本文へスキップ

一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0746 マンションの前に送電線が

 相談概要 [氏名] K.Y
[相談内容] 分譲マンションの瑕疵
[居住住所] 大阪府交野市
[相談建物所在地] 大阪府枚方市
[職業] 会社員
[年齢] 33
[男性] on
[構造] その他の構造
[引渡し年月日] 西暦2003年12月1日
[公庫使用] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 41
[お住まいの階] 15
[延べ面積m2] 90
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 4300
[様態] 分譲マンション
[施工者] 建設会社
[マンションの総戸数] 300戸以下
[施工者名] H
[販売会社名] K電鉄
[設計者名] T工務店
[監理者名]
 相談内容 [現象]
はじめまして。ご相談よろしくお願いします。

【相談】
説明不足または説明とちがうため、マンション契約を破棄し、契約金を返金してもらいたい。

【内容】
2001年9月にしたがマンションの購入契約をK電鉄と交わしました。マンションから10メートル先に送電線があり、私は承知していていました。

非常に気になり何度も質問しましたが、マンション契約を行う前のK電鉄の営業担当の方の説明では、
・健康には全く問題がない。
・部屋の中には電磁波は通過しない。
・WHOの基準は満たしている。

ということでした。また、そのときはK電鉄側は送電線が健康を害する可能性があることを説明しませんでした。

私はそのことを信じて契約しましたが、最近の研究結果などを見たり、大阪府門真市の送電線問題(白血病患者が多い)のを見るとその言葉が信じられなくなり、契約を破棄しようと思いました。

[業者の見解]
ガンの可能性があることの説明を受けていないため、契約破棄の連絡をし、契約金の返金を申し出たが、K電鉄側は全く問題がないし、現在でもWHOの基準を満たしている、健康には全く問題がない、と言い契約金は返すわけには行きません、という返事でした。
また、もし子供がガンになったらK電鉄は保証するのかという問いにも、健康には全く問題がないので保証する必要がないという返事で話にもなりません。

[相談内容]
説明不足または説明とちがうため、マンション契約を破棄し、契約金を返金してもらいたい。
裁判を行わずに解決したい。
 yorozuの感想 非常にありがたい相談HPです。
大きな買い物をする前にもっと勉強すべきでした。
このHPをみてもっと勉強したいと思います。
アドバイザー 
津村 泰夫 交野市在住の津村と申します。枚方変電所の近所に住んでおります。

対象となっているマンションは、中層部の北側至近距離を高圧線が通っており、ご心配はもっともなことです。

送電線の電磁波による健康被害については諸説があり、決定的な結論は出ていないように思います。ただ、強い電磁波は有害であるのは間違いなく、たとえば電子レンジの中に指を入れてスイッチを入れると大やけどをします。電磁波の強さは電圧の高さに比例し、距離の二乗に反比例します。また高い周波数の方が影響が大きいとも言われています。ですから数十メートル離れた高圧線よりも携帯電話や電気毛布の方が影響が大きいと言った意見もあります。例として、1センチ離れた100ボルトの電気毛布と10メートル離れた100万ボルトの高圧線を比べた場合、電磁波は電気毛布の方が100倍大きいことになります。なお、ご相談いただいたマンション北側の高圧線は27万5千ボルトです。

門真市の白血病の件は保健所では確認できておらず、門真市の市会議員さんに問い合わせましたが、「そのようなデーターはいっさいなく、私たちも電磁波計を買って測定しているが、具体的な根拠はつかんでいない。影響があるというデータがあるのなら教えてほしい」ということでした。

ただネット上などで調べますと、50%の確率で影響があるといった記事がありますので、分譲会社との交渉の際にそのような記事やデーターを出されて「安全が確保されていない」という主張をされてはいかがでしょうか。分譲会社側でも具体的な資料を出して「安全である」証明をしないといけないと思います。

なお、該当マンションの北側を高圧線が通過しておりますので、北側居室について一定の遮蔽をおこなえば、問題はないと思います。
窓ガラスは網入りにするとか(もちろんなっていると思われる)いうことですが、たまに窓を開けるくらいは問題ないでしょうし、網戸にもワイヤーを使った網を張れば問題ないと思います。一定の回り込みもありますが、ご心配のようでしたら現地での電磁波測定をされたらいかがでしょうか。
氏原 毅士 電磁波の影響は賛否両論の議論の真っ最中といったところでしょうか。
例をあげると「今はやりのIH調理器」は通電を開始するとガウスメーターは完全に針が振り切れます。(恐ろしいほど振れます)

 携帯電話の比では無いことを知らしめるべきと思っています。
ほかには津村解説員の言う電子レンジもさることながらヘアードライヤーが意外に大きな発生源であることも知られています。

