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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0769 医院開業での質問

 相談概要 [氏名] U.U
[居住住所] 千葉県我孫子市
[相談建物予定地] 千葉県我孫子市
[職業] 医師
[年齢] 36
[男性] on
[構造] わからない
[設計者はどなたに依頼しますか?] -
[何階建て]
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 55.87
[工事請負金額] 1200
[設計監理料] 0
[お手持ちの図面は何枚?] −
[打ち合わせ何回] −
[様態] 賃貸マンション
[施工業者はどちらに依頼しますか?] 大工(工務店)
 相談内容 [家づくりの相談内容]
子供が発熱等で急病になったとき、共働きの家庭では仕事がともに休めないため、無理やり座薬をいれて熱を下げて保育園に預けてしまう両親がたくさんいます。そして、そのようなお子さんのなかで時々重症になってしまい、取り返しの付かない自体を多々みてきました。そのようなことがきっかけで、今回、病児保育室(診療所併設)を設立し、急病になったお子さんを預かり、適切な治療も施してあげようということになりました。

しかし、このような施設の設計・施工・監理を医療専門の業者に相談したところ、約4000万との回答でした。しかし、そのようなお金は残念ながらないため困りはてていたところに、知りあいの大工さんが趣旨を理解していただいて、設備等すべて込みで1200万でしていただけることになりました。しかし、大工さんも医院建築には全く素人で、医院建築を行うにあたって準拠しなければいけない法律の詳細がまったく分かりません(一応しらべたのですが・・・)。一応、自分たちで調べた範囲での疑問を書きます。

1.薬事法では、調剤室は2坪以上ないといけないのか?
2.調剤室には手を洗う水場と、薬を流す水場は別々につくらないといけないのか。
3.調剤室は完全に周りから隔離して換気装置をつけないといけないのか(受付と調剤室が一緒になっている診療所を見かけますが)。
4.建築基準法において、保育園や診療所は光(?)or風(?)を取り入れる部分が、敷地面積の1/7以上ないといけないのですか?
5.消防法において、保育園や診療所は耐火構造にしないといけないのか?

以上が調べた範囲での疑問です。これ以外にもあれば教えて戴ければ幸いです。
本当ならば、趣旨を理解して協力していただける(相談だけでもいいです)建築士さんがいらっしゃたら紹介していただければとおもいます。もちろん有料ですが私のポケットマネーからなので、あまりお払いできませんが・・・。(現在、病児保育を立ち上げるため病院を退職して、建築資金をためるため日々アルバイト生活です。ですから、20万位が限度です。)(病児保育は年間1000万以上赤字の出る事業ですが、これを診療所の収入で補おうと考えています。ですから、利益を追及しているものとは違うということを理解していただければと思います。)宜しくお願いいたします。
 yorozuの感想 なかなか設計事務所の敷居は高く感じられて(教授室に入る感じですか・・・)相談しにくい面があったのですが、hpだと気軽に相談できて良いです。とかく、資金に困っているわれわれには、無料の文字が助かります。
アドバイザー 
氏原 毅士 氏原です

 小児保育(入院?)を含む診療所との事ですが規模や内容が不明ですから、4000万が高いのか1200万が安いのかの判断は困難です。
 医院専門と称する一部業者の価格設定が高いのは事実です。
MSや薬品業者に相談されたのではないですか。

 意気に感じた大工さんの好意もありがたいのでしょうがこれも問題山積でお勧めはできかねます。
 お尋ねの様な内容は当然知った上でないと1200万などと言う金額が出るはずは無いと思ってください。
 診療所の薬局は最低では鍵のかかる薬品庫だけでも成り立ちます。診療内容によって、どこまで調剤の必要があるのかを示す必要があります。分包だけで良いのか、水薬まで作る必要があるものなのか?
 調剤薬局として処方にもとずく薬品販売まで収益に見込むのかなどです。

 小児は大人の小型ではありません。(釈迦に説法です)
 保育施設で発病するのと医院に発症した状態で来院する子供とは根本的に扱いが違うはずです。
 感染症対策や院内消毒のような技術的な部分は多少の知識さえあれば建築は可能ですが施設運用にかかわる事項も知った上で工事を行わないと単なる風邪を罹患した子供に他の病気を発症させる事にもなりかねません。

 採光や換気の件ですが、敷地面積ではなく床面積に対して有効な(ここがポイントです)開口面積が採光で1/7。換気が1/20。排煙を1/50の確保が求められます。これは大工さんでも当然知っていないといけない最低の知識です。

 収益を度外視し困っている若い親子を助けるという理念には同感できますが、20万で設計監理や医院建築のノウハウを求めることは困難と思います。
 善養寺 幸子 解説員の善養寺です。

 保育園に子を預ける働く母として病児保育室の価値はとても感じますが、もう少し冷静になってください。勢いで事を起こすような内容のことではありません。
 建物が建てばどうにかなるような次元の話ではないのです。
施設として機能し、継続して運営を成り立たせていくことが重要なのです。始めたらその社会責任を負わされるのです。ご自分は、霞を食ってでもやる遂げるお気持ちなのは理解できますが、全ての人がそれでついていけるのでしょうか。本来この施設が重要であれば、もっと人が賛同してくるでしょうし、本来は行政も動かなくてはなりません。金銭的なこと、経営運営の方法を冷静に考えて頂きたいと思います。

