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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0774 リフォームの前の耐震診断の判断は?

 相談概要 [氏名] G.Y
[居住住所] 愛知県一宮市
[相談建物予定地] 愛知県一宮市
[職業] 教員
[年齢] 53
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[設計者はどなたに依頼しますか?] 専業の建築設計事務所
[何階建て] 平屋
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 25
[工事請負金額] 1500
[設計監理料] 100
[お手持ちの図面は何枚?] 無い
[打ち合わせ何回] 打合していない。
[様態] 注文建築
[施工業者はどちらに依頼しますか?] 特に決めていない。
 相談内容 [家づくりの相談内容]
私は愛知県在住のG.Yと申します。
 現在、母屋が築34年2階建て木造軸組工法の住宅に家族4人で住んでおります。
家は延べ床面積64坪で平成元年に瓦の葺き替え工事をし、一昨年シロアリ防除をし床下換気扇を入れてあります。
 母屋以外に築90年の倉庫が建っており、総敷地面積は200坪ほどになります。

 さて、母屋の外壁や玄関のリフォームが必要となり近隣の工務店や住宅メーカーのリフォーム部門に相談をして検討を始めました。東海地震や南海地震の報道もあり、営業マンに質問をすると母屋に使われている24センチのケヤキの大黒柱や43センチあるべいまつの梁を見て、まず壊れることはないとのことでした。

 しかし、念のために耐震診断の資格を持つ一級建築士に有料で調査を依頼しました。結果は100点満点のところ13点で倒壊の恐れ有りという報告が届きました。
理由は、筋交いが確認できないこと、基礎が弱いこと、壁の量が不足などです。
 診断結果は理解できますが、日々生活をしていて感じるのは水、湿気に十分注意をしていれば、よほどのことがない限りはまだ30年や40年は住むことは出来ると思います。
 今後どうするか、建築士や工務店の話を整理するとつぎの3点になります。

1.母屋に愛着はあるとは思うが、母屋を壊して地震に強い家を新築する。
その方が安全な家が出来るし、今後安心して住むことが出来る。
また、母屋の維持管理費を出費することはない。永い目で見れば経済的。

2.母屋に使用されている部材は、現在簡単に手に入るものではない。
壊すのはもったいないし、環境保護の立場からも、耐震補強をして母屋に住んだ方がよい。

3.同じ敷地内に築90年の倉庫があるので、それを壊してそこに平屋で25坪の新築をする。母屋は必要最小限の耐震補強をして新しく建てる平屋の家とは廊下でつなぐ。
以上3案あります。

 私としては、第3案が望ましいのかなと思っています。
基本的には建築士に依頼する予定ですが、どのようにしたらいいか何かよいアドバイスをいただけないでしょうか。
よろしくお願いいたします。
 yorozuの感想 クレームが最も多い業界の一つが建築業界だといわれています。
建築に関して専門的知識がほとんどない素人ですので、もっぱら建築に関しての書物を読んでおります。
新築、増築を近いうちにしたいと考えておりますが、こうした建物に関しての相談コーナーは大いに心強いものです。
今後大いに参考にさせていただきたいと思っております。
アドバイザー 
関口 啓介 名古屋の関口です。

耐震診断は現行法に基づいての確認作業でありますので、20年以上前の建物であれば、殆どが倒壊の恐れがある事になります。
まず、どんなに立派で堅牢な建物でも、ズレを伴う断層の真上にあれば倒壊するでしょう。新しい耐震基準を満たしたものでも阪神大震災では倒壊しております。

新潟地震を経験したある構造家が、地面が波を打って、ぱくぱく口を開けていたと言います。あのような状況では建物が壊れない方がおかしいと言っておりました。
地震体験車に何度か乗りましたが、震度7では、あぐらをかいて座っていると、ぴょんぴょん30〜40センチ飛びはねるのです。お尻が痛くてたまりませんでした。こんな地震が来たら、家などは壊れてもしかたないかとも感じたものです。
自然のエネルギーの前には、人間の知恵や技術はいかにも無力に感じるものです。

