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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0703 家が車の振動で揺れる。

 相談概要 [氏名] I.T
[相談内容:] その他
[居住住所] 大阪府東大阪市
[相談建物所在地] 大阪府東大阪市
[職業] 公務員
[年齢] 36
[男性] on
[構造] 鉄骨造(ラーメン構造)
[引渡し年月日] 西暦2002年 7月12日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 126.69
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 3480
[様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅)
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 解らない。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[お手持ちの図面は何枚?] 4枚
[打ち合わせ何回] 3回
[床面積] 130m2以下
[施工者名] C住宅販売株式会社
[販売会社名] M開発株式会社
[設計者名] T設計
[監理者名] T設計
 相談内容 [現象]
現在の家は、重量鉄骨造3階建てで1階に車庫があります。(ラーメンか、ブ レースかは不明)住み始めると頻繁に震度2〜3程度の揺れを感じるようになりました。小さいのも含める と1日に数十回も揺れ、ひどいときには揺れで目が覚める場合もあります。
人が動く程度では揺れず、よく観察すると南側道路(幅員約8m)に車が通ると揺れを感じることがわかりました。
 ここ一帯は準工業地域で、倉庫・工場が多く、トラック等の大型車がよく通ります。
また、道路の舗装が荒れており、大型車が通ると振動が伝わってくるみたいです。
なお地目は雑種地で、以前は畑と聞いていたが、どうも蓮畑であった様です。
他にも家があり計6区画の宅地で、向かいと隣の家の人も同じように言っています。 (1区画は未完成、他の2軒は話していません。)

[業者の見解]
売り主に聞いたところ、「地震に耐える様に揺れるようにもともと作ってある。近くの道路に車が通るたびに、その震動がマンホールから地中の下水管を伝わって、揺れを感じている。」との答えでした。
なお、建築確認は行っており、中間検査・完了検査も済み、検査済証もおりていますが、地盤の検査は確認がとれていません。

[相談内容]
建売なので、ここの土地に鉄骨造3階建てを建てて大丈夫かどうかは、売り主である不動産屋がきちんと調査しているものと思っていました。近くに鉄骨造3階建てがちらほらあるので、この辺は鉄骨造りが土地に合っているのかな、と思いました。
結局、地盤が悪いところに家を建てた事により、揺れが起きているのでしょうか?
 地震が起きる前にひどく揺れているのに、本当に地震が起きたら、いったいどうなるのでしょうか。地盤が悪かったとして、これからどんな事が予想されるのでしょうか?
アドバイスを頂けたら、と思います。
 yorozuの感想 このような相談出来る場があって、良かったと思います。
自分たちが、このような事態に陥って、どこに相談しようか信頼できるところをさがしていました。 今後も、活動を続けていってもらいたいです。
アドバイザー 
山口 雅克 解説員の山口です。

 基礎がどのような設計をされていたのかわかりませんが、地盤が良くないところで、近く(隣接)の道路に凹凸や舗装の荒れがあると大形車両が通った時に揺れを感じるのはよくあります。売り主が言うような「地震に耐える様に揺れるようにもともと作ってある。」は疑問があります。「近くの道路に車が通るたびに、その震動がマンホールから地中の下水管を伝わって、揺れを感じている。」の説明にも無理があると思います。どちらかと言えば「少し揺れるのは当たり前だがこの当たりではそのようなモノ」と考えて設計しているでしょう。振動は下水管を伝わるのでなく地盤全体で伝わってきます。

 地盤が悪いところに家を建てた事により揺れが起きていることには間違いありませんが、それで家が崩れる訳ではありません。まともに工事がされていれば地震が来たからといって崩れるわけでもありません。地震や台風に対しては大きさと確率で設計をしていますので、絶対に・・・とは言えませんが、近隣の建物と同等程度の強度はあると思います。

 設計段階では地盤調査をしていると思いますが、想像で書きますと、表面から2m位まで少し固い(といってもズボズボでない程度の硬さで、軟らかい分類に入りますが)地層があったのでそこにじーーっと載せて設計しているのではないでしょうか。 これから予想されることは、感覚的に揺れにはそのうち慣れてくること。建物で推測出来る事は基礎平面の図心と建物の重心のズレが大きいと不同沈下を起こし易いことです。

 このような地盤は日本中至るところにあり、仮に20数m下の硬い地盤に杭を打っても、地面も弾性を持っていますので、揺れはあります。このようなところに低層の建物を設計する時には地盤の状況とコストのバランスを考えて基礎工法の選定をしますので、鉄筋コンクリート造数階建て(重たいのでとても硬い地盤迄杭を打ちます)のように揺れない、ということはないでしょう。
津村 泰夫 津村です

軟弱地盤で揺れるという相談は多いようです。

 周りに主要道路などがあり、振動が心配される場合には、確実に堅固な地盤で支持する基礎構造としなければなりません。浮いた構造の基礎では防ぎきれないと思います。あなたの家がこのような構造で建てられているのは考えにくいと思います。役所の中間検査などでは判定できません。建て売り住宅ではこの地域でも「べた基礎」という浮いた構造としている場合が多いようです。地盤調査がおこなわれており、それに基づいて構造計算がなされ、建築確認申請書どおりに施工されていてもべた基礎であれば振動等を防ぎきれないと思います。

