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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0645 土地探しのアドバイスを

 相談概要 [氏名]  M.T
[居住住所] 東京都荒川区
[相談建物予定地] 東京都世田谷区
[職業] 会社員
[年齢] 31
[女性] on
[構造] わからない
[設計者はどなたに依頼しますか?] 専業の建築設計事務所
[何階建て] 2-3
[延べ面積m2] 100
[延べ面積坪] 30
[工事請負金額] 2500ぐらい?
[様態] 注文建築
 相談内容 はじめまして。

 注文住宅で一戸建てを建てたいと考えています。
 私の希望としては100平米の床面積を建てられることなので、例えば、60/200だったら20坪で、50/100だったら30坪かなあと思いながら、エリアと予算で検討 しています。

 しかし、価格が予算より高くても南側の開放や南側道路が良いのだろうかとか、土地の形で設計上で無理がでたりするのだろうか、間口が狭くて長細い土地(そういうの多いんですよね、道路ずけが6Mぐらいで奥行きが13Mなど、、、)は良くないんだろうかなど、迷いがつきません。

 現在対象としては考えていないのですが、道路付けが3Mぐらいのはための土地なども多いですね。

 設計される皆さんのお立場から、土地を買ってこれから注文住宅を建てたいと思っているものになにかアドバイスいただければ今後土地探しをするのに役立ちます。

 南向きは必須とか、いやあ、設計次第では北向きでも気持ちの良い空間は作れるだとか、60/200の20坪と、50/100の30坪だとどっちに軍配があがるだとか、細長い形状の土地はどうだとかそのあたりについて特に知りたいです。

 知識がないものですから、質問の仕方が良くわからなかったので、意図を伝えきれたかどうか心配なのですが、アドバイスお待ちしております。

 また土地の条件などによるかもしれませんし、いちがいにはいえないと思いますが、RC造の場合100平米でどのぐらいの価格から建築可能でしょうか?(内装などを削って)

 以上ですがよろしくお願いいたします。
 yorozuの感想 とても参考になります。
恐い話が多いんですけれど。
アドバイザー 
山口 雅克  解説委員の山口です。

  土地探しは家づくりでは重要なポイントです。敷地の形の前に周辺環境をまずチェックしましょう。都市計画区域で用途地域と言うものが定められていて、建蔽率や容積率なども決まっています。それによって将来的にどのような建物が立ち並ぶのか推測がつきます。
 採光や通風を考えると建築面積(およそ1階の床面積+α)の2.5〜3倍の敷地が欲しいですね。総2階に近い案ですと(車庫スペースはなしで)40坪前後の土地になります。場合によっては35坪くらいでも。

  南側道路の場合:玄関又は玄関へ行く為の通路を南側から配置しますので居室の採光を考えると勿体無い気がしますが、日当たりを確保し易い利点があります。道路からの視線などには工夫が必要ですが。

 北側道路の場合:南面全てを居室にする事が可能ですが、南側お隣にどの程度の建物が建築可能なのか確認しておきましょう。大きなものが建ってしまうと採光はとれても、日照が少なくなってしまいます。

  他にも東道路や西道路など考えられますが、プランニングの旨い設計者に巡り合えればあまり心配はいりません。それなりに色々な事を解決しながらプランを造ってくれます。
 
 細長い土地でも長方形に近い形で間口が6mもあれば何とかなりますし、接道が3mでも奥にある程度の広さがあればどうにかなります。
 只、経験的に2階建ての建物は、建築基準法56条の北側斜線が定めてあるところでは(第1種低層住居専用地域など)真北方向の隣地境界から1.5m位が北側の外壁の位置になりますので留意してください。南に建物がある時の冬至での南中時の影の長さはおよそ1.6倍になりますので少なくとも2階の窓には日が射す位にしたいですね。
  RCのコストに関しては都市圏の解説員に御任せするとして、工事のために敷地内や道路にコンクリート打設の為の車両をとめる必要がありますので留意が必要です。
善養寺 幸子 東京の解説委員の善養寺です。