現在のお住まいの構造がわかりませんが、筋違いや壁はなくても、まぐさや力貫、梁の通しほぞや柱の長ほぞなどで、力を充分に持ちこたえる構造になっているのかもしれません。
また、基礎が無筋や、石であったり、緊結がされていない事によって、場合によっては地盤の地震力を直接伝えずに被害を少なくする事もありえます。
こうすれば大丈夫と言う補強は、非常に難しいものです。現行法が全てあっているかどうかも、現象や場所、状況によってはわかりませんし。

しかし、最低限ご家族の生命は守りたいものです。腐ったり、シロアリに食われているところは勿論換えて頂かなければなりません。まずは元の力に戻してあげるところから始めましょう。改修設計については、きちんとした設計事務所に依頼しましょう。許可も資格もない業者が、危険を煽り仕事を取り付け、高額であまり意味のない工事をするところもありますので、お気をつけ下さい。別棟を建てるべきかどうかについては、何とも申し上げれません。しっかりとした建物で、きちんと手を入れた上であれば、東海地震・東南海地震の想定震域からは、そう近くはない事からも、地盤さえしっかりしていれば、大丈夫かもしれません。何が吉と出て、何が災いするかは、わからないものです。
藤井 修  名古屋の藤井です。

建物の耐震については関口解説員の言われる通りだと思います。
ご質問は改築するか新築するかでお悩みのようですが、まず耐震補強は建物の強度を上げる為のもので工事後の使い勝手は改善されることはありません。

高い工事費を使って邪魔なところに壁が出来たりします。母屋に愛着があり良い材料が使ってある建物という事で新築と同じくらいの費用はかかりますが、軸組だけを残しそれをもとに新しく設計する方法もあります。
いずれにしましても専門の建築家とよく話しあってご自身で結論を出すことをお勧めします。
 コメンテーター 
畔上 廣司 私も地域の耐震診断員委嘱で年6回お手伝いしていますが、築20年以上の建物は現行法上すべて0.7未満の判定で、「倒壊または大破壊の危険があります」と診断されます。
耐震診断結果は昭和56年5月31日以前に着工したものに対してほとんどと言っていいほどNGとなりますが、これは以前に着工したものは以降に着工したものと耐震性の建築基準が異なっているからです。
確かに長い目で見れば経済的で地震に強く安全な家は必要でしょう。しかし、必要最小限木材を無駄なく使うことが環境循環型社会に繋がって行くとの主張は理解できますし、この辺り非常に重要な問題だと思いますね。

私ならば25坪の平屋建てを造る予算で、少々大変ですが母屋の耐震補強工事を行い、24cm角の欅や43cmの米松など自然材を生かした補強設計、その他使用できるものは徹底して再利用したいと考えます。これは設計者の手法や創意工夫のもとどうにか納まるものです。
家族が安全に楽しく住まうためのトータル的な設計構想、これを示してくれる建築設計事務所に出会ったその時、実現に一歩近づくことになるでしょう。  
そして、我が家を生かし環境保全に考慮した思いを大切にして頂きたいと思います。 
 事務局から 
  荻原 幸雄 手前味噌になりますが、『我が家を手に入れる前に読むQ&A80』という本を
当ネットワークで出版していますが、リフォーム編では『我が家をリフォームする前に読むQ&A80』が6月9日発売(山海堂 定価1700円税別)されます。参考になるので、ご購読ください。

リフォームは構造を含めて現行法に適合させる必要があります。
構造的認識のない業者はNGです。柱が太いとか、築何年なら大丈夫とか営業的に話すとしたら、建築や人の生命を軽視した行為である。そのような業者とは縁を切りましょう。

新築とリフォームとでは設計や工事監理は圧倒的に新築のが楽ですし、リフォームのがそれらの能力が高くないと本来はできるものではありません。

全面リフォームの場合コストも通常の場合は新築並かそれ以上かかる可能性は大きいものです。
ですから新築か全面リフォームかの選択は悩めるところですね。

あなたの場合は同じような柱や梁で建てるのでしたら、リフォームのが安いと思われます。
個人的には新築と同じ金額だとしても、再生し、耐震補強して、屋根組みを利用して楽しい家がリフォームできるだろうと思われます。また、そのような家の変化を今後は地球レベルで実現されることが環境にやさしい地球の実現への近道と思われます。

楽しい家づくり目指して頑張ってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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