相談概要 | [氏名] I.A [相談内容:] 近隣のトラブル [居住住所] 千葉県市川市 [相談建物所在地] 千葉県市川市 [職業] 会社員 [年齢] 30 [女性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 2003年6月20日 [公庫は使わない] on [性能保証を使用] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 92.46 [延べ面積坪] 27.916 [工事請負金額] 1714 [設計監理料] 0 [様態] 注文建築 [施工者] 建設会社 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。 [確認申請の為の委任しましたか?] した。 [確認申請書お持ちですか?] 無い。 [検査済証は有りますか?] 無い。 [お手持ちの図面は何枚?] 10枚以下 [打ち合わせ何回] 15回以下 [床面積] 100m2以下 [施工者名] Tリビング [販売会社名] Tリビング [設計者名] H.T [監理者名] K.K |
相談内容 | [現象] 上棟後、隣家(その隣家にとってうちは裏側(北側)にあたる)より施行業者に出窓、バルコニーの張り出し部分が民法の50cm離さなければならないという規程に反しているとのクレームがありました。(実際出窓、バルコニー張り出し部分から隣家との境界線まで50cmありません。)隣家側はその時施行業者に工事の一時中止を求めました。この工事中止の目的は工事が進んでない状態での仕様変更の費用が安く済むと考えてのものであると考えられます。しかし施行業者はこの件に関して私たち建て主に連絡のないまま2日後工事を再開しました。 更にある程度工事が進んでからこのクレームに関して私達に連絡があり、業者担当者と私たちとで隣家との話し合いをしました。隣家側の要求するところは張り出したバルコニーを切除して欲しいというものでした。 特に、隣家から隣接する部分に関しては着工前に相談があっても良かったのではないかと言う主張もありました。 下記にある業者の見解上これにかかわる費用負担は私達建て主と隣家にかかると言ってきています。そもそも隣家側に張り出したバルコニーの構造は設計段階で私達も疑問に思っていた為、設計者に聞いたところ1階居室の真上にあたり排水の為構造上仕方がないものだと説明を受けました。しかし、クレームを上げている隣家のバルコニーも居室の真上にある構造でしたが、張り出しを設けずに排水できる構造にしている事があとでわかり、私達が受けた設計者の説明にもやや疑問があります。 このようなやり取りのあと、結局施行業者は工事を進め、私達がクレームの件についてどうなっているのか伺ったところ、全く連絡を取っていないことがわかり再度連絡をしてクレームについて処理してもらうよう頼んだところ隣家側は同様の主張とその後の業者からの対応の遅れがあった為怒ったのか更に出窓のガラスを曇りガラスにするように主張してきました。 [業者の見解] ・建築確認を取っているため業者側に費用の負担義務はない。 ・同様に建築確認を取っているため仕様変更の義務はない。 ・施主側の要求により仕様変更は受けるのでその費用(70万程度)は施主負担になる。 ・事前に隣家への挨拶には行ったが留守であった。(本当かわかりません。) [相談内容] 初期の段階での仕様変更にかかわる費用ならまだ金額も少なくて済んだと思いますが、上記のような場合業者の連絡の不手際が費用の増大に大きく関与してると思われます。 仕様変更に伴う費用の負担は誰がするべきなのか?また早期での仕様変更が可能であったにもかかわらず業者の対応の遅れ、また予め隣家との確約書を貰わずに工事を着工した業者に手落ちはないのでしょうか。 隣家側は場合によっては訴えを起こすことも示唆しています。そうなった場合、私達に過失等はあるのでしょうか? |
yorozuの感想 | このHPでは建築家の方だけでなくその他の方たちからの解説がついていて親切でした。 アドバイス宜しくお願いいたします。 |
アドバイザー | |
