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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0674 不同沈下被害による今後

 相談概要 [氏名] SK
[相談内容] 建売住宅の瑕疵
[居住住所] 新潟県
[相談建物所在地] 新潟県
[職業] 会社員  
[年齢] 39  
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦1998年7月27日
[公庫は使わない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 127.52   [延べ面積坪] 38.5
[工事請負金額] 3000
[様態] 建売り住宅
[施工者] 大工(工務店)
[確認申請書お持ちですか?] 解らない。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[お手持ちの図面は何枚?] 10枚以下
[施工者名] (株)H工務店
[販売会社名] (株)H工務店
[設計者名] (株)H工務店
[監理者名] (株)H工務店
 相談内容 [現象]
大手ゼネコンが開発した造成地に地元工務店がモデルハウスを建築(1997年)し、公開終了に伴い販売されていた物件を購入したところ、購入後まもなく玄関前の土間やブロックに亀裂が入るようになり、2001年4月の調査で5/1000の傾斜、2002年4月の調査でさらに1cmの沈下(最も沈んでいるポイント)が建物にあることが確認されました。

現在不同沈下を修正する方法を検討しておりますが、建物を施工した工務店が倒産しており当方にて計画する必要があり、その上規模の大きい工事となるためその実施方法について迷っております。

[業者の見解]
工務店倒産前(2000年4月)に、状況を書面にて伝え補修工事を実施してもらいました。当時は建物に目に見えた損傷がなかったため傾斜確認は行わず玄関前のポーチ、土間、ブロック等の作り直しと、敷地が道路方向に拡大(最大約9cm)していることがわかったため建物と道路の間に単管を約50本と矢板(長さ約4m)を十数本挿入して完了しました。

[相談内容]
矢板挿入時にユンボで勢いをつけていたたかなければ挿入できない箇所が数箇所あり、一部は完全に挿入できずに切断をしました。
また沈下修復のため、建物周囲の地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験)を実施しましたが、6点計測のうち3点において、地中のなんらかの異物により約2〜3mの地点より下に貫入できませんでした。

地盤を調査した企業より修正工事の工法の提案がありましたが、沈下が進行している現状では支持層まで鋼管を挿入する「鋼管杭圧入工法」が適切ですが、当物件の場合地中にガラ、建築廃材等の存在が想定され支持層まで貫入できない可能性が大きいとの見解を受けております。

(1)造成地の盛土層においてユンボで勢いをつけ、たたかなければ矢板を挿入できないような固い地盤がありえるのでしょうか。(それも本来軟弱であるはずの表層2〜3mの範囲に)

(2)地中のコンクリートガラ、レキ等の異物を確認する方法はあるのでしょうか。
(ボーリング試験で判定できますか)

(3)基礎の真下等にこのような異物があった場合には、明らかに造成業者の瑕疵と思うのですが、責任を追及することは可能なのでしょうか。またこの場合どのような証拠が必要となるのでしょうか。

(4)地中に建築廃材が埋設してあった場合、上部の建物との因果関係(不同沈下)はどの程度考えられるのでしょうか。逆に地盤沈下の原因が埋設物によるという判断が可能なのでしょうか。

(5)昨年と今年に1年の間をおいて建物傾斜測定を行った結果、沈下がとまっていないことが確認されましたが、修正工事はどのようなタイミングで着手するのが適切なのでしょうか。

(6)「鋼管杭圧入工法」を採用するにあたり、当物件の場合地中の異物により支持層まで鋼管が到達しない可能性があるため、代替案として「耐圧版工法」(地中50〜60cm下に40×50cm程度の鉄板をしきこみ接地面積を増加させ修正)の提案を受けております。素人の考えではありますが支持層ではなく下部になにがあるかわからないような不安定な地盤上を支えにしても今まで同様に沈下するような気がします。再沈下の可能性については施工側も指摘しており最終的には私の判断に委ねられています。このような場合どのような工法で行うのが適切なのでしょうか。また基礎の真下になんらかの理由で鋼管が挿入できなかった場合、造成業者に責任を問うことは可能でしょうか。(現実にはすでに建物が存在するので補修費用等での責任追及しかできないと思いますが)

(7)造成団地内ですでに不同沈下の修正工事を行ったお宅が、私の知る範囲で2軒(うち1軒は私の建物のすぐ近くです)あります。また団地全体では、ガスがでなくなった、道路に大きな水溜りができる、側溝が曲がっている、アスファルトにひびが入っている、歩道の縁石がずれている、公園の敷地が大きくへこんでいる、道路が波打っている等々の事象があります。
このような状況は建物施工以前の問題と思われ、造成業者への連絡が必要と考えております。
共用のエリアに対し法的にどこまで修復を依頼できるのかご教授お願いします。





 yorozuの感想 初めてご相談させていただきます。
このような相談窓口を運用されている方々に頭が下がります。
マイホームの取得は一般庶民にとって一生に一度の大事業であり、いろいろと勉強をしながら計画が進んでいきますが、ハウスメーカーや工務店、ゼネコンとの知識のギャップは大きく、またどうしても「素人のたわごと」的な見下した見方をされ対等な話し合いが成立せず、泣き寝入りとなってしまうことが多いと思います。

