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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0741 知り合いに頼んだが・・・

 相談概要 [氏名] K.M
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 埼玉県川口市
[相談建物所在地] 埼玉県川口市
[職業] 会社員
[年齢] 35
[女性] on
[構造] 鉄骨造(ラーメン構造)
[引渡し年月日] 西暦2000年4月3日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 120
[工事請負金額] 3300
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[お手持ちの図面は何枚?] 30枚以下
[打ち合わせ何回] 20回以下
[施工者名] K工務店
[販売会社名]
[設計者名] K工務店
[監理者名]
 相談内容 [現象]
私のとても親しくしていた友人の夫の父親が経営する工務店に鉄骨3階建て、壁はALCにタイル張り、杭基礎の住宅の工事を依頼しました。知り合いということもあり、契約書は市販の簡易なもの、見積もりはもらいましたが、金額等がかわっており、実際のものとは違います。打ち合わせ等もかなりナーナーにしてしまいました。

引渡しを受けてみると、床や建具等の傷等、仕上げがかなりひどく、クレームを言いました。現在もまだ解決しておりません。また、工事を丸投げをしており、建物の構造等について質問しても、答えられないようなありさまです。確認図面も見てみると、鉄骨についての図面ばかりで、建物の寸法や構造、材料がわかるようなものはほとんどなく、請求したところ、図面は作っていないといわれました。

入居後、2〜3ヶ月くらいした頃、基礎周辺からの水漏れが発覚し、工務店に伝えましたが、最近になってやっと、建物周辺のブロックべい(建物との隙間がとても狭い)を壊したところ、ALCとへーベル基礎との間のコーキングが不十分で、水が入っていたようでした(写真2)。壁があって、作業ができなかったのだといわれました。また、地面を掘り、へーベル基礎を見てみると、へーベル基礎の真中くらいの位置に横に隙間があり、最大で、人差し指の第2関節が入ってしまう深さ隙間がありました(写真3)。

[業者の見解]
仕上げについてのクレームは、こちら側が、譲歩し、数を減らしたところ、腰をあげてくれましたが、忙しいといわれなかなか作用が進みません。
壁と基礎の間は、コーキングし、モルタルで仕上げました。配水管の穴については、ALC部分は専用の補修材で、基礎の部分は、モルタルで補修しました。へーベル基礎の隙間もモルタルで埋めました。

[相談内容]
基礎の隙間や、基礎の鉄筋のさびは、建物の強度、寿命に影響を与えるのでしょうか。
また、直す方法や費用いついてもお教えください。


基礎の立ち上がりと底版打ち継ぎ部のジャンカ。


基礎コーナー部の状況。


基礎配筋露出による鉄筋の錆び。
 yorozuの感想 初めて、来させていただきました。毎日とても不安です。相談にのっていただけるとても助かります。どうぞ宜しくお願いいたします。
アドバイザー 
山口 雅克 解説員の山口です。

 時々見かける仕事の依頼のパターンです。工務店は鉄骨の事をよく知らないのに仕事を引き受けて、大工でできる所だけ自分で仕事して、他は専門業者にまかせっきりにしてしまうタイプです。当然、設計図も役所に届けるのに必要なモノだけとなっているのでしょう。基礎の工事も十分に管理されて仕事がされたようではないですね。

 そもそも、設計図と確認申請の図面は目的が違いますので確認図面には記載が少ない場合が多いのです。(法律に関係する処のみの記載で良いので) 御相談内容の「基礎の隙間や、基礎の鉄筋のさびは、建物の強度、寿命に影響を与えるのでしょうか。」に関してはまさしくその通りです。

「直す方法や費用について」はここでお話しても誤解を招く恐れがありますので簡単にポイントを書きます。
隙間のある所を綺麗に掃除をして、樹脂モルタルやエポキシ樹脂などで埋めてしまいます。
写真はアップ過ぎて全体が分かりませんので第三者の専門家(鉄骨や鉄筋の構造設計に詳しい建築士)に調査をしてもらいアドバイスをもらう事をお薦めします。
大内 彰 相談員の大内です。

基礎についてですが、コンクリートは隙間が無いように打ち継がれなければなりませんが現状では程遠いようです。

鉄筋も露になっているので錆びてきて朽ち果ててしまうでしょう。そうなると基礎としての性能が十分に発揮できなくなるので早く対処すべきです。請け負った業者が適切な処置を考えられるか疑問ですから他の設計事務所に依頼して補修方法を作成して貰って下さい。その設計事務所に依頼する費用と工事費については請け負い業者に負担してもらうべきでしょう。ただ、設計事務所に依頼する前に請け負い業者にその旨確認して進めてください。
 コメンテーター 
小松原 敬 身内だから、とか、知り合いだから、というだけの理由で工事を依頼した場合にこのようなトラブルは多くみられます。
知り合いに頼めば安くあがるというのはまったく間違った考えです。
家というのは何ヶ月もかかる何千万もする工事で、工務店にしてもその利益で食べていくわけですから、「身内だから半値にしましょう」なんてことはあるわけないです。
ブランドもののバッグを安くわけてもらったとしても、それで値引く金額はどんなに多くても数万くらいでしょう。
建築費から数万値引いたとして、それは全体の金額からすればわずかとしかみえないでしょう。

だからといって、自分の生活を落としてまで工務店が身内の為に数百万も値引きするとは思えません。安くしたとしたら、それは自分の利益がないわけですから当然丸投げ状態になります。
ましてや、仕事の丁寧さは知り合いであるかどうかには関係ありません。また、ちょっとした苦情でも知り合いだからこそ根に持つ結果になりがちです。かたや、安くしたんだから文句言うなの世界ですし、かたやは、請け負ったからにはきちんと施工しろということになります。

とは言え、基礎の状況はあまりよくないようです。きちんとした専門家にちゃんと依頼して解決にむけて協力してもらってください。
 事務局から 
  荻原 幸雄 大工出身の工務店のようですので、他の構造では、このような場合は昔から丸投げされます。
当然、構造的知識はないのはあたりまえですし、管理もできません。

今回の基礎などは偶然、発覚したに過ぎないと思われます。
他の部位も第三者の建築士に調べてもらったほうが賢明です。

知り合いに依頼する場合は注意が必要です。
全てがこのようになるというわけではないでしょうが、人間関係が壊れるもとなので注意が必要ですね。

昔、わたしが設計した建物で、建築主が特命で工務店を連れてきました。その方は大工の出でしたので、鉄骨造の建物の経験が少ないので、建築主に施工能力に危惧される。と伝えたのですが、責任は自分でとります。といわれてその工務店が施工することになりました。蓋を開けてみたら、とんでもない施工能力しかもたない、経験上の知識しかないものですから、でたらめの状態でした。

しかし、この建築主は設計と工事監理をわたしに依頼していたのが幸いしました。
(わたしは大変でしたが・・・・。)毎日、竣工するまで現場に出向き(このことがあるので現場は遠い仕事はうけません。遠方の仕事を取る設計事務所や建築家は信頼できないのがわたしの信念です。昼間いけないときは夜中にみにいきました。)毎日、指示をして問題なく仕事を終わらせました。

喜んだのは、勿論、建築主です。安く、いいものができたのです。
大変だったのは私ですが、いい建物ができることを守るのが仕事なので仕方ありませんね。

今回はこのようなあなたの味方である設計者をご自分で選定すべきでした。そうすれば「設計事務所に任せてある。」といって知り合いでも親戚でも遠慮することはありません。

一部の瑕疵ですまない可能性のある様なので、今のうちにちゃんと見てもらってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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