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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0732 予定にない基礎開口は大丈夫?

 相談概要 [氏名] UK
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 三重県
[相談建物所在地] 奈良県大和高田市
[職業] 公務員
[年齢] 40
[男性] on
[構造] 鉄骨造(ラーメン構造)
[引渡し年月日] 西暦 2002年8月16日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 232
[工事請負金額] 3290
[様態] 注文建築
[施工者] ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[お手持ちの図面は何枚?] 5枚
[打ち合わせ何回] 5回
[施工者名] M
[設計者名] M
[監理者名] M
 相談内容 [現象]
よろしくお願いします。 
現在、大手ハウスメーカーにて鉄骨3階建て住宅を新築中の施主ですが、予定にない基礎貫通孔があり耐震性を非常に弱めているのではないかと危惧しています。工事内容は図面には無く、マニュアルにも合致しない現場合わせで施工した基礎総高さ750mmの基礎底盤を開口補強無く斜めに貫通する114mmのパイプ、その角上の基礎立ち上がり底部に貫通する350x150mmの長方形の貫通でスターラップを一部カット、斜めの開口補強筋は無く横に1本補強筋を入れていると現場担当者はFAXで回答しています、配筋の写真を求めましたが他の図面にある貫通スリーブに対する写真はありますが、その箇所の写真は無いとのことです。

本物件は建築基準法の型式適合認定を受けており、建築確認済証を発行する土木事務所は書類審査のみで基礎図面は提出されていないこと、また品確法の型式性能適合認定を受けており、標準で住宅性能表示制度に基づく設計住宅性能評価を受けているとパンフレットにありますが、今回、建設住宅性能評価書を求めなかったこと、公庫を利用していないことで、第3者による基礎の検査は入っておりません。

型式適合認定を受けている場合、認定図書に基づいた仕様にしなければならないという点で、ハウスメーカー本部へも質問しましたが、認定図書に完全に合致するとの回答は無く、構造計算上問題ないとしています。ただし、開口補強筋を施工していないので、ひび割れ防止に外からFRP等で補強は要すと見解が出ております。上棟立ち会いの5月にこの基礎開口を発見し構造計算書が提出されるまで4ヶ月かかっています。本来設計段階で計算されているべきですし、応力集中に対し考察も必要なのでは、という質問には約2ヶ月経ちますが回答はありません。
8月中旬に引き渡し予定でしたが、それら問い合わせ後工事は中断されており、納期は全く気にしていない様子で大変遅れています、契約には納期延期によるペナルティーは明記されていません。

認定図書に適合しないことが明らかになった場合及び構造解析の結果パンフレットに示す大地震(震度7)の1.5倍に耐える耐力が無いと第三者機関に判定された場合は建て替え費用、慰謝料等を含む金額(5000万円)を支払うという様な内容の誓約書を求めましたが、確約書という形式で返送され、内容は損害が生じたときにはその損害分を支払いますとのことで、こちらの意向は完全にはずされています。

型式適合認定をしている(財)日本建築センターへ問い合わせをしましたが、裁判をしない限り閲覧もさせないし、認定図書に合致するかどうかも回答しないとのことです。土木事務所建築課長へこれら経緯を伝えマニュアルに合致しないのは明白で認定図書にも合致しない可能性が大なので(財)日本建築センターへ問い合わせの上、認定に合わない場合、虚偽の申請で建築確認を取り消してもらうよう電話、面会にて要請しましたが、(財)日本建築センターへ問い合わせする気もなく、たとえに裁判で認定に合致しないと判決が出ても、既に完成に近い状態だから、構造計算書を提出すれば、完成検査のみで新たに建築確認済書を発行するとオフレコと前置きしながらハウス販売店担当者の前で言っておりました。
国土交通省住宅局建築指導課へこれらの件を伝え調停や裁判をせず行政機関が何か手を打ってもらえないか相談しましたが回答無しです。

認定図書の要求に対しハウスメーカーは認定図書を一部、開口補強筋が必要である項目を提出してきただけでその他応力集中を避ける為の手段を記載したもの(配管用基礎貫通孔の最大値、形状、位置を示したもの)は提出されずこれ以上出さないと文書で示してきました。
こちらとしては個人で対応する最終手段として内容証明郵便で、基礎が貫通孔が無いのと同等になるような基礎強度補強、完成遅延による損害と補強による不動産評価損で250万円を要求しましたが返事はまだです。

[業者の見解]
図面に無いが当初より現場合わせで施工予定だった、マニュアルに反した施工になったが構造計算をしたので問題ない。
認定に完全に合致しているとは回答していない。
基礎に係わる認定図書の全てを提出しない。
当該箇所の配筋写真はない。
ひび割れ防止開口補強筋は施工していないが横一本の補強筋は入れている。
誓約書は出さない。
ひび割れ防止補強はFRP張り付けで施工する。
強度補強、賠償について回答無し。

