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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0687 在宅介護のために新築

 相談概要 [氏名] MK
[職業] 家事手伝い
[年齢] 45
[女性] on
[構造] その他の構造
[引渡し年月日] 西暦    年  月  日
[公庫は使わない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 60
[工事請負金額] 3100
[様態] 注文建築
[打ち合わせ何回] 5回
[床面積] −
[施工者名] Sハウス
[販売会社名]
[設計者名] わかりません
[監理者名]
 相談内容 [現象]
建築・付帯工事請負契約書をかわした後に設計の不備を発見。最初から『在宅介護のために新築をするので車椅子が何処でもスムーズに通れるようにして欲しい』と御願いしました。障害者の住宅も手がけた事もあると言うので安心していたのですがホームエレベータも二人乗りといわれましたが私がパンフを確認したら車椅子が乗れない事がわかりました。福祉や介護の知識があると思っていたのですが不信感を持ち福祉住環境コーディネーターの方に図面のチェックを御願いしたらトイレも車椅子が入れない事を発見。出入り口も健常者標準で車椅子では危険な箇所多数。業者は全てこちらの指摘がないと気がつかない状態です。
不振感ばかりつのり解約をしたい。玄関前の階段部分にはスロープを作れないと言われましたが・・・注文住宅なのにおかしいとの事。誰に聞いてもらってもおかしい事だらけです。

[業者の見解]
注文住宅なのに細かく収納の棚の枚数などを御願いするとできない・できない・・・という事が多く不信感ばかりです。ホームエレベータはメーカーに確認して欲しいと言ったのに確認もせず3人乗りにしたのでそれでいいでしょ・・・という不誠実な回答。あまりにも注文主に対して誠実でなく何を言っても『建築方で決まっています』『建物の事をわからない人にはムリですよ』と全て業者の都合のいいように進め様とします。不快感を感じ『最初から車椅子生活で御願いしているのに不安な事が多いので福祉住環境コーディネーターの資格を持った方に図面をチェックしていただきます』と言うと黙ってしまいました。
チェック後の細かい箇所はまだ知らせていません。不信感・不誠実さを益々強く感じます。

[相談内容]
とにかく不信感のみでこの業者とこれから大事な家を一緒に作っていく気分にはなれません。契約をしてしまい申し込み金(300万円)も支払済みですが、最初から車椅子生活と御願いしているのに違っている事が多く企業の都合の良いようにやろうとしている事に納得できません。
解約をしたい。こちらで気が付かなければこのまま着工されていたと思うとゾッとします。車椅子の乗れないエレベーター・入れないトイレ・健常者標準の出入り口・玄関内のスロープ(車椅子65cmに対してスロープ幅70cm)危険がいっぱいの使えない家になっていました。ゾッとします。もう・・・直せばいいと言う事では納得できずハウスメーカーに対して不信感のみです。
 yorozuの感想 助けてください!!!そんな気持ちでこのページを開きました。まさか・・・自分がこんな問題に巻き込まれるなんて思ってもいなかったので、どうしていいかわからない状態です。とにかく助けてください
・・・・アドバイス御願いします。このページが見つかって本当にホットしました。
御願いします。
アドバイザー 
善養寺 幸子 東京の善養寺です。

 注文住宅と一口に言いますが、注文住宅もスーツのテーラーのようにイージーオーダーとオーダーメイドとあると言えます。ハウスメーカーは基本的な構造や仕様が限定されていますし営業が話を聞き図面作成者に伝え図面化するもので、設計監理を専門にし、直接相談にのったりアドバイスを行ったりし、あらゆる部材から適材を選定したりする、全くのオリジナル逸品を製作させるような設計事務所の作るオーダーメイドとは違い、イージーオーダーと言えます。細部まで拘って、全てを目的通りに作るにはオーダーメイドの家づくりが必要だったようですね。

 例えて言うなら、ハウスメーカーは既製の積み木を要望に近くどう並べるかと言うもので、設計事務所は要望のためにその積み木自体をどの様な素材でどの様な形に作るかからまで考えるという違いがあります。
 デザイナーがその人のためだけにデザインするオートクチュールとも言えます。
 私達、設計監理を専門とする設計事務所の仕事は、見た目のデザインを作るだけではなく、施主の予算と目的の中で最良の構造、工法を選択し、専門技術者の立場からアドバイスし一緒に考え、一緒に作るのが仕事です。建築というハードに至る前の重要なソフトを作ることが我々の役割です。建材を売るために建物を考えるわけではありません。私が思うのは、施主の拘りは殆どソフトに類していると思います。使いやすい、心地よい、楽しく集える、介護しやすい、丈夫で安全で、長持ちする。そのソフトを間違いなく作って欲しいと望むのもまた、監理と言うソフトへの要求です。