清水 煬二 | 解説員の清水です。 文面からするとひどい業者に思えますね。 普通は、地域的に廻りが守っていれば、民法上の50センチの事前説明を施主に行いますし、クレームが来たらどうなるかも話をしてくれます。良識ある業者ならそういうプラン自体を避けるでしょうね。そういった話は全くなかったのでしょうか? 「注文住宅」とありますが、本当にそうなのでしょうか? 建築条件付きか建売のフリープランではないですか? 今回、この業者の一番問題なところは、隣家からのクレームにもかかわらず、施主に報告することなく工事を続けたことにあります。隣家の方には過失があるようには思えませんし、隣家の主張は出窓のガラスの件を含めて守られている地域では、当然の主張です。 その地域の他の家の建て方の状況はどうなんでしょうか?それによっても見解は変りますが、施主にも過失が全く無いとは言えないでしょう。ですが、今回の文面からすると業者にも過失はあると思いますし、やり直しの費用を業者が全く負担することなく済むとも思えません。 ルーフバルコニーのはね出しの部分は、実際に見ていないので断定はできませんが、一般的な例に限って言いますと、排水上そうした方が雨漏れしにくいということであり、はね出しがなくても、できないわけではありません。 幸い工事完了前で残金を全額払っていないタイミングでしょうから、納得がいかないようでしたら、弁護士さんに具体的に詳しく相談したほうが良いでしょう。誰になるかわからない無料相談よりは、弁護士会に適任の方を紹介してもらい、1時間当り1万円程度の有料相談で具体的にアドバイスをもらう段階のような気がします。 |
畔上 廣司 | 野田の畔上です。 各自治体では、建築確認申請のときに、建築基準法とは別個の民法の規定について、隣家とのトラブル防止のための注意事項として、リーフレットなどでPRしています。 この度の施工業者の対応はお話になりません。一番初歩的な設計ミスを侵しています。 注文住宅ではほとんど見られない珍しいケースのようですね。 ご存じの通り、改めて条文を挙げ考察しますと、民法234条 建物を築造するには、境界線より50cm以上の距離を在することを 要す。 これは外壁、出窓等の外面より、隣地境界線まで50cm以上の距離を確保しなければ、竣工後1年以内であれば、隣家の取り壊しの請求の権利を認めたものです。対策としては、事前に隣家の承諾を取っておく必要があったということになります。 民法235条 境界線より1m未満の距離において、他人の敷地を観望すべき窓を設くるものは目隠しを附することを要す。これは、隣家が境界線より1m以内の開口部に対し、目隠しの取付を請求する権利を認められたもので、対策としては、設計にあたり建築主と十分な打合わせが必要であったことになります。 と、建築設計は敷地関係の調査・道路・設備等、周囲の状況や条件など、基本設計の時点で、全体的な検討や計画が成されていなければなりません。 建築確認申請者はI.Aさんですから、基本的に隣家に対して責任はあります。しかし、建物を依頼された設計・施工業者はI.Aさんとの契約上の責任が重大です。 再度、業者へ仕様変更に伴う費用負担等について要求し、対応が進展しないようでしたら、各市町村で定期的に行われている弁護士の建築無料相談などにご相談することをお勧めします。 |
コメンテーター | |
しぶかわ かよこ | 民法上の規定は、その地域の慣習によります。 設計者は、民法を守るべく計画を行いますが建築主の理解の上民法を満たせなければ、工事前に隣家への説明が必要だったでしょう。 また対策にかかる費用は、建築主が負担するのが通常です。 以上は一般論ですが隣家との問題の前に、施工会社との問題です。 施工会社が報告をせず工事をすすめたことは、落ち度といえますので施工会社も一部負担すべきものと思います。 I.Aさんの負担がなくなるわけではないとご認識の上で費用分担や、70万かかる仕様変更のほかに別の対策がないか、設計監理者、施工会社と十分ご検討ください。 施工会社とコンセンサスがとれる対策があるはずです。 その上で誠意をもって具体策を提示し、隣家の方と話合われてはいかがでしょうか? (この場合、監理者、施工会社も立会うことは必要です) |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 建築する前に我が家を手に入れる前に読むQ&A80を読んで欲しかったですね。 民法は建築主の義務ですので、あなたに責任がきてしまうことを知りませんでしたか? 善良な第三者に対する責務を建築主自身にあります。何故なら、確認申請は建築主が申請するのが原則ですが、通常は建築士に委任します。この委任を受けませんでしたか? 第三者に関しては対抗するのは難しいでしょう。