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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 0807 基礎の気泡は問題ないのでしょうか?

 相談概要 [氏名] O.K
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 東京都八王子市
[相談建物所在地] 東京都八王子市
[職業] 会社員
[年齢] 30
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦  2003  年  9月  日
[公庫使用] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 40
[工事請負金額] 2500
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 中堅ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[お手持ちの図面は何枚?] 15枚以下
[打ち合わせ何回] 15回以下
[施工者名]
[販売会社名]
[設計者名]
[監理者名]
 相談内容 [現象]
 建物の引き渡しを前に、気にかかっていた点があり質問させていただきます。
ベタ基礎の立ち上がり部分に気泡が多く見られております。
建物の内部側で気泡が比較的多く見られた箇所と、気泡が少なめの外周部の写真をメールに添付致しました。
コンクリート打設時の状況は、以下のようになっていました。
・呼び強度24N、スランプ18
・5月末に打設し、打設時に雨は降っていない
・打設後はシートで養生している

[業者の見解]
 気泡についてはコンクリ打設前から気にかけており、現場監督にその旨を伝えたところ、「バイブレーターを多めにかけるように、下請け業者に指示した」とのことでした。
結果としてこのような基礎となりましたが、構造的には問題ない、ある程度の気泡の発生はやむを得ない、というのがメーカーの見解でした。
今後、基礎の外周部分については最終的にモルタルで平滑に仕上げる予定とのことですが、内側部分については特に予定しておりません。

[相談内容]
 基礎の長期耐久性を考えたとき、このような気泡は問題ないのでしょうか。
また、仮に問題がある場合はどのような補修方法をとればよろしいでしょうか。

既に内装工事も終わりに差し掛かっております。本来であれば、基礎の型枠が外れた段階でご質問すべきであったと思いますが、もし補修が必要であれば引き渡し前に何とかしてもらいたいと考えております。
良きアドバイスをいただけますよう、よろしくお願い致します。

基礎コンクリートの気泡


同上の違う部位
 yorozuの感想 一生に一度の大きな買い物をする者にとって、このホームページは大変参考になります。
検索のリンク先がページごとではなく、直接質問に飛ぶようになっているとより見やすくなるかと思いました。
アドバイザー 
若井 俊彦 解説員の若井です

 写真を見せていただくと通常よりは、気泡の後が多く出ていますね。
建主から現場監督さんへの指示を、更に監督さんが下職に対してした指示が本当に実行されたのかがまず疑われます。
又コンクリート打設時に果たして、現場監督さんは立ち会っていたのでしょうか。
多分下職任せでは無かったのでは無いのでしょうか。

原因は打ち込み時の、バイブレーター不足だと考えられます。
バイブレーターはかけたと言ってもコンクリートを打ち込みやすくするため、コンクリートポンプ車の、コンクリートが出てくる管の部分付近のみバイブレーターをかけていたとか、型枠付近にはバイブレーターはかけなかったということも考えられます。
業者によってはこのように外部に気泡後が出来にくくするため、外周の型枠に沿ってバイブレーターをかけながら一周するところもありますので。
又お粗末な話では、バイブレーターは持ってきたが発電器を忘れて使えなかったなんて事も現場ではあり得るのです。

外周はモルタルを塗ることでコンクリートの耐久性(中性化)は保たれると思いますが、このような状態が内部までも同じだとすると、通常よりは構造的な耐力に若干劣っていると考えらけれます。
一度信頼できる建築家に見ていただいた方が良いと考えます。
 善養寺 幸子 解説員の善養寺です。

 笑ってしまうくらい気泡のでた状態ですね。バイブレーターを余計にかけたと言う状況はこの写真では見受けられませんね。スランプ18で打ったのであれば少しかけすぎると分離した感じが見受けられますが、そんな感じもありません。

 呼び強度24Nで、試験体を取っていると思いますが、それが現実どの程度強度がでているかにもよりますが、24Nギリギリ(あまりそう言うことは無いですが)で心配であれば、それ程、構造に直接的に関係ないところで、コア抜きをして現物のつぶし試験をしてもらったら良いのではないでしょうか?
 それで強度がでていないようであったら、やり直しを要求しても良いのでは?
 若井解説員の言うように表面酸化の問題はその上にモルタルで仕上げを施せば、良いと思います。

