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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0821 建築条件付デザイナーズハウスで

 相談概要 [氏名] H.T
[相談内容:] その他
[居住住所] 神奈川県横浜市旭区
[相談建物所在地] 神奈川県横浜市旭区
[職業] 会社員
[年齢] 30
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦2004    年2  月  28日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 96
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 3600
[設計監理料] 0
[様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅)
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[お手持ちの図面は何枚?] 10枚以下
[打ち合わせ何回] 3回
[床面積] 130m2以下
[施工者名] K設計事務所
[販売会社名] Sネット
[設計者名] K.H
[監理者名] K.H
 相談内容 [現象]
建築条件付売地でチラシが入り、デザイナーズハウスという事で確認申請前ですが、間取り、外観がほぼ決まっておりました。土地だけの販売もしていましたが土地建物つき総額で基本的には買っていただくということでした。間取り的にも気に入っていて、8月末に土地契約をして、9月末日までに工事請負との一本化契約予定です(あくまで不動産会社に言われた予定です)。

不動産屋は売主の会社Sの分かれた会社で、専任媒介でした。初めの土地契約の段階で1枚の合意書に判を押しましたが、その中に「建物工事内容を確認し、建設工事請負契約を締結する」「建物は甲(売主S)の標準仕様とする」という項目がありました。そこで土地契約後に工事請負までに確認申請した図面とSの標準仕様書、今回建ててもらう家の細かい仕様書を出していただき、そこで納得した上で工事請負の判を押したいと伝え、口頭でしたが了承してもらいました。

[業者の見解]
申請の図面と標準仕様書はすぐに貰えましたが、標準仕様書は簡単なもので標準と言ってもすぐ近所に建てた家のものでした、内容も材料とかが「又は同等品」ばかりのものでしたので、細かい仕様書を待っていました。しかし仕様書は今現在も貰えず先日不動産屋に確認した所「工務店にすべて任せてあるので、そう言うものは作る予定はありません」と言われました。では材料などはどうするのかと尋ねた所「標準仕様と強度と寸法が同じ物で、その時に手に入りやすいものを使います」と言われました。最終的に建った時に何を使用したか、書面で出してくれるのかの問いにも「柱など何を使ったかお知らせは出来ますが書面での作成はしません」と言われました。最終的には「建売ですので」との返答です。

[相談内容]
これから設備位置図や仕上げ表、工程表などを貰おうかと思っていたので、そういうものまで出してもらえなくなるのじゃないかと弱気になっています。土地の契約をしてから真剣に勉強し始めたので、この様な事になってしまいました。不動産屋に「JIOの保証つきですし、公庫基準、高耐久住宅ですので問題はありません」と言われたのですが、実際に建った時に目に見えて分かるものでもありません。

本当に問題はないのか疑問に思いましたので、仕様書などの書類で判断しようと思っていたので、困ってしまいました。現在12棟建てる中でうちだけが工事請負契約をしていないので向こうは早く契約をしてもらいたいようです。これまでにも幾つか連絡事に対して問題はあったのですが、ここに来て不信感が募っています。逆にこんな事をしているのはただの悪あがきに過ぎないのかとも思うようになってきました。このような契約で進んでいる場合、仕様書や細かい図面は出してもらえず進んで行くものなのでしようか。またはこのような場合のこれから進めていく上での対策やチェックしなければならない事はあるのでしょうか。
 yorozuの感想 いつも参考にさせていただいています。このような相談が出来る所があって心強いです。
アドバイザー 
橋本 頼幸 大阪の橋本です。

まず相談の内容には、ご記入はありませんでしたが、設計事務所との契約はどうなっているのでしょうか。設計事務所は明らかになっていますが、設計契約はKHさんがその設計事務所と直接されるのか、それとも設計契約はできないのか、ということを明らかにして方がいいでしょう。

もし、設計事務所とKHさんが直接契約をするのであれば、KHさんの求めている仕様書や設備に関する図面等はその設計事務所に要求する事ができます。しかし、そうでないのであればよくある建て売りと同様、あまり図面を作成せずに建築することになるでしょう。したがって、施工業者に図面を要求する事はできるでしょうが、要求する図面すべてを提出するかどうかは分かりません。

KHさんは施工者と設計事務所が系列会社で混同されているかもしれませんが、本来施工者と設計事務所は全く別物です。いずれも施主と契約する、つまり施主からの依頼で業務をする事にはかわりありませんが、設計事務所は施主の求めに応じて設計図面や仕様書などを作成し(設計)、工事中に施主の求め通り(設計図や仕様書通り)できているかどうかを確認する(監理)ことが契約内容になります。もちろん設計と監理を分ける事はできます。また、施工者は施主の求め通り(設計図や仕様書があればそれに基づいて)建物を造る事が契約内容になります。

したがって、現在KHさんが求めておられる事の多くは、設計事務所の仕事という事になります。つまり、設計事務所とKHさんの間に契約がされているかどうかという事が問題解決の糸口になります。もし、そうされていないのであればこれから設計事務所と「設計や監理業務の委託契約」ができるかどうかを相談されてはどうでしょうか。しかし、そのためには設計事務所がKHさんにとって信頼に足る相手であるかどうかの見極めが非常に大切になります。
もし設計事務所と契約できない、または信頼に足りない設計事務所である、という事であれば、第三者の設計事務所にお願いする事ができるかどうかについても、その売り主と率直に話し合う事をされてはどうでしょうか。

