本文へスキップ

一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0818 小屋裏の取り扱いについて

 相談概要 [氏名] K.S
[居住住所] 神奈川県茅ヶ崎市
[相談建物予定地] 神奈川県茅ヶ崎市
[職業] 公務員
[年齢] 41
[女性] on
[構造] 木造(その他)
[設計者はどなたに依頼しますか?] ハウスメーカーの建築士
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 64
[工事請負金額] 5000
[設計監理料] 0
[お手持ちの図面は何枚?] 10枚以下
[打ち合わせ何回] 30回以上
[様態] 注文建築
[施工者] 大手ハウスメーカー
 相談内容 [家づくりの相談内容]
建築確認のこと出お聞きしたいのです。
現在2階建ての一軒家の建築を考えています。
2階から面積1/8以下の要件を満たした固定階段をつけました。階段から左に天井高1.4m以下の小屋裏の納戸をもうけ、右には、ルーフバルコニーをつけました。納戸の入口には、ドアをつけています。また、窓はありません。
納戸をルーフバルコニーの面積は、2階の1/2以下になっています。
この設計に問題があると、市の建築課から指導を受けましたが納得いきません。

共通の固定階段で、納戸及び、ルーフバルコニーの2つにつながっているのは、3階建てにするしかないといわれました。
市の説明では解釈上許可できないと言いますが、別の市などでは、このような設計例でも許可がされているとある人から聞きました。
3階建てにしなくてもいいような設計を工夫したのに、どうして、だめなのでしょうか。
どうすれば、2階建てとして、小屋裏の納戸とルーフバルコニーをつけることができるのでしょうか。
 yorozuの感想 このような場で、悩みを聞いていただき、アドバイスを盛られることは、とてもうれしいことです。
この場が、意見も聞け、同じ悩みを抱える人の情報として役に立てば、夢がもっとかなうマイホームになって行くような気がします。
妥協しない家づくりを考える人たちのために是非このHPを応援しています。
アドバイザー 
善養寺 幸子 解説員の善養寺です。

 昔(それ程前じゃありませんが)は小屋裏の面積が下階の床面積の1/8以下で天井高1.4メートル以下で、可動式梯子によるものでなければならなかったと指導されたものですが、今は違います。
 下階の1/2まで荷重を構造耐力上考慮すればOKになりましたし、物置の場所はどこでも良いわけです。屋根裏でも良し、階と階の間でも良し、床下でも良いわけです。
それに伴い梯子の話など全くないと言って良いでしょう。本来は、天井高の規定も無いと言えば無い。2.1メートル以上になれば居室となるので、階数に参入しなければと言うところでしょうが、それ以下であれば、小屋裏収納の天井高の法的規制は存在していないはず。1.5メートルを超えると登記的には面積に参入するので、その意味ではそれ以下が良いと思われますが、行政指導として1.4メートルを採用されている場合が多いと言うだけで、正当な理由も判りません。

 昔の小屋裏は、塔屋の1/8は階数に参入しないと言う法律を準用して小屋裏やロフトを智恵を絞って作った建築士が始めたと思われ、それに対抗して行政側が何となく高さ制限や可動梯子の規定などを通則で付加したものと想像されますが、それ自体がこれと言った法第1条の趣旨に基づく根拠があるとは、私などは思っていませんでした。

 それはともかく、確か平成12年に大幅な改正が行われ、今までの通則は全て撤廃されました。通則が無しとなった事で、それに伴いお役所の可動梯子の指導根拠も消えました。色々なものが消えました。外装板張りの面積規定も撤廃されています。
 通則に従うことが必要なくなったのです。固定階段だから階に参入する必要などありません。建築基準法、告示の内容以外で、根拠もなく指導を行うのであれば、不服申立をしても良いと思います。

