相談概要 | [氏名] M.T [相談内容] 注文住宅の瑕疵 [居住住所] 長野県上伊那郡 [相談建物所在地] 同上 [職業] 地方公務員 [年齢] 52 [男性] on [構造] 木造(その他) [引渡し年月日] 1988年12月30日 [公庫使用] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 175 [工事請負金額] 2,549 [様態] 注文建築 [施工者] ハウスメーカー [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [18確認申請の為の委任しましたか?] してない。 [確認申請書お持ちですか?] 無い。 [検査済証は有りますか?] 無い。 [お手持ちの図面は何枚?] 1枚 [打ち合わせ何回] 3回 |
相談内容 | [現象] お世話になります。 築10年経った3年ほど前から基礎コンクリートの表面が浮いて剥がれる現象が現れてきましたが、表面を仕上げたモルタルの浮きだと思い、あまり心配もしていませんでしたが、昨年から今年とだんだんひどくなり、東側の通風孔周辺では指で触っただけでボロボロと崩れるほどになってきていました(写真を添付しました)。 [業者の見解] 修理の必要を感じたため、建築時の欠陥は保証の範囲で修理がされるものと考え、請負メーカーの修理担当者を呼び点検してもらった結果、工事時の欠陥であるらしいことは認めましたが、10年保証を過ぎている理由で、有償での修理をするとのことでした。 基礎については、大変なことになっていると判断したらしく、上司を伴って再度点検し、初期のコンクリートに問題があったことは認めましたが、持ちかえって上に相談するといったまま何の音沙汰もなく4週間。電話で催促したところ、われわれにはどうすることもできないので本社の「お客様相談」に電話してくださいとのことでした。お客様相談に電話したところ、4日位して、係と名乗る社員から電話があり、翌日点検に来ました。そこで提示された対策工事は、表面に防水モルタルとシーリング塗料で水と空気の浸入を押さえるというもので、しかも、三十数万円かかる経費すべて有償とのことでした。 私は、そんなことは許せない、せめて現在のコンクリートの状態ぐらい調べてからにしたらどうかと提案したところ、数日後にシュミットハンマーを持ってきて測定を行い、「どの地点でもほぼ20N/を示しているから思ったより大丈夫」「先日提案した工事で充分だ」との話であった。 [相談内容] コンクリート基礎の強度は、業者の言うように20N/あれば充分なのでしょうか。ちなみに、新築前の古屋が隣接しているので、その基礎を測定してもらったら40N/以上を示し、隣のコンクリート3階建てでは60N/近い数字を示していました。 修理補修の方法は、業者の言うとおりで大丈夫でしょうか。 コンクリートの劣化はこれ以上進まないのでしょうか。このままで何年保証されるものでしょうか。やっと建てた家ですから50年は持ってもらいたいものですが。 |
yorozuの感想 | このようなHPがあるということ、これから家を建てる方は幸せです。設計監理業者をしっかり決めた家造りすべきでした。 |
アドバイザー | |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 少し変わった形の基礎ですね。デザイン的か施工の合理化のために採用された形だと思います。表面を仕上げたのはモルタルでなく、基礎のコンクリート打放しです。 この凸凹の凸部分は基礎の強度には関係がないでしょう。 基礎の外回り全体にこのような現象が見られますか。一部分だけですか。劣化が激しいと思われるところに酸性のものがあったりしていませんか。コンクリートは酸に弱いので、局所的であれば何らかの酸によるものとお考え下さい。 保証に関しては契約書を精査しないと解りませんが、10年以内に発生しなかった瑕疵については有償になるのが一般的です。 表面に防水モルタルとシーリング塗料で水と空気の浸入を押さえるという方法は間違いではありません。一般的な方法です。 コンクリート基礎の強度は、業者の言うように20N/あれば強度上問題はないので、これ以上劣化が進まないような補修をしましょう。ただ、設計当時に何キロのコンクリートを使っていたのでしょうか。180kgであれば今の呼び方で18Nです。これは4週間強度と言われるもので、それ以降は少しずつ強度が上がっていきますが40Nになるような事はありません。 古屋や近所で40〜60Nを示したのは疑問です。モルタルの上から測定していま せんか。シュミットハンマーの使い方が適切でないとすると20N/の数値にも疑問が生じます。 |
