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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0820 水廻りリフォームについて

 相談概要 [氏名] K.H
[居住住所] 兵庫県宝塚市
[相談建物予定地] (既存建物)大阪府泉南郡
[職業] 主婦
[年齢] 40
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[設計者はどなたに依頼しますか?] -
[何階建て]
[延べ面積m2] 約85
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 120
[設計監理料] 0
[お手持ちの図面は何枚?] 無い
[打ち合わせ何回] 1回
[様態] 注文建築
[施工者] リフォーム会社
 相談内容 [家づくりの相談内容]
初めまして。「リフォーム」相談というカテゴリーがなかったので、こちらに書かせていただきます。よろしければ、ご相談にのっていただければと思います。

リフォームする予定なのは、築32年の夫実家(在来)の浴室回りです。在来工法・タイル貼りのお風呂で、浴槽もかなり痛み、また寒い・狭いため、浴室リフォーム(ユニットバスを入れて、中にあった洗面ボウルを外に出し、押入を改造して洗面室を作る)を考えています。住んでいるのは義母一人です。

今は、ネットで見つけて選んだ2社に、現場見積をしてもらい、検討しているところです。なにぶん古い上に、最近まで、風呂付近の水道管から水漏れをしていたようで(先般、それら気づき、修理してもらったところです。一人暮らしで水道代が月9000円もかかっていました)、浴室下の部分がどうなっているのか心配なのですが、

A社は、基礎部分は、めくってみて追加費用が発生するかもしれないし、わからないといい(ただ、外壁がふくれたりはしていないので、大幅追加はないのではと言っていました)、

B社は、ユニットバスを入れるときは、基礎をどのみちやりかえるので、追加費用は発生しないといいます。

見積は、2社とも、内容は違うものの、こちらの提示した予算とほとんど一緒でした(内容は若干違っていますが)。
一体、どちらのいうことが正しいのか、一般的な答えはあるのでしょうか?

ちなみに、ユニットバスですが、現状122×170(当方の採寸)に対し、A社はタイルを削れば1216が入るといい、B社は、入らない可能性があるので1116を入れる、と言っています。
判断の一般的な基準があれば、ご教示いただければと思います(こんな小さな案件でも、建築事務所さんにお願いできたのでしょうか‥。。)。よろしくお願いいたします。
 yorozuの感想 こういう無料の相談室があるのはありがたいことだと思います。他の方の相談事例も参考になります。
アドバイザー 
橋本 頼幸 相談員の大阪の橋本です。

まず、「一般的な答えはあるのか」とのご質問に対してお答えします。
建物というのは、一つ一つ条件が異なります。間取りも違いますし、建っている場所も異なります。築年数も異なれば、使い方も異なります。したがって、傷み具合というのはそれぞれの建物によって異なります。ですから、一般的な答えというのはありません。もちろん、「ほとんどの場合はこうなります」という現象はありますが、おたずねの件では「こうすればよい」という事は判断できません。

次に、「見積の内容と工事の仕様の異なり」についてですが、ご質問の内容からすると、おそらく予算を見積業者に伝えた上で、口頭でやってほしい事(たとえば「ユニットバスに変えてほしい」とか「水漏れを直してほしい」といった内容)を伝えただけで、見積をしてもらったものと推測されます。
この場合、見積を依頼された業者から考えれば話が分かりやすくなると思いますが、見積を依頼された際に、予算を聞くとたいていその予算に合うように見積をするでしょう。そうすると仕事が依頼されやすくなります。また、ユニットバスのメーカーや品番、基礎の作り方、入れ替える部分とその他の部分のつなぎ方(専門用語で「取り合い」といいます)などの、詳細な指示がないと施工者のやりやすい方法(安くなり方法)で見積をするでしょう。自分たちのやりやすい方法というのは、施工業者によってそれぞれ異なります。これが、A社とB社の説明の違いです。

さて、最後に「小さな案件でも設計事務所は相談に乗ってくれるのか」というご質問ですが、それは設計事務所に依ります。しかし、そのような案件に真剣に相談に乗ってくれないような設計事務所には依頼しない方がよいでしょう。今回は特に水回りの工事ですから、水漏れを起こしているというお話から、単に風呂をユニットバスにするだけで解決するのか、水回りの点検をした上で必要な工事(特に設備)を同時に行っておく方がいいのか、基礎は使えるのか、ユニットバスは今後のバリアフリー化の事を考慮に入れた方がいいのか、など、様々な事が考えられます。
KHさんは、単にお風呂を変えたいと考えておられても、他にもどうせならここもしておいた方がいいと思われるところも出てくるかもしれません。そう言った事を総合的に判断して、アドバイスを受け、その上で必要な工事・不要な工事を選択する方がよりよい生活をするための良策だと思います。そういったアドバイスができるのは、施工者ではなく設計事務所です。通常設計事務所は、KHさんの目線で相談に乗ってくれると思いますが、そのような仕事を得意としない設計事務所があるのもまた事実です。

