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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0641 断熱材の欠損について

 相談概要 [氏名] M・H
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 埼玉県熊谷市
[相談建物所在地] 埼玉県熊谷市
[職業] 会社員
[年齢] 36
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[築何年ですか?] 築 2年以内
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 167
[工事請負金額] 3200
[様態] 注文建築
[施工者] ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[お手持ちの図面は何枚?] 10枚以下
[打ち合わせ何回] 5回
[施工者名] Fハウス
[設計者名] Fハウスの内部者
 相談内容 [現象]
ホールダウン金物で接合されている部分(1階と2階の柱の接合部)の断熱材がえぐられたままで、合板が見えています。

[業者の見解]
現場監督は、「ふさがなくていいことになってます。」といってました。
その後他県へ異動。新しい担当者は、「ふさぐかそのままかは現場監督の判断だ」といい、適正に処理されているといいます。

[相談内容]
 ハウスメーカーで新築しましたが、断熱材の施工でメーカーの説明では納得のいかない所があり質問があります。
我が家は”住公「省エネルギー基準(一般型)」を大きくクリアした住まい。
 「次世代型」にも対応しています”とパンフレットにあります。

断熱材の種類は、ポリスチレンフォームです。
契約前の他の家の建築現場見学の時は、ポリスチレンフォームの隙間はすべて発泡断熱材でふさぐと説明してました。

また、自家の建築途中での確認でも、すべて発泡断熱材でふさぐといっていました。
ところが引渡し後、点検口等からのぞき見るとホールダウン金物で接合されている部分の断熱材がえぐられたままで、合板が見えています(写真参照)。

これは、省エネルギー基準をクリアしているのでしょうか?
説明を求めると、ふさぐかそのままかは現場監督の判断だといいます。
現場監督は半年まえに異動して近くにはいません。
完成してからもらった書類一式の中に、住宅金融公庫基準適合仕様確認書があり、適合確認欄は省エネルギー住宅(一般型)開口部工事に丸があり、次世代型にはありませんでした。

省エネ一般開口部工事と、次世代型省エネ工事とでは、設計及び現場審査に大きな違いがあるのでしょうか?
また隙間をふさぐように請求できるのでしょうか?ぜひ教えてください。お願いします。



 yorozuの感想 いろいろな質問に無料で対応していただけるのは、大変助かります。
事例もたくさん紹介されていて、建築の前に見れれば良かったと思いました。
アドバイザー 
木津田秀雄 「省エネ」と「次世代」の内容については、大きく差があります。言葉で説明するのは難しいですが、「省エネ」が平成4年から「次世代」が平成11年に規定された基準で、「次世代」では北海道など以外の地域でも気密の性能を問うようになっています。もちろん断熱材の厚みも多く必要になっています。また夏場の日射取得の制限などの項目も増えています。ただ実際には「次世代」の建物はまだまだ少ないと思います。

  公庫が適用される建物は、基準金利を受けるには「省エネ」を選択することが殆ど必須になっていますから、いま新築されるちょっと良い建物は全て「省エネ」はクリアしていると考えて良いでしょう。ですから「次世代」となると、付加価値としてプラスアルファの性能になります。
 
 まず事前の説明では「次世代」と言う話が「省エネ」になっていたという件については、契約上の問題になります。写真で見る限り防湿シートを断熱材の室内側に施工していないようにもみえますので、まず「次世代」では施工してされていないと思います。また公庫の書類も「省エネ」となっていれば、まずそうでしょう。「省エネ」でも「次世代」でも割り増し融資が受けれますが、その項目や金額はどうなっていますか?一度確認してください。

  そのハウスメーカーの全ての住宅が「次世代」であると宣伝しているのに、貴方の家だけが「省エネ」であれば、大きな問題でしょう。ハウスメーカーは概ね自分のところで施工可能な一番良い事例を広告やモデルルームにしますので、そのような場合は、それぞれの家の性能はそれぞれの契約によることになります。
 その場合、先の公庫の書類や10枚ほどの図面の中に書かれていると思います。
 それが契約内容になります。

  次ぎに金物の部分の断熱材の欠損についてですが、送っていただいた写真は天井面に断熱材が施工されているようですので、2階の天井裏だと思います。そうでしたらこの空間(屋根裏)は断熱エリアの外になります。断熱エリアの外に一部断熱欠損があっても問題にはなりません。すなわち、壁の断熱材と天井の断熱材の接点から外側には、壁であっても断熱材は不要になるわけです。

  その辺りの事も考えて他の部分には充填断熱材が施工されていれば、この部分の欠損は問題ありません。ただ他の部分でも充填されていなければ、やはり熱が逃げる部分として、問題になります。その場合に公庫に規定があるかどうかですが、このような部分的な欠損についての記述はなかったと思います。

  実際の影響とすれば、金物部分の断熱材の欠損は、「省エネ」と「次世代」との差よりははるかに小さい差です。たしかに熱の逃げるところが少し多くなるという影響はあります。またその部分が他にくらべて熱抵抗が少ないために内部結露が発生しやすい(他の壁面より先に発生する)ということは言えます。

  内部結露についての危険性は、北に行くほど顕著で、北海道や東北ならかなり気を付ける必要があります。
 埼玉でどこまで対処するかは設計者によると思います。「次世代」ではこの点を重視して、断熱材の内側に防湿シートとしてビニールシートを施工するのが一般的です。「省エネ」では推奨していますが、防湿シートを絶対に施工しなければいけないとはなっていません。

  今回の相談では、この金物部分の処理を詰めるよりも、契約内容として「次世代」であったのか「省エネ」であったかの方が大きな問題だと思います。
 そこで納得される解決に至ってから、この金物部分の問題についての対応を考えられるのが良いと思います。
 コメンテーター 
畔上 廣司  コメンテーターの畔上です。
 
  先ずは、契約図面を良くご覧になることですね。
 お手元の建築主用の公庫基準適合仕様確認書にチェックされた内容について、契約図書類にどの様な関連性をもって反映されているのか確認してください。

  ハウスメーカーが「省エネ(次世代型)」である、と説明やパンフレット等で宣伝し、現在お住まいの家だけが「省エネ(一般型)」であった場合は問題になるでしょう。

  また、接合金物部分の断熱材の欠損は木津田委員解説通り、施工上の許容範囲内と見受けられますが、発泡断熱材のタッチアップ程度は現場工事監理によって指摘可能だった筈です。この辺で、工事監理の大切さが判るわけです。隙間補修するしないは請負会社のモラールの問題でしょうし、現場監督さんも困った挙げ句の発言だったのかも知れません。 
  しっかりした技術基準をもって工事監理が出来るようにしたいものです。

  建物の品質性能について、断熱工事一つをとっても様々な問題があり、色々考えさせられました。建築界全体のレベルアップを考えて行く場合、やはり、一般消費者や注文者の貴重な意見や疑問、そして、シッカリした監視なども大切ですね。

  なお、基準金利適用住宅(省エネタイプ)、省エネ住宅(一般型)の地域区分は都道府県界によって区分され、省エネ住宅(次世代型)は市町村界によって区分されているようです。
 事務局から 
  荻原 幸雄 断熱材欠損部分は金物の形状に押出発泡材を施工上切欠いたのでしょう。
欠損部分では部分的な断熱性能がなくなるのは事実でしょうが、
全体の性能がこのことで落ちるとは思えません。しかし、この部分に現場発泡断熱材を充填することは可能だった筈です。

まあ、業者の大切な家を造るというこころが、その程度のレベルということになろうかと思います。
業者も説明責任を確りして貰いたいものですね。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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