 建てる前で良かったですね。と思います。私の友人でも母親の介護を見越して、バリアフリーと要求して建てたのに、その時が来たら不備だらけで介護がままならず、結局介護疲労で介護する方の具合が悪くなり、泣く泣く施設に預けたとぼやいていました。悲しい事です。

 私の設計した物件での例ですが、昨年ご主人が末期ガンで亡くなりました。そもそもは、お母様の介護の目的でバリアフリーと言うオーダーでした。骨髄を病んで車椅子となったご主人でしたが、作りが幸いし自宅治療に切り替え、最後まで自力で生活して自宅で亡くなりました。葬儀に来た友人達は「今時、病院のベッドじゃなくて家で死ねるなんて幸せだね。」と羨ましがってました。とても気のあった施主だったのでショックでしたが、入院中「ちょっと、頑張って痛みを取る治療が上手く行ったら、家に帰って生活できると思うと気力がでるよ。あの家を建てといて良かった。前のままじゃ家族に負担かけるから帰れないよ。あそこなら仕事も出来るし。」と辛そうな私を慰めてくれました。トイレの手摺を障害に合わせて一本足しただけで、自宅に帰ることが出来ました。仕事もしていました。葬儀で奥様に「お医者様が言った余命より長く生きたの。入院日数より、自宅治療の方が長かったの。彼はあの家を建てたこととても満足していたわよ。」と言ってくれました。この家は狭い敷地の中で、『家族を残した時に』と言う計画でフリースペースとして店舗貸出来る間取りを作りました。ご主人は運命を感じていたのかなとも思いました。本当のバリアフリーって何だろうととても考えた一軒でした。

 それぞれの経験の中で得意分野はあり、施主との相性もありますが、後悔しないためにももっと親身に考えてくれる設計者と仕切直したらいかがでしょうか。
 家を作った人達とは建物がある限りの付き合いとなるのです。今後自分たちが長く付き合って行く人達として相応しいのかも家づくりには大切なポイントかもしれません。
 家づくりは家族がするものです。しかし、自分たちのことを解っているようで解っていない。技術的なことは当然解らない。それを客観的にアドバイスし、サポートしてくれる技術者(建築士)が重要なのです。疑問に思うなら、まだ工事前です。設計にかかった費用の負担をしても大きな後悔よりは安いものかもしれません。
小松原 敬 小松原です。

まず、このメーカーとは解約したほうが良いでしょう。解約しないようにあの手この手で説得にくるでしょうが、このままの状況で続行することはお勧めできません。
契約書には解約に関する条項も載っているはずです。
契約金ももどってくるはずです。先方は解約金等の支払いを要求するかもしれません。それに納得できない場合は弁護士さんなどに相談してください。依頼料は発生するでしょうが、ご自身の選択に対する責任料だと思ってください。(弁護士さんも専門分野があります。よろずにも弁護士さんはいます)

その後、こうした家に理解のある設計事務所を探して設計を依頼してください。
家は「買うもの」ではなく「建てるもの」です。
納得する家づくりには設計事務所とじっくり話をして設計することが一番の早道です。

設計料はメーカーがCMや展示場、営業マンに使う経費を家の売り上げから回収している金額よりはるかに安いですよ。
 笠原 歩 笠原です。

心労お察しいたします。せっかく新築する家なのに、納得いかないまま事を進めるのはヤメましょう。文面からするとまだ着工前の様なので不幸中の幸いと思って潔く解約する方が良いと思います。また「福祉住環境コーディネーター」は(個人差はありますが)建築に関してはあまり詳しくはありません。この資格は介護、建築どちらも経験無しでも取得可能な(名称独占)資格です。
ですからなるべく早く建築士に相談することをお薦めします。
心ある建築士であれば、通り一遍の対応(手すりを付ける、段差をなくす)だけでなく、ADLを考慮した生活空間を提案してくれると思います。
現実に車椅子利用の方がいらっしゃるのであれば、現状に即した対応が必要だと思います。 
 氏原 毅士  ご相談の方も、よろずのHPをご覧になって「藁をもつかむ」思いでこられたのであろう事は承知の上で回答いたします。
 結論は小松原解説員が記している通り、こんな業者とは契約解除すべきです。設計能力の無い業者に問題があることは明白です。
 よろずの相談一覧をご覧になりましたか?
 設計と施工を分離した建築に対しての相談は意識的に掲載していないのではなく本当に無いのです。 
 山口 雅克 解説員の山口です。

