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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0668 契約解除できるの?

 相談概要 [氏名] N・H
[相談内容:] その他
[居住住所] 大阪府堺市
[相談建物所在地] 大阪府貝塚市
[職業] 公務員
[年齢] 37
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[築何年ですか?] −
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 28.5
[工事請負金額] 3.500
[様態] 建売り住宅
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[お手持ちの図面は何枚?] 無い
[打ち合わせ何回] 1回
[床面積] 100m2以下
[販売会社名] 株式会社Yホーム
[設計者名] SS建築設計事務所
 相談内容 [現象]
以前から興味のありました物件でしたので、3月17日に妻と現地に下見にいきました。
2人とも大変気に入り、購入に前向きになっておりましたが私、妻方の両親から実家から遠のく為反対をされ諦めました。しかし、諦めきれず双方の両親を説得し購入に踏み切りました。

3月29日現地事務所にて購入申込書記入(金銭支払いはありません。)建売物件で気に入ったものが契約済だったので、同じようなものをフリープランで建てれると聞き区画の押さえをしました。

3月31日自宅にて事業・売主のYホームより宅建主任者と販売担当の方が来られ、重要事項説明書の説明を受け、本書と不動産契約証書(土地売買契約書・建設工事請負契約書)の押印をし、手付金10万円をお支払いしました。

4月15日現地事務所にて設計事務所を交えての1回目の打ち合わせでしたが、設計事務所は同席せず(前日欠席の連絡がYホーム販売担当を通じてあり)事業・売主のYホームの設計担当と販売担当と私の3者で打ち合わせをし、予算・間取りの要望をお伝えし図面があがりしだい、ご連絡いただくようお願い致しました。

4月20日妻から、土地柄の雰囲気が馴染めず不安なのでどうしてもやめたいと言うので早急にYホーム販売担当に電話を入れ契約解除の申し出をしました。ただ、違約金の心配もあり状況的にどうなのか?手付金放棄で解決できるのか違約金の発生が生じるのか返事をいただくよう伝えてあります。

[業者の見解]
妻ともう一度よく話し合って考え直すように言われましたが、再考の意思はなく契約解除の意思を伝えたところ、上司、会社の方に相談するので時間がほしいと言われました。(1〜2日ほど)違約金のことについては設計事務所も動いているので発生するかもしれないとの事です。

[相談内容]
こういうケースの場合、違約金の支払いに応じなければならないのでしょうか?
重要事項説明書と不動産契約証書(土地売買契約書・建設工事請負契約書)を見ると手付金放棄で契約解除に応じる文面もありますし、「設計事務所が動いている・・・」は契約文書でうたわれている契約の履行に着手にあたるのでしょうか?

事業・売主のYホームの設計担当を通じて、設計事務所に予算・間取りの要望をお伝えし1週間ほど(20日の契約解除の申し出からだと5日)ですし、図面もなく確認申請、見積書ローン申込みの申請すらできていない状況で違約金発生は考えられますか?
それと、不動産契約証書(土地売買契約書・建設工事請負契約書)で気になる点なんですが・・・

土地売買契約書の融資申込先がYホーム提携ローン・・・実際は別のところで借入れ予定(ローン申請はまだです。)となっておりYホーム宅建主任者に確認したところ、再度、建物が決まりしだい建物・土地と個別に契約していただくことになり、現時点で一応書き入れたものであるとお聞きしました。
この事は裏を返せば、仮契約にならないのでしょうか?そうであれば、手付金の10万円は実質的に手付ではなく、申込金として返還に応じてもらえないのでしょうか?

