ピットについて
 埋め戻し土がありますが、山砂を敷均す仕様というのは写真から疑いがあります。理想としては埋め戻しをせずにピットを設けてモンプで汲み上げる方法は一般的だとは思いますが、それをしなかった根拠が地下水位の位置が調査時点では基礎よりも下にあったということですが、そのデーターを求めてください。口頭では根拠になりません。施工時にコンクリートは簡単には排水できません。施工時はポンプUPしたと思われます。
ということは施工時から水位があがることは予想できたもので、ポンプはその時点で必須のものであったと思われます。

3)灯油について
 臭いが数箇所ということから工事中の灯油というのは説明に無理があるように思われます。埋め戻しの土地にその成分がふくまれていたのではないか?という疑念はあります。

4)以前の敷地を調査を
 これはあくまで推論なので未確認ですので参考程度にお考えください。
 現在建っているマンションの以前の建築物を調べてください。
ガソリンソタンドや工場跡地ということはないでしょうか?
もし、そうだとするとその土地の土に産業廃棄物がどのように処分されたか?
確認する必要があります。汚染された土の処分費は膨大な経費がかかりますのでどのように対応したか気になります。
埋め戻しの土につかった可能性もあり、そのときの灯油が出てきているという推論もできます。

5)施工会社の倒産
 施工時にも会社としての台所は厳しかったろうと推察します。
いろいろなところで手抜きがあった可能性も高く、また、このような業者の場合は下職を叩くという行動や支払いが滞るということもあり、下職はいい職人や正式な仕様のものでないものを使うこともありえます。また、倒産の状況にあると施工会社もメンテまでの方法も考える余裕もなかったと思われます。しかしながら、それを承知で依頼している建築主である販売会社に責務をあるのではないか?と思われます。

6)販売会社として
 販売会社は管理組合に誠実に対応する義務があると思いますが、販売会社は実際は施工者にメンテを含む全ての行為を依頼しております。ですから販売会社がメンテで負担することは費用的には少ないだろうと推察します。ところが今回のように施工者が倒産した場合販売会社に直接その費用は降りかかるので、門を閉じる傾向にあると思います。しかし、義務としては販売会社の責任は逃れられませんので、臨時総会にはかることが肝心だと思います。

7)コンサルタントに依頼すること
 これは今回は絶対的に必要条件だと思います。信頼できる建築士に全ての現状の調査を依頼し、客観的に報告を求めることです。これを臨時総会で決議してもらってください。
その上で今後の対処を決定したほうが最良です。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 この度は、本当に丁寧な解説をありがとうございます。
正直言って、この様なとりとめのない長文の相談に、ご回答を頂けるとは、思っていなかったものですから、感激しております。

木津田 様
ベランダドアの件
>PL法は建物などの不動産には適用されませんが、
>それぞれの部材については適用されますので、
>その線からの検討も必要かと思います。
PL法のことは、うっかり失念しておりました。
ご指摘ありがとうございます。

津村 様
ひとつひとつの疑問に、ご回答頂きましてありがとうございます。
>建築関係に詳しい人は居なくても心配はいりません。
>組合員全員が共通の認識に立てば自ずと進んでいくことが
>多いですから、みなさんを信頼してすすめてみましょう。
理事会も機能していないような管理組合で、どうすれば良いのだろうと・・暗澹たる思いでしたが、この一言で救われたような気がします。

藤井 様
>解決には木津田解説委員、津村解説委員の言うように
>建築士などの専門家に依頼し調査から始め、
>きちんとした改修の方法を決定して、皆さんで交渉を
>する事がよいと思います。
皆さんのおっしゃる通りです。
信頼できる建築士の方を探してみます。

おぎわら 様
総括して頂きましてありがとうございます。
>工事には工事監理者というものがおります。
>通常は下請けのような存在でしかないので
>機能はしていないと思われますが、
>この者に出席を求め工事監理の状況を確認する
>ことは可能です。
「工事監理者」の存在すら知りませんでした。
不勉強なことで、お恥ずかしいです。早速、調べてみます。

>理想としては埋め戻しをせずにピットを設けてモンプで
>汲み上げる方法は一般的だとは思いますが、
>それをしなかった根拠が地下水位の位置が調査時点では
>基礎よりも下にあったということですが、そのデーターを
>求めてください。
「意匠図」(何故か竣工図ではなく、これがある)にボーリング柱状図が載っており、孔内水面の記載があります。これは根拠になるのでしょうか?

>臭いが数箇所ということから工事中の灯油というのは
>説明に無理があるように思われます。
説明が悪くてすみません。
臭いの問題は、苦情が出たのは、分譲1年目と去年の2回で、同じB-1のピットのみです。
2回とも、1Fにお住まいの同じ方が申し出ております。

>現在建っているマンションの以前の建築物を調べてください。
>ガソリンソタンドや工場跡地ということはないでしょうか?
たまたま、私、近所に十数年前から住んでおりましたので、マンションが建つ前の様子は知っております。
当マンションを含め、隣のスーパーやマンションなどを合わせたかなり広い土地に、廃墟のような2階建ての古いアパート群(10棟以上?)がありました。
どこかの社宅だったと聞いております。
それ以前のことは分かりません。

>コンサルタントに依頼すること
>これは今回は絶対的に必要条件だと思います。
>信頼できる建築士に全ての現状の調査を依頼し、
>客観的に報告を求めることです。
>これを臨時総会で決議してもらってください。
是非、そのような方向へ持っていけるよう努力します。

本当に、お忙しいところをありがとうございました。
その後、何か進展などありましたら、ご報告させて頂きます。
 その後  
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