相談概要 | [氏名] Y.M. [相談内容] 建売住宅の瑕疵 [居住住所] 東京都豊島区 [相談建物所在地] 東京都豊島区 [職業] 自営 [年齢] 35 [女性] on [構造] 鉄筋コンクリート造(ラーメン構造) [引渡し年月日] 西暦1997年3月26日 [公庫使用] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 10 [延べ面積m2] 84 [工事請負金額] 6040 [様態] 分譲マンション [施工者] 建設会社 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [施工者名] H組 [販売会社名] M [設計者名] H組 [監理者名] H組 |
相談内容 | [現象] 8/2の大雨の際に、当部屋(10F最上階、角部屋)リビングの天井から漏水が発生しました。 漏水は2〜3時間程度、ポタポタと落ちる程度でコップ1〜2杯程度でしたが、同日クロスを剥がしてみたところ、漏水した天井部分にクラックが発見されました。 翌日、施工者によりリビングの天井クロスを全て剥がしてもらったところ、長いところで3m、短いところで10cm程度のクラックが計15m程度確認されました。 クラック幅は大きな物は1mm近く、雨漏りしているので、屋上へ貫通していることから300mm程度と思われます。 屋上の防水層(3層アスファルト防水)を確認したところ、防水立ち上がりの部分で多数の亀裂が確認されました。 [業者の見解] H組による目視現調を行い、応急措置として室内天井クラックからCS-21というコンクリート活性剤を注入し、屋上防水の立ち上がり部分のアスファルトを交換。今後の補修方針をとりまとめ、マンション管理組合、及び当方宛に説明の場を設けてもらうことになった。それまでは補修をSTOPしてもらっています。 [相談内容] 共有部分の漏水及びクラックの問題として、管理組合の理事と相談し、マンション全体として売主(M)側へ正式に調査・補修依頼をすることになりました。また当マンションは、入居1年目に地下駐車場に多数のクラックの発生・漏水にて修繕したり、その他室内クラック、壁石膏ボードのジョイント亀裂、結露等、いろいろ問題が発生していることもあり、施工業者に不信感もあることから、第三者を交えて徹底的な問題解決をしてゆこうという結論に達しました。 つきましては、 @どのような問題が考えられるのか、 Aどのような調査・検査が必要なのか、 Bその調査・検査実施と補修案を考えて頂くのに掛かる費用概算、 C委託先としてふさわしいところ(よろずの建築士の方、いわゆる欠陥調査機関?)、 D売主・施工業者への対応、についてご意見を頂戴できれば幸いです。 |
yorozuの感想 | RC造についての知識も乏しく、是非よろずの方々のお力添えを頂ければと思いご相談させて頂いた次第です。 よろずの方に有料というベースで今後ご協力頂くのであれば、基本的にはマンション管理組合の方とのやりとりとなりますが、とり急ぎ無償の範囲でのご意見を頂きたくお願い致します。 |
アドバイザー | |
樽 一弥 | 解説員の樽です。 もう遅いかも知れないけれどMの漏水の件、 技術的ハードル以外に 1.管理組合内での合意形成、及び予算化 *組合員には問題を公表されたくない方も当然ながらいます。 2.瑕疵では訴訟維持できないのでアフタ−サービスの不完全履行で! *分譲マンションは所有者にとっては売買契約 3.調査費用は自腹が原則 *追求される側が追求者の費用を満たしたケースは余りないです。 4.ケースでは他にも問題がありそうです。 *建築士・弁護士を含めたOn the tableの支援体制を模索して下さい。 5.公的機関への持ち込みの検討 *マンション管理センター 高層住宅管理業協会など |
中川 雅実 | こんにちは、YMさん。 神奈川解説委員の中川です。 少々質問です。 ◇写真の屋上部分?:屋上のどの部分でしょうか?PPが斜めになっているのでしょうか? 300という数字が出てきますが、クラックの深さでしょうね? ◇写真の平面図:和室6畳とLDの間には梁があるようですが、梁にもクラックが入っているのでしょうか?1mm位のクラックはどの位置でしょうか? 西側耐力壁に沿った北の柱はどの辺にあるのでしょうか? @今回のクラックは、構造クラックと考える必要が有るのではないでしょうか?他の洋室2室も調査の必要があると思われます。 クラックの要因は多種多様であり非常に難しいのですが、学会のひび割れ対策指針では16種類をあげ、原因は、設計関係・荷重関係・外的要因・コンクリートの材料的性質・施工関係としております。 又、ひび割れ制御幅は0.3mmとしており、許容値を与えても0.4mmを限度としております。(潮風に影響を受けるところは除く)1mm程度のクラックでは、スラブを貫通していることと思われますので、クラックの短長辺方向によっては、水平剛性の心配も出てきます。 A調査は、コンクリートの強度・成分、鉄筋の位置・かぶり厚さ等は検査することが出来ますが、施工過程の事は施工者の報告書による判断となるでしょう。 B費用は、調査時間や内容により違いが有りますので一口で申し上げるのは難しいです。 CD先ずは経験豊かな相談者を選択され、相談者のアドバイスにより第三者機関の調査により対応されることをお勧めします。 |