違約金発生となれば額も相当なので、仕方なく購入しようかと考えており、その意志もYホーム販売担当に伝えてあります。しかし、後々仕事をお任せするわけですから極力それは避けたいのですが・・・
手付放棄で契約解除に応じてもらった際、一般的に何かしら書面を交わすのでしょうか?そうであれば現地事務所は行き辛いので自宅で行いたいのですが場所等は何処であってもかまわないのでしょうか?あと内容証明付き郵便でも構わないのでしょうか?また、立会い人をたてなければならないのでしょうか?
最後に駆け込み寺的な機関があれば教えていただけないでしょうか?
多くの質問申し訳ありません。アドバイス宜しくお願い致します。
 yorozuの感想 見やすくて、とても解りやすいです。もっと早く当HPの存在を知り、事前に予備知識を蓄えてから家探し、売買契約に踏み切ればと自分自身悔やまれます。立地条件や家の持つ雰囲気、間取りばかりに目を奪われ1番大事なところを軽視しておりました。これからも大いに参考にさせていただき、次回は失敗しないよう頑張ります。
私のような人達の転ばぬ先の杖となるよう、ご繁栄お祈り申し上げます。
アドバイザー 
津村 泰夫 大阪の津村と申します

 不動産のことは専門外ですが、契約は不動産業者の事務所でおこなわなくてはなりません。その他の場所であればクーリングオフの対象となり、8日以内に解除できます。
 契約の解除は一般的に手付金の放棄の「意思表示」によりおこなわれます。具体的には通知書を内容証明により送るのがよいでしょう。
 違約金は契約金額の20%以内となっていますが、このへんは交渉されて納得のいく金額で解決されると良いでしょう。
 詳しくは弁護士に相談願います。
根本 一郎 根本と申します。

不動産は高額な商品にもかかわらず、業者の煽りにより、早急な購入の意思表示を要求されます。N・Hさんも物件が気に入ったため足元を見られ、契約まで業者ペースで進んでしまったようですね。

先ず、3月31日自宅にて調印された契約は、建物の設計打合せを行っていない段階であり、仮の内容であったとはいえ、金額も決まっているようですし、契約としては有効と思われます。フリープランであれば、間取を決めて見積が出てから契約するのが当然の流れであり、土地の売買契約と同時に建物の工事請負契約が出来るはずはないのですが、建売住宅という見本があったため、契約の手続きを錯覚されたのでしょうか。

今回のような販売形態は、建築条件付宅地販売といって、建物の請負を前提として宅地を販売するものであり、通常の契約手順であれば、建売住宅のように土地と建物を同時に契約することはありません。建物の工事請負契約が不調に終われば、土地の売買契約も破棄されるよう約款に条件を付けるのが普通です。ところが、この業者は巧妙なことに、同時に契約済みです。N・Hさんから一方的に解約するわけですから、着手した設計行為の精算を求められた場合、拒否できないことになります。10万円の手付金の放棄は避けられないと思いますが、設計の精算も含めるよう交渉されてはいかがでしょうか。

但し、昨年4月より、消費者契約法が施行され、業者側の説明責任が重くなりました。今回の土地と建物の同時契約の際、業者より誤認するような説明があったのであれば、内容を整理した上で、消費生活センターへ相談してみてください。N・Hさんに不利益となる事実を故意に告げなかったと認定されれば、契約を取り消すことが出来ます。

また宅建法では、いわゆる青田売りの場合、建築確認済でなければ、建物の売買契約は無効ですが、建築条件付の場合、建物は工事請負契約になるので、規制がありません。
今回の場合、建築条件付の契約になっているか不明ですが、工事請負契約は図面などなくても契約可能です。その辺りを消費生活センターで確認してもらえばよいかと思います。
 山口 健一 大阪の弁護士山口健一です。

この件は、契約書を見ていないので、最終的には契約書を見た上でと言うことになります。ただ、現在の情報だけから判断すると、手付金放棄で済みそうです。

まず、
@契約書に手付金と書いてあれば、この契約は売買契約書と建築請負契約書の複合体だとしても、実質は売買契約書と同視できると考えられますので、手付金放棄ということが充分考えられること
建て売り住宅を買った場合とそんなに契約の中身は変わらないので、この両者を区別する理由がない。

