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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 0759 外断熱と内断熱は?

 相談概要 [氏名] K.H
[居住住所] 東京都練馬区
[相談建物予定地] 東京都練馬区
[職業] 主婦
[年齢] 35
[女性] on
[構造] −
[設計者はどなたに依頼しますか?] -
[何階建て]
[延べ面積m2]
[延べ面積坪]
[工事請負金額]
[設計監理料]
[お手持ちの図面は何枚?] −
[打ち合わせ何回] −
[様態] −
[施工業者はどちらに依頼しますか?] −
 相談内容 [家づくりの相談内容]

はじめまして。
断熱の方法の情報に混乱しています。話題になっている外断熱、駄目といわれているグラスウールを使った内断熱。 いくつかの疑問があります。どうかお教えください。

1. 内断熱でグラスウールを使ったものだと必ず内部結露を起こし、家を腐らせてしまうのですか? 内断熱でも結露を起こさせないためにはどういう方法があるのですか?

2. 冬はもちろん暖かくすごせるほうがいいのですが、我が家は夏はクーラーが大の苦手です。汗をかきながらでも窓を開け放して生活するのが合っています。 このようなタイプには外断熱はもったいないことでしょうか?

間違った断熱をすることによって内部結露を起こし、家が数年で傷んでしまうことが私自身いちばん避けたいことなのです。よろしくお願いします。
 yorozuの感想 本、買いました。とても読みやすく、これから家造りをするためのバイブル一号になりました。
不安でいっぱいの家造りのスタートに、心強いサポートを見つけたうれしさでいっぱいです。
ここでしっかり勉強して、立派な施主になってみせます!
アドバイザー 
善養寺 幸子 解説員の善養寺です。

 東京ですし、この様なご相談の方には仕事の依頼をしてもらいたいものです。(笑)

1.については 無計画なグラスウール断熱でも方角や、水回りの配置位置などによって、幸いにも結露しない事も少なからずあるかもしれません。
 ただ、グラスウールだけが悪い訳でも内断熱(木造の場合、充填断熱)が全て駄目という事ではありません。
 内断熱の場合でも室内側にきちんと気密層を設けられれば、グラスウール断熱であっても結露は防げると考えられています。
 ただ、私の個人的な感覚では、この内断熱の気密工法は「簡単じゃない」と思えます。内断熱の気密施工とは、室内側をビニールシートで密閉し梁などの廻りは全て気密テープでとめ、コンセントボックス、スイッチボックス、配管貫通部を全て気密施工する訳ですから、最近のホームLANやコンセントの多い住環境では100箇所以上その様な部分があり、それを全て正しく施工されているかを確認する監理の方も大変で、職人にそれを理解させ、施工させるのは難しいと言う理由で内断熱を止めてしまいました。

 内断熱でもグラスウールを用いなければ、話は少し違います。
 壁内を調湿性能の高い断熱材で充填することで結露を防ぐ工法を用いる方もいます。
様々な方法はあるので、それなりの解決策はいくらでもありますが、ただ、その分だけ聞いて対処しても良い方向になるかは解りません。蒸気の発生場所やその対処方法も合わせて全体計画がされなければならないと思います。
 専門技術的な事なので、心配されるのであればその事を理解して設計してくれる設計事務所を探された方が、対処策の情報を探すより確実な手段かも知れません。

2.については どちらが贅沢かの尺度は解りません。同じ性能を作るならグラスウールの内断熱の方が遙かに手間が掛かって贅沢の様にも個人的には思えます。私は外断熱の方が楽に性能を作れるからと言う理由で採用していますので、何とも言えません。
 ツーバイフォーなどで作られる高気密住宅は、エアコンなど機器が前提で省エネルギーと言う発想ですが、私などの作っている在来軸組工法での外断熱住宅では、基本的には機械の使用を最小限にするために、温度差換気や通風換気を前提に風道を考えて計画します。外断熱に限らず高断熱は、夏の熱の取り入れ方を間違えるとオーバーヒートを起こしてしまう(室内側の建材に熱が蓄熱してしまい高温を保ってしまう)問題点があります。ですから、日射遮熱や夜間換気による蓄冷などパッシブ建築のノウハウがないと効果は出ませんし、ともすると逆効果になってしまいます。

