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一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0848 角地が欲しかったが・・・話が違った!

 相談概要 [氏名] T.A
[相談内容:] その他
[居住住所] 大阪府河内長野市
[相談建物所在地] 大阪府河内長野市
[職業] 主婦
[年齢] 29
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦 2003年 2月 14日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 99.36
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 1727
[設計監理料] 0
[様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅)
[施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[お手持ちの図面は何枚?] 10枚以下
[打ち合わせ何回] 10回以下
[床面積] 100m2以下
[施工者名] A不動産販売株式会社
[販売会社名]A不動産販売株式会社
[設計者名] I.K
[監理者名] 不明
 相談内容 [現象]
私たち夫婦は昨年、家を建てようと土地を探しておりました。ある不動産会社(土地の販売から戸建ての設計・施工も請け負う)から条件に合いそうな土地を紹介され実際に見に行くと、販売されている土地の隣、南東側に同じくらいの広さの更地があったのです。そちらは玄関に面した通りだけでなく、南東側にも道路がある角地。当然私たちは角地の方を販売してもらえないかと願い出ました。

しかし会社は「角地にはモデルルームを建てるので個人には販売はしない」とのこと。また「モデルルームは、お宅の日当たりが悪くはならないよう考慮して建てる」と言い、モデルルームの設計図を私たちに見せてくれたのです。それによると、モデルルームは2階建てではありますが、私たちの住居に接する部分は1階のみの構造になっていました。それでも万が一、隣に個人宅が建った場合を考え、日当たりを心配して「リビング・ダイニングは2階にしたい」と設計の希望を伝えると、「モデルルームにするからその必要はない」との返答。何度も話し合いましたが、先方の話を信じ、そのままお願いすることにしました。

ところが今年初旬に入居して数カ月後、隣の角地は個人に売却されたという情報が他から耳に入りました。現在、2階建ての住宅が建設中で、2004年の3月に完成する予定だそうです。

隣地が売りに出された時点で、私たちは会社に「話が違うじゃないか」と訴えましたが、モデルルームの件はあくまで口頭で交わされた予定に過ぎないこと。書面などには残っている訳でもなく、取り合ってもらえませんでした。不動産会社は隣の戸建ての設計図を持って事前に説明に来るなどの対応はしてくれています。また、わが家との間の距離を法定の50・よりは広い95・に設定してくれたり、屋根の角度等も多少は考慮してくれたそうです。しかし、隣の工事が進むにつれ、予想以上に日当たりは悪くなっていく一方。もう遅いかもしれませんが、現段階で少しでも善処する方法は無いものでしょうか?(現在は家の枠組みが、屋根まで出来ている状態です)

[業者の見解]
これまで何度か不服を訴えましたが、口頭では謝罪するものの、隣家の建築計画は変わり無く進んでいます。
現在、再度担当者から社長に話を伝えてもらい、その返事を待っているところです。

また、私たちの契約時にモデルルームの件や個人に販売しない旨を話していた同社の部長は既に退職してしまいました。訳あってその方とは今も連絡が取れる状況にあり、電話で契約時のいきさつ(隣家がモデルルームになるという話を受けて、私たちが契約をしたこと等)をもう一度確認し、念の為その会話を録音してあります。

[相談内容]
当方としては以下のような対応を希望しています。

・隣の設計・工事をやりなおしてもらい、もう少し私たちの1階リビングに陽が入るようにして欲しい
・慰謝料を請求したい
・当方のリビング・ダイニングを2階に移すリフォームを同会社の負担にて行ってもらう

・が無理なら・、・も無理なら・というように考えています。

ただ、・のリフォームは内容次第ではもっと暮らしにくくなってしまう可能性もあるかと思っています。
上記のような要望は、既に工事に着工してしまった今となっては無理な話でしょうか?ただ、このまま黙ってあきらめてしまうのも心にわだかまりが残りそうです。結果的に何も変わらないかもしれませんが、出来るだけの手は打っておきたいのです。

こういった話を先方にする上で、一旦、隣家の工事中止を求める内容証明郵便などを送った方が良いのでしょうか?例えば「全工程の●%が終了してしまったら工事を中断できない」等のようなことがあるなら急がなければいけないですよね?こういうことに明るく無く、まったく見当違いのことを申し上げているかもしれませんが、対処法をお教えいただけると幸いです。
 yorozuの感想 実際に相談にのってくださる方々の経歴や写真が見られるので、安心感があります。
アドバイザー 
山野 松雄 大阪から解説します山野です。

