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一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0785 契約したが、決済がおりないとのこと。

 相談概要 [氏名] T.M
[相談内容:] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 北海道 札幌市 東区
[相談建物所在地] 北海道 札幌市 東区
[職業] 会社員
[年齢] 43
[男性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦2003年 8月20日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 197.19
[延べ面積坪] 59.53
[工事請負金額] 3500
[設計監理料] 76.2
[様態] 注文建築
[施工者] ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?]受けた。
[確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[お手持ちの図面は何枚?] 15枚以下
[打ち合わせ何回] 10回以下
[床面積] 200m2以下
[施工者名] Iホーム
[販売会社名] Iホーム
[設計者名]
[監理者名]
 相談内容 [現象]
 昨年10月に対象地(212.17m2)が売りにでていることを知り、仲介不動産会社(H開発)を通じ購入する事といたしました。
土地購入の段階で2世帯住宅を建てる旨をお話ししたところ、H開発よりハウスメーカー(Iホーム)の営業マンH氏を紹介されました。(購入した土地には建築条件はありません。)
 その後、H氏の担当により建築計画・融資計画が進められました。これまでの経緯を下記にまとめます。

1.H14年12月14日 工事請負契約書(3,276万円:融資申請のための概略計画)

2.H14年12月16日 契約金振り込み(工事費の一部として200万円を郵便為替にて)

3.H15年 1月28日 土地の売買契約(約1,800万:Iホーム応接室にて)

4.H15年 5月 8日 地鎮祭、変更工事契約書(224万円:総合計3,500万円の請負契約)

5.H15年 5月13日 H氏の上司O氏が訪問 ”契約金額に違算がみつかり会社の決済が下りないため、明日(工程表の着工日)に着手出来ない。明後日15日夕刻まで待って欲しい。”

6.H15年 5月15日 未だ決済は下りない。(当方より、打開策の提示を依頼する。)

7.H15年 5月19日 約200万程度の工事グレードの減額変更4案を提示される。:拒否した。

8.H15年 5月23日 知り合いの弁護士を通じ、O氏に状況説明を求めたが要領を得ない。

9.本日(6/2)現在  当初担当者(H氏)との連絡は取れず、O氏からの連絡も無し。
現地には丁張りと工事用水道が設置されております。 
        
[業者の見解]
5/31にもIホームを訪問しましたが、O氏は不在であり、替わりの対応者もいないとのことでした。
替わりに、0氏から出先より電話があったので、書面による現状説明(中断・中止なのか、着手しない・できない理由)を求めたが、未だなんの返答もありません。私感ながら、最近は当方との接触を極力避けているようにも見受けられます。

[相談内容]
 先方から、未着手の現況に関する説明が無いことと、今後どの様に進める意向なのかも不明です。また、先方の対応があまりにも非常識であるため、何か作戦があるのではないか不安に思えます。
 私は法的な手続(建設工事紛争審査会、裁判など)により、Iホームとの契約解除を希望しますので、今後の対応と処理について御指導をお願い申し上げます。また、今回のIホームの行為は建設業の認可に係わる「不誠実な行為」に当たると考えており、指導監督機関(北海道知事)への提訴などが可能かどうかもご相談申し上げます。

 なお、このような請負者の対応や契約解除が建築業界の慣例として可能ならば、依頼業者(ハウスメーカー)をいくら変更をしても同じなのでしょうか?
 yorozuの感想 今回の事例について、半月間の間に
1.北海道消費者センター 2.北海道建設部 建設管理室 3.弁護士 4.別の建築相談HP(有料)などに相談致しましたが、このような事例があまりないこともあり納得のゆく結論がでません。
 この中で、同HPは素人の私にも理解し易く、相談フォームも整備されており有り難いです。
アドバイザー 
今井 優子 解説員の今井です。

まだ、今の段階ではなんとも判断しづらい状況です。
楽しいはずのマイホームづくりの、でだしで土がついたようで気持ち悪いでしょうし、あせる気持ちもわかります。
しかし、この業界は扱う金額が大きいだけに、一度つまづくと、その問題処理や解決に時間がかかることも少なくありません。(会社の体制にもよるのでしょうが・・・)

見積もりの違算は担当者の単純ミスだったのかもしれませんし、(どの程度の違算があったのか分かりませんが)その処理をどうするかと言うことで、約半月の時間が経ってしまうことは、珍しくないような気がします。
あなたの優先順位をきちんと伝え、(予算、引渡し日、仕様グレード、など等)前向きな話し合いをもった上で、もう少し様子を見て、色々なことを判断されては如何でしょう。

現時点では、「不誠実な行為」にあたるかどうかの判断は難しいように思います。
 清水 煬二 解説員の清水です。

ハウスメーカーというからには、組織になっているはずです。
文面では、会社としての対応も避けているかのように感じられます。
担当者、上司がこういう対応で、会社としての組織的な機能をなしていないのであれば、仮に工事が進んでも懐疑的になり、一般的な施主の立場で考えれば、不安になることも考えられます。