しかし、委任した覚えもサインもしてないのならこれとは別に申請代理人に責務があります。その前に設計者があなたに民法に問題を説明しなかったのは資格者として欠落している行為であると思われます。 民法234の責務はこの場合施工者ではなくあなたです。 この点は再度自覚してことにあたってください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | たいへん遅くなりましたが回答ありがとうございました。 色々アドバイスを頂き参考になったと共に私自身大変勉強になりました。 現在建物のほうもなんとか完成して入居も済ませております。 ここに至るまでの経緯を簡単ですが以下に記載させていただきます。 まず、よろず相談の回答を受け自治体の建築相談に聞いたところ、自分で建築許可を出しているせいか違法性はないとの見解でした。つまりは民法上の問題は当事者同士で話し合って欲しいということでしょうか? このまま状況が悪くなる(隣家がわからの風当たりが強くなる)ようであれば具体的に弁護士などに相談しようとも考えましたが一度隣家の方と話し合いをしたときに私たちの状況を伝えたところ、やはり業者が悪いとの見解をお互いに確認することができました。実際に住むようになってからお互い住みにくくなることも予想されるので法的な手段に頼ることはしないほうが良いと考えました。 また、隣家の方はその話し合いの中で、結局は業者の態度、やり方に憤慨しているところで私達と共に被害者であるとの認識となり、その矛先は業者に向くようになったことで少し安心することができました。 しかし、問題となるのはやはり民法上の問題であるため業者と隣家との問題というより、私達と隣家との問題となってしまうことです。 業者としては、違法性は無いの一点張りなので工事は淡々と進んでしまいましたが隣家から業者のほうには度々バルコニーを切れないのかとの要望が伝えられていました。 (業者の主張としては近隣の家はわりと接近して建てられており、またバルコニーは軒先と同等の考えである為違法ではないと考えているようです。) バルコニーを切ることになるとその費用負担については業者の見解上当事者同士での負担となり、その費用も大きいものとなってしまいます。 これを受け、隣家の方には折れていただき代わりということになりましょうか、出窓のガラスを曇りガラスにすることで今回の問題についてなんとか解決といいますか和解することができました。 今回の件では業者の不手際がとても多く、それによって私達は大変な労苦を強要されました。 特に、重要なことに関しての説明が抜けていたことに関しては本当に心外です。 ただ、私達もこのような大きな買い物をするに当たって、勉強不足だったことは否めないところであり反省するところであります。 少し本をめくればわかるようなことだったので悔やまれてなりません。 今となっては、平穏に暮らせるようになったので幸いですが、もしも次に家を建てるようなことがあったらこのようなトラブルはないように勉強したいと思っています。 本当に色々なアドバイスをありがとうございました。 |
その後 | 以前、そちらの相談室にて建築中の隣家から民法に出窓、バルコニーが50cm空いてなく苦情を受けているという相談をさせていただいたI.Aと申します。 その節は大変貴重なアドバイスありがとうございました。 さてその後なのですが、改めて建築業者にクレーム対応と担当者の変更をお願いしまして隣家の方に今まで対応の遅れまた、不手際があったこと等謝罪していただいてなんとかバルコニーの張り出し部分はそのままということになりました。 出窓に関しては透明ガラスをスリガラスに変えてほしいという隣家の要求どうりにしました。 (二重ガラスをもう入れていたので入れ替えにはかなりの金額がかかってしまう為、私達側で入居前にガラスに不透明になるシートを貼り付ける形となりました。) 先月末に無事引き渡しとなり入居いたしました。 隣家の方ともその後は普通に接していただいてます。 今更ですが業者選びをもっと考えなければならないと痛切に感じました。 次回はもうないかもしれませんが参考にしようかと思っています。 今回の相談で本当に救われました。 市の建築相談に相談しても色々なところにたらいまわしにされ納得いく相談ができなかったので助かりました。 大変だとは思いますがこれからも頑張って相談コーナーは続けてください。 |
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