相談概要 | [氏名] M,T [相談内容] 分譲マンションの瑕疵 [居住住所] 東京都豊島区 [相談建物所在地] 東京都豊島区 [職業] 会社員 [年齢] 44 [男性] on [構造] 鉄筋コンクリート造(ラーメン構造) [引渡し年月日] 西暦 2000 年 1 月 20 日 [公庫使用] on [性能保証を使用] on [何階建て] 8 [お住まいの階] 6 [延べ面積m2] 90 [延べ面積坪] [工事請負金額] 7300 [様態] 分譲マンション [施工者] 建設会社 [マンションの総戸数] 30戸以下 [施工者名] T建設 [販売会社名] N不動産 [設計者名] [監理者名] |
相談内容 | [現象] マンションの駐車場のコンクリートの部分に多数のクラックが発生した。新築後の2年点検(2002年2月)のときに建築会社の修理を要請したが、この程度のクラックは異常ではないとのことで現在に至る。 [業者の見解] N不動産の見解:一番大きいクラックが発生した箇所は補修をするという返答があった。他の箇所はクラックの幅が0.2mm以下なので修理の必要はない。また細いクラックに補修財を注入するのは困難で、補修によってコンクリートの美観が損なわれる。 [相談内容] 以下の内容で、有料でも結構ですので現地の視察及び助言をお願いしたいと思っております。 1)N不動産の主張するクラックの幅が0.2mm以下であるという箇所を再測定する 2)駐車場のコンクリートの状態を検査し、状態が許容範囲か修理が必要かなどの助言写真は別途メールでお送りしますので、よろしくお願いいたします。 床の亀裂 |
yorozuの感想 | インターネットで手軽に相談できるので大変便利だと思います。 いろいろな相談について料金の目安になる一覧表のようなものがあればよいと思います。 |
アドバイザー | |
樽 一弥 | 解説員の樽です。 まず確認しておきたいのが依頼者は組合か個人か? 保存行為ということで個人でもかまわないが、共用部であるため組合が交渉の当事者が望ましい。 さて、クラックですがコンクリートは初期の硬化段階で膨張収縮を繰り返しますのでクラックがない状態にすることは例外を除いて難しく、その判断は防水性からみた部分と耐久性からみた部分に大別できます。 結論から言うと駐車場の床という事ですから耐久性が主となり通常0.3mmを超えないように設計目標値を定めています。(鉄筋コンクリート造のひび割れ対策指針・同解説)耐久性向上技術さらに加えると日本コンクリート工学協会では補修の要否の中間値として0.2mmで判断基準としている。 以上を前提として床のクラックが構造的なものか、乾燥収縮に伴うものかを判断する必要がありますが、なぜ補修が必要かというと、最も大きな目的は鉄筋の防錆ですので床のクラックが表層面であれば問題は小さくと思われます。ただ、一般的には全断面に及ぶ個所が推測されますので、これについては詳細調査が必要でしょう。 念のため、分譲マンションの場合、契約時にアフターサービスが付加されていると思いますが,この基準には構造的機能的に影響のない亀裂は除外されています。 いずれにしてもクラックの問題は瑕疵の立証が極めて困難であり、調査結果については精度や検証内容もさることながら、相手との交渉を大きく左右しますので冒頭の依頼者の立場を明確にし、できれば組合の中で業者の提案を検討し、上記の各基準値を念頭の上さらに検討が必要か否かを協議されたら如何でしょうか? ご要望の駐車場床「状態が許容範囲か修理が必要か」各基準、アフターサービス基準により通常は補修は構造的要因以外は不要というのが一般解でしょう。 又、仮に必要と考えられたとしても個人的には0.2mm以下のクラックに対して圧入で補修したとしても、場所が駐車場であり振動その他の条件を考えれば意味ある補修とは思いませんが・・。 床は床版なのかな?土間コンクリートだったりして・・。 調査依頼みたいですが、依頼者と調査検討する側との認識を一致させる必要があると感じました。 |
古賀 保彦 | 解説員の古賀です。 現地及び設計図書、施工時の状況等を確認してみないと分かりませんが、補修によってコンクリートの美観が損なわれるから補修しないというのではなく、補修が必要なら補修し、合わせて美観上の対処を検討された方が良いと思います。 他の解説にもありますように、まずその原因を探ってから対処方法を検討された方が良いでしょう。 マンションの場合、1F床下を設備配管で利用する際には床下をピットとするケースが多く、この場合には床下からも床版を点検する事ができますが、床下を利用せず土間コンクリートとしている場合には、床下地盤の転圧不足や床下地盤が沈下している事も考えられます。その他様々な原因が考えられますが、いずれにしても上記の確認や観察を経た上で、構造耐力上支障がありそうな場合には、構造計算の検証や破壊・非破壊検査等が必要になってくるかもしれません。 今回ご希望されている現地検証のみでなく、この様な次のステップの調査や販売・施工会社等との協議に専門家が立ち会う必要がでてきたりするかもしれませんので、そのあたりの事もご考慮された上で管理組合としての方向性をお立てになられた方が良いと思います。 また、管理組合が主体となってひび割れが収まっているのか、進行しているのかを継続的に観察する事も大切だと思います。 現地確認の他、第三者専門家の意見を交えて今後のご検討をされてはいかがでしょうか。 |
コメンテーター | |
大内 彰 | クラックが入っているのが構造スラブなのか土間スラブなのかで対応が違ってくると思います。土間スラブであれば耐久性のみを考えて補修すれば良いでしょう。しかし、これが構造スラブであれば、このクラックは問題でしょう。荷重に対して耐力不足が原因でクラックが入ったものなのか、それ以外の原因なのかを特定しなければ対応が変わってきます。 第3者の意見を基に業者側と協議すべきだと思います。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 「コンクリートは収縮してクラックが生じるもの」と施工業者は異口同音にいいます。 それも間違いではありませんが、原因が違う場合もあります。 解説のとおり、構造的、施工的、使用的、仕様的、設計的な総合的判断が必要です。 現段階で下に利用している空間がなければそれほど心配する必要はないと思いますが、これが初期で今後進行することもございます。 よく観察して、半年ほどしてクラックの巾が広がるか?確認ください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | 無料でこんなに相談にのっていただけるなんて、感激しております。 当方のマンションの理事会で検討し、立会い検査などをご相談するかどうかを決めようと思っています。 今後ともよろしくお願いいたします。 |
その後 |
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