本来私たち設計事務所が行うリフォームの相談は、お客さんの要望を聞き、打ち合わせを何度か重ねた上で、工事の内容を誰が見ても分かるような設計図や仕様書として作成し、その上で施工者に見積を依頼します。したがって、どの施工者に見積を依頼しても施工後の内容は変わりません。「ここはどうなるんだろう」という疑問はすべて設計事務所と相談することができますし、わかりやすく説明もしてくれます。同じ工事内容で見積を依頼していますので、見積の違いもわかりやすくなります。

予算が、50万円でも100万円でも、ご自分で対応が可能な事と、専門的な判断が必要な事を分け、必要であれば専門家に協力してもらう、というスタンスが大切だと思います。
 久米 能子 相談員の久米と申します。

 数社のリフォーム業者に簡単な説明で見積もりを依頼されると、皆さん、同じようなことでお困りになられます。はっきりした見積もりの基準もなく、各々が各々の都合によって見積もりをするからですね。
 まず、ユニットバスのサイズについては、タイル面の浴室内法で122×170の大きさならば、タイルの壁を壊せば1216は入るであろうと思います。ただし、選択したユニットバスのメーカーにもよりますので、一概には言えない部分もあります。ですから、A社もB社も間違ったことを言っているとはいえません。

 また、ユニットバス入替え以外の費用の発生については、壊してみて悪いところが見つかり、直せば当然費用は発生しますので、取り壊す前の状態のうちから追加がかかるかどうかは誰もはっきりいえないでしょう。けれども、築年数から考え、また、長期にわたり水道管から漏水していたことを考えると、おそらく何も手を入れずにすむというような状態ではないであろうと予測されるのが普通ですね。A社はめくってみて悪いところがあれば直さなければならないと考えているので、事前にそのようにお話をし、B社は初めからそのあたりも工事に入れているので追加はないということでしょう。けれども、ユニットバスを入れるから必ずしも基礎をやりかえなくてはならないかというと、そうともいいきれません。あくまでもその家の状態によることです。

 こうやって考えると、ますますどちらのいうことも正しいかわからないですね。つまり、どちらもさほど間違っていることを言っているというわけではないということです。ただ、判断の基準や説明の仕方がまちまちということです。
 ここでKHさんの言われる「一般的な判断の基準」という問題になりますが、それは設計事務所の作成する設計図書や仕様書以外にほかなりません。しかし、リフォームの場合は設計事務所が調査をして図面や仕様書を整えたとしても、壊してみると予想を越えて痛んでいる場合もあり、設計事務所がはいったからといって、全く追加が発生しないとも言い切れないのが実情です。ただ、ある程度の補修費用を見込んで見積もりを取るほうがご予算を組むのに安全ですから、予測の付く範囲は見積もりに算入するようにするでしょう。

 追加があとで発生する可能性が残るのは誰しも不安で厭なものです。けれども、これはリフォームの宿命(特に築年数の古い戸建ての場合)のようなものです。
 もし、初めから、「追加が全く発生しないように見積もって欲しい」と依頼されれば、工務店も追加請求できないとなると不安ですから、初めから不要な可能性の高い部分まで、安全のために見積もりに算入せざるを得ないでしょう。
 見積もりは予測のつく部分までとし、それぞれの部分に対する明細をきちんと書かせて、不要になった工事を最後には差引きで減額できるようにし、さらに、ご予算には余裕を持って、予想外の追加の発生にも対応できるようになさるのが良いかと思います。見積もりの範囲を明確に記した契約書も忘れてはなりません。

 基本的には橋本解説委員の言われるように、設計事務所にご相談なさり、その他の部分も含めて悔いのないリフォームとなるようにされることが良いと思います。
 コメンテーター 
木津田 秀雄  古い住宅のリオフォームは、両解説員が書いているように、壊してみてはじめて分かる内容が多くあります。しかしながら設計事務所という第三者を入れることにより、本当に正しい工事をやっているのかどうかを確認することができます。設計事務所は工事金額が多少減っても増えても影響がありませんので、不要な追加工事については必要ないと判断できますし、逆に必要な追加工事は必要だとのアドバイスをすることができます。

 水道が漏れていたと言うのは、木造住宅にとって場合によっては致命的な問題です。
シロアリの被害が大きければ、水回りのリフォームどころではなくなります。シロアリは水と餌(餌は柱や土台です)があれば生息しますので、これが一番心配です。シロアリについては見積をしたリフォーム業者はどう言っているのでしょうか?。依頼されていないから、不具合があっても言わないと言う態度が一番困りますから、確認をしておいた方が良いかと思います。 
 事務局から 
  荻原 幸雄 先ずは「我が家をリフォームする前に読むQ&A80」をお読みください。
答えはでています。しかし、それ以外の貴方の知らない悩みを出ています。
是非、読んでください。お勧めです。

