本文へスキップ

一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0805 木造3階建てでの屋上は大丈夫ですか?

 相談概要 [ 氏名] Y.K
[居住住所] 大阪府大阪市旭区
[相談建物予定地] 大阪府大阪市淀川区
[職業] 会社員
[年齢] 38
[男性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[設計者はどなたに依頼しますか?] 建設会社の建築士
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 111.81
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 3400
[設計監理料] 0
[お手持ちの図面は何枚?] 1枚
[打ち合わせ何回] 打合していない。
[様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅)
[施工者] 建設会社
 相談内容 [家づくりの相談内容]
 木造(2X4)3階建て構造での屋上の設置について相談したいと思います。
かねてから大阪市内で家屋を取得しようと計画しており、やはり狭小地(20坪程度)となりますのでベランダが狭く庭がないことを想定し屋上を設置したいと考えていました。
老いた両親のことも考え、実家付近で物件を探していたところ今回の建築条件付きの土地(約20坪)を目にしました。
建築条件付きとのことで、建築業者と工法は木造(2X4)に決まっていました。(それまでは屋上を希望していたのでRCしかみていませんでした)

屋上設置のことを業者に話すと「構造的に2X4であれば可能である」とのことで2週間後、「屋上の大きさは4畳半。3階部分のみ2X10へ変更。防水にはアスファルト防水と防水シート。追加の費用は60万円程度である」との回答を得ました。

そこで、契約にあたり
・木造(2X4)3階建てで屋上を設けて構造的に大丈夫なのか。
・建物の寿命に影響しないのか。
・屋上設置にあたり3階だけを2X10の仕様にすることで本当に補強ができるのか。
・下の階も何らかの形で補強をする必要はないのか。
・屋上防水の仕様はその程度で大丈夫なのか。
 と、いうことが不安になりました。
プロの目から見て業者のいっていることが正しいのかご教授いただけば幸いです。
 yorozuの感想 自宅の建築前にこのホームページと出会って本当によかったと思います。一般の建築関係の本を読んだだけでは理解できないことがらもご指摘内容を見せていただくと「プロの目は違うな。」と実感させられます。
アドバイザー 
津村 泰夫 大阪の津村と申します

 まず、3階建てでも屋上は可能だと思います。
もちろんそれに見合った構造設計と設計どうりの施工が必要です。
私はツーバイフォーの設計経験はありませんが、どのような材料を使うかは構造計算により決まってきますので、そのとおりの部材と金物を使えば問題ないはずです。もちろん下の階の構造部材も構造計算に基づき採用するのですから何ら問題はありません。また防水の仕様も詳細が書かれておりませんが、今でしたら20年保証のシート防水などもありますので、そのような材料を的確に使用し、無理なおさまりのないよう計画することでしょう。

 市街地での木造3階建ては、防火上の制限などが厳しく、鉄骨造などにした方が良い場合が多いですから、鉄骨造にした場合のプランとよく比較をして考えてください。その結果、木造だと不利な場合が多いようであれば根本から考え直さねばなりませんね。
 業者の言っていることが正しいかどうかということはその裏付けとなる構造計算書と設計図面がきちんと整っていることが最低条件です。
 氏原 毅士 氏原です

 屋根の防火性能を考えるとアスファルト防水と防水シートでは基準を達成できるとは思いません。
特に市街地であればなおさらです。
下地材については触れられていませんが、構造用合板で上記の仕上げ(防水材料)であれば違反建築となります。

 陸屋根を作ることは構造的にも2×4であろうと在来であろうと設計次第ですが基本的な性能を無視するわけにはいかないのではないでしょうか。
メーカーに問い合わせて、防火性能を有するのかを質して下さい。
大内 彰  大内です。

 耐力的な内容に関してコメントします。
3階建てで屋上を設けることは2x4でなくとも可能です。津村解説員の言うように予め想定された荷重に対して安全に構造設計しておけば心配は要りません。
設計済みだとしたらもともとの設計でみていた余力の範囲内なのかどうかの確認をしなければなりません。 
 三浦 惠翁 三浦です

 氏原解説員の解説通り市街地において屋根は(屋上として利用する部分)も不燃材で覆は無くては違反建築になります。荷重.防水層の劣化を考えると、最低仕様でシート防水,FRP防水、シングル葺き仕上げ等の3層防水が必要かと思います。また屋内から屋上利用となると狹小住宅の間取りプラン作成によっては(階段室の取り方によって)4階建てとなり木造では建築できない事にもなります。営業担当以外に設計者とも面談し、プラン、構造をどうするか決めてください。2×4、木造、その他の構造であれ構造計算で安全が確かめられた図面の基での,見積書の提示を求めてください。
 
 コメンテーター 
山口 雅克  解説からお解りのように構造計算で安全性を確認されていれば設計上は問題ない事をお解りいただけたと思います。
 屋根は他にもステンレス防水などもありますが、屋上に上がれるようにすることでのリスクはありますので、本当に必要なのか再度検討してみてはいかがでしょうか。
費用対効果のことです。プラン上のリスクを減らして、60万円で3階以下に色々な工夫をすることもできます。 
 事務局から 
  荻原 幸雄 どんな構造・工法でも構造的な問題は力学です。
構造計算・設計・工事監理が適切に遂行されれば問題はありません。

大切なことは顔の見える人に構造計算・設計・工事監理を依頼することです。
下請けや顔の見えない設計者、工事監理者とは関係を持たないことです。

それが安心・安全な家造りの基礎となります。
必ず、設計者と工事監理者にはお会いして話を聞きましょう。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 解説委員のみなさま、ご解説ありがとうございました。

津村さん、氏原さんのおっしゃるようにもう一度、防火の面からも検討し直したいと思います。
やっぱり家族の安全が第一です。

このHPに出会えて本当によかったと実感しております。ありがとうございました。
 その後  
目次に戻る

バナースペース

一般社団法人 建築よろず相談支援機構

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107