相談概要 | [氏名] E.Y [居住住所] 香川県坂出市 [相談建物予定地] 香川県坂出市 [職業] 団体職員 [年齢] 36 [男性] on [構造] わからない [設計者はどなたに依頼しますか?] 特に決めていない。 [何階建て] 2 [延べ面積m2] [延べ面積坪] 45 [工事請負金額] 2800 [様態] 注文建築 [施工業者はどちらに依頼しますか?] 特に決めていない。 |
相談内容 | 前略 注文住宅を建てようと思っていますが、その際に建築家に設計監理をお願いしようと思っています。 そこで建築家の設計監理料について質問させてください。一般に施工費の10%程度と聞いています。 しかし一般的に施主は家のレベルを落とさずにできるだけ安く家を建てたいので、施工費を工夫してなるべく安くして欲しいと希望するでしょう。そしてその工夫を建築家にお願いすると、施工費の何%と設計料を決めていた場合は、今度は建築家の取り分が減少してしまいます。もし建築家が悪意を持っていたならば、きっと「これ以上の工夫は無理です。家の質を落とさずに施工費を削るのは無理です。」と、自分の取り分(設計料)を減らしたくないためにこう答えるでしょう。 しかし施主にはそんなことはわかりません。つまり建築家が設計料を減らしてまで、施工費を安くしようと努力するでしょうか?建築家の皆様には酷な質問かもしれませんが、世間にいる建築家がそんなに善人の建築家ばかりとは思えないのです。この矛盾について、何かコメントをお願いします。 |
yorozuの感想 | |
アドバイザー | |
小松原 敬 | 相談員の小松原です。 一般に設計監理業務の報酬は工事費の○○%と言われる事が多いですし、実際にそのような契約にしている部分も多いです。 ただ、そのような報酬の決め方は根拠がない上、おっしゃるような弊害もあります。 それで建設省(現 国土交通省)告示1206号※という業務報酬の算定基準が示されています。 これは、業務量に必要な日数に日額人件費をかけて直接経費とし、同じ方式で間接経費、技術料などを出して合算する方法です。 最近ではこの方式で業務報酬の提示をする事務所も多いと思います。 2000万円の工費でも3000万円の工費でも設計にかかわる業務量はあまり変わらなかったりします。 %でいえば工費が低い場合は設計料としては10%を上回る事もあれば、工費が高い場合には10%を切る場合もあります。 多大なローコストの工夫をしなければならない建物はその工夫の業務にかかる分だけ設計料が高いこともありうるのです。 それでも総額としてコストコントロールをして予算に納めるのです。 (予算のない建築では設計料を控えめに積算するような人柄の人も多いんですよ) ※以降の解説にも出てきますが、1206号は解説時の告示です。その後、平成21年に見直しが行われ 国土交通省告示 第15号が制定されました。(事務局より) |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 おおまかな話としてはそのような話しを私達も耳にしますが、住宅の構造や内容によって変わってきます。お客さまが望まれている家を造るには此の位の手間がかかりそうだと言う延べ日数を想定して、それに個々の事務所での人件費をもとに計算します。ですから、算定した後に予定工事費と比較してみると、6〜15%位の幅の間になります。設計内容の中身の濃いさにもよります。 少し乱暴な例えですが、延べ20坪・工事予算2000万の鉄筋コンクリート造で凝った造りの住宅と、延べ40坪・工事予算2000万の木造で極普通の住宅を考えてみて下さい。設計監理の手間が違うと思いませんか。 設計監理報酬に関して%でなく、これこれなので此の位になりますと説明をしてくれる建築家と巡り会われる事を祈ります。 |
星 裕之 | ほし@POHです。 至極ごもっともな意見だと思います(笑) 私は工事金額に対する歩合で設計料を追加することは反対です。 設計監理料はあくまでその設計にどれだけの人的手間がかかったかという人工計算と、デザイン・企画・アイディア等の技術料・そして企業として成立する為の経費によって構成されます。 それを考慮すると5〜15%すなわち平均10%程度であるというのが算定根拠です。 最近は、面積によって設計料を決めてる方もいらっしゃいます。いろいろな価値観があり、報酬根拠も事務により多様です。 同じ価値観を共有できる設計者と建築を進めてください。基本は人工計算ですので、決定した設計料をはるかに超えるご要望はご遠慮いただきたいものです。 |
