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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0669 床が太鼓のように響く

 相談概要 [氏名] H・R
[相談内容:] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 千葉県千葉市
[相談建物所在地] 千葉県千葉市
[職業] 会社員
[年齢] 33
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[築何年ですか?] 築 3年以内
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 110.92
[延べ面積坪] 33
[工事請負金額] 1500
[様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅)
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[お手持ちの図面は何枚?] 4枚
[打ち合わせ何回] 10回以下
[床面積] 120m2以下
[施工者名] O建設
[販売会社名] O住宅
[設計者名] O・T
[監理者名] O・T
 相談内容 [現象]
はじめまして。現在入居してから2年2ヶ月たちます。ほぼ総2階の木造2階建てですが、2階にLDKがあり、7畳半のキッチンの下がビルトインガレージになっています。
LDKは広さ全部で16畳ほどですが、入居直後からずっとこの空間のほぼ中央にあたる部分が、はずむというか、ゆれるというか、ちょうど太鼓を鳴らすように響く状態です。リビングにあたる部分です。子どもが歩くだけでその部分だけがグワアンと微妙に振動します。すぐ下は和室ですが、上でつけているテレビの音声もよく聞こえます。
ほかに目立った不都合はなく、この点だけが気になっています。

[業者の見解]
入居後すぐ瑕疵ではないかとクレームを言いました。しかし販売店と実際建築した工務店が違い、販売店の営業マンは「木造住宅の構造上、広い空間を作ると起こりえる現象だが、なんとかしたい」との回答でしたが、具体的なことは何もなくそのままです。(それほど広くありません) 

また工務店側で行った今年2月末の2年目点検の際も「ここだけ柱の間隔が広くなっているようだが、設計上問題ない。会社で検討してあとで回答する」と言ったきり、何の音沙汰もありません。工務店から、柱の詳細な配置を示す図面を受け取ってあります
が、図面上はそれほど大きな問題があるようにはみえません。

[相談内容]
この状態は、瑕疵の範囲なのでしょうか。また、具体的な処置のしかたとして、どのような方法が考えられますか。
工務店の方では、和室の天井をはがして、2階の床下を補強するのが一番やりやすいといっていましたが、防音の問題は起きないのでしょうか。工務店側から連絡を待っていたら、ずるずる2年も経過してしまったので、何かアドバイスいただきたく、よろしくお願いします。
 yorozuの感想 何もわからない素人にとって、このようなHPは、心強く、非常にありがたいものです。
ただ、過去の相談内容の検索が少ししづらいというか、分野別にデータベース化されているともっとありがたいです。
お手数ですが、よろしくお願いします。
アドバイザー 
山口 雅克  解説員の山口です。

 振動と音に関しての相談ですが、分けて考えてみます。
 振動は2階の床をささえる梁の撓みが限界に近いからでしょう。設計時に梁の大きさを検討する時に、曲げ強度と撓みの両方をチェックしますが、撓みの検討が甘かったのかもしれません。若しくは梁の材種が設計時の予定と違っていることも考えられます。設計上の瑕疵の範囲と考えていいでしょう。

 補強の方法は工務店の言うようにするのが一般的な方法です。今の撓んでいる梁をジャッキで上げて水平にしてから、下に補強の木材を入れます。(方法は幾つかありますが元の梁としっかり接合するのがこつです)

 これと音の問題は別です。気休めかもしれませんが、1階の天井にグラスウールなどの断熱材をいれるのも少しは効果があるかもしれません。
中川 雅実  こんにちは、H・Rさん。 解説委員の中川です。

 床(梁)の安全性の判断は、固定荷重及び積載荷重(人間が歩く荷重も含む)を基に、梁を曲げる力やせつ断する力と、各荷重によりたわむ事に対する安全性を検討します。しかし、材料の経済性を追求すると、居住性が失われるのが実状です。更に、振動環境も検討する必要がありますが、木造住宅の場合は、そこまで検討されていないのが実状です。

 今回は、材料強度は満足しているようであり、瑕疵と言うよりも不具合現象としての発生と捉え、工務店言われるように床下を補強されては如何でしょうか?しかし、和室の天井を剥がすことはたやすいですが、復旧時に天井裏に人間が入れる空間が必要になりますので、天井高の確認が必要であり注意して下さい。(和室の天井は、天井裏から天井を支持する為、洋室とは違い作業スペースが必要になります。ーー洋室は、室内より天井を見上げて作業する。ーー)

 音の問題は、隙間や個体からの空気に依る伝達により到達しますので、遮断及び吸音の手段が考えられますが、簡単な方法は、グラスウールやロックウールを天井裏に敷き並べる事で軽減はされますが、木軸構造では完全に解消する事は難しいでしょう。
 コメンテーター 
今井 優子 コメンテーターの今井です。

二人の解説員の言うとおり、床の振動には床下の補強が有効だと思います。
瑕疵かどうかは揺れの程度にもよりますが、ご相談の内容からすると微妙なところでしょうか。
瑕疵を追求するよりは、前向きな対応を提案して、費用については交渉するというほうが、工務店も迅速に動いてくれると思います。
音についても、床の振動が軽減されれば多少伝わりにくくなるとは思いますが、グラスウールなどを1階天井裏に敷きこむと、より効果はあると思います。
しかし、木造の場合その構造上から完全に遮断することは不可能です。
 事務局から 
  荻原 幸雄 梁が必要な材料の大きさになっていても材によっては節等の関係でまれにこのようなことが起こり得るかもしれません。
この場合は補強することによって解消しますので、ご安心ください。
また、音の問題も多少、これにより解消すると思いますが、これについては多大な期待はお持ちにならない方が、木造の場合はいいと考えます。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 前略

この度は、私の質問に早速のご回答を頂きまして、誠にありがとうございます。
2年の間不安に感じていたことがかなり解消され、早々に何らかの対策を講じたいと思います。

お忙しい中、ご解説くださった山口様、中川様、氏原様、今井様、事務局の荻原様、本当にありがとうございました。
皆様のご健康と益々のご発展をお祈りいたします。

メールにて失礼いたしますが、取り急ぎ御礼まで。

早々
 その後  
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