 毎年、1千万円も赤字が出てそれを診療報酬で補填すると言う考えかたが既に破綻しているように思います。診療報酬というのは年間1千万円以上の純利益と言う黒字の出るものなのですか?自分の食いぶちもままならない商売をしている一般人には想像できませんが、お医者様は本当に儲かる商売なのですね。
もしこの様な利益が出なかったら何で補填するのでしょうか?良いことをしているとしても無賃では誰も働かないでしょうし、保険の不正請求に走るようなことがあっては、それこそ許されないことです。本来は、その保育施設の運営の中で、もっと方法を検討すべきと思われます。

 建築とは離れた話になり、大きなお世話でしたが、建築の方を見ても1200万円の工事費で55坪建物となれば坪単価は21.8万円です。設備を含む建築費として異常な金額だとは思われませんか?材料費にすらなら無いのではないでしょうか。建築は大工独りで出来るものでもない、全ての業者が無償で働くのでしょうか?それで病気の子供を引き受け、まともな診療所が出来るのでしょうか。ベニヤ張りの小屋のような建物が想像され、堺市のシック保育園どころじゃないのでは?と考えてしまいます。

 本当にご自分の行為が必要で重要なことと思われるのなら、法人などを設立し、行政からも援助を受け、資金提供者をつのり、順当な形で事業を進められることをお奨めします。その上で設計監理を、保育園や診療所を得意とする設計事務所に正当な価格で依頼し、表裏のない正式な請負契約によって施工を行った方が良いと思われます。

 心意気に賛同してくれるのなら寄付金や出資金を別に頂いた方が良いと思います。 単なる口約束のいい加減な方法で作るべき施設ではないと思います。私にはこの建物が、座薬を入れて預ける行為と変わらない危険なものに思われて仕方ありません。
 きつい言い方となったかもしれませんが、もう少し広く勉強して頂いてから行動に移して頂きたいと思います。建物でも病気になる事をご存知でしょうか?
 コメンテーター 
しぶかわ かよこ 工事金額1200万円、設計料20万円で抵抗力の低い病人や幼児に対して、十分な配慮ができるのでしょうか?
たとえば、院内感染やシックハウスに対する対策は建築基準法、医療法、児童福祉法などを順守するだけでは、問題解決とはなりません。
初期投資をなるべく小さくしたいお気持ちはわかりますがそれを、工事金額や設計監理料の圧縮により解決するのではなく規模を縮小する。資金が集まるまで延ばす。
という方法にすることはできないでしょうか?
開院後問題がでてから、手直しすることは簡単にはできません。
それこそ高くつくことでしょう。
十分なご検討を望みます。 
 事務局から 
  荻原 幸雄 多忙な小児科で昨今、小児科医を敬遠する傾向にある中での広い志は感心いたします。
また、今後も大いに期待したいところです。
ただ、大きな志ではありますが、その大志に於けるアプローチが小粒になっているように感じます。

先ず、医師という資格は国家資格です。何故、国家資格なのかはご理解しているでしょう。
では建築士はなんでしょうか?あなたと同じ国家資格者です。国家資格を得るということは業務独占権を得ることなのですが、これが資格者だけに与えられている特権です。
国は業務独占する変わりに資格者に収入という見返りを与えられて生活の事実上保障をし、資本主義理論の弊害である持つ者だけを優遇してしまう可能性を排除し、国民全体が平等にその利益を甘受できるように考えている上での資格です。(建築士は貧乏ですが・・・。)

よく考えてください。私達建築士の病気になれば医師の治療を受けます。実は行きたいなんて人はいないのです。仕方なく行くのです。それは資格者としての腕を信じて通います。
医師という職業は患者さんの健康と命を精神的、肉体的にケアすることにあります。

建築も同様に精神的、肉体的ケアをするのは同じです。少し奇異にかんじるかもしれませんが、家というのは精神的な要素が大変大きいものです。欠陥建築、騒音、振動、設備の不具合などそれらの多くは精神的なダメージを受けるものです。それが日常として続くことを考えたときにそれでノイローゼになる人もいますし、それが原因で離婚する夫婦もいます。

また、肉体的にはシックハウスなど適切な材料を使用しないと健康を害するものがあり、喘息、アレルギーなどコビや化学物質過敏症などで、命まで危うくなった子供もいます。また、大地震による構造的な裏づけ無には決して家はできません。構造計算というものが重要です。これが不備であることは多く、また、その意味も理解できない大工も多いものです。この不備によって大地震が来た時にあずかった子供達を地震でしなせたらどうしますか?建築には命の問題が大きく作用しているのです。子供達の為に保育園をつくるという気持ちは理解できますが、その気持ちが建築設計事務所は敷居が高く、設計監理料はもったいない。という考え方と大きく矛盾があります。

もっと冷静に考えてください。とても大工に依頼するには危険です。
間違いなく後悔するでしょう。断言できます。
ここは謙虚に我々建築士の意見を聞き、建築も含めた、本当の保育園+診療所を考えてください。

今後の小児科医としてのあなたの成長を大いに期待いたします。
頑張ってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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