 そもそも、可動梯子で収納するというのは、法第1条の国民の生命の保護と言う趣旨に基づく現在のバリアフリー(住宅内の安全を確保する)の理念にはそぐわない危険極まりのない昇降手段と言えます。荷物を抱えて可動の梯子を使えとは??小屋裏収納とは物置、すなわち荷物を入れるところです。就寝する居室等に使ってはならないと立てない高さに指導しておきながら、物置というその目的を達成するのに危険な昇降手段を強制する行政指導は建築基準法第1条に違反していませんか?
 階段、梯子は住宅内事故の最多要因の一つです。ですから、強制が無くなったのです。

 そこの役所の主事は、全く日々の学習もしないでお務めしているのでしょうね。世の中が変わった事を知らないのでしょう。職務怠慢です。
 強くおかしいと主張し、法的根拠を明確化するよう求めて下さい。それでもごねるようであれば、国民の権利として、国土交通省におかしな指導に困っていると相談してみてください。建築基準法内側担当は独りしかいないので、いないこともあるようですが、結構親切に聞いてくれます。
 山口 雅克 解説員の山口です。

 屋根裏の物置の様な物はほとんどの住宅で採用しますので解説致します。
 考え方は幾つかありますが、法の解釈に関しても対応の仕方がいくつかあります。
なお、建築確認申請はあくまでも法に則って設計していることを確認してもらうものであって、建築の許可を受けるための許可申請ではないことを御理解下さい。

 法律対応の一つは設計者側に再度役所に行ってもらって他の人にも聞いてもらうといいでしょう。合法であればそうである事を強く主張するのは設計者の役目です。ただ、役所内では建築主事がいますので、法解釈の微妙な部分は、多くの場合はその課内で論議されて結論が出ている事が多いのですが・・・。でも、このような案件に関しては県で統一的な見解が示されているはずです。県が異なれば解釈が違ってくる事はままあります。

 もう一つは、法のどの部分に抵触するのか、その条項や運用を示した書籍を提示してもらう事がいいでしょう。このことで、解釈に対する指導の内容が明確になる事はけっこうあります。

 プラン的な方法としては、竣工検査時に合法であるような設計にすることです。これは、竣工検査後に手を加えて違反すると言う事ではありません。プランの造り方次第で同じような使い勝手の合法的なものを手に入れる事が可能である事をお話しています。たとえば、2階の中にロフト相当の空間を設け、そこには床板を張らないなどです。床板を置く事もできますし、根太だけでも(間隔にもよりますが)多くの物を置く事が可能です。
 無理して、屋根裏収納を作るより2階部分に物置を設置したほうが有用な場合もあります。御一考ください。
 氏原 毅士  氏原です。

 我が家で実際にやって、役所ときついやり取りをした実例です。

ロフト部分を通過して屋上テラス(空調屋外機置き場)実質は屋上というパターンで、ロフトを屋上への動線に利用するのであれば3階建てで申請しなおし。という判断でした。

 屋上部分へは吹き抜けから単独で可動ハシゴで対処しました。
 コメンテーター 
木津田 秀雄  そもそも木造2階建ての上に、ルーフテラスや小屋裏物入れなどをいろいろ加えることについて設計者はどう考えているのでしょうか。建築基準法では木造2階建ては構造計算を不要としています。その不要とする根拠には、屋根裏や屋根の利用をしないことが前提となっています。しかし法律は少しくらいなら利用することを許しても良いだろうという観点から1/8などの面積制限をつけています。しかしながらルーフバルコニーの荷重や小屋裏物入れの荷重は、果たしてそれらがない場合と比較して建物にどう影響するのでしょうか。少なくとも2階建てとみなすか、3階建てとみなすかという法律の問題ではなく、純粋に荷重の問題として構造的な対処を考えるのが、本来の設計者が取るべきスタンスではないかと思います。