コメンテーター | |
津村 泰夫 | コメンテーターの津村です マンションは、居住者みなさんの共有財産ですから、全員の問題として取り組みましょう。 (1)どのような問題が考えられるのか、 1、防水の問題 屋上防水は10年保証だと思いますので、施工者ですみやかに補修してもらいましょう。写真では立上りの状況がどのようになっているのかわからないのですが、防水層が立ち上がっていないように見えます。設計図面と照合しましょう。 2、コンクリート キレツの状況を見ますと、コンクリートの乾燥収縮が考えられます。施工の際に水を多く入れた場合に見られます。コンクリート全体の品質が心配です。 写真を見ると、ボンド注入補修をおこなっているようですね。 (2)どのような調査・検査が必要なのか、 まず、初回調査をおすすめします。専門家が目視で共用部の廊下、階段、機械室、地下ピットなどを見て回ります。その結果どの程度の瑕疵が存在するか、おおまかにつかめますので、本格調査が必要か、またどのような調査が必要かを判断します。 防水については業者に調査をさせ、監理者が確認する程度でよいと思います。 部分的な切り張りになるか全面改修になるか「建物修繕措置判定手法」というマニュアル等に従って判断します。 コンクリートについては、建設時の現場監理報告書を見て当時の状況を判断し、不信があるようであれば、コンクリート強度試験なども必要になってきます。 (3)その調査・検査実施と補修案を考えて頂くのに掛かる費用概算、マンションの規模や形態、瑕疵の程度がわかりませんので、まず初回調査をして、本格調査の見積が可能となります。初回調査は5万円程度です。 (4)委託先としてふさわしいところ(よろずの建築士の方、いわゆる欠陥調査機関?)、もちろん私たちや、マンション居住者の立場に立って、調査、診断、補修設計、補修工事監理の出きる建築事務所であればよいでしょう。 (5)売主・施工業者への対応、共用部のことですから、管理組合として対応し、文書でやりとりをします。 それと、売り主に調査依頼をされたということですが、満足な調査結果が返ってくるか疑問です。 中川解説員の見解は構造クラックではないかとの疑いを示されていますが、構造クラックだとすると施工や構造の面でかなり不安な建物と思います。また、ご指摘のように巾が0.3ミリを超えるクラックは、空気が入ると鉄筋が錆び、鉄筋コンクリート構造そのものを侵しますので早急に補修しなければなりません。 なるべく早く対応されるよう望みます。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 解説委員の解説以外のものにお答えいたします。 どのような調査・検査が必要なのか、先ずは予備調査(事前調査)を行います。これは目視を原則として、管理組合との協議、保管設計図書関係の確認と精査。建物の目視検査です。 その後、予備調査においてどのような問題点があるかを考慮して本格的な調査に入ります。これを本調査と呼んでおります。 これにより今後の問題の処理の方向性を管理組合に提出。 その後、施工業者に補修方法を提出させ、内容を精査。 その後、補修を実行。その時の監理。確認。となります。 先ずは予備調査では2名が対応します。 費用は目安ですが、5万×2名+消費税+交通費となります。(1日で終わる場合)その他、報告書作成料は別途です。(5万円+消費税)(注:本件相談当時の金額) 本調査費用は内容により違いますので、予備調査の上、見積もりして提出いたします。 本調査では施工業者から施工時の関係資料の提出を求め精査。 ひび割れ幅・長さ等の調査進行性の調査部位の漏水調査などで以上の調査からひび割れ補修要否の判定をします。 調査はよろすネットワークで対応しています。 本調査報告書を提出後、管理組合と今後を協議し、方向性を定めて売主や施工者と管理組合、第三者とで本調査の説明し、協議します。 その後は売主や施工者が協議した結果を再度三者で確認協議します。 保証を含めた話し合いがつけば、補修工事に入ります。 以上、簡単ですが。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | 荻原さん、樽さん、中川さん、津村さん お忙しいところ丁寧なアドバイスを有難うございました。 実は1週間経っても返事のない場合は採用されなかったと思ってください、というH.P.のくだりから、不採用なものと諦め、他の建築士の方に目視調査を依頼してしまいました。 お時間を割いて頂いたのに申し訳ありません。 ボランティアとしてこのような活動をなさって頂いていること、今回のことを通して身にしみて心強く感じましたし、皆さんに敬意を表したいと思います。 これからも頑張ってください。 では、とり急ぎ御礼まで。 |
その後 |
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