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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No. 0734 今住んでいる家は違法建築ではないか?

 相談概要 [氏名] Na
[居住住所] 大阪府豊中市
[相談建物予定地] 大阪府豊中市
[職業] 主婦
[年齢] 35
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[設計者はどなたに依頼しますか?] 特に決めていない。
[何階建て] 2-3
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] +10
[工事請負金額] 1000
[様態] 注文建築
[施工業者はどちらに依頼しますか?] 特に決めていない。
 相談内容 [家づくりの相談内容]
現在12年前の結婚を機に夫の父が敷地内に建ててくれた別棟に住んでいます。当初2DK(1階がダイニングキッチンでその隣が夫の父の農作業用物置。2階に二部屋上にまたがる形だったその家を子供が出来て手狭になったということで、その後2回に分けて2部屋増築しました(1度目は物置を部屋に改装。2度目はさらにその横に建てた物置を部屋に改装。)。

さらにその家が手狭になってきたので再度の増築を考えているのですが、最近になってこの家が違法建築なのではないかと思うようになりました。別棟として土地を分けている様子がない上、2度の増築の際も「増築したい」と業者(夫の父の遠い親戚に当たるという工務店)に話すとすぐに図面も見積もりもなしに工事が始まっていたといった感じでした。

建てたのが夫の父であったため建て方に多少疑問(まだ若かったため世の中に違法建築というものがあることさえも知りませんでした)を抱きながらも、何も口を挟むことが出来なかったのですが、昨年夫の父は亡くなったため家の名義は夫に変わっています(土地の名義は夫と母)。このような場合、建物が合法なものなのかどうかは普通どのようにして調べればよいのでしょうか?

また調べた結果違法が発見されればどのようなことになるのでしょうか(いっそのこと母屋を2世帯住宅に建て替えたほうがいいのかとも考えているのですが、その場合の影響も教えてください)。また、私たち夫婦はその業者とは今後一切かかわりたくないと思っている(見積もりなし、図面なし、嘘の請求が多い、内装等を一切選ばしてくれない)のですが、夫の母は遠い親戚に当たる人だということで大変気を使っているので意に反して今後も付き合わなければいけないかもしれないのですが、そのような業者に対する上手な対応方法があれば教えてください。
 yorozuの感想 相談が内容で検索できれば大変便利だと重いました。家の事は特定の業者には相談しにくい(その業者での建築が決まっていれば別ですが)のでこのようなHPは大変助かります。
アドバイザー 
氏原 毅士 氏原です。

 おそらくご相談の住宅には建築確認が無いのでしょう。現在、増築に関しては大変厳しい扱いがなされていて、検査済証のない建物の増築申請は基本的には受付すらしてもらえません。
 違反建築(手続き違反と本当の違法があります)だからといってすぐに取り壊すなどの処分は無いと考えますが、このままでは母屋の建替えも不可能となってしまいます。

 すべてを建替えるなら確認は取れると思いますが、どちらかのみということになると、残存部分が適法な状態で敷地を分割することになります。分割といっても、分筆したり塀を設けるというようなことではなく、1軒の建築に対する適法な敷地と言う意味ですからあまり心配するような事ではありません(現地状況がわからないので確約はできませんが)。

 第三者の建築士に相談、設計、工事監理を依頼されるなら、その業務の中で工務店の取り扱いを任されるのが良いと思います。
久米 能子 久米と申します。

 まず始めに、第三者の専業の設計事務所に相談してみましょう。 現地の状況が何もわからないので、私達には本当に違法なのか、氏原解説委員のいわれるように手続き違反(建物そのものは合法だが、単に申請をしていないもの)なのかは分かりませんが、しかし、何れにしろ今後のことを考えて、きちんと届出を済まして、建物を合法化しておく必要があります。そのお家は、そのうち、あなた方のお子さんに引き継がれ、このままではまたいつか、同じ悩みをお子さん方に与えてしまうことになるからです。

 私は以前、同じような物件を取り扱いました。増築のご相談でした。その敷地の建物はかなり古くからあるもので、確認申請はでておらず、あなたと同じようにお父様の時代に工事を行った建物で、引き継がれた方が悩まれ、ご相談を受けました。調べてみるとある建物の形態に一部違法な部分がありました。(敷地内には1棟だけではなく、別棟もありましたので。)それで、率直に事情を市の建築審査課に相談に行きました。結果としては、若干の是正措置を行って、確認のでていない建物も含め、全体を既設建物として届け出て、合法的に増築を済ませました。

