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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 0731 基礎部分の断熱材が濡れて変色

 相談概要 [氏名] IM
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 北海道登別市
[相談建物所在地] 北海道登別市
[職業] 会社員
[年齢] 32
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 予定日は10月31日でした。
[公庫使用] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 65
[工事請負金額] 3400
[様態] 注文建築
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[お手持ちの図面は何枚?] 8枚
[打ち合わせ何回] 30回以下
[施工者名] (分離発注)
 相談内容 [現象]
10月31日竣工予定でしたが、工期の遅れにより今週末の引渡しになるところでした。先週末から設備の取りつけ工事が進んでおり、設備業者さんが床下に潜ったところ異常な湿気と異臭を感じ、床下を確認したところ湿気により土台や基礎部分の断熱材が濡れて変色しているとともに、家の外周部分の土台に大量のカビが発生しているのを見つけました(11月13日の事です)。

拙宅の土台には防カビ剤の注入されたものを採用しました。構造体組み立ての時期に長雨があり、濡れないよう、また濡れたあとの乾燥をしっかり確認するよう設計監理者にお願いしてきましたが、「大丈夫、完璧です」というだけで特に対応を取ってはくれませんでした。拙宅は外断熱による高断熱・高気密住宅で住宅金融公庫の次世代省エネ融資を採用しております。そのため、気密を確保するためとして土台と布基礎の間にパッキンの入った気密フイルムをはさみ、上にまきあげる形になっています。長雨で濡れていた土台をフィルムで被ってしまい、その後日光にあたったことで、フィルムの中で汗をかいた状態になっておりました。それについても設計監理者に質問しましたが、大丈夫というだけでした。

 今回カビがひどい部分は家の外周をフィルムでまきあげた部分に多くみられます。フィルムで被っていても工程の関係上、後から組たてられ、濡れないで済んだ部分や濡れた後に十分乾燥された部分にはカビが少ないように思います。
 工法は木造軸組みにツーバイシックスのパネルの併用になります。土台が特にひどいのですが、1F床部分の根太も湿気のため、青いカビが点在しています。

また、部屋と部屋をしきる壁の下の土台(フィルムなし)も湿気はひどいですが、カビにはなっていません。素人目には土台が十分乾燥されていなかったために、水分が密閉された部分にカビが発生したと考えました。
 今回カビを発見した業者さんは同時期に、同じように雨にあたりながら工事が進んだ数軒の住宅の床下にも入ったそうですが、このような状態になっている家はなく、また換気システムで床下の換気がおこなわれているので、さらっとしているとおしえてくれました。拙宅も換気システム(3種)を採用し、床下の換気も行なっています。

[業者の見解]
設計監理者に連絡を取り、見てもらったところ、「異常な湿気です。私のミスです、結露です」とこたえました。設備の取りつけが始まったので、先週末から暖房設備の試運転をおこなっていました。設計監理者は先週末からの雨や雪と暖房の試運転によって温度差ができて、結露をしていると考えているようです。

 施主、関係部位の施工業者すべてが、「カビが一番ひどい部分の基礎と外壁(乾式タイル仕上げ)をはがして、土台の様子を確認して原因追求をおこなうとともに、とにかく土台の乾燥とカビの除去をおこない、その後に補修工事や保証問題について考える。」と主張しました。

 設計監理者は契約の関係上、瑕疵の責任が自分になってしまうため、必要以上に大きな事をしたくないらしく、外壁をはぐ事を承認しません。設計監理者はとにかく床下部分の湿気を除去し、カビを取り除いて、その後は自分が頻繁に状況観察に通うということで、すませたいようです。

 設計監理者は問題が発覚した翌日(11月14日)の夜遅くに現場に現れ、湿気の除去のために「家庭用除湿機」を1台、床下入口部分に置いておき、土台表面のカビをふきとって、そのまま帰宅したようです。しかし、除湿機は水が満タンになると自動停止してしまいます。それに気がつかず、そのまま1日ストップしていました。(水は私が捨てて、再度スタートさせておきましたが、、、)