[相談内容]
1.契約段階で基礎伏図はなかったのですが、後に提出された施工前の最終図面は契約上の図面と見なされるのでしょうか。

2.施工図は無く基礎伏図とマニュアルで施工すると担当課長が言っておりますが、マニュアルは契約上の図面や仕上がり図と見なされるのでしょうか。

3.所定の構造計算をすればこの様な貫通孔、特に基礎底盤に貫通孔があるものは建築基準法に適合するのでしょうか。

4.私は建築には素人ですが、基礎底盤貫通孔と四角貫通孔が上下位置で重なっており応力集中を非常に受易い形状だと考えますが専門家からみてどうでしょうか。

5.強度補強はどのような方法が考えられるでしょうか。

6.FRP張り付けのみによるひび割れ防止補強はするとハウス販売店は言っておりますが何年位効力があるのでしょうか。

7.本建て物は100年住宅をパンフレットにうたっておりますが、上記補強が20年しかもたない場合、あと4回の補強工事費を法律的に請求できるでしょうか。

8.既に住宅ローンを支払ってますがその金利や、倉庫の家賃は竣工遅延の損害賠償に当てはまるのでしょうか

9.ハウス販売店が私の要求に同意しない場合、調停や裁判しか解決の方法は無いでしょうか。

10.基礎補強を残しまもなく完成で、完成立ち会いを要請されましたが、私としては基礎強度補強が施工されないと完成としないので、担保として300万円を支払い残金から相殺し後日工事するか、引き渡し前に工事完成しないと立ち会いは断ると申しましたところ、いつまでも立ち会いを拒否すると残金未払いで逆に訴えると言ってきました、こちらとしては内容証明郵便を送っているのですが、どういう対応をすれば良いでしょうか。
 

配管が基礎の一部に集中。


予定外の開口


 yorozuの感想 こちらで表示を大きくすればいいのでしょうが、文字が小さく見にくいです。
アドバイザー 
根本 一郎 根本と申します。

 ハウスメーカーはなんでもしてくれる便利な組織ですが、詳細な設計図や見積内訳書などはブラックボックスであり、専門的な資料を請求しても拒否されることが多いものです。建物を作る上での3つの役割、設計・施工・工事監理、全てをハウスメーカーに一任してしまうと、住宅として重大な不具合が露見しない限り、有効な対策がありません。これまで、UKさんの申出に対して、ハウスメーカー側は問題点を認めた上で構造計算の実施や補強方法の提案など、必要な対応をしています。その回答を信頼できないのであれば、先ず、UKさんが信頼できる第3者の専門家に調査を依頼し、UKさんの心配が正当なものか判断を仰ぐことが必要でしょう。今回のメールだけでは、具体的な評価は困難です。問題点の検証をせずに、将来の保証云々を論じても意味がありません。

 UKさんは、自ら建築には素人といいながら、図面の見方や住宅金融公庫の融資、品確法に基づく建設住宅性能表示の知識など、よく勉強されていると思います。しかし、建て主の保護のために作られたこのような仕組みを利用せず、また、第3者の工事監理者も立てずに工事を進めたわけですから、施工上のトラブルについてご自身で解決できなければ、基本的に法的手続きにより対処せざるを得ません。厳しい言い方かもしれませんが、それが応分の自己責任というものです。
久米 能子 久米と申します。

 設計事務所の立場からご説明しながらお話します。

 基礎の貫通口については、通常は構造計算の時点では特に考慮には入れません。
ですから、「本来設計段階で計算されているべき」というのは、一般には当てはまりません。
 構造計算書は全体として力の流れを解くもので、貫通については補強筋の入れ方が標準仕様書として描かれているので、そのルールにしたがって開口を補強していくだけです。最も、あらかじめ貫通が集中しそうなところや、大型の貫通が見込まれている場合は、当初より考慮した構造の設計を行いますが、一般の住宅ではあらかじめ検討するほどの貫通はみられないのが普通だからです。

 おっしゃるような貫通口については、現場を見ないとなんともいえませんが、常識的には、ご相談の通り、補強筋は必要でしょう。FRPで補修など、構造的には何の意味もないでしょう。
 あとからの補強ということでしたら、簡易な方法としては、基礎の立ち上がりの外面をはつり、それに沿わせて、もうひとつ新たに既設基礎の外側に、補強の鉄筋(既設基礎にアンカー)を入れた基礎をコンクリートで打つ、というやり方でしょう。(不細工ですが)現場の状況にも寄りますが、一部壊して、補強筋をアンカーで打って、コンクリートを打ち直すときもあります。(ただし、一度打ったコンクリートを壊すのは、良いことではありませんが。)建築士に現場を見せて相談すれば、他にも、あなたの現場に合った方法があるかもしれません。

 工事に問題と思われることが発生し、手当てをしなくてはならないときは、工事はその時点で止めて、解決策を見つけてから、再開します。
 支払につては、お考えのように、補修工事がすむまで、一部の残金をおいておくのは当然であると思います。
 しかし、何れにしろ、今UKさんがしなければならないのは、信頼の置ける専門の第三者の人間に現場を見せて相談し、そのハウスメーカーの間に立ってもらい、その人とともに、補修工事を進めて貰うことを話し合うことです。こんな場合、公的機関や役所など、何の役にも立ちません。
 ご相談の文面を拝見する限り、率直に、第三者の目から見て申し上げると、UKさんのなさっていることは、補修工事を実行させることそのものよりも、手続きの不備や公的機関の責任やご自身の法的な権利を振りかざして相手を萎縮させ、追い込んでいくことにしか繋がらないように映ります。これでは、本質的な解決にはいたりません。