弁護士さんに相談されたとのことですが、何とおっしゃっていたのでしょうか?
納得できない回答というのは、どういった内容だったのでしょう。
もし、契約を解除されたいのであれば、その上司ではなく、ハウスメーカーに対してはっきり契約解除と返金の意思表示をすべきです。

あなたから直接伝えても良いですし、弁護士さんに依頼してそのハウスメーカー宛に契約解除と期日を決めた返金の内容証明を送ってもらっても良いでしょう。
その前に弁護士さんから先方に電話で通告してもらうこともできます。
まともな会社なら、これで何らかの対応をするはずです。

ハウスメーカーをどこに頼んでも同じか?というご質問ですが、同じとは思えません。
もっと、まともなハウスメーカーや工務店も、たくさん存在します。
しかし、逆も言えます。どこに頼んでも何らかのトラブルやリスクは必ず有り得るということも事実です。
 コメンテーター 
笠原 歩   契約はしたもののなかなか着工されないことは、程度の差こそあれ、そう珍しい事ではありません。

文面からは
1、このまま契約を継続し建物の完成を望むのか 
2、契約を解除しIホ−ムとの関係を切りたいのか、
を判断しかねます。

いくつかの機関等に相談をされているようですが、なぜそちらで解決が出来ないのでしょう?相手が話し合いに応じてくれないようであれば法的な対応を考えるしかないと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 契約書面には解除の項目がありますが、どのようになっているか確認してください。
扱い方によっては不利な解除になる場合もありますので、不誠実な行為か否かは慎重な判断が必要ですし、客観的な不誠実の行為の事実の証も必要になります。

今回の顛末がどのような理由なのかは相手の対応をみていると見積の落ちがあったとのことですが、ここで契約書の見積内容の明細と図面仕様の不一致があったとのことですが、この解決には両者とも誠意をもって解決を図る必要があります。

一方的な契約解除はまだ、時期尚早だと思われます。これにはやるばかりにあなたが誠意をもって解決する意志がないとみなされると不利になります。

先ずはあくまでIホームと契約しているのですから会社に対して今回の顛末の説明を内容証明で出してください。その場合は返答の期日も示してください。

その反応をみて、次の行動に移してください。

現在の段階でどこに相談しても明快な回答がでる状況ではないので、焦らないで慎重に一歩一歩進んで解決を諮りましょう。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 今井・清水・笠原解説員、荻原様

多数の相談の中より貴重なアドバイスを頂き大変ありがとう御座いました。
取り急ぎ、その後の経緯をご報告いたします。

6月 4日 Iホーム社長宛にメールにより現状の説明を要望する。
6月 5日 N住宅本部長より、6/10までに今後の対応を返答するとのメールあり。
6月10日 旭川在住のT弁護士を立てるとのメールあり。
6月12日 電話にて早急な説明を依頼したところ、旭川に出向き説明を聞くようにとの返答。
6月19日 当方より、Iホームとの工事請負契約の解除を内容証明にて通知。
6月20日 通知通りに履行するとのメールによる解答。丁張りと給水設備は同日撤去。

現在、解約確認書などを含む事後処理を、弁護士と相談しながら行っております。

私の文章表現が悪いため解説員の誤解を招いたようですが、当初、弁護士からはIホームの状況説明および意向を聞かないと法的な措置はとれないとのことであり、約1月間にわたり訪問・電話・メールなどにより、同社からの状況説明を要望してまいりました。

しかし、北海道にて降雪前に住宅を完成するためには、これ以上の交渉時間を経過させる訳にはいかないと判断し、当方より請負契約の解除に踏みきりました。

今回の事例において、未だ納得がいかないのは以下の4点であり、

1.建築工事において請負者(Iホーム)には、依頼者への説明責任(アカウンタビリティー)は存在しないのか?また、それを強制させる団体、機関は存在しないのか?
2.建築工事請負契約における工事費用の積算ミスは請負者側の瑕疵ではないのか?
3.今回のIホーム担当者の対応は、ハウスメーカーなどでは良くあることなのか?
4.契約を締結したあとで着工が遅れることはあるが、その状況を説明しない施工業者に工事を続行させる施主が存在するか?

私も土木設計コンサルタントにて設計業務に携わっており、積算ミスは良くあることですが、その瑕疵を認めないで済まされることは無く、今回のIホームの対応は異常と考えます。

一部の業者とは言え、未だこのような業者が建設業界に存在することに驚くと共に、今後の建設手法選定(ハウスメーカー、建築士、工務店等々)に多大な不安を覚えます。

最後に、各解説員の皆様の一層のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
色々とありがとう御座いました。
 その後  
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