相談概要 | [氏名] F.T [相談内容] 注文住宅の瑕疵 [居住住所] 神奈川県逗子市 [相談建物所在地] 神奈川県逗子市 [職業] 地方公務員 [年齢] 50 [男性] on [構造] 木造(その他) [引渡し年月日] 西暦2002年9月21日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 97.15 [工事請負金額] 2,100 [設計監理料] 31.5 [様態] 注文建築 [施工者] 建設会社 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [18確認申請の為の委任しましたか?] した。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] 無い。 [お手持ちの図面は何枚?] 15枚以下 [打ち合わせ何回] 10回以下 [施工者名] (株)K [販売会社名] [設計者名] H.K [監理者名] H.K |
相談内容 | [現象] 階段の蹴上げが25cm(最低24.8cm〜最高25.5cm)あります。踏面は24.7cmですが、オーバーハングが3cmあるので、実質21.7cmです。1間半(2,730mm)に11段の階段です。引渡しまでに何度となく上り下りはしていますが、まさか蹴上げが建築基準法違反となっているとは疑いもしませんでした。引越し前にどうも疲れる階段だなという気がして、旧宅の階段の蹴上を測ったところ21cmだったため、インターネットなどでも調べた結果、基準法では23cm以下でなければならないことを知りました。暮らし始めて毎日上り下りをしていると、特に上りの際に疲れを感じ、下りの際には膝にガツンと負担を感じます。 契約の際の図面は、1/100の平面図、立面図の2枚だけでした。立面図は、外観図のみで内部の寸法などはありません。確認申請書の平面図には蹴上げ211.5mmとなっていますが、これは建築許可庁の神奈川県横須賀土木事務所の建築指導課の担当者から確認申請上は何cmですか?と聞かれてそういった項目があるのを知ったものです。建築中、詳細な平面図、立面図を要求したのですが、なかなかもらえず、だいぶ出来上がったときに1/50の平面図、立面図、伏図、プレカット図をもらいましたが、階段の形状がわかる図面はもらっていません。 2002年10月5日に蹴上げが高すぎるので、直してほしい旨のメールをし、翌週には2段増やせば21cmの蹴上げとなるはずと図を作成してFAXもしました。11月17日になり、県から指導を受けたので案をもってきましたと、私が提案したとおりの内容で作図してきましたが、費用は出してほしいとの申し出でした。その後、階段改修工事の見積もりとして1,499,400円のものを12月21日(やや不確か)に持ってきました。 社長は大手住宅メーカーの営業上がりで、後から聞いた実際に施工した大工の話によれば、1級建築士は、この家を設計する直前に前の人と入れ替わりで入ってきたとのことで、その他の営業も他業種からの転職で、建築のことを知らない人ばかりとのことでした。大工は設計図は25cmになっていて、高すぎると建築士に言ったけど設計図どおりにやれと言われたそうです。なぜ、直し案のように13段で21cmの蹴上げの階段ができるのに、わざわざ25cmの階段の設計図にしたのか、理由を聞いても会社は何も答えてくれません。 [業者の見解] 蹴上げの高さは、いろいろと打ち合わせで内容が変わる中でそうなった。引渡しまでに何度も自分で階段を上り下りして引渡しを受けたのだから、階段の高さは納得しているはず。建築基準法の基準に合うようにとの県の指導があったので、基準内となるように直しはするが、県は是正の指導をするのみで、費用を誰が持つのかまではかかわらない。この家はいろいろと手がかかり、すでに赤字になっているし、引渡しをした後の直しなのだからやるなら追加工事として費用を払え。というようなことを言っています。 [相談内容] 県土木の建築指導課は当初電話をしたときには、当然、基準法に合うように業者が直しをすべきというようなことを言っていました。業者が対応しなければ指導するとのことも言われ、お願いしたところ、業者を呼んで説明を受けたらしい。その後、業者は、直しはするが費用は別との見解を聞き、県に再度電話をしたところ、行政としては費用負担のことまでは立ち入れないとの返事でした。 つてを頼ってある弁護士に話を聞く機会が持てましたが、階段に瑕疵があり、それを直してその費用を業者に請求することになるが、裁判では1,000万円ほどの係争でなければ割りに合わないとの話でした。あとは、簡易裁判という手はありそうでしたが、むしろ、建設工事紛争審査会というのがあって、専門家が審査をするからそちらのほうがいいのではと勧められました。 そこで、建設工事紛争審査会のことを教えてもらいに県の建設業課に話を聞きに出向きましたが、審査に強制力はなく、業者がその気にならなければ労多くして解決もしないと言っていました。 この業者は、建築基準法を理解しているのかいないのかさえ不明です。瑕疵ある工事なのだから直すのが当然と考える身には、なぜ対応しようとしないのかが理解できません。家には飼い猫がいるため、階段を直すにしても、工事の間のストレスや不便を考えると費用負担のみならずますます不信感が募ります。 前置きが長くなりましたが、建設工事紛争審査会に依頼をすることは、業者が考え直すのに何か効果があるのでしょうか。実際に施工をした大工が、業者が約束どおりの代金を払わないのでもう取引をやめると言っていました。階段の直しの見積もりも大工からは100万円と出したらしいです。直接大工に頼めば100万円で請け負うといっています。この大工に直しをさせて、その費用を簡易裁判で業者に払わせるべく争う方が解決には早道なのでしょうか。あるいは他に適切な方法があるのでしょうか。ご見解をお聞かせください。 建築基準法違反の階段 |