長谷川明弘 | 解説員の長谷川です。 確かにおっしゃるとおりの疑問です。私もいつも同じように思っています。 その疑問に対しての私、個人のやり方を御紹介します(説明でなくて御紹介ととらえてください)とにかく私は最初に全体でいくらの予算があるかをヒアリングしまして、そこから工事費や設計料、各種申請費用、税金等を算出します。設計料は工事費の何パーセントと言う表現でなく他の解説員からも出ている建設省の告示を元に算出しております。 それでクライアントに納得いただいての設計監理契約後は工事費が下がったとしても最初に決定した設計料でそのまま行くことにしています。今迄クライアントから「工事費が下がったから設計料も下げろ」と言われたことはありません。そして工事費が上がった場合も同じです。 やむなく上がった場合でもこちらは設計料を上げません。ただ設計料が上がる要素としては贅沢品の追加工事があまりにも多い場合には追加の設計料をいただいております。それはクライアントももちろん納得済みの上でいただいてます。もちろんこれは私個人のやり方なのであくまで一つのケースとして御考え下さい。とにかく設計料についての詳細を、依頼したいと思っている建築家としっかりと納得がいくまで話し合ってください。 そこで話をいやがる建築家ならば止めておいた方が良いでしょうね。 そして後で言った言わないが無いようにしっかりした設計監理の契約もしてください。 たしかに善人の建築家ばかりとは思えないかもしれません、しかし善人の建築家を探すのもクライアントの責任でもあるのです。しっかり勉強してあなたにあった最良の建築家をお探しください。 |
氏原 毅士 | 氏原です。 設計料の決め方には個人差が大きいのであろうな?と思っています。 仮に質問のように施工費に一定割合を掛けるとするなら、特異なケースですが、大手ゼネコンが御所内施設の施工入札で1万円を入れたという事件がありました。 結果は別として、相談者と施工者の人間関係などで、施工者が大変お世話になった、足を向けて寝られないというような施主であった場合破格の金額提示があったとします。 設計者にとってこれは関係のない話であって、この事で設計料が安くなるなど到底承服できるものではありません。 10%がいいか悪いかは別として当所では落札価格ではなく設計予算に対して計算します。 これでも、建売や設計施工の住宅と違うところは積算根拠の積み上げで金額を決めず、予算のおおむね10〜15%ぐらい上回るような設計をし、VEや変更を加え、さらに業者と折衝し請け負い金額を決めます。 こんな作業をしていることを一般の方はご存じないのが残念でなりません。 住宅といえども、3ヶ月程度の設計期間でさまざまな作業をし、さらに施工監理の6〜8ヶ月、凡そ1年にわたるお付き合いが必要です。 これを2800万円の10%で280万円が設計監理量とした場合、専業設計事務所では経営維持できません。 ほんとは住宅が好きでも設計できない(やっておられない)、も本音です。 信頼関係があるから仕事が出来るのであって、相談のようなケースで言ってこられたら当所ではお断りします。 |
古賀 保彦 | 埼玉の古賀です。 矛盾についての疑問はもっともな事だと思いますが、他の解説員の説明にあるように、人工計算を行うと住宅では大体工事費の10%前後になる設計監理の業務量だという事です。 工事費が確定する前に決めてしまっても問題ありませんが、予定工事費をいくらに設定するのかという事よりも、どんな内容の建築にするのか、設計者に何を求めるのかによって当然業務量が変わってきます。ここを差し置いて設計監理料云々を言ってみても答えは出てこないと思います。 依頼者側も自分が何を求めているのか整理してみる事も必要だと思っています。良い設計者であればそれに応えてくれることでしょう。 |
中川 雅実 | こんにちはE.Yさん、神奈川解説委員の中川です。 設計・工事監理料は、過去に工事費の何パーセントとして計算されておりましたが、この計算方法は独占禁止法に抵触する恐れがあるとの観点で、昭和54年7月に建設省が告示1206号の報酬額算定基準を出されました。 建設省告示は、区分を4種類(住宅は4類)及び工事金額(概ね1,000万円単位)に分け、標準業務人・日数を定めたものです。 例えば、住宅で工事費2,000万円は、設計23人工+監理11人工=合計34人工であり、これに各設計事務所の人件費を乗算し、更に、技術料+特別経費+消費税が加算されます。 しかし、ここでE.Yさんのご指摘のように、設計料が工事費の増減により変化する事に疑問が発生します。 神奈川県の事務所協会では、この疑問解決のため工事費ではなく延べ床面積による算定に置き換えました。(外壁がモルタル吹付仕上げとタイル貼り仕上げや、屋根がコロニアル葺きと銅板葺きのケースで、設計の違いは、文字の違いを記載するだけであり、これで設計料がかわるのも不自然と言うことです。) この算定方法は神奈川のみと思われますので、交渉方法として自分の支払う事が出来る設計料を提示し、価値観に差のない建築家を探され良い住宅が完成することを願っております。 |