 相談者の腹立たしさは充分理解できますが、一方でなんと無垢で間の抜けた話しかとも思います。
気付かれていたように不確かな相手方の口約束を信じた失敗の悔しさからも何らかのけじめを着けないと自分自身を納得させられないのでしょうね。

 契約行為という法律問題に専門外の私が正確な話ができる自信は有りませんが、何かの参考になると思いますので解説します。

 交渉の経過を読みますと相手方は確信犯的で、内容証明郵便で工事を中止し変更工事の交渉に入ってくれる事は望めないでしょう。
 強制的に工事を止める方法は、裁判所に「工事差し止め」の申し立てをする事です。しかし、相手方に100%の非が有るという以外は、相手方が工事中止により受けた被害について補償する義務が発生します。今回は話の内容から止めておいたほうが良いと思われます。ちなみに工事の何%が済むと工事中止ができないか、あるいはできるかという線引きはありません。

3月竣工予定ですから、現実的には工事の変更を期待するのは無理でしょう。またリフォームの要求もかなり難しいことかもしれません。どうも相手方は相談者の事をくみしやすい交渉相手と思って事をうやむやのうちに済ませられると考えているようです。その証拠に、口では謝りつつ具体的な譲歩は殆どしてくれないからです。

 しかし、ここで一番大切な事は、十分準備した上で法律の範囲内できっちりと補償を要求する意思を明らかに相手方に示す事です。口約束では有るものの、契約のいきさつに不法行為があると疑われます。先ずは身近の消費者センターで録音テープ持参の上法律相談されるのが良いかと思います。できるだけ正確に契約当時のいきさつを証明するものを集められる事も必要です。

計画変更やリフォームが無理でも補償の件は、隣家が竣工しても交渉可能な事ですから、時には弁護士をいれて、辞められた部長さん(問題を起こした張本人なので用心深い対応が必要でしょうが)の協力もえて相手方と有理に交渉し現実的な解決策を目指すのが良いかと思われます。
 弁護士
山口 健一
 大阪の弁護士の山口健一です。

この文章で見る限りは、業者に債務不履行がありそうです。なお、約束は文書でも、口頭でも、約束は約束です。要は、そのような約束があったか否かを、証明できるものがあれば言いわけです。債務不履行の結果は、契約解除なのか、損害の賠償にとどまるのか、そこは、もう少し事情を知りたいところですが。ポイントは、その約束がなかったら、契約していないかどうかです。

ただそのあたりは、微妙なところですし、このHPをその業者が見ている可能性もありますので、このメールでそこまで書くのは、あとあと問題が起こりそうですので、もし知り合いの弁護士さんがおられたら、相談することをお勧めします。どなたもおられなければ、私の事務所でも相談にのります。
 コメンテーター 
藤井 修  信じた約束を反故にされる事ほど悔しい思いはありませんね、お気持ちをご察しします。
ご相談は建築的な問題ではなく法律的な問題と思われます。
各解説委員の言うように弁護士さんなどの専門家に相談する事で解決の糸口が見つかるかも知れません。
 事務局から 
  荻原 幸雄 不動産業者が受け持つ物件はピンからキリまでたくさんあります。
いい物件はほっといても売れるものですので、特に営業トークを駆使しなくてもいいわけです。ですから、物件がいくつもあれば、先ずは売れにくいものから売る!

というのが不動産業者の鉄則なので、今回は人気のある角地よりも先に隣地を勧めたのはよくある常套手段の営業トークの範囲だろうと思います。しかし、その営業トークの中身が売らない。モデルルームにするなどで誘導的に今回の敷地を購入するようにした点です。今回、その角地を購入した方にはそのような発言はなかった点を考慮しても、販売の姿勢に不平等が存在すると思われます。

動き方によっては不利になる場合もありますので、先ずは整理して弁護士の相談を受けることをお勧めいたします。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 この度は丁寧なご回答を頂き、誠に有り難うございます!!
アドバイスを参考に家族と話し合い、しかるべき処に相談してみます。

今回の件は、当方の判断の甘さもトラブルの要因になっております。
にもかかわらず、相談員の皆様が私どもの心情を汲み取って下さったこと、心から嬉しく、また励まされる思いでした。
まったくのボランティアでこのように見解を示されているとは、ほんとうに驚きでありますと同時に、皆様のプロ意識と志に尊敬の念を感じずにはいられません。

また後日、経緯をご報告させて頂きます。
本日は取り急ぎお礼を申し上げます。有り難うございました!!
 その後  
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