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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 0846 発砲スチロールのメリットデメリット

 相談概要 [氏名] O.J
[居住住所] 大阪府 箕面市
[相談建物予定地] 大阪府 箕面市
[職業] 医師
[年齢] 40
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[設計者はどなたに依頼しますか?] 専業の建築設計事務所
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 42.46
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 4000
[設計監理料] 400
[お手持ちの図面は何枚?] 4枚
[打ち合わせ何回] 5回
[様態] 注文建築
[施工者] −
 相談内容 [家づくりの相談内容]
ご多忙のなか恐れ入ります。
このたび木造二階建ての自宅を新築する事になった者です。

ご相談させていただきたいのは内断熱を採用するにあたって、断熱材を従来のグラスウールではなくハッポースチロールにしてグラスウールの水分を吸収しやすいという欠点を補ってみようと設計士さんから相談されたことです。

いきさつとしてはまず外断熱がよいのか内断熱かの検討から始まり、確かに外断熱は良さそうだが費用がかさむ。それでは内断熱の欠点を補うという考え方で断熱材を問題の多いグラスウールから水分を吸収しにくいハッポースチロールにしてみてはどうかと相談されました。
私は当然ながら、設計士の方も初めての試みのようです。

インターネットで情報を集めようと試みましたがハポースチロールの断熱材を使用して,その結果のメリットとデメリットについて書かれているものはありません。
もし少しでも情報がございましたらご教示のほどをよろしくお願い申し上げます。
 yorozuの感想 分かりやすい作りのHPと思います。
アドバイザー 
氏原 毅士 氏原です。

根太フォームは既知の技術であり完成度は高い様に思いますが壁にはめ込む既製品があるようには思いません。
 既成パネルをカットして間柱間にはめ込むのでしょうか?
グラスウールなら設備配管などもその柔らかさから容易に壁内に仕込む事が出来ますし、完全に覆い尽くす事も容易です。
 コンセントボックスでも簡単に圧縮して隙間無く詰める事が可能です 発泡スチロールパネルの定尺を超えた部分もカット材でうまくはめ込めるのでしょうか、疑問に思います。
たとえば筋違いの所などどのようにして収めるのでしょう?
外壁材と発泡スチロールパネルの間は結露するのではないかと思います。
 構造部材でヒートブリッジが発生するのではないかと危惧します。
 山口 雅克 解説員の山口です。

 グラスウールは水分を吸収するというより、結露をおこしたらそれを排出し難いと考えて下さい。その欠点を補うためでしたら、ウールは如何でしょうか。 
 善養寺 幸子  解説員の善養寺です。

 もう少し、断熱の意味、結露のメカニズムを勉強されてから採用されることをお奨めしたいですね。グラスウール断熱の問題点は湿気を吸いやすいと言う点なのではありません。発泡系の断熱にしても結露を起こすメカニズムを解消しなければ、結露は起こります。現実、マンションの断熱はほとんどが樹脂系のウレタンボードや、現場発泡ウレタンで、水を吸わないと言われているものですが、ほとんどのマンションの北側居室の押入や水回りなど年数が経てば、断熱材の向こう側でカビが発生してしまっています。と言うことは、断熱材が水分を吸うかどうかではなく、結露点に湿気が回るかどうかが問題なのです。

 高断熱高気密をお考えで、発泡スチロールなどと考えているのでしょうか?高気密の意味はお判りですか?ちゃんと勉強していない技術者の中では、高気密は建物の内外の密閉性の高い部屋を作ってエアコン効率を上げるためのものと思っている人がいます。それは間違いです。高気密の目的は、高断熱化させることにより、断熱材の外壁面の温度が一層室温に影響されにくいため、冷たくなることで、より結露が生じやすくなることを補うため、断熱材の入っている壁内と湿気の発生する室内との間の空気の流通を防ぐ気密化を図るのが目的です。

ですから、どんな断熱材にせよ、壁内の気密性が悪ければ、外壁面と断熱材の間に結露は起こってしまいます。ですから、結露を防ぐためには気密をどうつくるかを考えるべきであり、それがしっかり作れればグラスウールでも問題はないのです。

