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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0690 床下に雨水がたまりプールのよう・・・

 相談概要 [氏名] H・K
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 栃木県那須郡
[相談建物所在地] 栃木県那須郡
[職業] 自営業
[年齢] 42
[男性] on
[構造] 混構造
[引渡し年月日] 西暦1995年5月  日
[公庫使用] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 鉄筋地下1階木造2階
[延べ面積坪] 地下10坪 木造2階建て部分48坪
[工事請負金額] 3000
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。
[お手持ちの図面は何枚?] 10枚以下
[打ち合わせ何回] 10回以下
[施工者名] 有限会社K工務店
[設計者名] T建築設計事務所
[監理者名] T建築設計事務所
 相談内容 [現象]
我が家は雑木林の北斜面に建っており、(南が高く北が低い)地下部分は鉄筋コンクリート造り、その上に在来工法で木造の2階が乗っている構造です。
家の形が南北に長い長方形のため、地下室は北側から直接出入りできるようになっており、地下室部分は木造一階部分の北から約3分の一ほどの広さです。

南側は坂の高いほうに位置しますので、地面の高さは木造一階と同じ高さになります。その地下室について大きな問題があります。それは大雨が降ると地下の床下に雨水がたまりプールのようになることです。この3年で2度ありました。地下部分の基礎はべた打ちですが、北側の一番低い地面よりも更に30センチ以上低く打ってあります。(まさにプールのようです。)地下室の実際の床は地上30センチはあるので、その床下60センチ分一杯に水がたまりました。それが3年前です。

その時は基礎部分の外側から穴を空けて水を出しましたが、水が上がるのに1週間はかかりました。今回5日前の大雨で、また地下がプールのようになりました。今回は前回の時に開けた穴から水が流れたため、穴の開いている高さ35センチまで水がたまりました。我が家が建っているのは坂の途中で、雨は更に坂の下へ流れており、家の地下のみで水がたまっていて、ほかの家での被害はありません。また水は地下水がしみ出て溜まっているようです。地下室は事務所として使用しており、木の束を直接べた基礎に立てて床を支えていますが、書籍や、コピー機など重量の多いものも多く、当然湿気も多く、床のカビや腐りも心配です。地下室はコンクリート打ちっぱなしで使用しています

[業者の見解]
設計監理を請け負った設計士は、3年前は「天災によるものでしかたない」と自分の責任では無い様に言っていましたが、今回の状態を見て、何とか手を打たないと、と考えているようです。地下の床下の束については、プラスチックのものに変えたほうがいいといっていましたが、防水対策については何ら有効な案が思い浮かばないようです。また地下室には床下の点検口が無いため、とりあえず点検口をあけて床下を調べると言っています。

[相談内容]
 設計士には、3年前からこの件で相談していましたが、これといった対策を出す事ができません。我が家としてはまず流入してくる雨水を止めるための対策をしてほしいと考えています。コンクリートの亀裂から水が入らないためのシーリングや防水対策、地下の床下、基礎の内側から行えるものがありましたら、是非教えていただきたいと思います。建築資材なども進歩していると思いますので、情報をいただけると大変に有難いです。






 yorozuの感想 大変に良心的なHPなので、投稿しました。家を建てるという事は、依頼する側にとっては夢を実現するに等しい、本来は人生での最高の事業でもあるはずですが、それを全く理解していない業者、設計者があまりにも多くて憤りを感じます。このブラックボックスのような業界を風通しの良いものにしていくために、貴会のような専門家集団があることは、本当に一筋の光明です。是非今後も継続して大きな運動にして下さい。
アドバイザー 
藤井 修 藤井です。

傾斜地の地下室で一面が外部に面しているとは言え、他の面は土に面している訳ですね。
このような場合は当然にコンクリートでだけでは防水の処理は無理です。
室内の壁、床に防水層を設けてその内側を二重壁するのが一般的な仕様です。
床は湧水ピットの形を取り水が染み出た場合に対処できるようにします。
部屋の面積は小さくなりますが、その様な方法を講じてください。
氏原 毅士 氏原です。

 地階部分の基礎はベタ基礎であればここ(基礎版)に穴をあけてチェックするのはやめたほうが良いと思います。
 傾斜地ですから、地下の南面と東西の三角形は地中に埋まっているものと考えます。擁壁から出水しているのと同様な現象と思われますが、裏込め石や水抜きのやり方に問題があったのでしょう。

 内部からできる改修としては、一般的な地下構造に用いるCB積みの2重壁をとそこに漏れ出す水の排水ルートを作る以外には困難かと思います。
 外防水がもっとも効果的と思いますが、全て掘り出すと言うような大工事となってしまうのではないでしょうか。