 高圧送電線はもとより通常電圧の配電線でもフレミングの法則に従い電磁波は発生します。
ただし、これが人体に影響を及ぼすかは、議論があるが結論は出てはいません。

 宇宙から降り注ぐ放射線が人体に影響を及ぼすなら人類の生存と繁栄は無かったのではないかと思われますが、今だ解明されないテーマですから今後の研究解明を待つ意外に無いのでは。
 これを主因とした契約解除は困難と思います。
 コメンテーター 
清水 煬二 IHヒーターが妊婦には良くないと指摘する声があっても、相変わらず好調に売れているようです。電磁波の問題だけでなく、他にも未知の内容はたくさんあるのが現状です。シックハウスひとつについても今年ようやく法令で義務付けられる予定ですが、まだまだ未知な部分もあり不充分とも言われています。
建物よりももっと恐ろしいものが野放しになっているとの指摘もあります。
すべてを規制するのは、未知の部分も多く不可能のようです。
それだけに送電線が近くにあると思うとなおのこと心配になりますね。

送電線がすぐ近くにあることを知らせなければ重要事項の説明不足と指摘できる可能性がありますが、そのことが健康に問題ないと言い切っても相手側に過失があると認められるのは困難かもしれません。

今回の件については、法的に問題を指摘するのが困難なため、押し問答だけで終わる可能性があります。裁判を起こしたとしても、他の入居者の関係があり、業者側も簡単には認めようとしないでしょう。裁判はしなくても、法的に本当に過失がないかを、念のため弁護士さんに相談されてもよいかと思います。

解説委員のコメントが大変参考になると思いますが、健康にどの程度影響があるのか、それは他の危険要因と比べてどの程度なのか、それを最小限防ぐ方法はどのようなものがあり、それは可能かをもう一度お考えになり、完成までに時間があるようですので、資料を集めて業者と交渉するしかないと思います。
解説員の指摘のように電磁波測定をするとお互いが納得しやすいでしょう。

最悪の場合、状況によっては、ご家族の安全を考えて契約金の放棄も選択肢のひとつに入れて考える必要も出てくるかもしれませんが、以上ご参考にして下さい。
 事務局から 
  荻原 幸雄 電磁波の問題はこれから検討されていく問題であると思われます。
スェーデンでは送電線からのある距離には建築してはいけないという法律で規制している国もあります。アメリカでも規制を法制化しようという流れもあります。
昨年、日本でも電磁波の影響を調査することになりました。
現在はまだ、法制化するまでのデーターは揃っていないという状況です。

法制化するにはこの国では大変な時間がかかると予想されます。
もし仮に、何らかの影響があるとすると、その対象の範囲は市街化地域ではあまりの住戸に及ぶ可能性もあるからです。また、因果関係を証明するには膨大な関係住人のデーターが必要でしょうし、携帯電話・電子レンジ・IH・モーターのある機器などの送電線以外の電磁波のこともありますので、総合的な判断が必要になると思われます。

結局、現段階の日本ではまだ解明されていない。また、その法律もない。
故に、電磁波を根拠に解約は難しいのではないかと思われます。

唯一、法律がなくても訴訟で、海外の文献をもとに専門家・弁護士と強調して因果関係を証明して、その正当性を判断してもらう方法があります。

しかし、この問題では3年ほどは訴訟期間が必要でしょう。
残念ながら購入前に情報を入手して判断して欲しかったところです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 Kと申します。
ご返答ありがとうございました。

相談の件、弁護士と相談しましたが送電線が健康を害することを証明することが難しいため、裁判を起こすと不利であると言う回答を頂きました。
多数の方がそのようにお考えになっているため、非常に苦しいと感じております。

海外では、危ないものには規制していく風潮がありますが、残念ながら日本にはそのような風土、風潮がないということだと思います。
薬害エイズ問題、大阪西淀川喘息問題、C型肝炎などの解決に長い期間が必要な問題を発生させ、残念ながら被害者の中には亡くなっている方もいらっしゃり、企業の利害を優先する姿勢は変わらないのかなと感じております。

皆様のご意見をいただき、そのような国に住んでいるため、危ないものには近づかないほうが賢明かなと思いました。
(確かに電磁波が健康を害するということはわかりません。)

ということで、手付金を手放す覚悟で相手と交渉したいと思います。
(K電鉄が分譲地を持っており、そこを購入することで手を打とうとも考えています。)

いろいろご意見を頂きありがとうございました。
 その後  
目次に戻る

バナースペース

一般社団法人 建築よろず相談支援機構

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107