 UKさんはご自身の家を安心できるいいものにしたいのでしょうか?それとも、ただハウスメーカーが憎くて、こらしめたいのでしょうか?
 もしも、UKさんのご希望の真意が前者であるならば、すぐにでも第三者の建築士にご相談ください。ハウスメーカーから仮に、将来に渡っても保証するという文書が出たり、行政が責任を持つといったり、お金を払うからといわれたとしても、そのような書類やお金で、現実の基礎の不安を忘れることができますか?もしも、致命的な施工不備だとすれば、このままの状態で書類やお金を貰っても、地震でUKさんとそのご家族が亡くなってしまえば、そんなもの、ただの紙くずですね。

 昨今は、相手に対して、自身がどのように接してよいか分からないとき、ただ、公的な機関や、法律の力、それを書き記した書面、などに頼って相手を責め、きちんと膝を交えて率直に相談することをしないような人がいるように思います。ただ怒れば、相手が恐縮して言うことを聞くと思っている人までいます。勿論、UKさんがもともとそのようなタイプの方だとは思いません。一生に一度の我が家については、心配のあまり、沢山の人が感情の起伏が激しくなって、自分を見失いがちなのを私達は見てきているからです。

 色々と書きましたが、基本的にはハウスメーカーの施工やその対応、説明不足に問題があるでしょう。しかし、それを拗らせて、本来の目的(UKさんが良い家を持つということ)を見失わないようにして下さい。
 根本解説委員の言うように、もともと第三者の監理者不在の工事を選択した、UKさんにも、トラブルが面倒になった責任の一端はあるとお考え下さい。 ハウスメーカーはお手軽ですが、現場に即した第三者の工事監理がなされていないので、このようなことになるのです。

 しかし、どの建物も法律で建ち上がっていくのではありません。機械が作るのでもありません。現場は常に生きていて、建築主の要求も、現場の条件も、変わってしまえば、それについていかなければなりません。今回の件も何か予定外のことがもともとの理由かもしれませんね。
 まずは、UKさんがごねてお金を欲しがっているのでも、ただ相手を責めたいのでもなく、安心できる家を手に入れたいだけなのだということをもう一度、ハウスメーカーに改めて分かって貰えるようにしましょう。ハウスメーカーには、マニュアル以外のことにはどのように対応してよいか、全く考えることができないところもあるように聞いています。建築士と相談して話し合いを持てば、向うもきっと困惑しているでしょうから、喜んですぐに措置をとるかもしれません。
 コメンテーター 
堀住 勝雄  ご質問にありました「構造計算をすればこの様な貫通孔、特に基礎底盤に貫通孔があるものは建築基準法に適合するのでしょうか。」については構造計算が万人に認められる方法によってなされていればそのとおりです。建築基準法の多くの項目で「・・と同等以上の効力(強度)があると認められる場合はこの限りではない。」という文言がついています。つまり、技術的回答は一つではなく創意工夫を認めて行かなければ技術の発展が滞ってしまうということと思います。

 大手ハウスメーカーの技術、信用を期待して全てを任せたのでしょうが、個人の調査員の調査結果を(結果がどうあれ)受け入れますか。もしそうなら早々に第3者の調査を依頼すべきと思います。法律家にも相談はしておいたほうが今後の方針を決めやすいかもしれません。一日も早く安心を手にされることをお祈り申し上げます。
 事務局から 
  荻原 幸雄 写真からは外壁も終わり、何故、基礎の配筋時、若しくはコンクリート打設時に問題提議しなかったか?ということです。原因が何処にあるか?問題は何か?それを整理すべきです。その内容により対応が違ってきます。
契約前に【我が家を手に入れる前に読むQ&A80】を読んでいただけたら必要な図面が書かれていますから、それを契約前に求めるべきでした。

契約書を良く読んでください。ハウスメーカーは百戦錬磨です。過去のユーザーの要求はお見通しです。契約書に基礎伏図が必要書類として記載されていますか?
いないと思います。解説委員の説明にもありましたように、建築主が求めなければ出さないシステムです。また、要求しても出さないところも多いです。もし、契約前でしたら、これを理由に契約しないで済んだかもしれません。

建築主は建築を経験するのは1〜2回程度です。メーカーは百戦錬磨なのです。大人が子供を操るようなシステムです。ですから契約前にはそれ相応の準備が必要なのです。若しくは信頼できる建築士に依頼すべきです。しかし、ハウスメーカーの建築士を選択したのですから、味方はいないと理解して今後のことを慎重にご判断ください。

四角い開口についてはそのままの判断材料が乏しいと思います。
連続している配管は(斜めからなのでその配管の間隔はつかめませんが)少し心配な点はあります。ご心配場合は第三者の建築士を選択して調査を依頼してみてください。建築的な判断がでるものと思います。

その上で、次の心配なステップに進んでください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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