A建て売り住宅の場合、手付金を払った(それもせいぜい10万円程度)後で、やっぱりやめたと言うことはままあることであり、業者もそんなことは充分認識している。
こちらから下手に出て、違約金をどうしましょうか等というと、法外な違約金を請求される恐れもあるので、10万円以外は払わないと決めておくこと。

Bもし違約金を請求されたら、弁護士に相談すること。こんな場合に違約金を請求するとすれば、請求する側の法律的根拠、損害の立証、等、請負契約的な部分に関して、相手方に皆さんも指摘されているとおり大きな関門が幾つもあります。
もし裁判でも起こせば、後、主張も立証も大変だと思います。

Cそんなことを検討していくと、10万円は高い授業料かもわかりませんが、これで済んだと思えば、やむを得ないのでは。

D但し、内容証明郵便で、年 月 日付けの契約は、都合により解除するとの通知を早急に送っておくことをお勧めします。と言うより、できるだけ早い解除の通知は必須です。

もしこれでもトラブル様な気配や、どうしても気になるのなら、弁護士に相談して下さい。私に相談されても結構です。 
 コメンテーター 
今井 優子 コメンテーターの今井です。

一生に一度(大抵の場合)の大きな買い物ですから、買うと決めたのも、やめると決めたのも熟考に熟考を重ねた結果だと思います。
にもかかわらず、「違約金発生となれば額も相当なので、仕方なく購入しようかと考えており、・・・」とはどうなんでしょう?
新しい土地、新しい家でのこれから長い生活、何を本当に大切にしたいのか、今一度良く考えてみてはいかがですか?

その上で、消費者センターに相談されるのも一計ですが、基本的には御自身が自己責任において対処することになると思います。違約金についても業者ときちんと向き合って、話し合う必要があるのではないでしょうか。設計行為の精算にしても、解約を申し入れた時点までの作業を確認して、それに見合う報酬は覚悟する必要があるでしょう。
ただ、常識的にみてそんなに法外な金額にはならないのではないかと思います。
少し高い授業料になるかもしれませんが、この経験を無駄にしないように、頑張って下さい。
 事務局から 
  荻原 幸雄 書類をみませんとはっきりお答えすることができませんが、建築条件付のように思われますが、融資の部分では建売住宅の申込みの形式にも見られます。
建築条件付ですと、土地に対しては10万円の放棄により解約できますが、工事請負契約では設計事務所の実際の着手までの図面と見積もりを提示していただいてその費用は負担する必要があります。解除意思がはやかったのでそれほど図面は進んでいないと思いますので、これを10万円として両者で20万円の支払いは仕方ないことだと思います。

勉強代と理解して新しい場所でいい家を慎重にご検討することを希望します。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 『建築よろず相談』運営事務局 荻原様、解説委員の皆様、アドバイスありがとうございました。
その後、販売担当者と何度か話し合いをし、違約金の発生は免れないとのことで購入へむけて検討していただけないかと訪ねてこられました。
販売担当者いわく、現段階、設計事務所と工務関係者には事情をお話してこれ以上進展しないようお願いしておりますが、すでに申請、工事にむけての準備にかかっており請負の20%はないにしても300万円の違約金がかかるとのことです。
自分自身それほど日数も経っておらず、手付け金放棄で済むものと思い込んでおりましたが・・・

アドバイスにありました建築条件付の契約の場合、(これに該当しておりました。)工事請負契約は図面などなくても契約可能であること。土地・工事請負、同時契約済みの為、着手した設計行為の精算を求められた場合、拒否できないことを知り、販売担当者の言われることが正当であると判断できました。
ただ、違約金の300万円は妥当かどうか解りませんが。

高い授業料になりそうですが、販売担当、設計事務所、工務関係者とお互いカドがたたないよう円満に解決出来るようよく話し合いたいと思います。

アドバイスありがとうございました。
 その後  
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