さて、はっきりお答えいたしましょう。
業者は住人の命を守ろうとは思っていません。(ちょっと言い切ってしまいましたが・・・)あたら得られた予算金額から利益を引き、その中での仕事しかしません。
もし、解体して部分的にでも基礎や土台、柱が腐ったときに「腐っていますから取替えましょう。いくらいくらかかります。」といわれます。その時はもう、解体されているのです。
「そんなにかかるならいいです。」といえる自身がありますか?通常はこわいので応じます。
解体されている状況ではすでに貴方はその時点で不利な立場にいるといことを認識するはずです。
解体という状況が人質となっているのです。
しぶしぶ、「はい。お願いします」というでしょう。これで腐っている補強もしたし、お風呂もできた。めでたしです。

はたしてそうでしょうか?実はこのように部分でも腐ったり基礎に問題がある場合は全体の問題でもあります。他の部位もおなじような可能性があるのです。

それを調べないと本当に建てものが安全になったとはいえません。

よろずのリフォーム本は工事する前に建物の健康診断が大切だと書かれています。
リフォームする前には人が人間ドッグに入ることと同じように建物診断をすることが大切です。

設計事務所に調査依頼とアドバイスを受けることをお勧めします。
ワンポイントアドバイスでも効果はあります。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 お忙しい中、丁寧な回答を、4人もの方にいただき、ありがとうございました。
うれしいと同時に、実は読んでいて、身の引き締まる思いでした。
リフォームQ&A80も、さっそく取り寄せて読ませていただきました。
難解な文章ばかりかな‥と臆していたのですが、意外と(すみません)読みやすかったです。

橋本様のご想像の通り、「予算と、だいたいこんな風にしたい」という形で見積をお願いしました。

もともとは、義母から話があったとき、「リフォームは新築以上にいろんな業者が入っていて玉石混淆」という話を聞いていました。それで、先般、姉が中古戸建てを買ってリフォームして、その時の会社の一級建築士さんが最初から最後まできちんと立ち会い、面倒を見てくれて良かった‥という話を聞き、お願いしようと思ったのですが、遠いと言うことで、断られてしまいました。

その上、「この際、全体を見てもらったら」とも義母に話したものの、「あと自分が一人暮らしする間だけだし、安くて済むのがいい」というのもあり、つい、 大切なことがなおざりにしてしまっていました。
(私たちも、すでに別に居を構えていますので、その家に住む予定はないのです)

ただ、おかげさまで、どちらかが嘘を言っているわけでなく、久米様がおっしゃっておられたように、「入りそうなサイズ」でも、バスのメーカーによって違う、ということがわかりました。

自分で、この業者二つを選んでいたわりに(ネットでいろいろ調べて、一応、最初の段階で誠実で、見込みのありそうなところを選んだのですが)、「リフォームは、やりだして見ないとわからない‥という点で、足元を見られる」などという話を聞き、疑心暗鬼になって、ご相談させていただいた次第です。

木津田様の「水道が漏れていたと言うのは、木造住宅にとって場合によっては致命的な問題です」という言葉、結構ガツーンと来ました。1年ほど前から水道代が多い‥と義母がぼやいていて、「もれてるかも?」と私も言ったのですが、義父が病気のためトイレの回数が多いので、そのせいだろうと義母はいっていたのです(実際、看病でそれどころではなかったのですが)。
義父がこの春に亡くなってからも水道代が高く、それでやっと気づきました。
実は2年前、トイレを変えたとき(下水が通ったので水洗工事)、水道業者が水漏れを指摘したのですが、義父がそのままでいい、と言っていたのだとか‥(義母は先日そのことを業者から聞いたそうです)。。

昨日、今回見積を頼んだ業者のひとつに詳しく話を聞いたのですが、「シロアリが出たことはあるとのことだが(10年以上前←義母と夫の話)、最近は見たことがないと言うこと、外壁にヒビ・ふくれなどがないことから、恐らくひどく土台が痛んでいるという可能性は低いと思う。が、シロアリ以外にも水による腐りの心配もあり、開けてみて、もし補修が必要なら、それは直さなければならない。軽微なら、見積内でするし、そうでなければ、それは必ず直させてもらいたい(別予算で)」とのことでした。

実際、業者さんを断って、1から建築士さんを探して‥とも考えたのですが、今回は、上記の業者さんが、信頼できそうなこと、見積も「一式」でなく、説明も、納得のいくものだったので、お願いする方向で、考えています。

おぎわら様。「我が家をリフォームする前に読むQ&A80」読ませていただきました。
「 全体の問題でもあります。他の部位もおなじような可能性があるのです。」
身にしみました。ただ、今は、上記の業者さん(新築も手がけているそうです)にお願いする方向で考えています。
もし我が家(こちらは、あと40年‥は住む予定です)のリフォームを考える時には、心してかかりたいと思います。

貴重なお時間をいただき、どうもありがとうございました。
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