[相談内容]
役所の完了検査を受け、合格していました。しかし、この状態では引渡しをうけられないですし、登記上の問題や住宅金融公庫の問題など頭の中が混乱しております。しかし、まずは建物そのものが現状より悪くならないような対応をとりたいとおもいます。設計監理者が考えている「湿気をとりのぞいて、カビの除去」をまっていては、余計に状態が悪化してしまうようでとても不安です。問題が発生しているのが家を支える土台であり、我が家は外壁や床の仕上げにタイルなどを多く使っており、重量的にも重いので、土台が腐食したりしていたら、と心配でなりません。それに、この時期で結露をおこすというなら、たとえ一時的に湿気をとりのぞけても、1月や2月のように外気との温度差がひどくなる厳寒期ではさらに結露がひどくなるのではないかと思っています。なにか、施工上のミスなどで床下に外気が入ってくるようなところがあるのだとしたら、それをつきとめない限り、建物が存在する限り、同じ問題が続くよう思え不安です。

1)この家を救うために今、何を早急にすべきか
2)湿気やカビによる土台や柱などの構造部分への影響
3)結露だとしたらこの先にどのような事が予想されるか
3)修復をするとすればどのような方法が考えられるか

について、教えていただければと思います。

土台一部切断し、排水後。


基礎外断熱部


基礎・土台内部結露


土台結露現象。
 yorozuの感想 問題の設計士と取り交わした契約書に示されている設計図書の作成やその他の業務を約束通り行なわないことで施主や工事業者に不利益が生じておりました。(図面作成に120万、監理料金に200万、その他含めて480万の報酬を払っているにも関らず、図面をまったく書いていないのです。

施主や工事業者にはあとで渡すといっていたので、再三請求しましたが、結局竣工間際になっても書きませんでした)それによるトラブルで悩んでいたら、友人がこのサイトを教えてくれました。しかし、その後に土台がカビでおかされるなどの有形のトラブルが発生しましたので、こちらで相談させていただきました。お忙しいかとは思いますが、ご回答よろしくお願いします。
アドバイザー 
木津田 秀雄 相談員の木津田です。

 同時期に同じように雨にあたっていた住戸も、同じ施工者によるもので、仕様(高気密高断熱や換気方法)なども同じなのでしょうか?そこでは、このような問題が生じていないとすると、原因は他にあると考えたほうが良いのではと思います。写真とメールだけで判断するかぎり、雨の影響と言うより、水道管などからの漏水などを疑ってみる必要があるようにも思えます。 監理者がいうように設備機器を試運転したことによる結露とすると、これからも生活してゆくのに問題がありますし、設計が間違っていたことにもなります。(断熱材が土台の外側に入っていないとか)なんらかのイレギュラーな状況からこのようになったと判断すべきではないかと思います。

 土台にしみこんだ雨水によって、竣工後床下が湿気ていると感じる程になるほどの水蒸気を含んでいたとは考えにくいので、他の原因で水蒸気もしくは水分が床下に供給されていると考えた方が良いと思います。一度水圧テストを行うと共に、配管の点検を行うことと合わせて排水管の方もテストをしてみてください。
 外壁の除去は、湿気を発生している水蒸気の供給源を確認してからになるかと思います。また薬剤の注入土台にはいっている物質は、水蒸気程度では流出しないと思います。
根本 一郎 根本と申します。

 マイホームが竣工間際になって、このようなトラブルに見舞われ、さぞ驚かれ落胆されているかと思います。どのような経緯で、この設計者を選ばれたのはわかりませんが、同業者として、大変残念に思います。

 基礎断熱は、現場管理に問題があると、今回のように、土台や根太、床板までカビが発生します。床下で、結露が発生するとすれば、基礎外周部の天端均しに問題がありそうです。また、MIさんが、指摘されているように、降雨により土台が含水したことを考慮したり、床下のコンクリートが十分に乾燥するまで養生するなどの、必要な管理上の注意を怠って床板の施工を進めたことも、土台やコンリートから発生する水蒸気が床下に溜まり、高湿な状態に至った原因と考えられます。

 施工期間からすれば、土台などの構造材には大きな問題はないでしょう。カビを除去・消毒し、床下を乾燥させ、薬剤の匂いがなくなるまで換気を行えば、原状復帰可能です。但し、通常の換気システムの換気量では、このような工事中に発生する水蒸気を除去するような能力はなく、除湿機の他に大型の送風機を置いて、強制的に換気及び除湿を行う必要があります。しかし、新築の建物で完成を目前にして、床下にカビが生え、入居が遅れたことについては、相応の賠償を請求された方が良いでしょう。
 善養寺 幸子 解説員の善養寺です。