 消極的には地下室の南側にトレンチ(溝)を設け、表面水を東西に逃がすことも少しは効果があるかも知れません。
 北面でも地盤より低いのは「滑り」を防止するためでしょうから、北斜面を削り、地盤を下げるのは大変危険と思います。
 設計および施工上の瑕疵として法律家と相談してはいかがでしょうか。
 善養寺 幸子 善養寺です。

 住宅の地下室の作り方は難しいものです。施設のような大掛かりな二重壁をするのは予算的な問題もあり、地下水位が平常時、低いのであれば防水は無くても平気かなと考えてしまったのでしょう。今回のことで、設計者の方も水は馬鹿に出来ないと思っていることでしょう。その様であれば、あまりこのような経験もなく確かに対策案も苦慮されていることでしょう。

 見ないことには完璧なことは言えませんが、壁面のPコン穴(コンクリート面の丸い穴跡)からの漏水とべた基礎と立ち上がり壁の打ち継ぎ部の漏水が考えられます。
 打ち継ぎ部の漏水はじわじわと入ってきますが、時間を掛けて多量に水が溜まったりします。
 水の対処の方法として、床を接がしてプラ束にする工事を行うなら、二重壁にしない方法として、水を入れない防水処理をすると言うのもあります。
 (漏水部分を見極める事が先ず最重要)

 1)漏水箇所への防水材圧注入工法。
 漏水部分に注入用の穴10ミリ程度のものを開け、無機質防水材を漏水路に圧注入していく方法です。

 2)打ち継ぎ部、Pコン穴部でしたら、無機防水剤の埋め込み、塗布改質工法。
 べた基礎と壁面立ち上がり部分の打ち継ぎ部に溝加工し、Pコン穴部分は処理したモルタルを削り取り、防水材入りモルタルを埋め込んで行く工法です。

 双方とも、同じ水路からの漏水に対しては、薬剤とコンクリートがその水に反応し防水効果を増していきます。

 防水ではなく二重壁ではないもう一つの策としては、釜場を作って水が入ったときに排水する形ですが、(室内に影響がないようなので)
 3)べた基礎上にコンクリートを増し打ちし、釜場を作りポンプを仕込んで排水する。※基礎が重くなりますので、地耐力の検討が必要です。

 コンクリートの漏水を止める加圧注入防水方法も、無機防水材の埋め込み工法もあまり防水工法としては主流じゃありませんが、無機防水工法などは土木の方ではかなり前から行われています。住宅ですので大ごとに空間を変化させたくないかと思います。一重壁のままの防水方法としていかがでしょうか。それぞれの業者に内容を聞いたりして設計者の方ともよく相談をし、改善してみて下さい。どうにかなります。

少し計画が甘かった様です。当初から防水を見込んで置けば良かったですね。解体にかかる分、プラ束の変更修繕の費用は責任を取って貰いましょう。防水費用に関しては当初計上されていたものではありません。この敷地においての地下工作物を作る限りは防水が必要だったわけです。この費用負担については、双方話し合って良い形で解決してください。文書だけの印象ですが、なかなか立地を上手く利用した建物の様に思います。施工者、設計者も今回の件は勉強になった事でしょう。蟠らないうちに早めに問題も解消し、長く建物を愛してください。 
 大内 彰 大内です。

私も善養寺さんの意見と同様にコンクリート躯体に防水性を持たせる方法が良いように思います。漏水個所の特定の他、水路(みずみち)の調査によって有効な対処法も考えられるかもしれません。
材料などについて他社もお知らせしておきますので設計者とよく相談して対処法を決めてください。 
 コメンテーター 
茶屋 了 まず漏水の原因を探ることが先決です。どこか亀裂か穴があるのでしょうから、その場所が壁なのか床下なのか?確かめることです。そのためには一部壁や床をはがさなければなりません。
原因が解れば対応の仕方はおのずから決まります。それは各解説者のものを参考にしてください。

ただコンクリートが原因でない場合も考えられます。例えば山の斜面や地表を流れる水が何らかの経路をたどり床下にたまっていることも考えられます。
その場合は別の対応が必要です。
 事務局から 
  荻原 幸雄 残念ながら、設計者能力、施工者能力に問題があるように思います。
本来は確りした防水対策が必要な案件です。

解説委員の防水工法は一次防水工事の瑕疵の場合の二次防水は大いに有効です。
しかし、一次防水材料がなくこれだけで防水を処理したら満足と考えるのは危険です。
何故なら、コンクリートの現在の亀裂による漏水はこれで止まりますが、今後発生する亀裂はその都度防水が必要になります。そうです、亀裂が起きるたびに防水をしなくてはならないことになります。

また、この防水だけでは内部結露はとめられません。防水のみです。

以上の観点から抜本的解決が優先されるべきことをお勧めします。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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