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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0762 レンガのシミは?

 相談概要 [氏名] S.D
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 北海道札幌市北区
[相談建物所在地] 北海道札幌市北区
[職業] 会社員
[年齢] 28
[男性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦2003年 3月 26日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 112
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 2100
[設計監理料] 33
[様態] 注文建築
[施工者] ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[お手持ちの図面は何枚?] 10枚以下
[打ち合わせ何回] 10回以下
[施工者名] Jホームズ
[販売会社名]
[設計者名] Z.S
[監理者名] Z.S
 相談内容 [現象]

地元のあるハウスメーカーにて施工。今春引渡しが完了したものです。
外壁材は、見た目がとてもよく劣化もしにくいなどということで他の部材より150万ほどアップしますが、レンガを選択しました。(オーストラリアA社製)施工範囲は1階部分の全周で、ガルバレール下地にレンガをはさめていき目地を埋めて仕上げるものです。レンガの色は4種類ほどあり、なかでもクリーム色が気に入り、それに決めました。

引渡し1ヶ月ほど前、外壁が完成し足場が外れたので見に行くと、レンガに金属の焼け焦げのような茶色や銀色の水玉模様が無数に付いていました。範囲は全体の6分の1ほどでしょうか。すぐに監理者(といってもそのハウスメーカーの人)へ画像つきでメールをしたところ、とりあえず調べてみます、とのこと。
その後なんの返事もなく、1ヶ月が過ぎ引渡し立会い日。こちらからどうなっているかたずねました。

レンガの写真を一緒に送ります。

[業者の見解]

監理者と担当営業いわく、レンガは自然なものですからしょうがないです。
さらに監理者がレンガ製造のA社にも確認をとったらしいのですが、自然なものなのでどうしようもないとのことでした。
自然ものにしては著しく景観を損ねるものだったので、貼り替えて欲しいと申し出ましたが、自然なものの一点張りで、発注してもまた水玉模様のが来る可能性もあるし貼り替える意味がないなどとつっぱねられました。選んだ色がクリーム色だから目立つんだなどとも言われました。

[相談内容]

外壁材をクリーム色のレンガに決めるとき、パンフレットの写真やモデルルームにある実際に貼ってあるものを見て決めました。もちろんきれいなクリーム色でした。レンガ製品は多少の色むらがあるのは自分の知識としてありましたが、メーカーからは汚い水玉模様のような焼きむらがでるかもといった説明は一切受けていません。

これは本当に自然な焼きむらなのか?
レンガ会社やハウスメーカーに過失はないのか?
無償で貼りなおしでもらえるのか?

教えていただきませんか?
よろしくお願いいたします。

黒の斑点模様のタイル


 yorozuの感想 このたび家を建てることになってから、色々勉強しようとネットで検索しているうちにこのHPを見つけました。とても参考になり助かりました。
今回の相談も誰に相談したらいいものかと思っていましたが、こちらのHPを思い出しお願いしてみようと思いました。
アドバイザー 
氏原 毅士 解説員の氏原です。

 タイルの品質の問題でしょうが、粘土に含まれる金属成分と焼成時の酸化具合による模様と考えられます。
 国産タイルの品質管理ではこんな事はありえないと思いますが輸入品では文句のつけようがないでしょう。
輸入建材を選択する場合の問題点の見本のようなケースです。

 タイルのような加工品でも石に代表される天然素材でも日本と外国とは考え方が根本的に異なっています。
 以前韓国産の石を検査しにソウルまで行った事がありますが、石としての品質が確保されるなら仕様を逸脱はしていない。言い換えれば多少の色ちがいは当然であると言う見方にびっくりしたものです。
 日本ならいったん全部を並べてパズルのごとく色合わせをするものだと話すとびっくりしていました。

 タイルでも同様で、品質が一定であれば焼きむらは許容範囲と言われるはずです。
 割れでもない限り輸入品では致し方ないと考えます。
 輸入タイルでもイタリア製はもっと厳格な管理をしている様です。それでも役物と呼ぶ出隅や入り隅の特殊タイルはありません。
今井 優子  解説員の今井です。

 写真を見る限りでは、レンガの製造過程で何らかの原因で着いた、または発現したもののであることは確かのようです。
 さて、ここからが問題なのですが・・・。

 日本のメーカーの場合、このような製品はまず出荷されません。商品にはなり得ないと判断します。
 しかし、自然のもので?製造過程でどうしてもこのようなものが出来てしまうのですから、その分のコストは商品として出荷される分に上乗せされています。
 多くの海外メーカーの場合、多少の(日本人の感覚ではとても多少とは思えないものも多いですが)色違い、しみ、大きさ違いなどは許容範囲として商品として出荷します。製品のロスが少ないので、その分のコストが上がることはありません。
 どちらの仕組みが良いのかは、意見の分かれるところだと思います。

 外国製品を正規代理店や商社を通して入手する場合、現地価格の2倍〜3倍の価格になりますが、これは日本人の美意識的許容範囲と外国のそれとが著しく差があるために、日本で発生するロスを見込んで価格設定しているからなのです。(もちろん事務経費も入ってますが)
 ところが最近、価格破壊に伴って、個人輸入やハウスメーカーが海外製造元から直接輸入したりという事が多くなり、現地価格とそう変らない値段で商品が手に入るようになりました。
 しかし、それは色々なリスクがあることを、よく認識しなければなりません。 それをあらかじめ説明しないメーカーの姿勢も良くないとは思います。
 価格破壊も結構ですが、物の値段には意味があるということを、もう一度考えて欲しいと思います。