コメンテーター | |
三浦 惠翁 | コメンテーターの三浦です。 1般的に設計料は10%ぐらいと言われているのは、建築家に設計依頼する場合はそのくらいの予算は見ておきなさいよと言うことです。 施工会社と設計者が何らかの関係有れば相談の通りかも知れません(追加変更工事で工事代を増やし設計料を稼ぐ)とか。 工事請負契約する前に、設計監理契約するのです。施工者と関係ない設計事務所が設計する場合、設計業務に技術的な注文が多ければ多いほど設計料は高くなるのは当然と考えられませんか?施工費が決まる前から工事費の何%で受ける専業の建築家は居ないでしょう。どうじに様様な形態基準で設計している建築士も居ます、賢明な建築士選別がだいじです。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 設計工事監理料は人の労働であり、技術料であります。 %の設計料は目安です。もし、%だけで契約する設計事務所でしたら、どんな業務をどれだけするのかを確認ください。我々は工事施工者に合見積もりで明細書の提示を求めます。その設計者が建築主に設計工事監理料の明細を提示しないのは矛盾があるというものです。 %としか提示しないで明細書は出さないという事務所は考え直した方がいいかもしれませんね。 下記に告示を示します。 報酬(G) = 直接人件費 + 経費 + 技術料 + 特別経費 直接人件費:建築物等の業務に直接従事する人のそれぞれについての当該業務に関して必要となる給与、諸手当賞与、退職給与、法定保険料等の人件費の一日当たりの額に、当該業務に従事する延べ日数を乗じて得た額の合計。 経費: 直接経費−印刷製本費、複写費、交通費等建築物等の設計等に関して直接必要となる費用(特別経費に定める経費を除く。)の合計。 間接経費−建築物の設計等の業務を行う建築士事務所を管理運営していくために必要な人件費、研究調査費、研修費、減価償却費、通信費、消耗品費等の費用のうち、当該業務に関して必要となる費用の合計。 技術料:建築物の設計等の業務において発揮される技術力、創造力等の対価として支払われる費用。 特別経費:出張旅費、特許使用料、その他の建築主の特別な依頼に基づいて必要となる費用の合計。 明細は下記のようなものです。(参考) 設計図面では 平面図 ○枚×○日(1枚作成する為の時間) 工事監理では 施工図の検討・承諾 ○枚×○日(1枚作成する為の時間) 等の合計を算出します。そこに上記経費、技術料、特別経費を足します。 設計者を選ぶ基準は(事務局の個人的偏見基準です。) 1)本当に専業か?(設計工事監理が本業で施工はしていない。) 2)施工業者と癒着がないか?(設計料を安くして、足りない分を施工者の見積もりに 載せさせる最悪の設計事務所でないこと。) 3)合見積もりを複数から取るか?(難しい仕事の場合は例外として特命でする場合は 除く) 4)デザイン力があるか?(建売住宅以下のデザイン力の事務所も多いので注意) 5)工事監理できる構造的な知識があるか?(これが問題ですが、構造的に全く無知な 設計者が多いのは事実です。施工者にお任せの設計事務所はこれも最悪です。) 6)ベンツ・BMWなど乗りまわしている者(設計事務所がまじめに仕事していれば間 違い なくそんな車にはのれません。(^^;)ゞ) 7)%ではなく明細書を提出してくれるか? 8)自分と相性が合うか?(これは大切です。お見合いと同じなので違和感があれば止 めましょう。) 以上、ご参考にしてくださいね。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | 前略 過日は小生の疑問に対して、わざわざご回答くださいまして、ありがとうございました。住宅の購入・建築は一生のうちに何度でも経験するものではないので、いかんせん慎重になってしまい、その御相談先としての「よろず相談」は誠にありがたい存在です。皆様方から御教示していただいたことを参考に家作りを一歩一歩進めていきたいと思います。とりあえず、お礼まで申し上げます。 早々 |
その後 |
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