 写真を見る限り、玄関の問題と床下土台のカビの問題は多少違うと思います。
 ishi2.jpgの場合は、基礎パッキンをしている土台なのに養生が悪すぎて水を溜めてしまったのでしょうか。外部と内部が平らのようですから、このままドアを付けても土台は雨水に接するような納まりなので改善した方が良いのではないでしょうか。 玄関ドアを土台に載せる納まりはどうかと思います。(私は玄関ドアを木の土台の上に納めた経験がないです。)

 ishi3.jpgですが、これは明らかに施工方法を解っていなかったようですね。 外断熱の場合(充填断熱であっても)は、この気密フィルムを土台に巻くことはしません。パネル工法で、基礎気密も行う場合は、このフィルムがビラビラと長くないもの(ゴムパッキンの巾にしかフィルムのついていないもの)を使用するか、このフィルム部分はカッターで切り取って使用します。外断熱でパネルを用いない場合は、このフィルムは外壁側にだし、壁面に立ち上げ雨の入らない様に(先ず屋根工事を終わらせる)一期に、屋根下までフィルムをダイベックシートのように張り上げ、気密テープで水も空気の流入もしないように密閉施工します。 今回のように土台に巻き込んでしまったら、パネルで一面の呼吸を止められ、残りをフィルムで覆われ、土台が呼吸出来なくなってしまって、木の水分(多少はありますし雨も受けたのですからし湿気ていたでしょう。)で蒸れてカビてしまったのでしょう。気密層の位置の意味が理解していないように思われます。

 基礎気密を行う場合でも、土台は内部空間に開放され床下の換気は建物内部に行うようにしなくてはなりません。いずれにせよ、設計者にも現場の施工者にも高断熱、高気密、外断熱の知識がたりなかったのでしょう。
 土台の気密フィルムの件に関しては気密フィルムを接がし、土台を露出させ床下に除湿乾燥機を入れて早めに乾燥させましょう。湿度35%以下にして、数日〜1ヶ月もおけば、カビの胞子も死滅するそうです。その後が心配であれば、ダイキンよりルームドライヤーと言う換気型除湿乾燥機(そんなに高額なものではありません。)が出ていますので、床下に一台仕込めば良いかと思います。(排気穴が必要です。)

 基礎気密型の建物ですので、現状の防腐防蟻圧注入型の土台はまだましですが、今後もクレオソートなどシロアリ駆除剤を塗らないようにお奨めします。基礎気密型の場合は、室内側に化学物質が入ってきますので、その事をお忘れなく。
(今回お解りのように防腐剤など大して威力がないのです。空気に触れさせ乾燥させておくのがもっとも有効な防腐防蟻対策です。)だから、高気密、基礎気密は良くないと言うわけではありません。北海道の様な寒冷地では基礎気密、基礎断熱は熱環境を保つためには良い工法かと思います。ただ、ちゃんとした正しい知識で設計監理を行わないと今回のようなトラブルが起こりやすい工法とも言えます。

 カビた土台が気になるようでしたら、乾燥前に消毒用アルコールでも吹いて置いたらいかがでしょうか。(あまり余計な事はしない方が良いですが) まだ、解決の余地はあります。気密シートなどの扱いの勉強不足な点を覗けば、建物としてはなかなか洒落たお宅ではないでしょうか。 
 今井 優子 札幌の解説員の今井です。

 写真を拝見しました。明らかに単なる結露とは考えにくいと同時に、木材が雨に濡れた事が直接の原因でもないと思います。北海道の場合、基礎断熱、土間(防湿)コンクリートとし床下換気孔を設けないのが主流となっていますが、その場合やはり基礎及び土間コンクリートの水分がある程度乾くまで十分な養生期間を取ることが重要になります。それでもコンクリートは通常1〜2年の間は水分を放出しつづけますので、床下の換気は大切です。今年の北海道の夏は「夏が無かった」と言うほどの雨と低温続きでした。工事記録によると7月25日に土間コンクリート打設、8月7日に1階床組みとありますが、そのころの天気は確かにコンクリートが乾くのに十分な気温と湿度では無かったと思います。