 今回の場合、海外のレンガ会社に日本の価値観で責任問題を言っても埒があかないでしょう。
 ハウスメーカーは美観上の配慮に欠けていたと言えるかもしれませんが、過失とまではいえないのではないでしょうか?
 美観については、主観的なものでハッキリとした規準は存在しません。
 無償での貼替えを一方的に要求するよりは、貼替えにかかるコストを分担する形でなら話し合いが可能ではないでしょうか。
 コメンテーター 
善養寺 幸子  自然素材というものは難しいものです。木材ならそれぞれの色も木目も1本1本異なりますし、節の状態も違います。レンガなどの焼き物の場合、製造過程においての 天候や温度湿度にも影響され、色ムラや変形などが起こります。それを風合いと呼ぶのか不良品と呼ぶのかはそれぞれの人の感覚の様です。「節がある方が本物の木らしい。」と言う人もいれば、「醜い。」と言う人もいます。輸入タイルの焼きムラや変形を好んで選ばれる方もいます。日本人はどちらかと言うとその様な風合いより製品ムラのない統一された物を志向するようで、INAXや東陶など大手メーカーは釉薬(陶器の上に仕上るガラス質)で色を付ける方法を減らし、釉薬で色が付いたかのような印刷を施した製品を多くしています。自然の風合いガラス質のムラを美しいと思う私にとっては、イミテーションの色ムラのタイルは、同じムラの繰り返される“気持ち悪い商品”なのですが、メーカーに言わすと、消費者のムラ(釉薬のばらつき)があると言うクレームが多すぎるので、イミテーションの方が多くの消費者はその方が綺麗に見えて良いのだそうです。(本物のゴッホは絵の具がゴツゴツと醜く、印刷されたゴッホの方が絵の具の立体もツルッと平らで、気泡や抜けた筆の毛もなく美しい!というところでしょうか。例えが変かな。)

 シックハウスも社会問題化し、この夏法制化されますが、これも消費者が統一された表情の工業製品、メンテナンスフリーを望んでの新建材の使用し、その流れがプリントや突き板合板の多様、何でもかんでも塗装すると言う作りになり人間の健康を害した家づくりになってしまった要因があると思います。

 自然素材志向の私には写真を見る限り、美観を損なうと言う感覚はよく解りませんでした。建物全体のデザインが判らないので、トータル合っているかどうかの判断は出来ませんが、個人的には鉄粉を含んだ土が焼かれて酸化した跡があり、土を焼いたレンガの本物らしさが愛おしいくらいで、敢えて指定してしまうかもと思います。
 レンガのこれは人間のほくろの様なものかも知れません。製造過程上、多い奴もいれば全くない奴もいる。それを出来が悪いと切り捨てて日本人はゴミの山を作っているのです。私は捨てられるような方が好きですが。

 折角選んだ輸入タイル。ちょっと視点を変えてみてみたらいかがでしょうか。良いと思えば、“痘痕もえくぼ”。はるばる日本まで縁あって働きに来たのですよ。
 ご近所の方には本物のタイルを貼ってある羨ましいお宅なのではないでしょうか? 
 事務局から 
  荻原 幸雄 輸入タイルがこのようなものであるという説明をしなかったところに大きな問題があると思います。監理者と担当営業もこのようなことに認識がなかったことが今回の問題を産みました。

この説明不足もあるのでしょうが、あなたを惑わしたのはモデルハウスの同じ色の同じタイルを見ているからです。ここではハウスメーカーはその斑のものを外して施工したものと思われます。モデルハウスを作るときには外したとしたら、ハウスメーカーもこの斑は一般の方には抵抗があるだろう。(売れないだろう)と判断したのだと思われます。ですから、あなたが誤解するのも仕方ないですよね。

モデルハウスを造ったときにすでにこの斑がでることはこの会社は知っていたことになります。ですからその理由を社員に教育すべきであったと思われます。
少なくとも、「このタイルは斑のものを外したものです。」とか「このタイルには斑が出る場合もあります」と説明すべきでした。

よく話し合ってください。

多分業者はタイル輸入元メーカーに確認しているはずです。そこで「輸入タイルは斑があり、このようなもので仕方ない」と説明を受けたと想像します。

その回答を今更ながら鸚鵡返しにあなたに説明したのでしょう。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 こんにちは、先日ご相談させていただいたS.Dと申します。
とても、ご丁寧な解説をいただきまして、大変ありがとうございました。

輸入レンガってそうなんですね。勉強不足で今回の解説で初めて知りました。
たしかにしみは多少ある分には、自然な風合いでよろしいかと思いましたが、北側1面(写真は北側壁のものです。)にほとんどが集中していたので、バランス的に見栄えが悪く感じたのかもしれません。
今回の解説で、このレンガが不良品ではないと分りましたので、貼替えの請求などはしない方針です。

ただ、レンガを選択したとき事前にハウスメーカー側より
●輸入レンガなので、色むら、シミが発生する恐れがありますが、不良品ではありません。
●モデルルームやカタログには、そういったものが入っていないものを使用しています。
よろしいですか?
と一言確認されていれば、このようなシミを初めて見たときも驚きもしないで、納得していたかと思います。

スナック菓子の袋にも書いてあります。黒い点などがみられるのは、製造過程での焦げであって、異物ではありません。と..買主はお金を出して、売主より商品やサービスを買います。
事前に商品やサービスの十分な説明をするのは商売の基本だと思います。
また、買主もその商品やサービスについて十分勉強をする必要もあるかと思います。
とても気に入ったハウスメーカーだったので、これからもがんばって欲しいです。

この点はハウスメーカー側に強く伝えておこうと思います。
今後同じような悩みのユーザーが出ないとも限りませんので...

こんな些細な相談にとても丁寧にご解説いただきました先生方、大変ありがとうございました。
 その後  
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