中川 雅実 | 中川です。 写真を見る限りでは、コンクリートの強度不足の様に感じられます。 写真は地上部だけですが、地面より下を掘られて基礎コンクリートがどの様になっているか早急にご確認下さい。 又、お近くの構造に詳しい第三者建築士の調査を受けて下さい。 メーカーは、シュミットハンマーでの検査をされている様ですが、シュミットハンマーは最低20箇所を測定し、補正係数(材令補正・含水状態・打撃角度・呼び強度・粗骨材量・セメント量・セメントの種類・骨材の最大寸法)にて補正を行い推定圧縮強度が得られますので、当日測定され、その場で強度を言われてのであれば信憑性に欠けます。 正しい圧縮強度を得るには、現在の基礎をコアー抜き(円筒形に抽出する)されて、公的な第三者機関にて圧縮試験を行って下さい。 瑕疵担保及び10年保証の件ですが、この基礎は「重大な瑕疵」に相当すれば「知ったときから3年以内、かつ、引渡より20年以内」の告知であれば、メーカーは瑕疵担保の責務がありますので、再度メーカーへ交渉してみて下さい。 話がこじれる場合等は、お近くの弁護士さんや構造に詳しい第三者の建築士に相談してみては如何でしょうか? |
津村 泰夫 | 大阪の津村と申します このコンクリートはとてもひどい状態ですね、かなり中性化が進行し、ぼろぼろになっている感じがします。とても強度があるとは考えにくいです。 山口解説員が言われているように、なんらかの酸におかされた状態ではないかと思います。メーカーが工事による欠陥を認めたというのはどういうことなのでしょう? よくあるのは海砂を使った際に塩分の抜き方が足らなかったため塩分が鉄筋を錆びさせコンクリートを壊したり、アルカリ骨材反応とよばれて、特定の島の石を使った場合にアルカリと反応し壊れる現象などがあります。写真を見る限りは、酸による影響か、水分の凍結融解によるものの方が原因として考えやすいと思います。 対策は、本当に強度があるのでしたら樹脂モルタル等で成型補修でよいと思いますが、皆さんご指摘のようにシュミットハンマーによる強度測定は誤差が大きく、見た目も強度がありそうに見えません。中性化試験もおこない、強度不足の部分は、コンクリート打ち直しとしなければならないでしょう。 |
コメンテーター | |
藤井 修 | 基礎は建物にとって非常に重要な部分です。写真を拝見するとかなり状態が悪いですね。 コンクリートは中性化すると中の鉄筋が錆びて危険ですし強度不足で破壊します。 当事者以外の第三者の建築士による調査をふまえた上での話し合が必要と思われます。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 近くの工場等による煙突からの酸性雨が原因かとも考えましたが、お隣の古屋の基礎は問題ないようですので、この建物の基礎工事に特定されるものと考えることもできます。 この基礎はこの形状に型枠が整形されたものを使用してコンクリートを打設しているのでコンクリート打ち放しです。モルタルで形取られたものではありません。写真から凸部にも砂利が見られます。 もともとひどいコンクリートの表面をモルタルで全面補修したとも考えられます。 しかし、今回の写真からは酸性雨の影響を受けているのでしょうが、ここまでひどくなるにはコンクリートそのものの配合に問題がある可能性は高いと思われます。 わたしは塩分濃度の高い海砂が使われたのではないか?とも考えられます。また、砂利若しくは砂の採取場所に温泉等の鉱石が流入したものが混入したとも考えられます。 解説委員の解説にもありましたようにコア抜き試験中性化試験をお勧めします。その結果を見て、基礎の補強方法を考えてください。 それによって、基礎全面解体か部分的補強か、表面補修程度か判断するのがいいでしょう。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | さっそくのご指導ありがとうございました。 我が家の基礎ですが、とても不安になります。 メーカーが工事による欠陥を認めたというのは、私が記録しておいた工程表のメモを見ての話でした。 予定よりだいぶ遅れて始まった工事でしたので、業者から渡されたものに建設がはじまったときから書き込んでおいたものです。 見せた担当者は「型枠工事を始めてから10日目に建て始めたことが、養生不足になったかな。それとも生コンに水が加えられた可能性もある」といっていました。 中性化試験と強度試験をお願いしましたところ、早速手配いただきましてありがとうございました。 調査をお願いした結果で、再度メーカーへ交渉してみますが、絶対に認めないと思います。 担当者によると、パネル工法の建物は、基礎だけ打ち直すことは構造上不可能との説明です。 いよいよとなれば弁護士に相談してみることも考えていますが、大きなメーカー相手ではなかなか難しいようですね。 信頼していた業者に見放され、どうしたらよいか不安なときに、相談が出来る場があったこと、たいへん助かりました。 ありがとうございました。 |
その後 |
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