 ただ、家は耐久性能だけの問題ではありません。時間経過の暮らし向きに合わないと、耐久性は残っていても建て替えの必要が出てきてしまうのも現実多々です。
設計事務所と言うのは、言われた通りに間取りの図面を描いているのではありません。
専門的な知識、第三者としての客観的なアドバイスなど相談の積み重ねで、施主には想像できなかったような、より良いものを具体化して提供します。施工技術の知識についてもそこいら辺の施工業者より遙かに持っていると感じます。(監理者ですから)

色々悩むより、始める前なら一所懸命、良い設計監理者を見つけることが一番の安全策で、幸運なことで、安上がりと私は思ってしまいますが。
木津田 秀雄  相談員の木津田です。

 断熱工法について、ここ数年いろんな人がいろんな立場で物を言っていますので、きちんと頭を整理していないと専門家でも迷ってしまうように思います。建築主自身がよく分からなくなるというのはもっともだと思います。

 さて、外断熱派の方々は、グラスウールを使った充填断熱では、壁内結露を起こして家が腐ってしまうと言います(と言う人もいます)。確かに風呂場周りや台所周りでそこが北側など条件が悪いところだと壁内結露を起こしますし、グラスウールには吸放湿性はありせんので、一旦湿ってしまうと吸水した状態になり、断熱性能が下がるほか、断熱材自身が重くなり壁からズレ落ちたり、湿り気が壁の中に滞留して木材が腐食したりすることがあります。
 しかしきちんと室内側に防湿シートを貼り、室内で発生する水蒸気を壁内に入れないようにすれば、グラスウールによる充填断熱でも問題は起きません。

 外断熱でも別にグラスウールを使っても良いのですが、実際には壁厚を薄くするためもあって、プラスチック製の板状の断熱材を使用することが多いようです。この板状の断熱材は、断熱材自身に吸水性がないので、あまり室内の水蒸気を気にしなくても良いという利点はあります。

 私は温暖地での場合は、吸放湿性のある天然素材の断熱材を使うことで、グラスウールのように室内の水蒸気が壁内に入っても瞬時に結露水となって現れるのではなく、吸放湿を繰り返すことで、水蒸気が水になることを避けるという特徴を取り入れて建物に使用しています。その場合には、室内側に防湿シートは施工していません。しかしまだまだ自然素材系の断熱材は高価ですので、その辺りに価値観を見いださないとなかなか一般的な物ではありません。

 しかし室内にできるだけ吸放湿性のある仕上げ材を使うことで、水蒸気のコントロールができれば、かなり違ってくるかと思います。ただしそのような場合でも在来工法によるお風呂の場合は、防湿シートを室内側に使用しています。

 夏の暑さ対策には屋根の断熱が効きます。どうも断熱の考え方が冬中心になっているようで、省エネ基準などでも夏の日射対応が不足しているように感じます。夏涼しく過ごすことをお考えであれば、方位による開口の大きさ、屋根の通気や断熱などに注意をして設計してみると効果がでてくると思います。注意が必要なのは、あまりに高断熱にした場合に、夏に窓を開け放した生活をしていると、室内にこもった熱気が出てゆかないということがあります。断熱のレベルも極端に高くする必要はないと思います。(夏も窓を閉めてクーラーを使うという人はまた別の考え方になりますが)

 いずれにしても、それぞれの工法にはそれぞれの特徴があり、一概にどの工法が良いとか優れているとか言うのは難しいです。温熱環境に詳しい建築士を捜して色々と相談されてみてはどうでしょうか?残念ながらハウスメーカーなどは、自分のところの工法については詳しい(当たり前ですが)のですが、他の工法の悪いところしか言いませんし、なかなか説明を聞いても難しいと思います。それに対して建築設計事務所の場合、施主との話し合いで建物の構造も断熱の工法も検討しますので、どのような考え方でどのような工法になっていくのかが理解しやすいかと思います。
 コメンテーター 
大内 彰 私の居私見ですが、断熱は完璧を目指すとそれなりに工事費が嵩みますが、殆どの部分で断熱性能が向上すると思いますが見落としがあると致命的な欠陥を引き起こす可能性が高いように思います。個人的には高気密にして外界とのつながりを断絶してしまうのは馴染めません。