一生にそう何度もある買い物ではありません。満足するために、不満を残さないために、必要な事は設計事務所に対しても施工者に対しても、少しでも不信感を感じない事が大切です。「ちょっと心配だけど、まぁいいか」という気持ちで進めて後悔される事がないように、信頼に足る設計事務所・施工者の選定を心がけてください。
 清水 煬二 解説員の清水です。

建築条件付きは、不動産屋や施工業者は建て売りのフリープランだと考えている業者がほとんどです。
一切、変更を受け付けない業者さえいます。
クレームを付けることで、どう動くかわかりませんが、ご希望の納得できる図面や仕様書を出してくれる業者は、稀です。

一方、施主は注文住宅と思っており、こちらが正しいのです。
土地や価格の面で魅力のあるものが多く、内容を充分理解し、納得されて購入した場合はご自身の判断ですから良いのですが、そうではないケースがほとんどではないでしょうか。
この両者の認識の差を充分理解された上で請負契約すべきです。

こういう状態で契約し、工事が始まって問題が起こったり、おかしいと思ってからのご相談が多いのが非常に残念です。
しかし、契約後では、契約内容や業者の態度に問題があるとスムーズには解決できませんし、泣き寝入りしているケースも多いようです。

業者が誠実に対応してくれるかどうかが、判断の重要なポイントになるでしょう。
請負契約前で、対応が悪ければ、契約後や工事開始後はもっと対応が悪くなります。

現在の状況の請負契約前の決断が大切です。
よろずの本を良くお読みくだされば、その理由や問題点もおわかり頂けるかと思います。
 コメンテーター 
氏原 毅士  建売住宅は完成していようが工事途中であろうが、また契約後の着工であろうが、原則は注文建築とは異なり仕様変更や設計変更などの対応が困難なようです。
 われわれ専業事務所の立場から言えば、工事中や着工前なら変更や仕様の打ち合わせ、設備変更、規模変更など何でもないように思うのですが、認識に大きな差があるようです。

 デザイナーハウスを標榜し、売り物にしているなら通常われわれが行う業務で作成する30枚から50枚の設計図があるのは当然で、それを買主の要望で交付するなんて当たり前と思ってしまいます。

 建売はデザイナー住宅と言っても設計図書すら作成していないと言ういい見本と思います。
 あれば幾らでも提示交付できるはずですし買主に隠す必要すらありません。
 図面が無いから提示しないのであって、これが建売なのだと言うことを再認識させられました。
 住宅は(建築は)間取りだけではありません。何を持って気に入ったのかをもう一度考え直されたらいかがでしょうか。 
 事務局から 
  荻原 幸雄 あなたの要求は正しいのです。12棟の中で貴方1人が変わっているのでしょうか?
否です。11人の人が安易なだけです。
そもそも、条件付と称して数種類のプランを提示し、その中で選ぶのは違法性の高いものです。
まったく自由に設計は考えていいのです。
あなたは正しい。それだけは確信してください。

しかし、最近デザイナーズマンション、デザイナーズハウスというものがありますが、わたしのところにもデザイナーズハウスの協力依頼がありました。「監理がちゃんとできるのですか?」と聞くと「やりたい方はできます」という答えでした。わたしはこれらの話はすべてお断りしていますが、実にこれらのプロジェクトに参加する建築家の気がしれません。デザインができれば重要な監理はないがしろです。

業者から設計料だけもらうのです。監理料はないでしょう。建築家はデザインだけすればいいのではないのです。
監理を確りできる状況でなければそれらの仕事を受けない意思が大切です。
このような仕事をしている建築家がいたら、みなさん仕事を決して依頼してはいけません。

大切なのは確りその家の住人の命を守る監理ができる状況があり、その上で夢のデザインを提供する。
これこそ建築家であるべきです。監理をできない建築家は趣味でデザインしているだけです。
貴方の命をこのような趣味のデザインの建築家に預ける勇気はありますか?
相談者お礼状 
 相談者お礼状 先日は丁寧な回答ありがとうございました。
あれからこちらの意見を参考にし、家族と話し合い、不動産業者と再度話し合った結果、公庫基準の仕様書(ピンクの表紙)や数枚の図面が新たに出てきました。が、こちらが本当に欲しかった材料の仕様書は無く、初めに貰った「当社仕様による」などの書き方で、細かい内容の無い1枚の用紙のものだけと言われ、最終的に家が建った後でも書面化するつもりは無いとの事でした。

やはり一生のうちで一番高い買い物をするのに、このような不信感をもったままで進めるのも、今この段階でこんな話し合いを持たなければならない業者で進めるのもやはり良くないと思い、手付金を返してもらい解約いたしました。

気が抜けたのかそれから風邪をこじらせ肺炎になってしまい、返事が大変遅れて申し訳ありませんでした。
またこれから新たらしい家探しを始めるので、今回の事を踏まえ、またこちらのページを参考にしつつがんばりたいと思います。
今回は本当にありがとうございました。
 その後  
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