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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0702 安心できる建築家を探すためには?

 相談概要 [氏名] I.N
[居住住所] 神奈川県中央林間
[相談建物予定地] 神奈川県相模原市
[職業] 自営業
[年齢] 32
[男性] on
[構造] わからない
[設計者はどなたに依頼しますか?] 専業の建築設計事務所
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 120
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 3000
[様態] 注文建築
[施工業者はどちらに依頼しますか?] 特に決めていない。
 相談内容 [家づくりの相談内容]
はじめまして、3年後ぐらいになると思いますが、土地を購入して注文住宅を建てたいと思っております。
その際は、建築家の方に設計などをお願いしたいと思っておりますが、よりよい建築家を探すためのアドバイスをお願いします。
以下は、以前こちらのホームページで解説されていた内容です。

建築設計事務所のデメリット:
・全てがオーダーメイドなので同じものが二つとなく建築を実物で見れない。
・建築士によって建築の質の幅がある。
・打ち合わせが多くなる。 建築士の相性が合わないと難しい。
・監理能力の低い建築士事務所が以外と多い。(外注の設計だけで監理をしたことが無い事務所が多い)
・業者と癒着している建築士事務所がいる。(設計監理料を正当でない低い金額で受けて、足り無い分を施工業者からキックバックを貰う。

建築を実物で見れない、打ち合わせが多くなる、建築士との相性については私にはデメ リットとは感じませんが、監理能力の低い建築士、業者と癒着している建築士については非常に問題だと考えております。
業者との癒着については言うまでもありませんが、これではまともな監理など期待できません。

このような建築家はどのようにして判断すればよろしいのでしょうか、例えば過去に問題のあった建築家は何処かで資料を閲覧できるとか、いままで携わった物件の資料を見せてもらいある特定の施行業者に偏って施行を依頼している場合は怪しいなど、何か良い方法はありませんか。
監理能力の問題は、悪意が無い場合も多いと思いますのでなかなか素人には判別は難しいと思います。

これから勉強して自分にとって最高の家を造りたいと思っています。その為には努力をおしまないつもりでおります。自分がやれることはやってその上で失敗したとしてもそれは納得が出来ますし、あばたもえくぼ(構造的な重大な欠陥ではそうもいきませんが)としてかわいく思えるかもしれません。
長くなってしまいましたがアドバイスよろしくお願いします。
 yorozuの感想 とても良いホームページだと思います。
アドバイザー 
山口 雅克 解説員の山口 です。

 専業の設計事務所に設計監理を委託されようとするお気持ちに拍手をお送りいたします。トータルで考えるとその方が良いのですが、家づくりでは全ての建主がそう思っている訳ではありません。それに、通常の生活の中では建築家との付き合いも少ないのが普通ですから、設計監理者の選定をどうしたものか、考えられるのもわかります。

 相談のポイントは監理能力と癒着ですが、残念ながらそのあたりの資料は皆無と思っていいでしょう。自動車の運転免許のように不誠実な業務を行うと点数が付く制度もありますが、実質は目に余るものだけが取り上げられていて、貴方がチェックしたいことを期待はできません。

 前置きが長くなりましたが、業務の信頼性を探る方法としては、過去実績の個々の物件の監理業務日報や工事確認記録かチェックリスト(事務所によって名称は違いますが)などを見せてもらい、どのような監理をしているか説明してもらうといいでしょう。施工者のレベルにもよりますが、基礎段階で3回、木造軸組〜屋根工事で5回位、トータルでは15回位以上は現場に行って確認や指導をしていると思います。目安は週に1回と他に重要部分です。私の場合、60坪位で施工者の管理レベルが高くなくて40回程現場へ脚を運んだこともあります。工事確認記録に施工是正指示などの記載がないのは用心して下さい。100点満点の施工はまずありませんので。

 中立な立場で監理能力のある人を探すには、数人の設計監理者と会い、人柄を見抜いて、貴方が誠実だと感じた人を選ぶことが肝心です。
小松原 敬 横浜の相談員の小松原です。

 残念ながら建築家の資料を閲覧できるような機関はありません。また特定の業者に偏っているというのもケース・バイ・ケースです。私達とて優良施行業者の情報はとても欲していて、そのような業者であれば偏ることも往々にしてあります。