 しかし、ご注意いただきたいことがあります。 建物に対する法律には、単体規定と呼ばれるものと、集団規定と呼ばれるものがあります。単体規定とは、そのひとつの建物に対してかかるもので、例えば、住宅などでは、構造をきちんとしているか、採光や換気がとれているか、というものです。集団規定とは、例えば、敷地に対して建物がどのような様子で建っているかというもので、建物の高さや、広さが、建築基準法などで規定されている範囲内におさまっているかというようなものです。今お話した例で、私は「合法的に増築を済ませた」と書きましたが、集団規定については、現実に合法と認められる形に持っていけましたが、単体規定については、建築主の自己責任と言う形に処理せざるを得ませんでした。

というのは、既に建ってしまっている建物の構造の安全性などは、全くわからず、それが基準法にあっているかどうかなど、誰にも判断できないからです。(やはり、図面も何もありませんでしたので。)分からないことに対して、行政も了解することはできませんね。
 Naさんの場合も、このような手続きをとることは、時間はかかるかもしれませんが、できる可能性はあるでしょう。自ら、法律を守りたいと申し出る人に対して、行政がいきなり、ブルトーザーを持ってくることは無いとお考え下さい。 
しかし、手続きのことそのものだけでなく、実際に、その建物が安全であるかどうかということも考慮に入れ、建替えたほうが良いかどうかをお考えになったほうが良いでしょう。

 付き合いをきることができない工事業者への対応も、設計事務所に任せれば、悩まれることも無いと思います。直接ならば言いにくい事も、設計事務所が交渉してくれるでしょうし、工事の相見積を取ったりすれば、誰もが納得できる形で、良い業者を選べるでしょう。私はいつも、事務所のせいにしてくださればよいと、施主の方に申し上げています。「設計事務所がそう言うので…」とおっしゃれば、気が楽になられることでしょう。そういう意味でも、相談しやすい設計事務所を選択なさってください。 
実際に現地を調査して貰えば、案外、ご心配には及ばない状況かもしれません。 まずは、そこからスタートなさってください。
 コメンテーター 
堀住 勝雄  解説委員各氏が言っているように第3者の設計事務所に相談をされるところから始めて下さい。私達は図面の代金を頂くだけの職業ではありません。Na様の状況を詳しくお聞きしたり、状況を調査したりして最善の解決策を考え、しかる後に設計を行います。もちろん工事契約の立会いや監理も仕事の内です。舅様との問題もあろうかとお察ししますが、少し気長に解決の道を探って下さい。
 事務局から 
  荻原 幸雄 昔の方は未だに、知り合いや親戚が安心だとお考えのようですが、それ以上に考えてくれる人がいます。第三者の専業の建築設計事務所です。
家は一般の方では難しく、誰かの知り合いを頼ろうとする気持ちはわかりますが決してそれがいい選択だとは限らないのが建築の世界です。
事実、その遠い親戚の方は責任を果たしていないのです。
図面が無いのは見積をどんぶり勘定にしていますし、構造的な裏づけがとれません。

設計事務所を入れればこれらを気にすることはなくなります。

よりよい楽しい家づくり目指してくださいね。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 相談のお礼、また、その後のご報告が大変遅くなって申し訳ありませんでした。

 当時知識もなく専門知識のある知り合いもいない中でのアドバイスは本当に心強くありがたかったです。
お忙しい中相談に乗っていただいた氏原毅士様、久米能子様、堀住勝雄様、荻原幸雄様本当にありがとうございました。

 その後母屋をリフォームして2世帯にする案もあったのですが、現在母屋に住む夫の母の「そのまま母屋に住みたい」という希望もありまた、正確な見積もりは取ってないのですが、母屋のリフォームには相当費用がかかる(7000万というお話もありました。)との事でしたので、現在近所の別の土地に新築する方向で動き始めているところです。

 また、相談で書かせていただいた遠い親戚に当たる工務店はその後突然夜逃げ(近所のやはり親戚の家を建て替えで取り壊した直後でした。)してしまい、行方不明です。

 今度の家作り(まだ情報収集中です)では第3者に入っていただくことを考えています。
 また、こちらのHPを活用させていただいて、今度は納得の出来るいい家作りをしたいと思っています。
本当にありがとうございました。
 その後  
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