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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0684 アンカーボルトの位置ずれ

 相談概要 [氏名] M.A
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 栃木県宇都宮市
[相談建物所在地] 栃木件宇都宮市
[職業] 会社員
[年齢] 38
[男性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦    2002年  8月  日
[公庫使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 141.2
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 2350
[様態] 注文建築
[施工者] ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] −
[お手持ちの図面は何枚?] 3枚
[打ち合わせ何回] 5回
[施工者名] Hホーム
[販売会社名] Hホーム
[設計者名] K事務所
[監理者名]
 相談内容 [現象]
 2×4で建築中で、基礎はべた基礎、基礎立ち上がり部は、120mmで土台は89mm×89mmです。
画像のとおり、アンカーボルトの芯がずれていたため、土台の座ぐり穴が土台の側面からはみ出た状態が、10箇所程度あります。アンカーボルトの位置と数量は公庫の基準内(最長2000mmで重要ポイントには、問題なく入っていました)になっております。

[業者の見解]
基礎立ち上がり部のコンクリート打設時に”アンカーボルトの位置ずれ”が気になり、メーカー社長(窓口兼務)に連絡したところ、配筋を中心に狙うため、アンカーはその横になり、センターにはこないとの事。また、公庫の基準書などで中心からある程度は許容範囲である旨書いてありましたので、実測したところ、10箇所程は画像のように、座ぐり穴が土台からはみでる危険があると思い、再度相談しましたが、現場合わせ(土台組み立て時)に修正するから大丈夫といわれました。

[相談内容]
 今日現在、1階床の組み立てが終了したところですが、強度的に何らかの処置をお願いするべきか?
また、通例(実際上)として、この程度は不具合の範疇かどうか?今後のお互いの交渉、関係もあり、迷っております。
 私自身、勉強しながら、確認しておりますが、他の建築状態の知識が無いため、一般的なレベルがわかりません。
お知恵をお貸しください。

 yorozuの感想 私自身、自分の家を建てるようになり、いろいろなHPで参考にさせていただき、勉強している最中です。
今後とも、一般庶民の味方であり、ひいては建築業界の不信感解消のため、頑張ってください。
アドバイザー 
大内 彰 こんにちは。解説員の大内です。

写真を見る限りではアンカーボルトの土台の際からの離れは許容範囲だと思います。
ただ、本来はボルトの頂部がナットの上に飛び出していなければならないのですが、写真からはボルトが飛び出していないように見えるのが心配です。真横から覗いて見て確認して下さい。

いずれにしろ、現場では不良個所は情報誌に載っているものだけではなくいろんなケースがありますから情報誌などだけで「カンリ」しきれないと思います。より安全なものにするためにもプロによる「監理」を考えてみては如何でしょうか。
星 裕之 星解説委員の解説です。

検討図をアップしましたので御覧ください。左が適切に施工され場合。右が今回の想像図です。
今回の場合アンカー位置が中心よりすこしずれてしまっていますが、土台を基礎に固定するという本来の目的としてはに問題になるレベルではないと思います。ナットからネジ山が3つ以上出るのが基本なのでその点だけは若干の補正が必要かもしれません。座金が土台から出ていないことを考えると、基礎内の鉄筋のかぶりなどもなんとか取れるようです。あまり気になさらない方がよいかもしれません。
 中川 雅実 こんにちは、M.Aさん。  解説委員の中川です。

写真からは仮定の話になりますが、「基礎はべた基礎、基礎立ち上がり部は、120mm仕様」とありますが、アンカーのずれよりも大切な、建築基準法施行令第79条(鉄筋のかぶり厚さ)に抵触する可能性があります。
早急に第三者監理者に調査をお願いし、アドバイスを受けることをお勧めします。

(鉄筋のかぶり厚さ)
第七十九条  鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあつては二センチメートル以上、耐力壁、柱又ははりにあつては三センチメートル以上、直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分にあつては四センチメートル以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあつては捨コンクリートの部分を除いて六センチメートル以上としなければならない。