もう一つの考え方として、壁内で調湿させるという方法を取られる場合もあります。
羊毛やセルロースなど高調湿な材料で、湿気が水になる前に吸わせて、吸放出させるという方法です。その方法で気密をしっかり作らないと言う設計もあります。ただ、その際も、断熱材が壁内にぴったり隙間無く納め、端から端まで調湿させることが重要でしょう。
 どの程度まで、効果があるかは今のところ、自分には判断できません。

 いずれにせよ、性能を作りたいと思うのであれば、ちゃんとした学習をしないと逆に問題を発生させることになります。気密の意味を間違って、屋外面にそれを作ってしまった場合、結露は短期間のうちに発生し、新築2年でシロアリ被害を受けたなんて例もあります。

高気密高断熱住宅は、これからはスタンダードに考えられるべき工法ですが、今のところ、まだまだ技術知識が浸透していませんし、勘違いも多いです。

 外断熱が高いというのも大きな誤解だと思います。一般的な性能を考えてない簡易な従来の建物に比べ、高断熱高気密住宅が高いのです。その上で、充填断熱(内断熱)と外張り断熱(外断熱)とどちらが高いかと言えば、どちらも変わらないと言えます。

 充填断熱は、気密工事がとても大変で、設備業者も含めてその経験のある職人達でなければ作れないと言えます。その点では外張り断熱工法の方が単純に気密を作れますから、設備業者に小難しい事を要求しなくても、ちょと気を使って貰えれば可能なので、その点、監理者としては楽です。もし、施工不良があって万が一結露が生じても結露点は主要構造体の外側ですから、すぐに構造が朽ちることはないわけです。
だから、うちの事務所としては安い物件では外断熱とし、予算があるものでは充填断熱も採用する場合があると言う感じです。
比較するものが間違っていると思います。

 そして加えて言うなら、スチレン(発泡スチロール)もウレタンも良く燃えます。
不燃認定など取ったものもありますが、余り信用されない方がよいです。不燃認定された商品に、火気使用厳禁などとプリントされていたりします。エネルギー面にばかり目が行って、災害時の安全性の劣った省エネルギー住宅が増えていることに懸念を感じています。建物はトータルでの性能を有することが重要です。ちょっとした小火で済むのか人命を失うほどの大火とさせてしまうのか、そんなちょっとした配慮で変わります。設計者の方にも聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥と、経験者や実践者に聞くよう奨めてください。色々、本も出ているので読むように言ってください。
 良い学習の機会です。頑張る事に応援してあげましょう。

追伸:
それなりの性能を有する手間の掛かる建物は、それなりに費用が掛かる事を認識してください。物は良く、値段は安くと願うのは人の情とは思いますが、現実、そう甘い話はありません。良い物が欲しければ、それなりにお金を払わなくては無理でしょう。
安ければ安いなりの性能です。決して、それは無駄な投資ではないと思います。
 コメンテーター 
藤井 修 断熱材にはいろいろな種類がありその性能や性質も違います。選定は迷うところです。
建築する場所や材料の長所短所、建物のトータルコストなどから選定する事になりますが、どの材料を使うにしろ、使い方や施工を適正に行えば問題は無いように思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 費用の比較はトータルで考えないと難しいのですが、単純に発砲系とグラスウールを比較したら発砲系が高く、その補足材は発砲系のが高い。手間は丁重にやるならばグラスウールのが高い。建売住宅のような突っ込むだけのグラスウールは安い。このようになります。トータルでは外断熱が高いとわたしは考えます。建売ではグラスウールがほとんどです。何故か?
安いからに他なりません。

断熱材の比較は簡単にはできません。施工が丁重なグラスウールならば問題は発生しません。雑で手抜きの建物を誇張してグラスウールが悪者扱いされますが、そのほとんどは設計者と施工者の無知から来るものです。

これだけははっきり言えます。
高気密高断熱の住宅は理論は高性能であります。しかし、施工や設計が甘いととたんに低性能に落ち込みます。紙一重なのです。よく設計者と確認しながら家造りを進めてください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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