  今、去年から相談にのって同じような案件やっています。場所は世田谷区。東京では確かに、30坪以上の土地を購入しての新規新築事業は大変ですね。確かに先ず小さな土地からと言うところでしょうか。

  必要な延べ床を求めて逆算するのも手ですが、総予算からの建物と土地の配分から始めることも重要でしょう。鉄筋コンクリート造となれば、木造よりはどうしても高額な工事費となってしまいます。そうすればどうしても土地に対しての費用は掛けられません。同じ建物面積なら木造にすることで多少広い土地を買い、建物周りの環境も作り低い低層の住宅にすると言う方法もあるでしょう。どうしても高層にして鉄筋コンクリートという耐火性能を選んで建てたいとすれば、土地は小さくなることは致し方ないところでしょうか。
 
  鉄筋を選んだとしても、土地の地盤によっては工事費が大きく違います。軟弱地盤であれば杭を数十メートルも打たなければなりませんし、地盤が良ければ鉄筋コンクリートの3階建位はべた基礎(杭がない)でも大丈夫です。
  この違いは数百万円もの差になります。同じ区内でも場所によって地盤は大きく異なります。
  地盤に関しては区役所の建築指導課などに聞くのも手ですが、細かな解説を受けられるかどうかは分かりません。(不動産屋にはわからないでしょう。)
  設計事務所などではデータを持っていたり、取引地盤調査会社から隣情報を得たりする事もあります。

 建ぺい率、容積率で環境を探るのも方法ですね。
 建ぺい率、容積率が高ければ自分もめいいっぱい建てられますが、周りも同じ条件で建てれるわけですから、いきなり目の前に高層マンションとなっても文句の言いようがありません。
  建ぺい率、容積率が低いと言うことは、ゆったりとした環境の住宅地を目的とした土地ですから高さ制限も厳しい地域であることがほとんどで、50:100地域などは3階建ても制限されている場合が多いです。
 
  接道条件も検討されるのは良いことかと思います。2世帯住宅でも完全分離型の場合、形体によっては共同住宅扱いされますので、旗上敷地や接道6メートル以下ですと(東京都条例によって)建てられないという事も出てきます。
  間口が狭い場合や敷地が小さい場合など、その周りの状況など見て選ばないと、工事の車が停められない。大型重機が入らない。資材を現場に置くところがない。など、工事費を上げる要因になります。
  鉄筋コンクリート造などで杭打ち工事が入りますと、重機の大きさで価格が大きく違います。
  重機の大きい方が高いのではなく、小さい重機しか入らないで手間がかかる方が高くなります。

  南側接道は不動産屋的には高い物件ですが、必ずしも良いとはかぎりません。道路の幅員が狭い上、土地の奥行きがないなどと言う場合、道路斜線と北側斜線の高さ制限で2階もまともな高さがとれないなんて事も起こります。案外北側道路の方が、北側高さの制限も受けず、プライバシーも守れて明るくゆったりとした建物になったりします。

  いずれにせよ、条件は複雑でこれが良いというような一様な評価はできません。設計事務所に設計監理を依頼しようとお考えであれば、早めに相談にのってもらい専門的なアドバイスを受けて、予算と価値の合うものを選ぶことが賢明なのではないでしょうか。
  工事費の件も具体的なイメージを伝えて、概算を得ながら検討されてはいかがでしょうか。安い金額を聞けば、それで全てができるような錯覚をしてしまいます。
  私は、そこそこ充足感の得た仕様、設備で鉄筋コンクリートは坪100万円からだとお客様には伝えています。鉄筋コンクリートの工事費は下がりきって、信じられない数字も聞かれますが、まともに作ろうと思えばそれほど異常な数字はどうかと思います。
 良きパートナーを得てから動かれることを絶対お奨めします。
 小松原 敬  横浜の解説員の小松原です。

  正直、私達は依頼された土地であればどんな条件でもなんとか良い家を建てようと努力します。
  今、やっている家などは細長い3角形の土地です。
  また、かなり切り立った北側斜面に建てた時は非常に眺めの良い家になって喜ばれました。条件が悪くてもそれを特徴ととらえて、逆手にとって良い家にすることはできます。