 ハウスメーカーの営業と設計担当者が旨く連絡をとれていなかったこともあるでしょうが、このような会社は工事中も同じ事が起こります。自分の業績欲しさの営業マンの姿勢が見えています。建築基準法は建主を保護する為に最低レベルの事を定めてありますので、あれこれ出来ませんと言うより、要望を叶える方法は必ずあります。少し広く設計するだけなので、エレベーターにしろ出入口にしろバリアフリーの意味が分かっている設計者であればそんなに難しい事ではありません。この担当者は自己弁護に終始しているに過ぎません。

 前置きが長くなりましたが、建主の望むものを提供できないのですから、契約自体に疑問を感じます。できるだけ早めに解約をされるが良いでしょう。解約の理由は貴方が感じているままで通用するはずです。応じない場合は弁護士さんに相談となるでしょう。

 以前、あるハウスメーカーが身長の低い方の家を請け負って、身長を考慮して設計すると言いながら、出来た家が普通に建てられたので、裁判になり、ハウスメーカー負けた例(当然ですが)あります。業界でも有名な話です。 
 コメンテーター 
茶屋 了 解説員の皆さんが異句同音に言っているように在宅介護の人に合わせた設計をするのにはハウスメーカーでは無理です。
設計士の中でも詳しい経験のある人がいいでしょう。
契約を解約してそういう人を探すことが成功の鍵を握ります。
実際の設計の実例を見さしてもらって決めるぐらいの慎重さが必要です。
 事務局から 
  荻原 幸雄 バリアーフリーやユニバーサルデザインの商品が出回っています。
これらは障害者にとって大変重要なものです。
しかし、これから介護を考えている方は、よ〜く考えてください。

介護するのはあなたの身の回りの方だけです。
設計者でも施工業者でも営業マンでもありません。
ハウスメーカーはこれらの商品をつければバリアーフリーだと宣伝します。

しかし、実はバリアーフリーの商品をつけて段差をなくせば介護の家が完成すると思ったら大間違えですよ。介護の場合、その方の状況や将来の予測は大切なことです。
その時点で考えうることを、どれくらい介護者や介護される人の気持ちになって考えた設計をするかがすごく重要です。
これなくして介護の家は成り立ちません。
介護の家を建てて介護の魂いれずでは困るのです。

このような木目細かい設計は建築設計事務所が一番適しています。
しかし、設計事務所でもこのメーカーと同じように、どうにもならない事務所が存在するのも事実だと思います。

良心的な設計事務所は施主の意向でも必ずデメリットを説明します。
営業的にメリットだけ説明する事務所やメーカーは信頼してはいけません。
物事には必ずメリットの裏にデメリットが存在するのです。
大切なのはどれくらいデメリットを克服するかです。

トイレ入口に車椅子が入らないとかエレベーターに車椅子が入らないという低レベルの設計は設計と呼べるものではありません。

介護に魂いれずの世界から脱却してください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 建築よろず相談ネットワークの皆様有り難う御座います。
本当にありがとう御座います m(__)m

ホトホト疲れ果て・・・・解約にも自信を無くしかけていましたが・・・・
自分の考えを通す事に自信を取り戻しました。

仕事も辞めて真剣に父の在宅介護を考えている分だけハウスメーカーに対して怒りを
感じますが自分も勉強不足だったとつくづく感じます。

家族と結束してハウスメーカーに解約の申し入れをさっそくしたいと思います。
父の介護のために頑張って進みたいと思います。

また進行状況の方を連絡させて頂きたいと思います。
有り難うございました。

おぎはら様・善養寺様・小松原様・笠原様・氏原様・山口様・茶屋様
本当に有り難う御座います。
頑張ります。
 その後 アドバイスを頂き解約に向けて話合いを持ちましたが注文主の『介護の為の新築』という事を全然理解して頂けず『標準より広いですよ』というばかりで話になりませんでした。
福祉住宅や在宅介護に対しての知識も全然なくて本当に呆れるばかりでした。
また担当営業マンが展示場の所長というせいもあり中々上司に話を持っていってくれずにてこずりました。

ほとほとあきれ果て何度同じ事を言ってもわからないので弁護士さんに御願い致しました。
内容証明を出して頂きました。
『全額返金で指定の口座に一週間以内に振り込んで下さい』というものでした。
指定日までに何の連絡もなく振り込みもありませんでした。
弁護士さんと相談後次の手段は裁判ですね・・・・となりました。
ところが・・・・四日遅れで何の連絡もなく全額返金の振込みがありました。
お金は全額帰ってきましたが今だに何の連絡もありませんがとりあえず解決となりました。
最後まで変な会社だなぁ〜というのが実感です。

また一から出直しですが今度はゆっくりと慎重に業者選びをしたいと思います。
色々と有り難う御座いました。 
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バナースペース

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