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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0677 3階建てで強い構造は?

 相談概要 [氏名] S.M
[居住住所] 東京都世田谷区
[相談建物予定地] 神奈川県相模原市
[職業] 公務員
[年齢] 29
[男性] on
[構造] −
[設計者はどなたに依頼しますか?] -
[何階建て] 3
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 約45
[工事請負金額] 約3500
[様態] −
 相談内容 [家づくりの相談内容]

初めまして。将来建て替えをする予定でおります。土地は24.99坪です。
6人ぐらいで住む予定なので、どうしても3階建てになります。地震や台風に強い構造を選び、安心して長く住みたいのですが、どの構造が良いのでしょうか?
今まで本や展示場で調べたところ、木造軸組みは3階建てには良くないようでした。
木造・鉄骨に限らず軸組み工法はあまり3階建てには適さないような印象も受けました。
そうなると壁式工法ということになりますね。
また、最近軸組みとパネルを組み合わせた工法も流行ってきているようですね。それでも基本的には軸組み工法だから、やはり壁式工法には勝てない、といった意見を聞きました。
何が本当なのか判らなくなってきています。結局の所、何でも大丈夫なのかもしれない、とも思えてきてしまうのです。

3階建て住宅で、強い構造とは一体何か、是非教えていただきたいです。よろしくお願い致します。
 yorozuの感想 素人には分からない事がたくさんあります。自分が無知だという事すら気付いていなかったりもします。こちらで皆さんの相談を見ると、考えなくてはならないことが見えてきます。
また、素人にも判りやすく説明してくださっており、とても勉強になります。安心してお願いできます。
これからも是非是非続けていって欲しいと思います。
アドバイザー 
山口 雅克 解説員の山口です。

 建物の強度に関しての誤解があるようです。ただ誤解と言っても、多くの方がSMさんと同じような疑問を持っていることも知っております。
 建物の強度としては、通常の時は勿論ですが、台風や地震の時に壊れないように設計するのが我々建築士の役目です。法律では、今までに日本に来たり起こった台風や地震を基に、それよりもやや強いものがあってもいいように最低限の基準を定めてあります。勿論、それよりも丈夫に設計する事はかまいません。あらゆる構造・工法であれ設計次第なのです。

 台風と地震が同時にくる事は想定していませんが、その両方の各々の力を算定して大きい力がかかる方で設計を進めます。ですから、木造の3階が弱いとか、鉄筋が強いなどと言う事はないと思って下さい。設計のやり方によっては、計算だけでない全体のバランスや設計上の余力などがありますので想定以上に強い事もあります。
 つまり、言われるように、きちんとした設計と施工がされていれば何でも大丈夫ということです。プランの全体的に柱や壁などがバランスよく配置されたものが計算以上の結果をもたらします。
根本 一郎 根本と申します。

S.Mさんが迷っておられることは間違いではありませんが、正しくもありません。
3階建てという条件だけでは、構造による勝ち負けの判定は困難です。間取りをはじめとしたその他の条件により大きく異なるからです。
つまり、理論的に優れている工法も実際の建物の設計や施工により、その優位性は崩れることになり、どれが一番か簡単に言えるものではありません。

例えば、壁構造が強いのは、窓のない場合に言えることであり、基本的に大きな幅の広い窓は出来ません。
しかし、軸組構造は、大断面集成材を使うことで耐力壁を少なく出来ますし、安全に1階部分に広い車庫を設けることも出来ます。
実際には、壁構造の代表である2×4工法で大きな開口を設けるときは、軸組構造と同じ考え方で補強することになりますし、パネル化された軸組工法は、2×4との差がありません。

工法により区分されていても、それぞれの構造が相容れないわけではなく、相互に良いところを取り込んでいるのが最近の工法の特徴です。
ハウスメーカーを決めるためであれば、構造・工法の違いをあまり心配する必要はありません。
設計・施工・工事監理それぞれが、責任を持って実施されるかが最も重要であり、間取りに適した構造・工法をコストを考えながら設計者と共に決定するのがベストかと思います。住宅の性能は、他にも温熱環境(断熱・冷暖房)をはじめとして、決めるべきことが色々ありますから…
 藤井 修 名古屋の藤井です。

建物の構造を選択する為の条件としては工事の予算・敷地の周囲の状況・地盤の耐力・個人の好みなどで判断します。適切な構造計画を見据えたプランであれば鉄骨でも、木造でも心配する事はないと思います。ただ工事中の監理をしっかりと行う事を忘れないようにしさい。いいかげんな工事であれば、いくら適切な設計であっても安心できません。 
 大内 彰 大内です。

木造でも鉄骨造でも設計次第で硬くも軟らかくもなります。壁式にしても軸組みにしても基準ぎりぎりで進めると軟らかくなりがちです。どの程度余力を持たせて設計するかが肝心な点です。

材料で比較すると、鉄筋コンクリート造の場合は自重が重い分だけ地震力が大きくなりますが耐力も大きくなります。地盤が悪い場合にはその重量を負担するために基礎関係の工事費が上がってしまいます。その代わり負担すべき地震力が大きいので台風が来てもびくともしません。

逆に木造や軽量の鉄骨造の場合は自重が小さいので負担すべき建物重量と地震力は小さくなります。建物に生じる地震力が小さくなり、風圧力の方が大きくなることもあります。この場合、台風の季節になると頻繁に揺れを感じることになると思います。
地震が起きても揺れるので重い建物に比べたら揺れる回数は増えることになるでしょう。 
 氏原 毅士 氏原です

狭小な敷地の場合、採光の工夫と工費の問題さえクリアできれば建蔽率の制約を受けない地下室を設ける工法も検討の価値があります。
地下といっても有効な採光や防湿さえ怠らなければ快適な環境を作ることは可能です。
地下の定義を設計者と打ち合わせし1〜2階部分の構成を考えられれば24坪でも相当な面積を確保できるのです。
敷地が狭いから3階というような単純な発想を捨ててはいかがでしょうか。 
 コメンテーター 
長谷川 明弘 解説員の方々が言ってるように、単純には、どの構造が強くてどの構造が弱いなんてことは言えません。敷地の条件、予算等で状況は変わって来ますので、それをしっかり考慮して構造を決定するべきではないでしょうか?そしてそれはS.Mさんだけで決めるのはとても難しいと思いますので、信頼出来る専門家に相談し、コストパフォーマンスの高い、家づくりをすることをお薦めします。
 事務局から 
  荻原 幸雄 どの工法が地震に強いか?ではなく。どのシステムがより安心した家になるか?です。
あなたの家族を守ってくれるような、そんな設計者を探すことです。
では、どのような建築士があなたのことを真剣に考えてくれるでしょうか?

施工業者や販売会社の社員の建築士ではあなたの家を仕事として捕らえる傾向が強いかもしれません。
一つ一つ家は違います。
人のこころも一つ一つ違うものです。

何にも拘束されない自由な建築士こそ、あなたの見方になれると思いますよ。
家族の為には専業の建築士に設計監理を依頼するのが、一番民主的な家づくりです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 相談にのって頂き、ありがとうございました。わかりやすい解説を頂き、本当に感謝しております。
設計に合った構造や工法を選ぶのが良いのだと理解いたしました。そして監理をしっかりして頂いて、きちんとした施工をしてもらえれば、安心な訳ですね。

頭の中がスッキリいたしました。
これから信頼できる建築士さんを見つけて、私たち家族にとって最適な家作りをしていけるように、勉強を続けようと思います。
本当にありがとうございました。
 その後  
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