そのような状態で床下を密閉状態にしたために起こったことと推測されます。外周の基礎が内外両面に断熱材が打ち込まれていますが、これもコンクリートの乾燥の妨げになっているようです。結果、外周の土台が特にひどいという現象になっているのでしょう。なぜそのような方法を採ったのか非常に疑問です。

他にも土台下の気密フィルムの処理など写真では分かりにくいのですが、疑問なところが多々あります。まず、早急に強制的に床下を乾燥させる必要があります。土台を含めて木部は湿潤状態になってからそれほどの期間が経過していないので、内部まで腐食している可能性は低いと思います。今の段階で乾燥させれば大丈夫ではないかと思いますが、よく確認してください。ただし、外周の基礎コンクリートは前述のとおり非常に乾燥しにくい状態になっています。どちらかの断熱材を取り除き、もう片側を断熱補強することをお勧めします。

原因が外気との温度差による結露ではないので、床下がすっかり乾燥してしまえばこの様なことはもう起こらないはずです。ただし、土間コンの下の防湿フィルムの施工が雑であったりすると地面からの湿気が上がってくることもありますので、床下換気は常に回しておくようにして下さい。 
 コメンテーター 
堀住 勝雄  建築は膨大な材料と人手を集積して造られます、組み合わせが99パーセントうまくいっても1パーセントの間違いが重大な結果を生みだしてしまうことがあります。IM様の場合も特殊な工事形態もあり、「ちょっとした間違い」から発生したような気がします。大金を費やしたお住まいが問題をはらんでいるというお気持ちはお察ししますが、ここは設計者や各業者さんの協力を得て「前向きに」対策を講じて下さい。今なら十分リカバーのできる状態だと思います。 私達も他山の石として現場の監理をして行きたいと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 120万で8枚の図面しか書かないとは確認申請程度の図面ですね。
工事監理写真はUPでとらなければなりませんが、そのように撮影したのでしょうか?
全体写真より、監理は部分写真が重要。例えば、鉄筋の継ぎ手部分、コーナー定着部分、開口補強筋を入れている完成写真。杭の杭長、杭径、測定写真、アンカーボルトの配置やピッチ、埋め込み長さの解るような写真。
納まりの細部が解る写真。構造的な仕口や継ぎ手がわかる写真が大切です。

そうでなければ一般の方の記念写真と同じで、監理写真となりません。

さて、土台の結露ですが、基礎コンクリート天端の均しモルタルが熱橋しているのではないか?という疑いもあります。また、何らかの雨水の浸入が外壁からある可能性もあります。現地調査で図面や工事監理写真や現場指示書などをみてどのように収めたのか?確認する必要があるでしょう。

分離発注は施工会社の設計施工と同様に、設計事務所の設計施工です。「よろず」ではどちらも現場管理(施工管理)と工事監理が同一人物となりチェック機構が一つ減ることになり、分離すべきことが健全性が保たれると考えております。建築主、現場管理者、工事監理者の民主的な三権分立こそが、あるべき道と考えております。

施工業者請負の監理と管理(施工)が一体のものは施工業者と建築主の二つの目、建築設計事務所請負の監理と管理(施工分業)が一体のものは建築設計事務所と建築主の二つの目では一緒です。大切なのは施工業者は施工に専念したいい仕事をする為の管理を重視した独立した管理者でるべきで、建築設計事務所は監理に専念したいい仕事をする為の監理を重視した独立した監理者でるべきで、建築主も独立した監理と管理を尊重し、協力する。そんな民主的な三権分立こそが、三つの目として機能します。
三つの目と二つの目、どちらが、より、ミスを少なくするか、また、いい仕事に専念できるシステムか、ご理解いただけると思います。

第三者の建築士の調査をお勧めいたします。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 運営事務局 荻原様
解説員の皆様

皆様のコメント拝見させていただきました。
お忙しい中、早々のご解説をいただき心よろお礼申し上げます。

荻原様のアドバイスにもありましたとおり、第三者建築士の調査を行なうべく、
知人をあたっております。それがダメな場合には、よろずの調査員の方にお願いする事になると思います。その際は、よろしくお願い致します。

今回の件で、気持ち的には許せない部分はありますが、現在抱いている不安を取り除き、1日も早く落ち着いた生活を取り戻したいと思っております。

今後の親展情況のご連絡や、解説員の先生方へは改めてお礼をしたいと思いますが、まずはとりいそぎ解説のお礼と思いました。

ありがとうございました。
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