相談概要 | [氏名] K.N [相談内容] 注文住宅の瑕疵 [居住住所] 福島県河沼郡会津 [相談建物所在地] 福島県河沼郡会津 [職業] 会社員 [年齢] 45 [女性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦2002年 3月 14日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 208 [延べ面積坪] 63 [工事請負金額] 3600 [様態] 注文建築 [施工者] 大工(工務店) [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [18確認申請の為の委任しましたか?] した。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] 有る。 [お手持ちの図面は何枚?] 4枚 [打ち合わせ何回] 3回 [施工者名] K、S [販売会社名] 規建設 [設計者名] K、S [監理者名] K、S |
相談内容 | [現象] いきなり本題に入らせて下さい。確認申請書の図面内容について、 @「筋かい金具は全て使用」と記載されているが全く使用されていない。(ほ)の横架材に対して羽子板ボルトも使用されていない。A「通し柱3本」だが実際は2本だった。残りの1本は補強(短ざく金具)されていない。 完了審査申請書で、 B「取付金具は公庫認定金物を使用済」の記載 C「軸組及び金物設置済写真?」 我家のではない。見積書内容で規格と違う・数量計算が違う・流通価格より高い単価 等がある。(追加請求もある・・・精算はまだ) [業者の見解] 確認申請の図面相違についての見解はまだ聞いておりません。見積書内容については一部、提示しました。(一言で「計算間違えた !」で値引きしました。 [相談内容] @〜Cについては、「建築基準法違反」「不適合住宅」にあたるのでしょうか? 大変な状態に発展することは覚悟しております。(上記の調査のため全解体調査も覚悟しております。) 今後についてご相談したいと思います。よろしくお願い致します。 添付ファイルで不設置金具箇所の写真を送ります。 |
yorozuの感想 | このようなすばらしいHPがあることは、相談者として心強く思います。これからも良き相談相手となって「安心して暮らせる住宅づくり」を目指して頑張って下さい。 |
アドバイザー | |
山口 雅克 | 俗に言う設計施工の代願図面(確認申請をするだけの)による家で、工事仕様書もない契約となっていると思います。見積書内容に関しては数量や単価などはまま現状と異なる事はあります。契約の経緯がわかりませんので一概に一つの単価が高いと思っても、それが契約の信義に背く訳でもありません。物や手間に決められた値段はありませんので。もっとも、法外な金額は別ですが。と言う訳で、今回の重要な所は構造上の問題に絞られると思います。 言われる通りであれば、「建築基準法違反」の可能性はないとは言い切れませんが、確認申請の時期もわかりませんし、申請時点での特定行政庁(申請窓口を管理しているところ)の指導状況も関係してきます。金物が入っていないのに入っているような完了検査申請をしたのであれば監理者の責任は生じてきます。それが明らかになれば、監理者は法律に寄りペナルティーが与えられることになります。 写真を見ると、羽子板ボルトは付いていますが締め方の詳細まではわかりませんし、筋交も手間が掛るやり方をしてありますが、全体に入っている筋交の量等も関係すると思います。解体の覚悟までされているのであれば、一部分の仕上げ除去や屋根裏などからの調査を専門家(木造軸組の構造に詳しい人)にしてもらい、設計図と比べながら施工不備の程度を推測し、設計上や構造施工上の不手際があったのか相談してみましょう。不手際がありそうであれば書面で対応を求めましょう。 |
星 裕之 | 流通単価についてですが、個々の専門業者によって商品の入値・取付工賃がちがいますから、近所のホームセンターや積算資料より高くとも仕方がないことであると思います。ちらしに入ってくる広告では商品単価はおさえられていますが、取付費・組立工賃・諸費用が高かったりするようです。どちらにしても売り手・買い手間の問題で、第三者が高い・安いというような問題ではないとおもいます。 もう一方の相談内容である金物の件については微妙です。写真見ると必要個所に全て付いているかどうかは判断しかねますが、梁端部には引抜防止の羽子板ボルトはついているようですね。柱・梁接合を補強するVP・CPT・プレートについては外壁外周を調査しないと何ともいえない状況です。