yorozuの感想 | 確か日経新聞の記事を見てこのHPを知りました。無料で専門家に相談に乗っていただけること大変ありがたいことと感謝いたします。いろいろと迷っています。裁判ともなれば、たとえ簡易裁判とはいえ、時間も取られることでしょうし、憂鬱です。なんでこんなことになってしまったのか、自分にどんな落ち度があったのか、なんであんな業者に頼んでしまったのか。楽しいはずの新居での生活が、日々こんな自責の念でつらいものとなってしまいます。 早く、直しをして忘れてしまいたいとも思いますが、業者をこのまま知らん顔ですませてしまうことにも憤りを感じます。また、別の被害者が出るかも知れず、泣き寝入りすることではいけないのではないかとも思うのです。業者に社会的な責任や手抜きの償いを思い知らせることはできないものでしょうか。 |
アドバイザー | |
根本 一郎 | 写真を拝見しましたが、床や壁に無垢材を用いたこだわりの家とお見受けしました。 様々な工夫を取り入れて建てられものと推察されます。 一般的な在来工法の住宅において、階段が11段で済む事はありえません。13若しくは14段が普通です。 天井を高くした場合は、15段以上になることもめずらしくありません。 H.K邸の場合、確認申請の添付図書で蹴上が211.5mmとのことですから、現状の蹴上から逆算すると、階高2750mm、13段の階段になるはずです。 お手持ちの1/50の平面図において、階段が11段であれば、確認申請後に、設計変更が行なわれたことになります。 階段に対して、着工後、何らかの要望を出していませんか。 意図的に11段に変更することは考えられません。何か原因があるはずです。業者側のミスというにはあまりにもお粗末な話です。 業者が無償で階段の改修に応じないのであれば、自費で改修することになりますが、工事は、別の業者に依頼した方が良いでしょう。階段の構造及び、壁との納まり・材質から、100万円必要な工事には思えません。 また、費用の請求を行なうのであれば、訴訟を前提として証拠資料の準備をされた方が良いでしょう。弁護士を通じて、内容証明を送付するだけでも効果がある場合もあります。 いずれにせよ、全額、工務店の責任で処理することは困難です。ある程度の出費は覚悟してください。 |
コメンテーター | |
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事務局から | |
荻原 幸雄 | 何故、このような常識はずれの階段を造ったのか、能力に疑問を感じます。 基準法違反ですが、そもそも、この法律は最低限の基準なので、それを超えるというのは、老後の昇降には大変苦労することになります。 直すにしても段数を増やすしかないのですが、蹴上げだけでなく、踏面も増えますので階段が全体的に長くなりますので、変更してくれる場合は下の廊下との関係で狭くならないように、また、危険な出っ張りが無いようにご注意ください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | 相談をさせていただいたFです。 解説委員の根本様、運営事務局の荻原様、早速のご解説ありがとうございました。 相談内容の状況説明に若干不備がありました。 >一般的な在来工法の住宅において、階段が11段で済む事>はありえません。13若しくは14段が普通です。 とのご指摘を受けましたが、実は、玄関が1階床面から3段上がったところにあります。 逆に言うと、玄関から1階に下りる階段が3段あります。 写真を添付しますが、上から17cm、14cm、17cmとこれまた変な階段になってますが、計48cmあり、普通の蹴上げにすれば2段分となると思います。 当初天井は高めにと依頼していましたが、1階の天井高は240cmで普通にされてしまいました。 業者は、打ち合わせをする中で蹴上げが高いものになったといいますが、高さにかかわるような途中での変更の依頼はしていません。 なお、既にメールでお知らせしましたが、正月明けに業者が階段を直すと言って来ました。 今週末に施工時とは別の大工を連れて見に来ると言います。 どうなるのかわかりませんが、一応様子を見て見ます。 状況変化があればまたメールをさせていただきます。 いろいろとお世話になります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 |
その後 | 「解説-有形-745(神奈川) 階段が建築基準法違反!」にて、ご回答いただいた者です。 以前にもメールで、その後業者が直してくれそうになったとご報告しましたが、このたび業者が、こちらの負担はなしで、希望通りに改修をしてくれました。 その際は、ご丁寧なご回答をいただきましたが、一件落着いたしましたのでご報告いたします。 いろいろありがとうございました。 |
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