  困ってしまうのは、土地に資金がとられてしまって建築資金が足らなくなってしまう時です。ローコストな建築もできますがそれには建て主さんにもある程度の覚悟(住まい方の工夫を考える事)が必要なのですが、それがないとローコストがチープなコストダウンになってしまって豊かな空間が造れません。

 また、最近聞いた話ですが家を建てたあとで土地に対する感覚が変わるそうです。実際に住んでみると、駅までの距離や坂の有無・車の交通量、近くに子供を遊ばしたりジョギングできる公園があるか、商店街はどんなか、というような家族の生活に合った住環境であるほうが重要になってくるそうです。

  RCのコストは通常は坪単価で100万円前後ですが、最近私がやっているRCZ工法は、特殊なFRP型枠と断熱材・内装下地材兼用の型枠を使う工法で、RCにもかかわらず坪60万前後の工費で高断熱住宅を造ることができます。 
 笠原 歩  こんばんは、笠原です。  
 少しだけ意見を書かせていただきます。

  住まいづくりというのは、実はハコ(建物)が重要なのではありません。住まい手にとって「何が大切なのか」を見極める事が一番大事なことなのです。

  今現在どのような暮らし方をしているのか、これからどんな生活を夢見ているのか、といった視点で考える事が必要です。駅の近くがいいのか、それとも学校や病院のそばが好都合なのか、多少不便でも日照を最優先するのか。それは各々の家族構成やその考え方次第で点数は様々だと思います。土地がいかなる条件であっても、心ある建築士であれば満足得られる設計監理を行ってくれると思います。焦らずに納得のいく土地探しをして下さい。きっと良い土地が見つかります。 
 コメンテーター 
畔上 廣司  コメンテーターの畔上です。

 4名の解説委員に真剣な回答頂きましたが、如何でしたか?

  道路付けや敷地の形状、価格設定も大切ですが、住まいづくりは、基本的な住環境や生活設計など、住まい手ご自身の住宅に対する考え方をまとめておくことも非常に大切ですね。
  
  それぞれのアドバイスを参考に、土地や敷地の持っている様々な条件を十分考慮したうえ、「失敗しない家づくり」を目指して下さい。
 事務局から 
  荻原 幸雄 漠然としたご相談ですが、同じようにたくさんの方が土地を選ぶ場合の条件は多岐にわたり選定基準には悩みますね。ご苦労様です。

このご質問は大変難しく、悩んでも悩んでも正解を解説できるものではないのかもしれません。
しかし、いろいろ悩むことは産む苦しみと同じですので、頑張ってください。

月並みですが、土地を選ぶのにはもろもろの総合判断が必要です。
その総合判断は一般の方には不可能かもしれません。
以外と直感で選ぶのも土地との縁かもしれませんね。

建築士でも総合判断となると意見が分かれる場合も多いと思います。
その見識や設計能力によって開きがあるからです。

アドバイスとしては「これはいい土地」と感じたら契約する前に信頼できそうな建築士に一度土地を見てもらい簡単なご希望を述べてラフプランを作成してもらえれば、その土地のポテンシャルが具体的にわかると思います。

頑張ってくださいね。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 アドバイスいただいた解説員の皆様

ご丁寧なご回答ありがとうございました。
各々の方のご回答ごとに、“なるほど”と思うことがあり、大変参考になりました。

私からは曖昧なご質問でしたし、この工法でいくらなどのご質問もあまりに単純すぎて回答する方に、失礼な部分もあったかなと思いながら、ご回答をお待ちしておりました。

正直なところ、これほど多くの回答をいただけるとは思っていなかったので、とてもうれしく、また感謝しております。

日ごろ建築雑誌等々を見ながら、いろいろ夢を膨らませていましたが、現実問題としてどのように進めたらよいのか、、、

まずは土地を探さないと設計の方も頼めないような気がしておりました。

今回のご回答を読んで、自分たちの価値観にあった設計の方、土地に出会えるように、両方平行に活動した方が良いのかなという気がいたしております。

まずは略儀ながら、メールにてお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
 その後  
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