解説員のコメントの中に室内の仕上に吸放湿性のある材料を用いると効果があるということがありますが、これってゴムカッパをTシャツの上に着るよりも長袖のシャツを一枚着た方が気持ちいいのに似てますね。
解説になっていませんが・・・・・・ 
 事務局から 
  荻原 幸雄 ご心配な点、ご理解できます。
住宅に関しては、この国では様々に理由から法的な規制が緩和されておりました。
構造的な問題はようやく最近木造にも法的な規制がかかるようになったのです。
その考え方は偏心率に近い考え方です。(正式な偏心率ではありません。)以前から構造を重視するわたしには建築基準法では合法でも、木造住宅以外の建物と同じように偏心を考慮しないと、倒壊すると主張していました。しかし、それは構造に詳しい建築士だけの少数派でした。その後淡路阪神大震災が起きて多くの木造が倒壊し、人命が失われました。その後にやっと偏心の考え方が法規に導入されました。人命が失われその代償として基準法ができた。なんたることなのでしょう。

倒壊した建物を設計した人がいまでも建築士や設計者として暢気に設計監理に従事しているとしています。彼らには本来として建築主の生命と財産を守るという意識が欠落しています。
法律がそれを保護しているのですから、やるせない話です。
しかし、構造的な偏心の話は導入されたのですが、階の剛性の考慮(層間変形率)は未だに対応できていません。この部分は構造に強い建築士しか未だに判断できませんのでご注意ください。

さて、断熱のお話も難しいのですが、はっきり言えば、外断熱や高気密は近年のものであってほとんどの建築士はそんな家に長期的に(建築は20年くらい経ないと結果はみえてきませんので)設計者は長く住んだ経験もないし、未経験ゾーンなのです。ですから、思想的な部分での発言が多くなることに注意が必要なのです。未経験ゾーンなのですから必ず実験される。という意識を持って受入れることが大切です。結果責任は依頼者にあるからです。

断熱の話はここでの言葉だけでは駄目です。建物を総合的にどのように断熱し、どのように性能を維持するか、を考慮して決定しなければなりません。勿論、予算もありますね。それらの組み合わせで最大の効果のあるものの選択が必要です。物事にはデメリット・メリットの両者が必ず存在します。それらを部分的に解説するのは誤解の上に誤解を重ね、よろしくありません。

また、設計者の断熱知識の能力の問題もありますが、施工者(現場監督)の能力も重要です。
職人さんはほとんどが残念ながら専門職なのでトータルでの判断ができません。いくら職人さんを捕まえてセミナーや説明会を開いて説明しても設計監理者の気休めにしかなりません。
また、いくら設計者が理論を述べても現場に毎日いるわけではありません。(通常1週間に1度の部分検査)監督も毎日いると思っているとかんじるでしょうが、住宅では通常1週間に3〜4日程度で数時間いる程度です。
大きな現場は現場事務所があり、常時監督がおりますが、通常の住宅ではみなさんも現場事務所なんてみたことがないと思います。常駐はしないのです。現場事務所を設けて常時監督に見てもらいたければ相当の費用を負担する必要があるのです。

このような現場や職人の現実を捉えた時に机上の空論になりかねないので、その上での解説とご理解ください。

上記のことを踏まえて、

1)ではグラスウールでも適切に設計、施工すれば内部結露の心配はありません。
その方法はいろいろあります。

2)なるべく自然の通風を考えたときに外断熱という選択よりも自然な風、自然な素材と考えてください。
土壁の話は大袈裟かもしれませんが、夏でも涼しいですよ。

以上曖昧な記述ですが、断熱や通風には個別解があるということをご理解ください。

では、よい家を!
相談者お礼状 
 相談者お礼状 それぞれ、素人にもわかりやすい説明でした。ありがとうございます。
内断熱か外断熱か?に一つの答えがないことがわかりました。
それに、良い設計監理をしてもらえれば、きっと断熱のこと以外でも住み心地のよい家が出来上がると確信しました。
土地もまだ見つかっていないし、自分にあう建築士さんも決まっていないのに、なんだかワクワクしてきました。 
 その後  
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