 まして建て売り住宅では山口解説員が述べられているように図面どおりにすら施工されていない場合が多いです。また鉄骨造という構造は、構造計算で振動の場合の許容値を決めており、「振動はあるが、大丈夫な構造」としています。1階の駐車場などを広くとった場合など、2階を歩いただけで振動を感じる場合があるのですが、構造計算をおこなっても「安全」という判定になる場合があります。

 ご相談の件ですが、地盤調査があり、それに基づき構造計算され、その通りにきちんと施工されてあれば、振動は感じるものの一定「安全」といえると思います。 ただ、周囲に主要道路があり、振動が予想されるのに、対策をとっていない場合で、その振動が生活に重大な影響を及ぼす場合には売り主に責任を求めることができるのではないでしょうか。

 もうひうとつ。主要道路でなく一般道路などでは重量車両の通行に耐えられる道路構造となっていない場合が多いですので、市役所の道路課などでご相談ください。
善養寺 幸子  解説員の善養寺です。

わが家も地域も軟弱地盤で幹線道路沿いに面していまして、建て替えの前の木造の頃は、一日中大なり小なり揺れている様な状況でした。目の前が幹線道路になる前も50mほど離れた国道のわだちにトラックが通るたび地震の様に揺れました。隣のうちは特に形状が細長い建物だったため、常に地震の様でした。軟弱地盤は振動が伝わりやすいのです。それを改善するため40m近い杭を固い地盤まで打ち込み、鉄筋コンクリート構造で建て替えました。今は車の振動では揺れません。

近隣の木造や軽量、重量鉄骨造はべた基礎(杭がなく軟弱地盤の上の方の少し固い地層に載せたもの)なので、上の構造に関係なく揺れると言います。細長い木造3階建てなどは船に乗っている入るようだと言っていました。強固に作られていたとしても船のような状況ですから揺れると言うことになります。常に揺れるから地震に耐える性能がないとは単純には言い切れません。不安に思うのでしたら、設計図や構造計算書と現場工事記録などから、第三者の建築士にチェックしてもらうのが良いでしょう。

鉄骨造は木造より強い(固い)とイメージされている方が多く、“鉄骨造なのに”揺れると言う相談が良くありますが、鉄筋コンクリート構造は変形しにくい堅さを持たせて耐力を設計しますが、鉄骨はねばりを良しとして変形をしても耐力を保たせる設計をします。地震の耐力は当然ですが、地域性や生活上の体感なども話し合って建築の計画をするべきでしたね。解っていても建築条件付きなどは難しいかもしれません。
そう言うところが、設計者の入る注文住宅と大きな違いだと思います。 
 コメンテーター 
氏原 毅士  この地域は本当に軟弱な地盤で表層でN値 2〜3、層厚概ね2m。
以下は平均28mまでN値1所により0という場所です。
 近隣には物流センターや大型団地等があって大型トラックの通行は比較的多い場所になります。
近隣の地名を見ても「川中」「南新田」と言うように旧の川筋でしょう。

 ターミナルでは荷捌き場の沈下で毎年舗装の打ち替えや電気、水道の引き込みを改修しなければなりません。
 荷捌きのプラットフォームと本来同じ高さでトラックの荷台がくるのに、極端な前下がりになっているはご存知でしょうか。
 道路が荒れるのは通行が多いのではなく、路盤が沈下するからです。
以前、この近く(岩田)に住んでいましたが、私の家も大型車が通行し,EXP,Jを越えるたびにゆれていました。

 また、突風でもゆれることからカミサンに「あんたは建築士でしょ」といつも言われていました。
 これを防ぐには杭を打つ意外には有りませんが、きちんと設計監理された建物なら、揺れで倒壊することは無いと思いますが、第三者のチェックを受けられたらいかがでしょうか。
 事務局から 
  荻原 幸雄 地盤が軟弱だと揺れると勘違いしますが、トラック等の振動波は波ですが、波は軟弱地盤ならば波の速度が遅くなり、硬い地盤は伝達速度は速くなります。軟弱地盤と硬い地盤では揺れ方が違ってくるのです。軟弱地盤はゆっくり、大きく揺れ、硬い地盤はビリビリッと早く、小さく揺れます。地盤改良することで地震の波は硬い地盤に近づけることはできます。通常の人の感覚では少し揺れるかな?程度だと思いますので、揺れると強く感じる場合は建物そのものの問題も考えられます。

このような地盤では建物も揺れに対して堅牢な方式を採用すべきですが、平面等の制約もでてきますので、総合的な判断が必要です。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 上記の相談について、アドバイスをいただきどうもありがとうございました。
大変、参考になりました。
質問では、基礎に触れていませんでしたが、地中梁で行っているとのことで、結局はべた基礎ということでしょうか。

また、今後の対応について検討しているところですので、また再相談などの時は、よろしくお願いいたします。
 その後  
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