 工事記録の閲覧により判断できないかというのも、現実的にはケース・バイ・ケースです。しっかりつけている所は良いという判断はありますが、アトリエ系の人で現場で大工さんと一緒に造りあげていくタイプの人はあまり事務的な記録はとっていない事がほとんどです。(そのかわりそういう人達は現場には何回という基準はなく頻繁に通います)事務所の大小もケース・バイ・ケースです。住宅の設計は手をかければかけるほど事業としての効率は悪くなるので所員を雇うのは大変になります。
 住宅がメインの事務所であれば1人〜3人くらいが限度で、3人以上もいればマンション、商業ビルや公共事業を受注しなくてはやっていけない場合がほとんどです。少なくても多くてもどっちが良いかはそれだけでは判別できません。

 年齢でも判断は難しいです。もちろん経験を積んでいるほうが様々なトラブルを経験していてより良い仕事ができますが、処世術にはたけているが新しい技術についていけない、なんて事もありえます。若くても情熱のある人のほうが良い場合もあります。

 となると、どう考えれば良いかというとまったく原始的ながらその人の人柄で判断するしかありません。
明確に判断する方法はありませんが、ポイントは二つほど考えられます。

 一つは慎重な性格であること。建築は一旦欠陥が露呈すると被害が大きくなります。それを回避すべく最大限の努力をする人は監理にも力を入れます。
 例えばそういう人は保険にも入っていると思います。設計者責任賠償保険というものがあり、設計に起因する瑕疵に補償が出ますがこれに入っているかどうかなどは聞いてみたほうが良いでしょう。施工サイドの保険についても聞いてみるのは良いと思います。

 もう一つはなんらかの「こだわり」が感じられるうんちくが聞けるかという事です。デザインや構造、断熱、材料など良い設計者にはなんらかのこだわりがあり、それについて良く勉強しています。
それが感じられる人は良い設計者だと思いますし、その方向性がご自身の考えに合えばなおさら良いですね。

 こうしたことは訪問しないとなかなか調べられないですが、今はインターネットでホームページを開いている事務所が多くなっており、メールで気軽に質問もできます。私はちょっとした事情で同業者のホームページを見る事が多いのですが、良さそうな事務所だなと思うものは上記のようなものが感じられることがほとんどです。
 また、どうも不動産屋くさいな、とか施工とつるんでいそうと感じるものも少数ながら見受けられます。こうしたものはいろいろ見ているとわかってきます。

 このような視点でしばらく研究なさったらいかがでしょうか。

 ちなみに癒着の確認としては施工会社の選定には複数の工務店から合見積もりをとるかどうか、ご自身の選択した工務店も合見積もりに加えていいかどうか聞いてみてください。合見積もりが必ずしも最良ではありませんが、強硬に反対するようなら怪しいです。
 コメンテーター 
氏原 毅士  設計事務所の80%は残念ながら特定業者(ゼネコンや設計会社)の下請けをしていることは現実です。
 また、専業事務所でもいわゆるアトリエ系事務所で、デザインや考え方の違いで建築主とのトラブルを抱えているところも少なくありません。

 難しいかも知れませんが、設計者の評判を聞いた上で十分話し合い、相性があう所を選ぶ以外には疑問点の解消はないのかも知れません。
 事務局から 
  荻原 幸雄 業者との癒着がないことをどう確認するか?は難しい点ですが、過去監理指示書(監理業務日報や工事確認記録)を閲覧させていただければいいでしょう。
例としてわたしの場合は木造住宅程度ではファイル2〜3冊になります。
これらを閲覧して指示している日時や内容を確認すれば、厳しい監理をしているか否かで癒着していないことが判ると思います。

これら指示書を出していない事務所はやめましょう。アトリエ系で大工さんと一緒にいい仕事をしていますが、指示書は大工さんのだすものではなく現場監督(工務店)に出すもので、何時、何を指示したか?言った言わないという世界はいけません。また、記録も残して、どのように監理者の責任で指示したのかも明確にする必要があり、また、施主に文章で閲覧できるようにすべきもので、大変重要です。この書類を軽視している事務所は建築主に説明責任を放棄するようなもので、とても信頼されるべきものではありません。

現場で口頭指示することも、急ぎの場合はありますが、事務所に帰ってからFAXで日時、場所、内容、を送っております。これらは連番になっていて「届いていない」ということを防ぐために印が打たれています。
このような書類がどんな理由であれ、保管していない事務所は信用してはいけません。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 先日は、ご返事いただきましてありがとうございます。
我々にとって家を建てることは、とても大きな出費をはらむ割に不確定要素が多いような気がします。
そんな中で、このようなホームページに巡り会うことができて私の無知も少しばかり解消されたような気がします。
今回の質問は、抽象的な事柄だったにも関わらず、親切丁寧なアドバイスを頂いてとても助かりました。
本当にありがとうございました。
 その後  
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