上記の中で、「基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあつては捨コンクリートの部分を除いて六センチメートル以上」とありますが、「捨コンクリートの部分を除いて六センチメートル以上」というのは、基礎の下に打たれた捨てコン部分に接する基礎の下面のみが六pと解釈する建築士が多いようですが、基礎は6面体であり側面や上面も土に触れていれば六pが必要です。

業者いわく
「> 配筋を中心に狙うため、アンカーはその横になり、センターにはこないとの事」の様ですが、基礎立ち上がり部は120mmであれば、外側の土に接する側面は6p取っていないのは明白のようです。
又、外側面6pとったとしても、内側面4pは下記の計算ではとれません。(外かぶり+アンカー鉄筋+竪鉄筋+横鉄筋+内かぶり=立上り基礎幅ーーーー60+13+10+13+40=136mm ーーーとなり、これに施工誤差寸法が加えられます。)

業者は、公庫の仕様書はそうなっていない?世間一般は、何処の業者もやっていないと?等と言われることでしょうが、公庫に問い合わせれば、住宅の融資が目的であり寸法等は推奨寸法であり、設計者や施工者の判断に任せておりますとの回答を得ます。又、何処の業者もやっていないとの判断は誤りであり、大手の住宅会社は、既に立上り寸法を150〜200mmとされているのが今の現状です。早急に対策をとられることを願っています。 
 コメンテーター 
久米 能子  このような施工の技術的な疑問はたびたび、私達のところへ寄せられます。住宅の欠陥工事などについてTVなどで報道されるにつれ、自身の家の工事に対して関心が高まったことの現われのようです。

 ただ、周囲から批判される工事の内容について、本当にそれが問題であるのかどうか、また、何故そのような施工を行ったかということは、実はその現場の関係者等でないとわからないものなのです。一見、施工不良であるかのように見えたり、通常の施工とは違う、異質な方法を選択しているかのように見えたりしても、それには理由がきちんとあってのことの場合もあります。
 不良工事を解説する書籍やTVなどでは、そのことについてコメントをしていないものもあり、読めば読むほど不安になる、という悪循環に陥ってしまっている施主の方も少なくありません。おっしゃるように許容される数字の範囲もありますし、また、施工方法はひとつの施工個所に対してひとつ、というのではなく、優れた設計者なら建物の要求に合わせた、オリジナルの納まりを考えて設計することもあります。そういうことは、外部の人間にはわかりえません。

 今回のご相談は、比較的基本的な内容ですが、大内解説委員、星解説委員、中川解説委員からの見解も想像の域を出ない部分の多い、ひとつの可能性を示している、という程度にお考えいただければと思います。つまり、工事現場の施工状況に対するインターネットでの私達の解説は、いつもいくつかの可能性を仮定して意見をいうという限界から逃れられないのです。
 本当の安心を得るために、是非工事現場を第三者の建築士に見てもらいましょう。
 事務局から 
  荻原 幸雄 現実の配筋などの施工がどのようにしたのか?が大きな鍵です。
アンカーボルトも鉄筋に結束したのか?(どちら側にしたか?もあります。)若しくは「田植え」(アンカーボルトを鉄筋に結束でず、コンクリート打設後に田植えのようにアンカーボルトを植えるやり方(これはあまりいい方法ではありません。)など施工方法により解釈が大きく異なります。

土台の切り欠きに関しても施工精度は悪いといえますが、即、ダメというわけにもいきません。
全体的判断が必要だと思われます。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 いつもHPを拝見させていただいております。
昨日は”アンカーボルトの中心のずれ”の件、早々にご解答いただきましてありがとうございました。

 大内解説委員様、星解説委員様、中川解説委員様、久米コメンテーター様の専門家のご意見を頂戴しまして、心強く思います。
 ご意見を参考にし、あまり疑心暗鬼にならず、かといって楽観視することもなく、全体を見る余裕を持ちながら、前向きに考えて行こうと思います。

 運営事務局の荻原様、このたびは貴重なお時間をおとりいただきありがとうございました。
 これからもHPを拝見させていただきます。
皆様方のますますのご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
 ありがとうございました。
 その後  
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