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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0739 外壁の通気工法について

 相談概要 [氏名] K.M
[居住住所] 香川県高松市
[相談建物予定地] 香川県高松市
[職業] 会社員
[年齢] 45
[男性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[設計者はどなたに依頼しますか?] ハウスメーカーの建築士
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 38.45
[工事請負金額] 2370
[様態] 注文建築
[施工業者はどちらに依頼しますか?] ハウスメーカー
 相談内容 [家づくりの相談内容]
地元のハウスメーカー(木造2×4)で新築を予定しています。

地鎮祭も無事終わり、いよいよ着工というときになってビルダーの方から突然壁構造の一部変更を提言されました。当初は壁内に15mmの通気層を設けてその上からモルタルを塗布し、ジョリパットで仕上げる予定でしたが、通気層は無しでそのかわり防水シートのようなものを張って外部から壁内に雨水等が入らないよう完全に密封して(室内側はベーパーバリア施工。断熱材はスタイロフォーム65o)その上からモルタルを施行したいとのことです。

どうも通気層を設けた上でのモルタル塗布という工法のノウハウと経験が充分でなく、将来に不安が残るというのが理由のようです。かといってサイディング等の下地材の上にジョリパット、というやり方は継ぎ目のシーリングの劣化やひび割れが懸念されるということで否定的です。そこでお聞きしたいのですが、

@壁内を完全密封して結露などの問題は大丈夫でしょうか?
 また、そのような状態をこれから10年先、20年先も維持できるものでしょうか?
A安価かつ信頼性の高い壁内通気+モルタルの施行方法、材料等がありましたらご教示いただけませんでしょうか?

以上2点、ご回答いただければ幸いです。よろしくお願いします。
 yorozuの感想 建築の知識の乏しい私たち一般の施主にとっては非常にありがたいHPだと思います。過去の相談も全部拝見しましたが大変参考になりました。
アドバイザー 
清水 煬二 清水です。

寒冷地では、モルタル外壁でも通気工法をとりますが、関東以西では通気無しが多いです。
結露の被害が寒冷地より少ないからでしょう。

しかし、私ならば次の4つの理由でやはり、通気工法をお勧めします。

・ベイパーバリアーを行っても、水蒸気を完全に止めることは不可能です。2×4工法は、外壁が合板で覆われているだけでなく、外壁内の通気がほとんどないため、モルタルというさらに通気性のない材料で覆うと、やはり家のためには良くないと思われること。

・通気工法をとると、防水層が透湿防水シートとモルタル下の防水紙の2重になるここと。

・外壁から雨水が浸入した場合、通気層があるので家の構造本体に影響を与える度合いが低くなること。

・及び、進入した雨水は通気層があれば乾きやすいこと。クラックの心配はありますが、モルタルを充分に乾燥させることや、心配なら目地を取ることでも対応は可能でしょう。
仕上げ材を弾性材料(伸縮のみする材料)に変えることも選択肢のひとつにもなります。
山口 雅克 解説員の山口です。

 記載の内容から、ビルダーの説明内容とK.Mさんの受取り方に少しのずれが生じていると感じます。

 壁内に断熱を行い、壁の外に通気層を設け、その外をモルタルで仕上げて行く方法はおかしくありませんし、サイディング等の下地材の上にジョリパットというやり方もおかしくありません。工法は材料の特性と手順を間違えなければ心配する事もありません。どちらかと言うと、工法の話しを的確に説明できていないビルダーに疑問を持ってしまいます。何故、急にそのような話になったのか確認してみて下さい。

 1:壁内を完全密封にする事はできませんので、ビルダーさんの言い方に十分でなかった所があると思います。単に通気防水シートを全面に張り付けることではないでしょうか。

 2:壁内断熱+外部通気層+モルタルの施工だと安価でそれなりの性能を発揮すると思います。
モルタルの施工には下地にラスやその代わりのボードなどを使用しますが、割れ難さを工夫した製品も種類が多いので、ここでは具体的な商品名はあげない事にします。
 コメンテーター 
中川 雅実 相談とは、ご質問の材料に対して長所や短所を申し上げており、どの様な材料をどの様に使用するかは、設計の範疇と解釈しております。
現在ビルダーより、空気層無しのモルタル塗の提示があるようですが、モルタルは割れに注意が必要であり、下地材料のつなぎ目部分にも割れが入りますので注意が必要です。また、現在多用されている通気防水シートは、モルタルを塗る下地のラス網を止める為に使用するタッカーの穴にたえられるのか疑問です。
 事務局から 
  荻原 幸雄 モルタルの適切な方法で採用するなら、通気構法の採用も問題ないといえます。
しかし、これは監理が大変重要な要素として加わります。
できない。というより難しい、自信が無いということなのだろうと思います。
モルタルは徐々に乾燥し、収縮します。
それが、内部でも通気により下地の合板が収縮の影響を受けます。
また、そのモルタルの外部だけでなく内部からも収縮の影響を受けます。
この点で大変難しい構法だということがお分かりいただけるかと思います。
理論上できるということと現実の監理が結びつかないと誤解が生まれるかもしれません。

この監理に自信がないということだろうと思います。(当然、入念に施工する必要があるから費用と時間がかかるものです。費用と時間を短縮すると収縮亀裂は避けられないのではないか?と考えます。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 皆様、ご多忙な中迅速かつ丁寧なご回答ありがとうございました。

その後、ビルダーとの打ち合わせの席で、私が皆様からのアドバイスをもとに「ぜひ通気工法で施工してもらいたい」との旨強く申し入れましたところ、意外とあっさり承諾してくれました。実際、私のお願いしている家はかなり複雑な、凹凸の多い建物で素人の私からみても通気工法で施工するのは非常に手間のかかるシロモノだと思います。それだけにビルダーの方も苦慮しているようで、少しでも施工に懸念のある要因を排除してより確実な工法をとった方がよい結果が得られると判断した末の提言であったようです。

今回の件でこのビルダーに対する不信感が芽生えたのも事実ですが話し合いの結果、厳重な監理の下、通気工法で適切な施工をしてくれると約束してくれ、今では安心して家作りを任せようと思っています。皆様のアドバイスがなければ、私のような素人がプロであるビルダーに対してこのような明確な態度は取れなかったと思います。
またお力をお借りする事があるかと思いますが、よろしくお願い致します。
 その後  
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