 今回の計画でなぜ2階建てにこだわる必要があるのか、なぜ3階建ての規準は2階建てにくらべて厳しくなっているのか、その辺りをきちんと設計者に説明してもらってください。建築基準法は「最低の基準」を定めた法律です。基準法をギリギリ満足する家は、「最低の基準」の家ということになります。特に構造については、実際の建物に荷重はかかっているのを法律で「荷重がない」ことにするような話ですので慎重な対処が必要かと思います。

 ちなみに私が設計する場合は、木造2階建てでも構造計算を行いますし、原則的に建物の高い位置に重たい物を収納する小屋裏物入れはつくりません。 
 事務局から 
  荻原 幸雄 お悩みになることはお察しできます。また、各解説委員の解釈も理解できます。
重複することをお詫びして少し詳細説明したいと思います。
建築基準法第1条では「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」とあります。

大切なのはこの法律は最低の基準を定めているに過ぎないのです。
確認申請というのはこの最低の基準に適合していることを確認する作業であって、確認がされたからといってもそれで安心ということではないということです。

国土交通省住宅局建築指導課長より出される通知は実務的な平等性の確保から出されるもので、まちまちの対応にならないように統一を図ることを目的としています。これは国民の平等性の確保からも当然の行為でしょう。
しかし、この通知は確かに法律ではありません。本来はこの最低の基準の根拠を建築士達が確り理解していれば通知を出す必要はないのかもしれません。しかし、残念ながらこの国の建築士の意識は大変低く、営利目的行為に走る解釈を安易にする資格者がいます。本来、国家資格である建築士は独立した人格者として、従属する組織の営利よりも建築の居住者のために判断すべきものです。

通知が出されるのはこの最低の基準を安全側に導こうとする行為と理解してください。

木造3階建てと木造2階建ては同じ木造でも法規制が大変違い3階建ては大変厳しいものになっております。
ここで誤解が生じるのですが、実は3階建てが厳しいのではなく、2階建てがゆるいのです。
これには歴史的な背景の継続性があるのでご理解いただけると思います。

木造2階建ては緩和されていると理解すべきです。最低の基準から尚、緩和されているということです。
しかし、国土交通省としても木造3階建てと同様な法規制を木造2階建てに将来的には考えていると私は思っています。
それは、防火、構造の問題もまだ残っているからです。
小屋裏の扱いも実は構造的な検討が大きな根拠になっているのです。国土交通省通知は実はこれを補おうというものなのです。構造は最低の基準だけでは確保しようという狙いがあるのです。

本相談は木造2階の仕様と3階のそれでは費用負担が相当出るはずです。
しかし、構造的な裏づけだけは設計者に確認しておいてください。

さて、3階か否かという点につていは正確には図面を見させていただかないと記述されている以外の根拠があるのかもしれませんので判断はできませんが、明確な根拠を聞きながら目の前で書き取りして担当者名を聞き、それを国土交通省に確認するか?
山口解説委員のような方法で対応するか?してください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 貴重なご意見を読ませていただきました。

解説に対していくつか、付け加えておきます。

建て方はSE構法とういうものです。
構造計算はしています。
その上で、固定階段(もちろん1/8以下の面積)小屋裏の部屋としては、1.4以下としています。
なぜ3階建てにできないかというと、費用の面からです。
小屋裏が塔屋への動線となる(塔屋が小屋裏への動線となる。)ことがどうもいけないようです。
簡単な図ですが、添付ファイルに書いておきましたので、一応見ていただければと思います。

家づくりの悩みに関して、早々にも多くのご回答をいただき、とてもうれしく思っています。また、このように複雑で、専門的な内容でありながら、無料でアドバイスをいただき、本当にありがとうございます。
法律や、要求できる権利については、知らないと思いが叶わなかったり、権利を受けることができないので、少しでも納得がいかなかったときに、専門家や経験者の方々からお話を聞けることは、救いの神だと思います。
この質問が、経験の糧となれば幸いです。
ありがとうございました。
 その後  
目次に戻る

バナースペース

一般社団法人 建築よろず相談支援機構

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107