筋かい端部の補強金物はBPプレートを使うことが一般的です。しかし、少し前の住宅金融公庫仕様では相談写真のように梁の一部を欠きこみ筋かいを突っかえ棒のように挿入させる工法も推奨されていました。この場合金物は使いません。 欠きこみを行わず、そのままドン付けし金物を取り付けるより手間がかかりますので手抜きをしているというより、昔のやり方という感じがします。現在では法改正や金融公庫仕様変更、そして何よりも手間がかかるのでまず見かけない工法です。最後に、(ほ:軸組みの種類による筋かい端部の緊結に関する規定)ですが、法改正は行われておりますが、いまだに地方では一般的でないのが実情です。2002年夏現在、検査機関である宇都宮市や栃木県の各土木事務所では(ほ)などの締結に関する指導及び指摘はありません。また、この締結方法については必要な構造計算を行えばその規定に従う必要はありません。最終的に裁判で「違法か」と聞かれれば、構造計算で安全を確認できない限りそうなるかもしれませんが、世間の水準以下ではないようです。 また、ここからは私の個人的な設計者意見とさせていただきますが、柱が105角の場合、ボルト穴あけによる断面欠損のほうが気になります。最終的にこの建築が、地震に対し充分な強度を有していれば建築本来の目的は達していることになると思いますが、残念ながらそれは枝葉である金物の有無だけでは判断できません。建築は法によって全て規定できるものではありません。お客さまの味方となるような、専門家=設計監理者の必要性を建築前に考えてほしかったとおもいます。 |
コメンテーター | |
阿部 重幸 | 相談の内容からすれば請負者にかなり不信感を持たれているようですね。 本来ならばホゾや栓その他の仕口でしっかりと結束されていれば十分な剛性がえられますが、技術力の低下を補う為や、構造体の収縮による剛性力の低下を軽減のためには金物は有効な役割をはたすものです。 又、住まい作りの一番大事な事は施主と請負者の信頼関係が確立しているかどうかだと思います。又、出来あがる段階での信頼感や不信感が出来あがる建物、其のままに反映してくるのではないでしょうか。私どもの設計監理での仕事の大事なポイントは工程毎の工事内容のチェックです。工事内容に不備な所や不信があれば次ぎの工程には進まない、これが完成度の高い物を作る秘訣です。 一度専門の建築士の方に今後の対処の仕方を相談されてはいかがですか。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 残念な話ですが、現実はこのような工務店は少なくないのも悲しい現実です。 大手ハウスメーカーはまだ、距離的な問題も含めて地方にはそれほど進出していませんが、その管理体制は確りしたもので、ボルトや金物を2度確認するような業者もおります。工務店も昔の悪い面の風習を改めないとハウスメーカーの下請けになるようになります。自ら曖昧な部分は公開して、より良い体制を構築してもらいたいものです。 今回の相談では違法性が高いと思われますが、金物が一部抜けたりすることも現実には多くあります。知らないで住んでいる家も多いと思われます。 しかし、よくあることといっても事実、一つ抜けていれば全てが怪しくなるのは当然のことです。第三者の建築士に現状を目視調査してもらってください。 見積で高い安いは両者の考え方ですので、なんともいえません。 しかし、ないものが見積もりにある。または、数量が多く描かれて間違っている。 となれば当然、減額になるものです。 ここでも繰り返しになりますが、一般の方が見積もりを全て把握できないという現実があります。便器が一つであれば誰もがわかりますが、コンクリートの鉄筋量や木拾い、土量、配管、電気線などの量を調べるのは困難なのです。また、そのような拾える詳細な図面があることも大変少ないのが現状です。 ご自分で選んだ建築士に設計と監理を依頼する以外に適切な価格で安心できる家はもてないというのがわたしの考え方です。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | その後のお返事が送れて申し訳ございません。 というのも、その後県の建設課に相談しに行きましたところ完了検査届けの書類に「不実記載」(金具設置済写真が他所の家の物・金具設置済みの報告・・・)が見受けられ行政指導に入る旨の連絡が入りました。 その結果がまだでしたのでお返事が遅れました。 結果がでましたら必ずお返事します。 |
その後 |
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