第3者的に相談にのってくれる組織をみつけるのも、なかなか難しいと思います。
このようなホームページが存在してくれることで、懸案解決の足がかりとなり、さらに認知度をあげていただくことで、メーカーとユーザーがより対等な立場で交渉できるようになると思います。

今回の私の相談内容は、必ずしもホームページ運用の主旨と一致していないと思われますので採用とならなくてもいたしかたないかと覚悟しておりますが、地盤の重要性は多くの人が購入前にいくら説明されても理解できず(関心がなく)、購入後にはじめて実感するものかと思いますので、可能な範囲で取り上げていただけると幸いです。
現在地盤調査と修復工事をG社に依頼すると共に、住宅保証機構へ提出する審査依頼の書類作成をしております。

今回の相談においてどのような書類が必要となるかわかりませんでしたので添付しませんでしたが、地盤調査、建物傾斜資料、造成時コンタ図等入手してありますので、採用となった場合は必要書類を送付いたします。
アドバイザー 
津村 泰夫 大阪の津村と申します

(1)矢板を挿入できないような固い地盤:
大きな石がたくさんある地盤などで考えられます。
ところで造成以前はどのような地域であったのでしょうか、コンクリート構造物がたくさん存在したのであれば、ガラ等も考えられます。

(2)地中の異物を確認する方法:
ボーリング調査で確認できます。

(3)瑕疵、責任追及、証拠:。
自然の石等であれば造成責任は問えないでしょうが、ガラ等であれば、調査した結果によりますが、造成責任の追及は可能でしょう。証拠はもちろんボーリング調査結果が必要です。

(4)上部の建物との因果関係(不同沈下)、地盤沈下の原因が埋設物:
埋設物の内容によると思います。柔らかい廃材を埋めたりした場合には当然沈下が考えられるでしょう。

(5)沈下がとまっていない、修正工事タイミング:
経年による沈下の治まりは期待できないと思います。早い時期に補修工事にかかって良いでしょう。ただし十分な調査の後です。

(6)「耐圧版工法」、どのような工法:
十分な調査結果を踏まえて構法検討が必要だと考えます。地中の異物がどのようなものかにより、鋼管杭が可能か、耐圧版が適切か判断しなくてはいけません。また今の補修技術では、ほとんどの建物の下部で鋼管杭の打ち込みが可能です。

(6)団地全体の表層に不具合、共用の部分の法的修復を依頼できるのか:
地域全般の造成について調査が必要でしょう。そしてその結果を踏まえて、地域ぐるみで対応しなければならない問題だと思います。自治会の総会等にて検討すべきでしょう。
地域全般の造成責任まで及びますので、行政責任の追及も必要かもしれません。
まず、個々の建物と同時に地域全般の調査が必要でしょう。そしてその結果を踏まえて、地域での自治会等での結束と対応が必要です。専門の弁護士と相談し、対応することとなります。方法は民事調停から行政訴訟までいろいろ考えられます。「よろず建築相談」でも対応可能です。
 コメンテーター 
山口 雅克 造成地は盛土部分と切土部分があり、盛土部分には通常は切土部分のものを入れていきます。大きな岩が混じっているとそこだけ沈下します。低い土地を埋めただけの土地だと廃材などの上に土をかぶせたところもあるでしょう。廃材の空隙があったり、 、有機物(木材などの廃棄物)があると腐敗してガスが発生してガスが抜ける、などで沈下します。

 調査には造成図面があるとよいのですが、ボーリングのほかに音波で探る方法もありますし、何処か掘ってみるのもいいでしょう。幾つかの方法を併用するのも全体が見えてきます。
 開発行為の許可にも関係してきますので団地の皆さんで協議をして対処されるのがいいでしょう。
 余談ですが、バックホー(ユンボ)で矢板をたたくのはまともな方法ではありません。
 事務局から 
  荻原 幸雄 残念ながら不同沈下の可能性が大きいですが、造成業者の何らかの手抜きがあったものかもしれません。ガラが混入している疑いもあり、もし、ガラなどが混入している場合はそこまで掘ってガラを撤去するのが常套手段だと考えます。

弁護士と建築士にご協力を仰いだ方がよい事案です。
ご検討ください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 解説読ませて頂きました。
その後、団地内のお宅を周り、改めてその不適合の大きさに驚いております。
各先生の見解でご指摘のあったとおり、私の家だけ単独で補修を行っても根本的な解決にならないことがわかりましたので、本件については近々町内の関係者に声をかけて協議を行おうと考えております。

このようなホームページに出会えたおかげで、今までよりも広い視点で問題解決の方向性を見出すことができました。
私たちだけでは解決不可能な問題ですので、後日また「建築よろず相談」ホームページを通じ正式にご相談したいと考えております。
ありがとうございました。
 その後  
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