 木造の基礎の立ち上がりなどそれ程難しい内容では無いのですから、もう少し手を入れてくれても良かったですよね。型枠を木槌で叩きながら、バイブレーターの二度掛けをすれば、木造の基礎位、殆ど気泡の無いコンクリートは、さほど難しくなく打てるのですけど残念です。

 もう、今更ですが何が何だか判らなくても、打設の立会をされると結果は違っていたように思います。どうもコンクリート工事の作業者は“どかた”意識でプライドが高くありません。彼らに職人意識を持たせないと“良い仕事”になりません。施主も大工さんは重視して扱いが違いますが、土工にはあまり目もかけません。大工と同等に声掛けをして“職人”を意識させないと足元が崩れてしまいます。昔は石の上に土台を置いたので、『土台はしっかりしなきゃ』ですが、現代は基礎からホールダウン金物で、土台なんて定規替わりだったりしますので、『基礎はしっかりしなきゃ』です。打設直前に、土工さん一人一人に声掛けして「良いコンクリート打ってくださいね。」なんて言って半日立ち会われたら、俄然張り切って良いところ見せようと頑張るでしょう。契約社会となっていますが、建築って根本的に人の手による手作りなので、より良いものを望むときは、そんな気遣いも効果があります。
(毎日だと嫌がられることもあるので、要所要所で。)
 コメンテーター 
長谷川 明弘  やはりコンクリート打設時のバイブレーター不足だと思います。解説員もおっしゃる通り、コンクリートの強度試験をされることをお薦めします。とにかく強度が出ていないのは絶対に問題ですので、もしそうであれば、必ず改善することをお薦めします。
業者の方が対応してくれない等で、色々とややこしいことになりそうであれば、中立的な第3者の立場である建築士に依頼してみては如何でしょうか? 
 事務局から 
  荻原 幸雄 コンクリートは大変デリケートなものです。
プロ意識を持った集団でないと、ただ、コンクリートを型枠に流した状態のものとなります。
部分的な問題であればいいのですが、その場所にどれくらいの荷重がかかる部位なのか?
検討する必要があります。このような現象を表面の気泡過多と呼び、下手な打ち方の例になります。適度なバイブレーター若しくは突き棒でのコンクリート締め固めが足りなかったようです。
コンクリート打ちは魂を入れることが重要です。短期間に打設するのですから、気合と入魂が大切です。それは監督である管理者や設計サイドの監理者が入魂してこそ、職人も入魂するのです。

強度としては私的には木造ですし荷重も小さいのでそれほど心配はいらないと思いますが、配筋や地盤の状態にもよりますので、断言はできません。

シュミットハンマーで先ずは強度測定することをお勧めします。
コア抜きによる強度確認は正確ですが、費用もかかり、問題ないという結果がでても木造のような脆弱な基礎の場合にはコア部分が弱点にもなりえますので、最悪の状態でなければ避けましょう。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 基礎の気泡について、ご相談をお願いしましたO.Kと申します。
大変ご丁寧に解説いただき、感謝しております。解説員の方々の見解を元に、ハウスメーカーの担当と話し合うことにしました。建築のイロハもわからない素人の施主からしますと、このようなサービスは大変心強く思います。
状況の進展がありましたら、またご連絡させていただこうと思っております。また、ご相談させていただくこともあるかとは存じますが、その際にはよろしくお願い致します。
 その後  基礎の気泡の件でご相談させていただきましたO.Kと申します。
相談員の方々の見解を元に、先日、メーカーの担当者と話し合いました。
その結果、基礎の程度の悪さを認識してもらえまして、私の立ち会いのもと、こちらで指定した第三者機関による検査を実施してもらえることになりました。
スムーズに事を運べたのも、親身に相談に乗っていただいた賜と思い、感謝しております。

大変恐縮ではありますが、検査にあたり、判断基準に関して事前の見解がいただけるようでしたら、お願いできませんでしょうか。呼び強度の24N以上であることを基準とするのが、妥当なのかなと考えておりますが...。

検査方法、条件については、次のような形で実施する予定です。
・方式 シュミットハンマー
・検査場所 建物の外周部、気泡が多かった部分(現在は床下)
 ※打設からの経過時間はおよそ3ヶ月です

なお、強度に問題がないという結果が出た場合でも、コンクリートの中性化を防ぐため、床下の基礎もモルタル補修をお願いするつもりでおります。
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